2020/05/24 のログ
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」にリスさんが現れました。
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」にナインさんが現れました。
リス > 「ふふ、ありがとうございます、ええ。ええ。
 お仕事柄そういう事に関しては仕様がないと思いますわ、それに、トゥルネソル自体、魔導の兵器とは言いませんが、武器や防具などの取り扱いは在ります。
 そう言った面であれば、お力にはなれますわ。」

 そうは言いつつもさすがに―――魔導兵器を相手に、剣とか槍とかがどこまで効果があるか、無いに等しいと思う。
 口で、そうは言いつつも、国に住まう人になる、恐らく何時かは避けられえぬ時が出てくるという予感もある、その時に立ってしまったとき、自分はどうすれば、良いのだろう。
 言葉を翻し、参加するべきか。それとも、安住の地を求め、去るのか。 今はまだ、答えが出せない。
 目の前の貴族に、師でもある、第二師団の副団長に、母親である竜に、守られているだけの、ひよっこなのだから。
 友のために、一時の感情のために、竜という暴力を、発揮するべきなのかどうか。

「皆が、平和に、使える道具であればいいのですが、その方が売る方としても、にこにこで売れますのに。」

 技術は平和のためだけではない。作るためには、お金が必要であることもまた真であり、お金を稼ぐ早い道に軍事というのは、少女でもわかる理屈。
 戦争をして相手からお金を巻き上げるや、技術を売ってそれをお金にするなど―――その結果が、今の戦争状態ともいえる。
 そして、戦争をしていると怪我をするから薬が求められて、人が求められて、悲しくも経済が回ってしまう。
 考えすぎると、悲しくなってくるので、この話題は、やめましょう、と息を一つ。

「正直に言って、私にはもったいない人、ですわ。黒いダイヤのような宝石のような方。
 快活で、元気で、折れず……凄く魅力的な強い人。
 娶れたのが、本当に幸運ですわ、絶対に離したくはない人。

 ―――冒険者だから、いつでも冒険に出てて、寂しくは思いますが。」

 お酒を一口、彼女に関しても感想を一つ零しながらも、最後の最後に出てしまうのは、一抹の寂しさ。
 冒険者であり、彼女は忙しい人だ、待つと言った、誓った、しかし―――寂しいと思うのはやはり、うそ偽りではなく、気の置ける友人だからこそ、酒の席で、ポロリとこぼれてしまう本心。
 もっと愛してほしい、相手してほしい、と。欲深く思うものだった。

「あの子は、まず、子供ですわ。だから、躊躇などはしない、大人の理屈など、気にしない。
 そして、それを強制するために、とても素晴らしい方を家庭教師につけましたが―――ふふ。」

 忍者として修業して、もっとえげつなくなりましたわ、と視線を逸らす。
 現に、いろいろやらかしてる、というレベルでもあるのだ、一度、トゥルネソルの名代として謝罪に出かけた事さえあるぐらいに。
 味方にすれば面倒くさく、敵にすれば、超面倒くさい、それが、あの小娘だと少女は思う。
 今度シッカリお仕置きしてもらいましょう、と、自分よりも懐いている先生にしてもらった方がいいし、と。

「―――確かに、拝領いたしました。
 では、引き換えの領収証となります、これで、彼女は、貴女の所有物ですわ。
 この後、連れて帰りますか?」

 彼女の手から渡される小切手を確認し、少女もまた、領収書を取り出して、受け取った旨を書き記し、彼女へと。
 これで、売買は終わり、彼女のもとに正式に護衛としての奴隷が、配備される事となる。

「とはいえ、そうですわね……装備は如何いたしましょう?
 彼女には身銭がないので、装備品は今身に纏っているもののみとなります。
 ご入用でしたら、用立てておきますが。」

 ナインの元に行くには奴隷の服のままではさすがに不味かろう。
 そして、直ぐに護衛に入るならば、それ用に何かしら準備しておく必要も。
 少女は首をコトンとかしげて問いかける

ナイン >  ――――そぅ、だな。正直を言えば…貴女達には。
 血を見るような事の無い、まっとうな生業だけで生きていける、そんな国で。生きて欲しいとは思う。
 …其処迄辿り着くのが、人間という生き物にとっては。とてつもなく難しく、酷く時間が掛かってしまう――のだけど。

 ふふ、あぁ。実際今日もこうして。……身を護る為に、と。貴女に頼んでいるのだし、な?

