2020/05/25 のログ
■ナイン > それをしっかり果たす為にも。…矢張り時間が必要なんだよ。
いや、どれだけ生きても、決して、時に満ち足りる事が無いからこそ――次に繋げる。継いでいく、訳だし。
…決して果たせない。けれど、過程その物に意味を持たせる。それが、人…だと。思ってくれれば良いよ。
……ぁ、は。大丈夫さ、それこそ、きちんと。誰かに繋げる時が来たのなら。
その時には…そうさな、縁側で一緒に、茶菓子でも味わってくれれば良い。
(ずっと待たせる。それはもう、決まり切っているとはいえ。
最期迄待たせた侭、何も無く、終わってしまっては。約束を破るような物。
今生に於いて、今から次への過程となる、その役目を果たし終えたなら。ちゃんと、改めて彼女と向き合おう。
そういう意味でもますます。長く生きねばならないし、途中で倒れる事も出来なさそうだ。
…それにしても。最近ついつい、菓子の話ばかりになってしまうのはどうしてやら。
東の甘い物が流行っているからか、偉い人達も甘味好きだと知ったからか。
否。甘い物を愛する事に。貴賤も無ければ理由も要らない。此の世の真理だとだけ思っておけば良い。
…其処に、己独りではなく。共に誰かが居るというのなら。より味わいは深くなるのだろうし。)
そうさな。解っているとも。…けれど、真実だけでは、正しいだけでは、世は回らない。解るだろう?
誰かが、そうならなければいけないのさ。――勿論。それを跳び越える為に、生き続けるとも言えるのだけど。
…っくく。本当に。あぁ本当に……そういうのは。羨ましい、なぁ。
(勿論解っているのだ。彼女の言う様に。思う様に。生きられたらどれだけ良いか。
けれど、この柵は。自ら望んで背負い込んだ物。果たさなければならない義務、生きる意味だと、そう決意して。
自ら選んだ物なのだから、投げ出す事はしないだろう…とは、いえ。
果たさなければいけないというのなら。それは即ち、果たす、という結果に向かっているという事だ。
先程も言った通り。いつかの未来で、此の重石から、解放されますように。
だから今は。自由な彼女を羨む…というよりは。自身の代わりに、彼女の生き様を見守る事が。心の癒し。
愚痴であれ何であれ、己にとっては、快い物なのだから。存分に、とすら言ってみせようか。
…流石に。本当に存分、物理的に一晩中…となったり等すれば。力尽きかねないのだが。)
それは――……難しそうだな、うん。彼女の影を踏むどころか。私では、本物とそれ以外の区別も付けられないのだし。
いっそ、それこそ。甘い物で釣ってみたら…難しいかな、ぁ。
(女子なら誰でも釣れる筈だと、自信を持って言いたいのだが。
何分相手が常識をかっ飛ばし過ぎていて。人であるか竜であるか以前の問題として、不安。
何はともあれ、興味を満たしたいのなら。かなりの難問に挑戦せねばならないようだ。
…新たな護衛と入れ替わる前に、雇用主として命令すれば聞き出せるのに、等とは。思わないらしい。
さて。会話の緩急を察していたかのように。最初のオードブルが運ばれてくる。
甘めに仕立てられたグラッセを一つ、もう一つ。口へと運びながら。商談再開。)
――確か。魔力で以て、物理的な現象を引き起こす魔術…だった、かな。
聞き囓った知識だけだから、適切かは分からないけれど。
……それを潰す為に声を奪って、それでも、潰しきれなかったのか。それとも――いや。
(想像出来る事は多々有るが。首を振り、亦一口。敢えて再び、甘めの物を選ぶ辺り。苦い話になりかけた事を自覚して。
更に続く彼女の説明を聞けば。成る程、ますます。正体を隠して主を護るには、利点の多い力だと思う。
声無き魔術は、予備知識が無ければ解らないだろうし…転移はかなり魅力的だ。逃げるにも、駆けつけるにも。)
