2022/07/04 のログ
■メイラ・ダンタリオ > シェンヤン 武器を手にする互いが思うことは二つ 蓋天戦争 そして ハテグ
国と国がぶつかり合うことは今はもう薄い 先代王 つまりはメイラが伏して奉る唯一の者が起こした事柄から
国と国は再び争い始めながらも泥沼 一進一退 ハテグのなぁなぁで行う殺し合いと捕虜の奪い合い そしてそれを用いるが故での
損耗の少なさがあるといえるだろうか。
武を重んじ、皇帝を奉り、マグメールと同じように内部は腐れど、今だ毒に転じてはいないかのようにすら見える。
何よりも厄介なのは 魔族を絶対的に抑え込む神性領域 であること。
人程度の力で済んでしまうという、メイラのような混ざり物 そしてそれに奢らない者ならいざ知らず、魔族にどっぷりと浸れば
あっという間に餌同然のそれとなってしまう場所。
間者でもやるのか という言葉は メイラ・ダンタリオ でも下手な真似ができない場所 であるのもだろう。
「斬りこみで役に立っている者を数名連れて、少し様子を見に行くだけですわ。
裏切り者でもいれば、アサシンでも雇えば済む話でしょうけれど。」
頬杖を突き、もはや互いは食事を終わらせる。
酒が時折舌と酒を湿らせるのみ。
背もたれに、ギシリと体を預け、足を組む姿。
ギザ歯は閉じ切り、キリッと音を立てる 赤い瞳は獰猛なそれ。
「アスピダの現状を知ってせせら笑っているのでしょうけれど……。」
ハテグは奪い 調子づかせず
タナールは奪い、護りきる。
アスピダは嫌がらせし、徹底的に周囲を削る。
この三つに対し、シェンヤンはハテグが間接的なら、直接足を踏み入れるのは現状での物見程度。
余っている時間で赴く役目を担うにしては、旅人として行くのは尖りすぎるだろう。
「まぁ、困らせてやりますわ。
ええ、困らせてやりますとも。」
ニィッ とトラバサミのような三日月の口元は、笑みを再び作る。
魔が混じる笑みというものは人の笑みとは違うもの。
そうして、背もたれに身を預けるまま、酒を傾ける。
何度も入れ替えるような消耗品を使うくらいなら、銘も作もいらない。
質実なものがあればそれでいいと 下手な名剣すらほしくない。
それに納得しているイーヴィアは、少し試案している様子だった。
斬馬剣とバスタードソードを欲しがる。
あえて、種類すら限定的にしてしまっているためなければ、それこそ造るしかなかっただろう。
しかし、死蔵同然の扱いの、ゲテ物 と呼ぶには少し違うか。
試作したものの、人に対しての調整が甘かった そんな物が転がっているという言葉。
「―――…、…。(ニィィィッ)」
メイラは笑みを深める。
「檻の中で閉じこもっていた子が、わたくしの手で悠々と動けるのなら
わたくしに“懐いて”くださるかしら。」
切れ味などいらない。 仕える気概のある もはやこれまでと死ぬつもりの剣で最後の一匹まで刈り取るそれではなく
最後まで供にするような剣は、確かにあったらしい。
それにしても、手入れはできるのかと問うたのには、頬が少し膨らむだろうか。
「心外ですわ。 血糊を掃うことも拭うこともせず、でいさせるほどわたくしは薄情ではなくってよ。」
下手な名剣を持てば、過信する。
下手な名剣を持てば、刃こぼれを嫌って抜くことをためらう。
それとは真逆なことをする、メイラだからこそ 武器をきちんと手入れしなければいけないぞ、と確認されたかもしれない。
だからこそ、ぷくっと膨れる頬もすぐに閉じる。
片目を閉じて相手を見る楽し気な笑み。
これから迎える子が、うれしいらしい笑み。
「ではその子を見に行きましょうか。
ある意味で言えば、レアなのかもしれませんわね。」
クスクスと笑めば、鈴を鳴らす。
静々とやってくる者へと、十二分に楽しんだことを告げて、最後に口直しの甘いものと酒で締めくくれば
じゃりんっとゴルドを革袋で渡して、二人は場所を移動するだろう。
■イーヴィア > (――己は、政治を良く考えて居る訳では無い
あくまで鍛冶屋だ、そう言うのは頭の良い連中が行う物だろう
だが――其れでも、考える頭が無いと言う訳では無い
目の前の相手が、唯立ち寄るだけ、なんて簡単な理由だけで向こうへ踏み入るとは思えぬ
