2022/07/03 のログ
■メイラ・ダンタリオ > 店内は富裕地区にしては豪勢なテーブルと囲む椅子が並ぶレストランではない
料亭のように 仕切られた空間 の中で飲み食いできる場所を提供する。
これを、規律がまだいい富裕地区で試したところ、豪勢な一つの大部屋を必要とせず
又、規律のいい兵が見回りをする場所
秘密の会話 弱みを握れる睦み合い
色々な出来事が起こる場所だけに、時には秘密が売られることもあれど
それは隙を見せ続ける疎か者のみか
メイラの場合は、信用できる友人を招きたい
気兼ねなく飲みたいから一部屋を貸してほしいと店主と話をつけていた。
王以外は身内程度にしか興味を示さない、黒しか知らないような者の頼みを引き受け
いつもとは違う趣の身なりで現れたメイラは、赤髪の大男を連れる これがまた、意外な要素だっただろう。
料亭より少し手狭にしたくらいの洋風部屋の広さの中
まるでマフィアが落ち着いて食事をするための部屋のよう。
二人きりになれた後は、互いに向かい合って腰を下ろすだろうか。
フードマントを外しているメイラは、幾分か身分 外見をごまかす姿を取っている。
普段見ない姿は、別の場所で活かされるということだ。
装備すら身に着けていない 丸腰だ。 腰のナイフは常備品ということになる。
「やっと腰を落ち着けることができましたわね。
平民地区で飲み明かすのも悪くありませんけれど、今回ばかりは少し勝手が悪いので。」
そう言って、別々に入室したのではない
あらかじめ合流しておき、共々同じ部屋の中に入って椅子に腰を下ろしたメイラとイーヴィア
お互いは、約束を交わしておきながら長らく果たしていなかったことをしようと
とりあえずはと、互いに常温酒でも旨いものを頼めば、水桶でつけていたのだろう
常温よりもマシなそれになっている、白葡萄酒の上手くできたもの
「夏場ですと、こういう酒は気が利きますわね。」
互いに杯に注ぎながら、ゴトリとデカンタサイズのそれを水の張った器に沈めておく。
「では久しぶりの再会に。」
互いのテーブルは離れ切った貴族レベルのそれとは違う。
向かい合って杯を伸ばせば カチィーン と伸びのある杯の音を触れ合わせるそれだ。
■イーヴィア > (こう言った場所に連れて来られた事が無い訳では無い
だが、基本的には平民地区の居酒屋で酒と肉をかっ喰らう類の人種であれば
確かに、こんな場所へと招かれ、訪れる事は珍しいと言えば確かだろう
加えて、其れが共連れと言うのであれば、猶更だ。)
「―――――……全くだ、悪いな、中々声を掛けられなくてよう。
其れに、大層な場所まで用意して貰っちまって。」
(少しばかり、随分と間が空いて仕舞った事を詫びつつ
椅子へと腰掛け、普段であれば足を踏み入れる事も無いであろう
整えられた、綺麗な部屋の中を、少しばかり見回してから
注ぎ合ったグラスを掲げ、女へと視線を戻して
僅かに口端を吊り上げた後、グラスの淵を重ね合わせよう。)
「――――……嗚呼、久方ぶりの再会に。」
(――鳴り響く、澄んだ音色。
グラスの淵を唇に寄せ、酒精を景気良く流し込む様子は
酒と言うよりは水でも流し込んで居る様な勢いであったけれども
――流石に良い店なのだろう。 味も香りも格別だ。
立ち上り鼻に抜けて行く酒精の気配が、馬鹿みたいに度数の強いだけの酒とは違い
旨い、と言う感覚を確りと残してくれる様でも在った。)
「――――中々贅沢な酒だこった。
……そういや…、……相変わらず、派手に暴れてるみたいだな、色んなとこでよう。」
(グラスの中、僅かに残った酒精を揺らしつつ
顔を合わせぬ間にも、相手の噂が方々で耳に届くなぞと、笑って見せた
無論――確証の無い、噂でしかない話も多々在るが
そう言った話も、相手が様々に飛び回り、爪痕を残して居るからであろう
無論――王国にとっては、いい意味で、だ)。
■メイラ・ダンタリオ > イーヴィアはドワーフ その中でも異質な巨躯を持つ