そうなると矢張り。目に見える武器防具は、今の所二の次――だな。
では改めて、鋼糸仕込みの衣装と…足元等の小物は、当人が扱い易い物や動き易い物を、好きに選ばせてやってくれ。
後はそうだな、仮にも貴族の従者だ――洒落っ気の有る装飾品の一つ位、合わせてやって欲しい。
…ほら、有っただろう?私にも選んでくれたじゃないか。
(片目を瞑る。…それは、今日身に着けている髪飾りではなく。
最初、彼女に依頼した…魔術の補助となる魔石を使った宝飾の事だ。
そういう物が有った方が、いざという時に助かるというのを。魔術の素人でしかない少女は、後日身を以て知った為に。)
■リス > 「人は本当に、強欲ですね。私も、その血を受けてはおりますけれど?」
結果だけではなくて、家庭にも意味を、そして、満足をせずに次に、次に、満ち足りることを望み、それを続けていく。
終わりをなくす人の業、強欲という言葉が一番当てはまると少女はくすくす笑う。
むろん、ちゃんと自分ものカテゴライズにはめ込んでいる、半分でも、人間なのだから、と。
「それはいいですわ、でも、待ち飽きてちょっかいをかけてしまいそうですわ、というか、掛けてしまいましょう。
余り待たせすぎるのも、不作法、ですよ?」
待つとは言った、何もしないとは言ってない。寂しくなったり退屈を感じたらちょっかいをかけにいこう、そのくらいは許してもらおうか。
お友達の頑張りを外からじっと指をくわえてみているだけというのも、おもしろくない。
それに、だ、ちょくちょく顔を出していれば、彼女の状況もその都度判ろう、それは、大事なことだと思う。
お菓子の話に関しては、リスもナインも年頃の乙女である、そういう話題になるのは必然というものだ、女の子は、その体の大半をお菓子で作り上げる、ともいうのだし。
話題のお菓子人気のお菓子、おいしいお菓子、ついついそちらに流れるのは、女の子の本能…!
「必要悪でしたかしら……?世界が世界に回るために最低限の悪を、懲らしめられる役割を。
ナイン様は、そちらでありたいと思っていらっしゃいますしね?
羨ましがるのではなく、悪であるなら、無理にでも手を伸ばして、掴んでしまえばいいのでは?」
こんな風に、としょうじょはしろいてをのばし、対面に座る彼女の、その白い手をそっと、触れて見せてから、きゅ、と指先をつかんで見せる。
竜も、大体の物語においては、悪の象徴である。唇を嬉しそうに釣り上げて、上目で見て見せる。
ちなみに。一晩なんて、生ぬるい愚痴を、お望みですか、と言わんばかり。
力尽きるなら、気力を回復させて、つき合せますよ、と、先ほど手加減を放り投げた少女は言うのだ。
「姉としての助言は―――ええ。餌付けはとても効果的ですわ?」
本能で生きる妹、野生。ご飯くれる、大好き。そんな単純さである。姉としては、悲しいが。
とはいえ、友達にそのくらいの助言は、ええ、ええ。いいでしょう。
お菓子一つでつられるのは確定的に明らかな模様。
もぐもぐもぐ、と、食事を続けながら、少女は言葉を、こくんと飲み干し、ワインで唇を湿らせる。
「ええ、ええ。魔力で、物理的な事象を起こす魔法のようです。
いろいろと、地味ですが応用が利く魔法のようですね、妹の話では。
―――畏まりました、鋼糸の素材や、足元はお任せくださいませ。
ナイン様のご自宅のメイドの服のデザインは後で鳥にお伺いいたします。
装飾品は―――ナイン様のものと同じデザインでよろしいでしょうか?」
メイドの装備品などに関しては、軽く問いかけていく。
大体は固まっているものの、彼女が買主になるのだから、その意向を汲んでおく必要があるから。
意図は伝わってるが、デザイン自体は同じ方がいいだろう、と、主従とわかりやすくするために
■ナイン > でなければ、こんな生き方も出来ないし、好きで罪業を背負い込むなどしないだろう?