(これは誇張でなく、素直な想い。
彼女のような者達や。以前出会った姫君のような、平和を望む者達。
彼等の主張が受け容れられるような、下地が。未だ此の国には育っていない、と思う。
否、王国だけではない。恐らくは他の国々も――人という種が生きる多くの場所が、同様だろう。
それこそ、ドラゴン達のような、圧倒的な個たり得ない…脆弱な生物は。生き延びる為、争わざるを得ないのだ。
やむなき生存競争を、どれだけ…マシに出来るか。恐らくはそれが。国という群を率いるべき、己等の義務。
果たすべき自責の為に、他者に頼らざるを得ないのは。さて、人という生き物の、長所でも短所でも有るか。
少なくとも。彼女に助力を請うのは、つい…申し訳なさよりも、有り難さが勝ってしまう。
これも亦、彼女と繋がる手段の一つ。そう考えてしまうから。

此処迄、と。彼女が話題の転換を望むなら。軽く頷き、其処迄で言葉は押し留め…)

 其れ程に大切な。…羨ましいな。素直に、其れだけの想いを口に出来るのは。
 …仕方のない事、なのだろう?屹度同じ程に大きな想いを、奥方も抱いていて。
 だからこそその為に、力を振るい続ける…のだろうから。

 …解っていても、寂しい、というのは。当たり前の感情だとも思うけれど。

(侭成らない物なのだろう。己が先程思ったのが、彼女等の為、国を護る事であり。その為に戦も厭わないのなら。
奥方も亦妻たる彼女や、娘達の為。その剣を振るうのが、果たすべき義務なのだろう。
つくづく。人であれ、そうでなかれ、課された義務に向き合うのは。難しいものだ。
屹度、それを彼女は解っていて、けれども尚。寂しいものは寂しいという、極々自然な感情を口にする。
口に出来る、その自由を羨むべきか。或いは…己に心を明かしてくれる、此の距離感を。慈しむべきか。
……ほんの少しだけ。寂しさに付け込みたがるかのような、己を自覚して。苦笑を浮かべ、苦い物を酒杯と共に飲み込んで。)

 師匠、だったか。あぁ、其方にもお会いしたよ。先日は大きな働きをしたそうで。
 …良くも悪くも、子供。それは仕方がないというか、当たり前だと思うよ。…誰だって。
 其処から、痛い思いをして。手を出すのが危ない事柄を、思い知っていくのだし。

(いや、あの少女だと、本当に痛がるのだろうか。大概の事が平気で…だから、えげつなさ全開なのではないか。
ふとそんな風に考えてしまいもするのだが…其処は、きっと。今後教わる事次第、なのだろう。
終戦の英雄が家庭教師であるのなら…大丈夫だろう、うん。そう思う事にする。)

「―――確かに、拝領いたしました。
 では、引き換えの領収証となります、これで、彼女は、貴女の所有物ですわ。
 この後、連れて帰りますか?」

 彼女の手から渡される小切手を確認し、少女もまた、領収書を取り出して、受け取った旨を書き記し、彼女へと。
 これで、売買は終わり、彼女のもとに正式に護衛としての奴隷が、配備される事となる。

「とはいえ、そうですわね……装備は如何いたしましょう?
 彼女には身銭がないので、装備品は今身に纏っているもののみとなります。
 ご入用でしたら、用立てておきますが。」

 ナインの元に行くには奴隷の服のままではさすがに不味かろう。
 そして、直ぐに護衛に入るならば、それ用に何かしら準備しておく必要も。
 少女は首をコトンとかしげて問いかける (05/24-21:41:37)

 …よ、し。それではやっと…一息だ。ぁは、漸く夕食にありつけそう、だな?

 ふむ……勿論そのつもりではある、けれど。今から可能なら任せても?
 拳闘士――という事は徒手空拳で、それこそ、剣だの槍だのは要らないのかもしれないけれど。
 必要な物、有った方が…護衛に役立つ物が有るのなら。糸目は付けないから全て、揃えて欲しい。

(領収書を仕舞い込めば。もう一度、画面――其処に映る元姫へと目を向けた。
購入した、所有する事となった。となれば。其処には雇用主として最大限の権利と…其れと同等の義務が生じるのだ。
己が生命を護る為でもあり、当人を無駄死にさせない為でもあり。