故に酒は度数が高いほうが喜ぶし 肉はそれに合うものが好きなのも知っていた。
礼の品にと、蒸留酒を持ち込む幾度かのついでに、こういった食事の約束をしていた前回。
しかし互いになかなか、そう言った機会がなかった。
女と遊ぶ程度の暇はあれど、こうして伸々と羽を伸ばすには足りない。
片や見つける武器とあの鎧のおかげで。
片や、その鎧を含めいろいろな者に武具を提供し続けることで、話は広がり、忙しさも増す故。
「気にすることはありませんわ わたくしも声を掛けることが無かったんですもの。
こうして酒を飲んだり長時間かけて何かを依頼するということも、最近は無かったことですし。」
例えばお互いは、以前依頼し作成してもらった愛刀の補佐を務める大脇差
あれの造りは防御と貫きに長けており、鍔競りには向かない強度だった。
そのせいか、互いに次に出会うときはあの脇差の代わりを求める頃合い そう思っていたのだ。
それが、案外よく保っている。
メイラの用いるやり方が、旅人の用いる剣のように保てる振り方を行っていたというのもあるだろう。
酒に関しては、メイラよりもイーヴィアのほうが舌は肥えていそうだ。
好みの良し悪しはあれど、冷たくしているという付与は、思いのほかウケがよかったらしい。
メイラも、外の気温のせいか、飲み干してみせる。
「―――ふぅぅぅ、最初から強い酒より、潤せる酒の方が好いでしょうよ。」
それが作法と言うものですわ
夏の暑い時期の持て成しならば、とメイラは互いの酒に、持て成す側として酒を追加で注いで見せる。
そして暴れている噂には、ドヤることもない。
ギザ歯の笑みを浮かべて、デカンタを再び下ろす。
「タナール ゾス ハテグ ―――そしてアスピダ。」
空位の王に捧げるにしては、大それた どの戦場であろうとも拒まない。
何か調子付けば、ダンタリオが それと似たような何かが いずれ来る。
そう思わせるほどの四方八方だ。
「全く 忌々しい現状には、相手に忌々しいと思わせるあの鎧があればこそですわね。」
こちらだけ苦い汁を舐める顔をさせてなるものかと
メイラは、跨る愛馬も 手にする獲物も、奇々怪々怖々だ。
しかし鎧だけは、あれただ一つ。
「噂とやらには、黒い鎧の話がいくつ混じっていたんですの?」
クスクスと笑って、互いがこうして親密になった切っ掛けの鎧の話で幾分か盛り上がる。
何せメンテナンスを任せに持ち込むことも今だ無いほどなのだ。
話を通すくらいでしか語れないものだろう。
そうして、続いてそのまま鳥料理がいくつも出てくる。
皮も肉も、脂も内臓も。
清流根のすり下ろした緑色のホイップや塩につけて、黒に銀飾りの箸で食べ始めながら。
途中から白麦を醸した上澄み酒と蒸留酒にシフトする。
片方は水桶に漬け、片方は常温だ。
冷たいも、灼けつくのも好みで飲めばいいというだけのことである。
「(もぐもぐ んぐっ) わたくしの料理に、草などいりませんわ。
イーヴィアとは食の好みがまだ似通るから誘いやすいですこと。」
そう言って、今夜は鳥料理を中心に楽しみだす。
カリッと焼けた皮 柔らかい腿 味の濃い手羽 内臓と肉を叩いてから焼き上げ、卵黄と絡めさせたもの。
塩と辛い緑色の清流根
■イーヴィア > (自由人、と言う訳では無い。
片や騎士として貴族として、片や店を構える鍛冶師として
只管に、自らの仕事に没頭する日々でも或る
仕事や依頼であれば、少々強引にでも予定を合わせたのだろうが
そうで無くば、中々日を合わせる事は難しかった
無論、其れはたがいにとって、良い事でも或る
だからこそ再び邂逅する今宵、互いに、胸を張ってまた顔を合わせる事が出来るのだ。)
「鎧に自動修復が付いてる以上、余程ヘマでもしなけりゃあ、俺の手入れも最低限で済むだろうしな。
便りが無いって事は、無事だって事でも在るんだ、そう言う意味じゃあ安心してたがね。」
(――戦場を駆け巡り、数多の敵を薙ぎ払う。