…貴女だって。つくづく人の事を言えないじゃないか。
(そう、お互い、濃さこそ違えど人なのだから。欲求、欲望、それ等を以て生きている。
突き詰めれば散々語る愛ですら、矢張り欲望なのだから…悪い意味だけでなく。良い意味でも、生きる上で必要な物。
ぴ、と。行儀悪くフォークを立てて。お互い様である事を論う表情は。何時ものような悪い笑み。)
解っているとも。その時は存分に迎え撃つ――茶も、菓子も、それ以外も。あらゆる物を用意して。
…く、く。本当に、貴女と生きていく事は…宿題ばかりが増えていく、な。
(違いを埋める為ならば。距離を縮める為ならば。どれだけの努力や苦心を重ねても足りないし…その上で尚。
及ばないと諦める事をせず、尚、続けていく事になるだろう。それこそ、人という生き物の生き方として。
そんな深い意味合いだけではなく。実際に彼女の側からも、ちょくちょく、訪れてくれるのならば。それはとても有難い。
今日のように、しっかりと予約して、準備して、約束して…だけでは。どうしても息が詰まってしまうから。
いずれ彼女がやって来る、そのサプライズに。期待しておく事としておくか。
その時には、改めて。甘い物、美味しい物、可愛い物や綺麗な物。楽しい事、愉しい事――何処迄、話を広げられるだろうか。)
上と下。二つ揃わなければ、水も流れずに澱んでしまう。…夜が無ければ朝も無い、だろう?
けれど、憎まれ役も。慣れてくると存外愉しい物だというのは。貴女も知っていると思う…けれども、な?
――いいや。それだからこそ…夜闇の中に、月を抱く位には。何か一つ。見上げて、目指したい物を。…自分自身を見失わない為にも。きちんと据えておきたいのさ。
(彼女だって、悪い事には。ちょくちょく見に覚えが有る筈だと。実際、つい先日。そういう話をしたばかり。
伸ばされた手が己の掌を滑り、指先を握り込んでみせたなら。纏めて二人の手を上から。もう一方の手で撫でつつ。
…どうしても、上手い例えが見つからなかったから。伝わるのかは分からないが。
引きずり下ろしてしまっては意味が無い。同じ色に染めてしまっては、違いを慈しむ事が出来なくなる。
それ以上に――目指して、いつか、辿り着くという約束を。力尽くで引き寄せてしまうのは、ルール違反だろう。
堅苦しいそんな拘りこそが、己にとっては身分以上の柵なのだと、自覚してはいるのだが…これが己という人間だから仕方ない。
さて。何処迄も人間で在ろうとし、人間でしかない少女にとっては。数日間ぶっ続けの愚痴大会は、なかなかの苦行となりそうだが。
何だかんだで彼女が望むのなら、付き合ってみせる事だろう。手加減しないというのなら。本気で迎え撃たなければ、此亦失礼なのだから。
泊まり込みで、甘いお菓子もたんまりと用意して、と。女学生のお泊まり合宿じみて聞こえるが。それもそれで、愉しいのだろうと。)
菓子と。肉と。後は……うん。考えてみようか。
本契約に移ると、妹君は戻ってしまうのだろうけど――っぁは、それこそ、菓子を用意して待っているからと。伝えてくれるかな。
(振り回される事は確実だが、それ以上に、実際幾度も護られたのだ。
給料払ってお終い、ではなく。その後プライベートに関係を維持しても。誰も悪くは言わないだろう。
そもそも彼女の妹なのだ。はいさようならで終わらせる程、他人行儀で居たいとも思わない。
…やがて。前菜を食べ終え、次を待つ間。)
亦ドワーフの職人等が手を入れてくれるなら、品質は折り紙付き、だな。貴女に任せるのが良いのは、良く解っているよ。
服の方は此方の別宅に現物も、資料も有るから。早晩手渡せるとして。
――そうさな。あれと同じにしてくれるのが。一番良いと思う……よ。
(件の品は、グリューブルムの家紋をあしらっている。
元来別家の姫であったというメイドが、如何なる思いを抱くのかは…未だ解らないが。これはこれで歴とした、当人の為にもなる事なのだ。
…廃絶された姫君、奴隷に身を窶した彼女が。過去を知る者、そも彼女を貶めた者等に。此以上手を出される事が無いように。
明確な、貴族家の財産であり、他者の自由にして良い存在ではないのだと。主張する為の証ともなるのだから。)
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」からナインさんが去りました。
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」からリスさんが去りました。