彼女の話運びは的確で。己の応えも淀みなく。この分なら食前酒が終わり、本格的な料理が届く迄に。商談を纏められるだろうか。)

リス > 「素敵な、とても素敵なご提案―――でも、ダメ、ですわ?
 私は、この国で生まれて、この国で生きています、そういう意味では、この国に染まりきっていますから。
 急にそんな綺麗なところに行ってしまったらきっと、其処を汚すだけ汚して蹴り出されてしまいますもの。

 時間がかかろうとも、綺麗になるなら、ええ、ええ。私は見ていますわ?残念ながら、人よりは長く生きてしまいますので。

 ご利用、ありがとうございます。」

 そう、綺麗な場所に住むには、少女は、綺麗ではいられない。綺麗に見えても、この国では、という意味であり、ほかの国でいえば劇物であることは間違いない。
 彼女の感情は言葉はうれしいが、だからこそ、少女は否と答える。此処にいることを望むのだ。
 あともう一つ、国民なんだから、仲間外れにしないでよね、という意味も込めて見せようか、彼女が国の頭脳として先導するならば。
 少女は物流―――血として、国の営みにかかわる場所なのだ、とも。そんなたいそうな思考はしてないけれど。
 それと、責務が大きければ大きいほど、それを細分化し、適度に分配する必要がある、他者に頼るのは、その人を信頼できるという誉れでもあろう、信頼できる、任せられる人材を持っている、という意味で。

「あら、嫁ですもの、べたぼれ、ですわ?素直に、言葉を放てないのは―――ええ、ええ。残念なことにもなりますもの。
 何時でも、何時も、言葉に、心に、正直に本気に欲望に忠実に。
 生きるための、大事なことだと思ってますから。

 当たり前のことだからこそ、感じて、なくしたいとも思うモノ、ですから。」

 寂しいと思う事は、それだけ思っているという事であり、逆に、満たされていないという事でもある。
 誰が悪いという事でもなかろう、高名な冒険者や、英雄であれば引っ張りだこだし、そもそも冒険者という時点で、自分の冒険を大事する人。
 いない人を嘆くのは―――それこそ、無様というべきか、判っていて、結んだのだから、絆を。
 はふ、と酒精混じると息、愚痴を聞かせてしまったと、小さく苦く笑って見せるのは、彼女と同じタイミングか。

「―――大きな、働き?ふふ、さすが、笠木様ですわ、妹を預けておくには、とても、とても―――素晴らしい人。
 そういえば、あの子が、泣かされて帰って来た時にはぎょっとしましたが、そういう事ができる御仁、笠木様以外にもいたのですわ、それはそれで驚きでした。」

 痛みを知らないから、痛みを与えることに躊躇がない、この度は、彼女の政敵といういい方向に向かったが、そうでなければ大惨事もあったやも知れぬ。
 その辺りは、師匠が、何とか教えてくれるだろう、家でも、教えることはするが、彼に教わった方が素直に聞く気がする。それは、姉としてちょっと歯がゆいけれども、我慢するべきところ。

「ずいぶん話しているようで、その実、さほど時間は経っておりませんものね。
 まずは、オードブルから、ですわ?先日お話したとおりに山の幸満載の。」

 食事に関して意識を向ければ、私もお腹がすきましたわ、と軽くお腹をなでて笑う。
 すぐに来るだろうから、と、扉の方に視線を。

「では、幾つか案を。
 状況によって、とは思いますが、そうですわね、……傍仕えとしておくのであれば、ナイン様のお宅のメイド様の服装のままに、材質を金属の糸で編んだものにするというモノ。これは、一番目立ちにくく、防御力が上がりますわ、ただ、手甲などがないので、攻撃力には欠けます。
 見た目が必要であれば、拳闘士を誇張した、剣闘士用の鎧や、手甲など。
 此方は、見た目が見た目になりますので、威嚇されるように思われてしまうでしょう、攻撃力防御力は一番かと。

 他には―――服の中に鉄板などを仕込む方法ですが、一番安価です、ただ、服などのバランスが崩れてしまいましょう。防御力はそれなりに上がると思います。

 最後に、本人の才覚に任せ、普通の服を用意する、というのも。」

 糸目はつかないと言われても、彼女の求めるものは、金よりも恐らく別の所にある、威嚇なのか、隠匿なのか。
 それらを確認するために、提案をいくつか贈るのだった。

ナイン >  そう、在らねばならないと。…そう変わらなければならないと。解っているからこそさ。
 嗚呼本当に、時間が掛かる。それこそ、私一人が生きている間では…到底足りないだろう程に。

 貴女が留まり、見守ってくれるというのなら――なるたけ長く。その為に、生きようと思えるけれど…な?