そんな相手であれば、もし自らの装備に不安が在れば、逐次報告を入れて来ただろう
其れほどに、意識が高いのだ。 準備や整備に僅かの妥協も赦さない
そう言う者だと判って居るからこそ、便りの無い事を便りと出来た。
無論、自らの造り出した武具に絶対の自信と信頼を持つ故でも或り
―――また、酒精を流し込む。
冷やしていたボトルを持ち上げ、再びグラスへと注ぐ相手に礼を向ければ
互いにまた酒精を掲げて、咽頭へと流し込む――遠慮など、欠片もあるまい。)
「――一時期よりも、状況で考えりゃ悪くなってやがる。
アスピダも、思った以上に堅固になってやがるらしいからな。
あそこまで行くと、其れこそ領と呼んでも差し支えなくなっちまってる。
……そりゃ、引く手数多にもならぁな。」
(戦士として、鍛冶師として、仕事が絶える事が無い
此れだけの戦場に囲まれて居れば、そうもなると言う物だ
特にアスピダと言う、新たな戦火の存在は、王国にとっても頭の痛い問題だろう
何せ流通の要所を脅かされて居るのだ、九頭竜山脈方面に関わる者は連中に対して
凡そ須らく苦虫を噛み潰した顔をして居るに違いない
――だが、其の中でも状況が、好転こそせずとも現状を維持出来て居るのは
間違いなく、この相手の大暴れが、一定の抑止力として働いているからであろう
ダンタリオと言う、王国の中でも特異な血脈は、其の誰もが一種の切り札で
其の中でも、戦果、見目、共に目を引くであろう相手の存在は
良くも悪くも、畏怖の象徴として、市井に根付き始めている様に感じられた。)
「……死神だの、新型の魔導兵器だの言われて、仕舞いにゃ魔王だのとよ。
魔王がこっち側に居たら色々不味いだろうってのに、遠慮がないこってな。」
(普通に、当人は兎も角として、風紀的に怒られそうな言われ方
当人の戦いぶりや活躍に、其の漆黒の鎧の印象が強いからこそ
黒を想起しやすい単語ばかりが並ぶ事となって居るのだろう
王都側に魔王とはまた、罰当たりも良い言い草では在るが、兎も角
あくまで、からかいと称賛をこめて、そんな軽口を向けながら
テーブルに並び始める肉料理に、順次フォークを伸ばすのだ。
好き嫌いが多い訳では無いが、矢張り肉料理を好むのだろう
殆ど緑色の存在しないコース料理に、当然ながらドワーフも大満足だ
相手も相手で互いの食べる量を見越して居たのだろう、きっと
空になって行く速度と皿の量は、それなりに、尋常では無い筈だ。)
「肉と酒、以上! って感じだからな、お互い様によう。
しかし美味いなこの鳥、なんだ、塩でも違うのか?」
(流石高級店。 と言った所か、感心する位に美味しい)。
■メイラ・ダンタリオ > メイラは、己の言われ方に何一つ意味を見出さない。
誉も 名声も 金も 地位も 後ろについて回るもの。
狂気と忠義と力 それが結びついた結果 死んだ英雄だけが良き英雄とはならず。
恐れられる者を失うことは成らず。
ギリギリの線を言っている。
肥えた豚貴族が勝手に手打ちにも毒にも浴びせないのは、後から強い毒を呷る羽目になると知れているせい。
イーヴィアの 黒い何か 死神 魔王 いろいろな呼び方には
「―――ハッ。」
気持ちよく笑って見せた。
何のことはない。
その呼ばれ方 どこが汚いものかと。
その呼ばれ方 ダンタリオ のような、混ざり物の成れの果ての極みを目指す者にとって
全く以てその通りだった。
「地獄に何れ参上する際、我が王に好い土産話ができましたわ。
あの御方は、わたくしを大義だったと言ってくださるのならば
―――嗚呼、嗚呼、それはたまりませんわ。」
言われ方よりも、その言われ方で王はお喜び頂けるだろうと。
死神 魔王ですら従えた王であると、そう言わしめるのだから。
戦狂いの一人など、然も当然と言わんばかりの表情
赤い瞳とギザ歯は、どこまでも澄み切って狂う。
「であるならば、貴方は魔王の鎧の製作者ですわね。」
吟遊詩人が貴方の歌を作るかもしれませんわよ?
