2019/06/24 のログ
■スバル > 「ありがとう、パンドラ。
僕も、パンドラのことを支えたい……がんばる、よ。」
支えるのは一方的なものではないのだ。
自分が彼女を支え、彼女が自分を支える……そうやって、人は寄り添いあうのだ。
弱いからこそ、支え合うという考え方。
「ん……。」
切っ先が交差する、武器の種類は違うもので、レイピアと小太刀。
それぞれの特性が違う武器同士、ただ、今はお互いの武器が邪魔で攻撃をしづらい。
下手に動こうとしても、突きを行おうとも、払われればよけられてしまうだろう。
自分の周りを回り始める妖精。
彼女の声を聞きながら、少年は考える。動するべきか。
武器を盾にする……そして、その盾にしたまま、武器にする。
「………………うー……ん。」
武術というものをきちんと習っていない少年。
どうすればいいのだろう、武器を盾にする。
そこまではわかるのだけれども、その次が、上手く出てこないのだ。
■パンドラ > 「……。…………。そ、の。面と言われて、気づいた、けど。……。恥ずかしいね、これ。」
あなたを支える、と真面目に言うことが、である。
頬を赤らめ、少し視線を逸らして、もじもじしながら。
「……。単刀直入に言うの。答えは『突き』。」
そう言うと、ヒュンと少年の目の前へとレイピアを突き出し、眼前で寸止めしてみせる。
「……。中段の、盾としての構えを維持したままに攻撃できているのが、わかると思う。
……。威力も、剣技の中でおよそ最強の部類。急所に直撃すれば、最低でも戦闘不能は免れない。」
そう説明して、剣を戻した。
彼女の剣筋は流麗で、曇りと思えるものが見当たらない。
「……。もちろん、欠点がないわけじゃない。点による攻撃は、線による攻撃──斬撃よりも回避されやすい。
けれども、さっきも言ったようにスバルには時間がないの。だからわたしは、ただひたすら、突きを練習し続ける道を推奨する。」
■スバル > 「……あ、すごく、可愛い。」
もじもじし始める彼女、その様子に、少年は思わず見惚れてしまう。
人外の美貌の持ち主の可愛らしい姿に抗えるはずもなかったのだ。
思わず集中を途切れさせてしまう。
「っわ!?」
そんな所へ答えと同時の突きに少年は思わず尻餅を搗く。
驚いて、大げさに下がってしまったから、である。
「なるほど……喉を突いたり、目を突いたり……。
突きか……。」
戻す剣に乱れはなくて。
少年は尻餅をついたままに感心する。
そして立ち上がり、お尻を叩いて。
「……突き。」
少年は彼女を真似して突きを繰り出す。
へろへろっとした、それは、まだ剣を持つこと自体に慣れていない証拠で。
基礎も出来ていない、という状況であった。
■パンドラ > 「……。あ。」
そのつもりはなかったのだが、奇しくも隙を突くような形となってしまった……文字通りに。
慌てて手を差し出して、助け起こそうと。
「……。えっと、その。こほん。……。つまり、そういうこと。
……。…………。……………………。蚊のようによろめいた突きなの。」
やはりこれは、一つの技に専念させるのが正解だろうと感じた。
このままでは背負った刀が寧ろデッドウェイトにしかなっていない。
「……。まずは、体力をつけるの。走り込みとか、頑張れる?」
とにもかくにも、まずはスタミナだ。
武器に逆に振り回されていては話にならない。
■スバル > 「あは……。」
見惚れて驚かされて、コケるというすごく恥ずかしい状況。
少年は、上半分は髪の毛に隠れているが、顔中を赤くして、首元まで真っ赤であり、恥ずかしさを感じているのは間違いない。
助け起こしてくれる彼女の手を取って立ち上がっていた。
「……うん、今まではずっと弓の練習してたから。」
ボウガンの練習をずっとしていた。
その理由は体格などの理由であり、剣はサブウエポンとしての認識だった。
ある程度ボウガンを習熟してから、と考えていたのだった。
「うん、そのくらいなら大丈夫。」
彼女の言葉に、少年は頷く。
一応、少年は少年で訓練はしているのだ。
走ったりするのは、実は得意である。
……逃げたりするのは、とも言えるが。
■パンドラ > 「……。そんなに、顔を赤くしないで欲しいの。わたしが悪いのだから。」
つまりそれは、それだけ自分に見惚れてた、と無言のままに告げられているわけで。
こっちまで恥ずかしくて、耳の先が熱くなってきた。
「……。クロスボウの方が習熟は比較的必要ないの。構えて、狙って、引き金を引くだけだから。頻度を逆にした方がいい。」
そう助言して、剣をしまった。
出した時と同じように、どこへともなく消える。
「……。ああ、それで。……。わたしと交わる時も、あんなに体力が保っているの。」
ふふ、と悪戯っぽく笑う。
或いは、少しばかり淫靡に笑っているようにも見えるか。
「……。ねぇ。体力作りも兼ねて。……今日も、する?」
ひら、とボールガウンドレスを少しだけ、託し上げて、誘ってみよう。
■スバル > 「……そんなことないよ。
パンドラ、君が綺麗なのは、生まれつき、なんでしょう?
それを悪い、なんて言えないよ。」
生まれつきの容姿を悪いだのなんだのは、言うべきことではないのだと思う。
生まれは選べないし、綺麗なものは綺麗なのだから。
「うん。判った。」
助言、彼女は戦いに関しても詳しいのだ。
そういう彼女の言うことは素直に聞いたほうがいい、彼女は師であるのだと。
「うん、一応、隠れて物陰からクロスボウで狙撃とか、そういうことを考えてたから。
走り回ったり隠れたり、そう言う練習はしてたんだ。」
スタミナに関してはある程度何事でも必要だろう。
少年はそこだけは訓練していたのだ。
彼女の納得の声に、もっと頑張るよ、と言おうとして。
「……体力、つくの……?」
ごくり、とつばを飲む少年。
彼女の誘惑はとても魅惑的で……断るのは、悪い気も、するのだ。
「したい。」
少年は彼女に誘われるがままに、うなづいた。
■パンドラ > 「……。またそうやって、素面でそんなことを言う。妖精よりもタチが悪いの。」
せわしなく翅をパタパタと動かす。
言葉の上では不満そうに聞こえるかもしれないが、表情はテレテレしながら顔を赤くして、目線を泳がせていて。
「……。走り込みは、どんな運動でも基本になるの。その判断は、正解だと思う。
……。頑張って。わたしが助けられることなら、何でもするから。」
頑張れ、という声援も、この少年なら嫌味に感じず素直に糧にしてくれるだろう。
そういう人物なのだ、と妖精はもうわかっていた。
「……。ふふ。妖精は悪戯好きだから、たまに嘘もつくの。」
つまり、適当に言っただけであった。
でも、息抜きも必要なのは確かで。
「……。素直。えっちなスバルは大好き。」
ちゅ、と不意に唇を重ね合わせる。
一瞬触れただけの淡い口づけだったが、妖精には長い長い時間に感じられた。
「……。それじゃあ、誰にも見つからない場所で、ね?」
そう、物陰に移動することを促す。
今日の少年は、ただ訓練しただけの夜よりも数倍は披露する羽目になっただろうか。
ご案内:「訓練所」からパンドラさんが去りました。
ご案内:「訓練所」からスバルさんが去りました。