(そう、散々義務に拘る少女だが。裏返しの権利についても、本当は欲しいのだ。過剰ではなく、正当な権利であるのなら。
…彼女が。彼女のような者達が、其処に居る。己の手の届く所に。
それは屹度己にとって。義務に対する、立派な褒美になってくれると思う。
だとすれば、尚更。彼女等がより生き易い国へと、此の王国を立て直さなくてはいけない訳だ。
責任重大。改めて実感してしまいつつも。悪い気がしないのも当然だろう。
頼られるというのは、信を向けられる事は。それはそれは…喜ばしく思えるのだから。
精々頭として。知恵を捻り続ける事としよう。幸い、思考に必須の栄養は。優秀な血流が確約してくれるのだ。
人よりも永く、脈々と息づいていくのだろう、彼女という紅い血に。改めて、そっと頷いてみせただろうか。)

 私はどうしても、柵に囚われざるを得ないから。…素直に誰かを愛せる貴女が。こういう時、羨ましい。

 …ぁは、良いんじゃないか?それだけ想いが強いからこそ、愚痴になるという物なんだろう?
 だったら、私が。聞き手になる位、幾らでもしてみせるとも。 その位なら、ただの私にだって出来る…と、思うから。

(貴族として出来る事、するべき事を。彼女一人の為――に限定してしまうのは許されない。
どれだけ仲が深まろうとも、特別な一個人ではない、「国民」の一人として、自省せねばならない線引きが有る。
だから彼女の想いに触れるのは。貴族としてではなく、一人の少女として。
ナインという只の小娘で良ければ、受け止めてみせようと。苦笑を引っ込め、片目を瞑ってみせる。
――踏み込みきれない距離という物が。また少し、縮まりますように。)

 …それはそれは。想像がつかないな。
 あの子を泣かせられるような……しかも、同種の存在以外で、なんだろう?
 何かと人外めいた強者が溢れている国ではあるけれど、さて…本当に、誰なのやら。

(思わず、目を丸くした。
それこそ戦功を立てた忍びの彼然り、それが出来る者は、幾人も存在するのかもしれないが。
矢張り実際話に聞いてしまうと。一般人でしかない己の想像を超えている。
まして其れを、竜姫としての彼女が把握していないのならば…竜の力で竜を征した、という訳でもない筈で。

実は、己も出会った事の有る人間が、その張本人だという事は。知らぬ存ぜぬ。
何れにせよ、そういう存在が、ちょくちょく居るというのなら。…それこそ年月が掛かるにしろ、心配はしなくても良い…のだろうかと。

さて。時間が経っていないとはいえ、其処迄長々、客を待たせる料理店ではないだろう。
あまりに客が溢れ過ぎて、一件一件を処理しきれない、そんな場所ではないのだから。
彼女の視線を追い掛け扉を見遣り。直ぐに、亦前へと向き直れば。残る話の纏めに入る。)

 ………身辺を任せる以上は。それこそ、傍仕えで在って欲しい。
 そういう意味では最初の案だな。侍女としか見えないのなら…懐刀である事を隠して、然るべき所迄着いて来て貰えるのだろうし。
 一番警戒すべきは、暗殺であって。…正々堂々、正面から敵と渡り合うような機会は。余程の事が無ければ有り得ない。
 示威的な抑止力としてなら兎も角、目に見えて歴とした戦備えは…多分。違う、かな。
 だから勿論、メイドとして怪しまれるような服装も、困ると言えば困る。

 …矢張り一つ目の案で、お願いするよ。必ずしも打撃力を求めはしない。護って欲しいのだから。

 嗚呼、それと、そういえば――。

(直ぐにプランが、それも複数挙げられる。それだけ彼女の頭が回り、亦用意出来る在庫も確信も有るという事か。
先ずは一通り最後迄聞いた後、一つ一つを思案して。…先ず、最も目的にそぐうであろう物を選んだ後。
一つに限らないと言うべきか、それこそ、糸目云々の続きだろうか。気になった点を問うてみる。)