そんな風にたわいもない会話を続けていくのだ。
どの時代でも、ドワーフが交える昔話は多くある。
勇ましい斧を振るい、逞しい剣を打つ。
鉄と斧の代表なのだから。
そんな風に互いに、久しぶりの会話。
楽し気で、愉快で、障るところは何もない。
鳥で攻めた料理も、気に入った様子だった。
今の時期 塩と脂の混じり合うそれは酒を欲しがり
緑根をすり下ろした辛みが舌に来る。
「野鳥や刈り取った獣の肉は、得てして村や狩猟者からすれば収入。
肉を食べたがる者へと売られるものとすれば、始めからそれ用に育てた家畜類ならやわらかく脂も甘い。」
金が掛かって当然ですわね、と此処で振る舞われる鳥がどういったものか説いた。
粗末な餌と粗末な環境ならば、こうもいかないだろう。
村で冬に備えて置く牛や豚とは違うのだ。
そのせいか、互いに肉の消える量 酒の消える量は早い。
約束に合わせて喉も腹も乾いていたのだろうと。
追加の酒も惜しみなく出させた。
呼び鈴で適度に誰かが訪れれば、こうして酒も追加される。
ドワーフの酒を受け入れる量は、水同然。
「しかし好く飲みますわね。
ガルガンチュア(巨人の火酒)や蛇酒(精力増強)に比べれば、喉を通しやすいのも頷けるけれど。」
互いに蒸留酒の常温はイーヴィアが、上澄み酒の水温はメイラがやや減らしているか。
互いに深く酔っぱらうこともないのは、完全に緩み切っているわけではないそれや、体の強さに拠るものかもしれない。
メイラが、味の濃い手羽を折って食み、水の張ったボウルに浸す白布で清めた後。
「そういえばイーヴィア。
この後、貴方のお店に寄ろうと思ってますわ。」
制作依頼かと言われると、そうではない。
魔剣妖刀のような類が欲しいわけでは無く、時間もかかることはないという。
「貴方の打った剣を二振り、譲っていただきたいんですの。」
それは最低限、イーヴィア・ヴァルケスが打った剣でなければダメだという言い方である。
■イーヴィア > (笑い飛ばした。
自らの言われようも、周囲の有象無象の言葉では何ら届かない
それ位の豪胆さが無ければ、こうは在れないのだろう
畏怖とは、崇拝に近しい感情だ。 其の力を認めるが故に恐れ敬う
なれば、様々な其の呼び名を、賛辞として受け止めるのは当然か
良いでは無いか。 この国は、魔王によって護られて居る、なぞと言うのも。)
「――忠義心、此処に極まれり、か。
御前さんほど、忠義を貫いている奴を他にゃ知らんぜ。
まぁ、そんな奴さんの仕事に関われたんだ、有難いね。」
(歌なんざ歌われてもくすぐったくなっちまう、と
吟遊詩人の歌に関しては、笑いながら肩を竦めて見せるけれども
相手の纏う鎧を、武具を、己が作品で彩れたのは、鍛冶屋冥利だ
己が目に狂いは無かった。 そして、己が武具にも。
真の強者たる存在に、自らの造った武具を託す――ドワーフとして
其れこそが最大級の名誉に他ならないのだから。
夏場、鉄火場にて汗に塗れた身体には、濃すぎる位の塩分でもちょうど良い
この料亭で使われる素材がどのように仕入れられたか
素材が、どの様に管理されて居たかを聞きながら
肉と薬味を同時に合わせ、口の中へと放り込み
舌の上に、ぴりりとした辛みが広がった、其の折に、酒精を煽り。)
「――――ッ ……は…度が強くなくても、この飲みかたじゃあ良い刺激だぜ。
旨い飯にうまい酒、何の文句も無い夜ってもんだ。」
(相手が誘い、相手が店を選び、己は招かれただけと言う体たらくだが
――遠慮なく、酒も肉も煽り喰らうのは。
きっと、この時間が、其れだけでは終わらぬと、予感していたからやも知れない。
この後の話――其れを聞けば、グラスを煽る其の途中で、片眉が僅かに跳ね上がった
今までとは異なり、具体的な注文依頼では無いらしき。
されど、態々己が店を選んだ、其の理由は。)
「――――――……良いぜ、だが、一応用途を聞いて置こうか。
喋れないなら構わない、無理強いはしないからな。」
(二振りの剣。 店先に、通常品として展示して居る物であれば、直ぐにでも渡せるだろう
だが、其れでは己が意味は無い。 相手が、何を目的として居るのかを問いながら
――其れが、態々個室を選んだ理由であろうと、そう問いかけよう)。
■メイラ・ダンタリオ > 所詮 侍 も 騎士 も どれも自己満足の果てのようなもの。
慈悲も救いも 怒りも嘆きも 全て己の中で自己完結させてしまう。
王が止めろと言わなければ、最早止めぬ存在。
そして王はもう 座 にはいない。
国へ捧げ続け 国に尽くし続ける姿であったとしても、その在り方は狂い切った戦士そのもの
そしてその狂い切った相手に、全力で仕事ができて満足だと