物見遊山にしては、少々血なまぐさい気配が漂うのは、己が気のせいか
だが、何れにしても。 相手がそのつもりであるなら、己は其れに応えよう。
未完成の品でも、理屈や要求が合致すれば、完成品となり得る物
なら、矢張り己が店に現存する品の中で一番相応しいのは
今しがた告げた獲物に他ならない筈だ。)
「――――成程、鼻を明かしに行くって所か。
なら、旅立つ前に一通りの準備も必要だろうな。」
(グラスの中身を、飲み干す。
既に空となった皿の上に一度視線を落とせば、王国が置かれた酷く不安定な現状を思い返す
シェンヤンは――其の文化が此方へ流入し、交易なども盛んとなって居るとはいえ
歓迎し難い事が、無い訳ではあるまい。 国とは、そう言うものだ。
困らせてやる、だなんて、少々子供っぽく可愛げのある言い回しには
――最初は小さく、そして、段々とツボに入り始めたのか、笑い声が大きくなり。
あくまで、相手に向けた忠告めいた言葉は、老婆心の様な物だ
相手が不満げに頬を膨らませるなら、確り遣って居るらしいと笑みながら頷き。)
「ならそれで良い、兎角最近はあの鎧で手入れ要らずだろうからな。
あれと違って、ちゃんと手間を掛けなきゃならないからよ。」
(まるで自らの仔を、送り届けるかの如き物言いで
宜しく頼む、と、そう告げてから。
また、少しだけ食事をついばみ、酒を飲み交わした後で
今宵の食事を、一寸した宴を、仕舞いとするのだろう。)
「―――……よう、ちょっとは払わせろって。」
(先んじて相手が革袋で代金を渡して仕舞えば
きっと最後に、そんな事を戯言めいて言いながら
己が店へと、共に連れて行く事になるだろう)。
■メイラ・ダンタリオ > あちらもこちらも気になってしまう
戦場の要所に囲まれ 尚且つその先には国がある。
マグメールとはそういう場所なせいか 幾つも転々として向うメイラの在り方は異質。
制覇は望むところだろう しかし、手柄に固執していない。
殺してやる 滅ぼしてやる。
でもまだまだ足りない。
それだけしかない。
首級の先にある褒美は後からついてくるもの。
首級の先にある誉はあの方からしかいただけないもの。
どこまでも どこまでも それだけでしかないし、それだけしか考えていない。
だからなんでも手を出している。
シェンヤンにすら乗り込もうというのだから。
「一辺倒にはありがたい鎧でしたわね。あれは。」
生きている鎧をテーマにされて造られた代物。
余計なことなど考えずに戦うだけでいられる代物。
それに比べれば、老婆心は確かにむくりと身を起こすのだろう。
メイラも、イーヴィアの言葉を否定していなかった。
そして払い終わってから互いに移動を開始する。
身は丸腰に近く、軽装 軽鎧 に近い姿のメイラ。
貴族にはあまり見えないだろう姿のせいか、女がどかっと払い終わった姿に
イーヴィアは男のプライドか、友人としてされっぱなしはというのか。
しかしメイラは、こう言って黙らせる。
「おいしかったでしょう?」
ならそれでいいですわ。
うまかったならいいでしょう と程よく酒が入り、程よく満たされた。
腹がいっぱいで動けないなどという、情けないことはない。
お互い身を店内の もはや無人のところへと行けば 後はイーヴィアが件の代物を持ち込むか
死蔵されている場所へと赴くかしかないのだから。
■イーヴィア > (友人、と言う対等な立場であるなら
そう言う所も平等に、等と思うのは、まぁ、確かにプライドと言えばそうかも知れぬ
奢られる事を当たり前と思う様にならぬため、と言うのも在るが、何れにしても
美味しかったかと聞かれたら、其れはもう一分の淀みも無く。)
「そりゃあ、滅茶苦茶美味かったさ。」
(覚えて置きたい店だ、と、何なら今度個人的にも訪れてみたい。
其の位には気に入った店を、今宵は後にしよう
――しばらく、共連れで歩きながら、話すのは此処最近の事か
店であった事、聞いた噂や情報。 戦況の様子や、情勢など
職業柄、騎士と呼ばれる連中は幾人も知って居るが、真っ当で無い者も多い
其の点、相手であれば、そう言った話をするには、きっと適して居るだろう。)