 …未だ聞いていないのだけど、当人の――才覚とは、どのような?
 拳闘士である事は分かった。けれど、それなら二つ目の案で済む。態々後から付け足す話でもない…筈だ。
 徒手空拳だけではない、そう考えても良いのかな。

リス > 「御心配なさらず、だって―――だって、人は紡ぎ、生きていく種族でしょう?知識を、絆を、意志を。
 それらを紡いで、後世に残し、連綿と繋げて、生きてきているのですから。
 ナイン様一人では、決してないのですわ。

 ――ふふふ、それなら、ナイン様の事を安楽椅子で座りながら、帳簿を読みながら待っていますから。
 たくさん長生きして、良い世に、してくださいましね?」

 長く生きて、頑張って世界をよくしてくれるなら、安心して住める世界にしてくれるなら、待つ事は吝かではない、そもそも、人よりも長命の存在故に、彼女の頑張りを最後までちゃんと見ていられるのだ。
 それは、喜ばしいこと、と思う、彼女のおはようからお休みまで、自分の中にしまい込むことができるという事なのだから。
 だから、頑張ってほしい。頑張る彼女は、努力する彼女は、とても素敵だから。
 自分と一緒に、子供のような悪戯や悪巧みをするというのも又、素敵なのだけれども、楽しくて、うれしい時間。
 頭が大量に栄養を使うなら、ちゃんと糖分を与えないといけない、シュークリーム分が足りないといけない。生クリームの甘い甘いシュークリーム。
 一緒に食べると、きっとおいしいだろうなぁ、と。

「ナイン様、ナイン様。誰かを愛する事に、柵を設けてはいけませんわ。
 貴族の観衆とか、そういうのはおありと思いますが、愛するという事は、欲情するという事は、体が、本能が欲してるものですから。
 自分に良いものを、意識の外で見つけて求めている―――だから、愛するのです。

 ――あら、あら。でしたら。
 たっぷり聞いてもらいませんと、愛する分不満もいっぱい、だって、感情の裏表ですもの。」

 聞いてくれるなら、時間をかけてたっぷり食傷気味になるぐらいにちゃんとお話しして差し上げますわと、少女は目を輝かせよう。
 貴族の彼女が貴族という肩書を捨てて、小娘として聞いてくださるならば、その意志に応えなければ女が廃る。
 たっぷりねっとりしっかりどっぷり、話し込んであげましょう。後悔、させますわ、と。にこやかに、手加減という文字は、捨てました、今。

「それは、それは――――さすがに、妹のプライドのために、秘しておきましょう、知りたければ、直接聞いてくださいまし。
 あの、何も考えずに一日千里を走り回るあの子のこと捕まえてからになりますが。」

 目を丸くする相手、しかしその相手に関しては言葉を秘する。妹がかわいそうというのもある。妹も竜だプライドというものはあるのだし、師匠でいろいろ丸く削られているが、姉だとしても踏み込んでいけない部分もある。
 だから、直接聞いてくださいましね、と。知っていても教えない事にする。
 とはいえ、いつも年がら年中自由気ままに走って飛んで転がっている妹、捕まえるのはちょっと難しいかも、まあ、それも試練だと思うことに。

 そして、オードブルが運ばれる、会話の時間もあったので、それを見越した調理となる。
 話の区切りに合わせて、給仕がやってきて、ほかほかの温野菜を並べていく、美味しそうなオーロラソースを添えて。
 さあ、どうぞ召し上がりつつ聞いてくださいまし、と。少女は勧めた。

「―――商品説明が疎かでした、ええ。
 彼女は、拳闘士ですが……力が強いわけでも、鍛錬をずっとしていたわけではありません。
 もともとは、姫、だったのですから。
 最近は鍛錬をして力をつけてきていますし、先ほど見た通りの肉体ではございますが。
 彼女の真価は―――声を奪われてもなおまだ残る、魔術、ですわ。」

 オードブルの温野菜を、ナイフで切り分け、パクリ、とフォークで口元に運びながら答えるのだ。

「声を奪われも、心だけで使う魔法―――サイコキネシスという、魔法、彼女はその才が突出しているらしく。
 それを駆使して戦い、今まで生き残っております、それだけではという事で、肉体も鍛えております。
 思念系の魔法を特に。手を触れずものを移動させたり、転移の魔法さえ、使えます。」

 だからこそ、最初の提案でも在ったりする。
 商品説明が疎かになりましたし、服の素材は此方で持ちますわ、と笑いかける