後の語り部よりも今の行いの結果に、イーヴィアは満足していた。
店を商う者としてみれば、質も実も採れるあり方ができているというのに
歌をくすぐったいといって遠ざける。
しかし笑うそれは、悪くはないという笑みだった。
酒と肉があらかた腹を満たし、乾きを潤した後
眉を一度跳ねて反応を見せたイーヴィアに対し、メイラは問われた。
次いで買いなだけなのかと なら店に訪れて買っていけばいいだけではないかと。
メイラは、そうではないと言って杯の中身で舌を浸し、動きをよくする。
「―――シェンヤンに赴きますわ。
メイラとしてでもダンタリオとしてでもなく。
唯の遊歴や傭兵同然の身として。」
今の身なりはそれの慣らしですわ、と
普段のロングスカートとは違う。
ランクを二つ三つ落とした造りの黒革と黒生地の身なり。
シェンヤンに赴くから、まっさらな剣が必要だと述べた。
「黒真銀の鎧も、愛刀も、巨剣擬きも持ち込めない。
欲しいのは“真面目”な凶器ではなく、わたくしに仕える“気概”のある剣。」
鍛冶の中で、名剣を打つ者は、ただ分厚いだけの剣を 剣の形をした槌 もしくは 鈍ら鈍器 などと呼ぶ
認められる技術がない代わりに補強肉付けされただけの代物だと述べる。
メイラは、鈍らでいい 折れぬ曲がらぬ何の変哲もない見た目の剣を欲して、イーヴィアに尋ねていた。
己が買うといっても、 イーヴィア がこれならその気概があるという剣でなければいけなかったと話す。
「斬馬剣と、片手両手剣(バスタードソード)をわたくしは欲しますわ。」
グレートソードのような身幅ではなく、馬と騎手の首に届かせる丈を持つ 特別なこともない剣が欲しい。
質実なだけで、雅なものなどいらないと述べている。
「その類の中で、今の貴方が 丈夫で気概のある剣 手元にお有り?」
イーヴィアに対し、鎧を頼むことはあれど武器を頼むことは滅多にない。
手元にある耐えうる武器が有ったこともそれながら、なんの歴もない剣を欲するが故だった。
「如何?」
メイラは、商品の中で赴く為の武具があるかと再度聞く。
■メイラ・ダンタリオ > 【後日継続します】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 食事処」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 食事処」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 食事処(鍵付)」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 食事処(鍵付)」にイーヴィアさんが現れました。
■イーヴィア > (鍛冶師として、評価される事、名声を得る事
それらは決して無視出来ぬ目標なのは間違いない
だが、何だって良い訳では無い。 その名声は、自らの腕のみで勝ち取るべき物
故に、物の価値を何ら分かって居ない者からの評価では満足し得ぬ
真に、理解して居る者からの評価こそが、己が糧となるのだ
別に歌われたい訳では無い、と、笑って肩を竦めながら
グラスの酒精を再び煽り
――そして、次の瞬間には。 その目は再び、鍛冶師の其れへと戻るのだ。)
「―――今度は間者にでもなる積りかい?
それとも、休暇ついでに修行の旅にでも…、……なんてな。」
(――ダンタリオとしてではない。 騎士と言う肩書も無い。
ただの旅する身として赴く場所がシェンヤンだと言うのなら
果たして、その目的はと、応えてくれるかは分からないまでも、問い返す。
ならば確かに、続いた己への依頼にも合点がいくと言う物だ
身元が割れる、余りにも名の知れ過ぎた既存の獲物は持ち込めぬ
名も無き傭兵として、唯それにふさわしい獲物が欲しいと、そう望まれるなら
相手の瞳を真っ直ぐに見つめ、其れから、ふむ、と顎先に指をあてる
店の中、全て把握している現在の商品を思い返しながら
――少しばかり時間を置いて。)
「―――――手入れは自分で出来るかい?」
(――一つだけ。 其れだけを問うて置きながら、相手の前に人差し指を立てて見せ。)
「―――……売りもんじゃない。 昔造って、需要もねーから倉庫に寝かせて或るのが幾つか。
頑丈に作りすぎて、"ちょいと"重くてな。 ……だが、アンタなら問題無く揮えるだろうさ。」
(――懐かしい物を思い出したと、口端を吊り上げた。
かつて、自らの探求と研鑽の為に、試しで作った代物
飾りも無く、重く、武骨に過ぎる、剣の形をした物
普通であれば実用に等なるまい、だが、今相手が告げた用途であるなら話は別だ
さて――相手は、その話を聞いて、興味を持つか、否か)。