「………シェンヤンには、どの位滞在する心算なんだ?」
(ヴァルケス武器防具店、その、裏口の前にて
先んじて鍵を開きながら、背後に居るであろう相手へと、そう問いかけた。
何の事は無い、ただの好奇心だ。 何も決まって居ないやも知れぬし、機密かも知れぬ
もし答えが無ければ、そう言う事だろうと勝手に解釈するだろう
がちゃり、重い音を響かせ開いた扉。 其の中へと、入る様に客人たる相手を促せば
奥へと進む様にと続けて告げる。 ――店内は、事前に明かりを残しておいたのだろう
ランタンが灯された儘となっており、歩くことに不便は無い筈だ。
幾度か訪れた事のある相手ならば、迷う事も在るまい
示された通路の奥にある部屋が、客人用の試技場で在る事も、きっと分る筈。)
「ちょいと待っててくれ、流石に掘り起こしてこないとだからな。
ま、錆び付いてたりなんて事は無いから、其処は安心してくれ。」
(相手が部屋へ向かう最中、己はと言えば、倉庫部屋へと消えるだろう
何せ、準備は流石に出来ていないし、アレを作ったのは大分以前の事だ
少しばかり待たせるかも知れないとだけ断って置きながら、薄暗い部屋に一度消える
程無くして静かな店内に、物を移動させる微かな物音が、聞こえて来るやも知れず
――さて、どの位待たせる事と為ったか。 暫くして、その両脇に抱えられた
二つの布巻にされた獲物が、女のいる部屋へと、持ち込まれる筈だ
大きく、分厚く、重い。 其れは鉄の塊であると、そう呼ぶに相応しい代物で在ったろう
テーブルへと置かれた其れが纏う布を、ゆっくりと捲り剥がして行けば
――目前に其れは、姿を現すだろう)。
■メイラ・ダンタリオ > 連れて出歩く
遊びに出かける
二人の間ではなかった時間だろう。
もっと鋭く 硬く 雄々しい時間ばかりだけだった分新鮮だったろう二人。
メイラとて聞かれれば、ボーイフレンドとデートしていたという内容に否定はしない。
たわいもない時間 そして、店を出てからは時折メイラは、周囲に気を配る時間。
濡れた石色のフードマントで全身を覆い直した姿は、黒い布も 赤い瞳も見えない。
せいぜいが口元のギザ歯程度だろう。 もっとも、それすらも医療術や薬術ギルドが用いるようなマスクなどで
特徴の一部を隠せてしまう。
ケダモノが擬態する。
おぞましい光景の中で、ふと店内に入る際のイーヴィアは、何気なく聞いてくる。
今回の困らせてやる案件はどの程度まで行くのか それに対し、肩をすくめてさらりと述べる。
「ハテグという境界線すら壊してしまわぬ程度で 且つこうして“おデート”した甲斐があった程度までですわ。」
曖昧なもの。しかし結果は欲しいそれ。
あの世界もまた、修羅の世界の巷の一つだろうと。
そして久しぶりの店内。
整った金属と木の匂い。
革も交じっているだろう 気温のせいか、一層匂いは強かった。
しかし、奥にいくにつれて以前の大脇差でも試した場所までくる。
とりあえず剣を抜く場所として提供したいのだろう。
大きさから飾られ場所で何かを話すよりは、余計なものがなくていい。
メイラは容易してくるというそれに準じ、待つこと少し。
フードを外した姿で、体を全体的にグッグッと解すように動かしているときだった。
何もせずジッと構えて待つというよりは、体が肉と酒を得て持て余しているかのよう。
やがて、布にくるまれた二つ 保管状態に問題はなかったと述べるイーヴィアが、ごとりごとりと二つを台の上にそのまま置いた。
イーヴィアならば軽々と、しかし大の男も女も、利点を見つけるには聊か難色を示すそれ。
馬と騎手の首を断てるような長さの剣なんて持つくらいなら、槍でも構えるのが普通だろう。
布と油紙で覆われた中を、ごわごわとしたものを剥いていきながら、メイラは二つともまずはめくりあげる。
「―――あら、中々渋いじゃありませんの。」
男前ですわね そう述べながらメイラは剣を眺めている。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 食事処(鍵付)」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。