2018/12/07 のログ
■リス > 「あー……。
あの子、火が付いたようで、『まだまだいくよーっ』て言ってたわ。
適度な所で、止めておいてあげてね?」
毎日家から、森に向かい、せっせと設置しているらしい。
ドリアードに許可をもらってるし、レイカに許可をもらっているからと張り切っているらしい。
何回も使えるわなとか、一個引っかかると、三個の罠が起動するとか、足止めの罠らしいのだけれども。
そのうち、森中を罠だらけにするかもしれない。
適度なところで止めてあげてね、と。
なんせ、見に行けないから止めようがないのだ、リスには。
「じゃあ、改めて冬のあいだは、里に竜胆を行かせるわ。
いつも暇してるし、ちょうどいいから、なにか仕事任せてあげて。
ふふ、伝えておくから。」
魔力というのは、リスにもあるのだろう。
ただ、レイカと同じく、いや、レイカ以上に、魔法を使うことができない。
精霊の魔法すら識らないのだから。
料理の心地のいい音を聞きながら、苦笑をこぼす。
■レイカ > 「フフッ……わかりました、ある程度のところで止めさせます。」
最後にバターを入れて溶かし、もう人に立ちさせて軽くかき混ぜ、トマトソースを完成させた。
最後に味を見て…イメージ通りの味に仕上がっている。
里ではなかなか作れないのは…一度に大勢の分を作る必要があるからだ。
次に鶏肉…これはミンチにしているものを選んでおいた。
それに卵を加えて、しっかりと粘り気が出るまで揉みこんでいく。
小麦粉をある程度まぶし、しっかりと粘り気が出てきたら…それをコバン上に形を整えた。
それを2つ作り…、塩コショウで味を軽く整えて、しばらく寝かせる。
その間に、フライパンを再度温めておいた。
「そうですね…それじゃあ子供たちの相手でもしてもらいますよ。
いつも遊び相手に飢えてるみたいで…時々、里の大人たちがぐったりしてるんです。」
みんな元気でいい子たちばかりだ、と私は笑った。
チキンハンバーグ……、久しぶりにこれを作った気がする。
そういえば、里ではなかなか鳥が取れないから…これを作れなかったな、と思い返し。
■リス > 「あの子、おもちゃ作る感覚なんでしょうね、きっと。」
そのおもちゃ感覚でぶっ飛ばされる被害者にはたまったものではないだろう。
一例で言えば岩が飛んできて吹き飛ばされて転がった先に落とし穴で、落とし穴の上から岩が蓋をして閉じ込めるとか。
足止めにしても殺意がたっぷり乗ってる。餓死とか窒息死とか、怪我で死なない分温情なのか非道なのか。
まあ、其の辺は師匠が弁えさせてくれるのだろう、そのための師匠である。
「子供の相手……大丈夫、かしら……」
少女は戦慄をした。
ラファルはともかく、次女は瞬間湯沸かし器なのである。
少しでもイラっとしたら物理に頼む性格で、その辺言い含めておく必要を感じた。
大丈夫だと思うことにしたいが、娘の性格を把握しきっているから、信じきれない自分が悲しい。
「わぁ。ハンバーグステーキね。」
湯気を立てているハンバーグステーキ。
彼女手作りのそれは、とても美味しそうで、ソースもいい塩梅に見える。
じゃあ、食事にしましょうか、と笑って。
保存庫からワインを取り出そう。
レイカも食べるでしょ?と、首を傾ぐ。
「あと、手紙のお説教も、あるんだし?」
忘れてないからね?とにっこり笑ってみせる。
■レイカ > 「無邪気ですからね…彼女は。」
とてもいいことなんだとは思う。
危うさを感じることはあれども、あの子ならば騙されることも、そうはないだろうと思いたい…。
仮にもドラゴンだ…その力を利用したい輩は多いだろう。
「……………え?」
もしかして、まずいのだろうかと私も思った。
せっかくだし、子供相手をしてもらおうと思ったのだが、リスさんのその様子に少し不安を覚えてしまった。
特に里の子供たちは、普段里から早々外に出ないこともあり…遊び相手に飢えている。
だから少し心配になったが…。
「…はい、以前……まだ、マグメールにいたころに生活費を稼ぐ目的で、飲食店で働いていたんです。
その時に、マスターに教えてもらったのが、このハンバーグステーキでした。」
焼き加減、ソースが命なのだと叩き込まれた。
お皿に盛り付け、飾りつけにゆでた人参とアスパラを添えて…完成。
久しぶりに作ったけど……あの頃とそれなりに、変わらないようにも見えた。
「………うっ……。お、お手柔らかにお願いします。」
手紙のこと…忘れてはいなかったけれども。
今思えば、私はずいぶんと恥ずかしいことを言っていたのだろう…。
■リス > 「子供、だから。良くも悪くも。
今、いい先生に教えてもらってるけれど、まあ……あれはね。」
無邪気というのは悪いことじゃないと思うけれど。
逆に考えればいい事でもないのであろう、子供は何も考えずに虫を殺す。
命というものに価値を見出していない。
だから、無邪気な子供は残虐とも言えることをすんなりできる。
そこが、悩ましいのである。
「竜胆は、私が初めて里に行った時に、いたラファルではない片割れの方なんだけれど。
あのこは、気難しいというか……思考がドラゴン寄りなのよ。
プライドが高くて、気に入らないことは、物理で解決する子なの。
言い含めては置くけど……子供は大丈夫かしら。
まあ、多分ぶん殴るとかはしないとは思うけど脅すくらいはすると思うの。」
速攻泣かせるとか有り得そうで、怖い。
やらせてもない前から、ダメだと決め付けるのはいけないことだけれど、不安しかない。
なので、先に言っておいたほうがいいだろう。
「すごく美味しそう。
飲食店にいたってことはふふふ、味はもう期待できるわ!」
絶対に美味しいんだ。
湯気が立っているそれを見て、フォークとナイフを用意して。
食べていい?首を傾ぐ。
「ええ。美味しいご飯に免じます。」
別にそんな構えなくてもいいわよ、と軽く言おう。
手紙にも書いてあることだし、分かってもらえてるだろうから。
■レイカ > 子供は、そうやって命の尊さを学んでいくものだと、私は思っている。
今はもう覚えていないけれども、私も昔はそうだったかもしれない。
だから、無邪気さゆえに人を殺すというのは…仕方のないことだと、ある程度諦めも付く。
しかし、大人になってからのそれは…どうあっても許せないのだ。
焼き立てのハンバーグステーキを彼女の前に置き、体面に私が座る。
「……………ああ、なるほど…。
そのあたりはまあ……大丈夫、だと思います…よ?」
多分、きっと、おそらく…。
母親であるリスさんが言うほどだ、おそらく本当にそうなのだろう。
子供たちが泣くのは…まあ、この際眼を瞑ろう、里の防衛に一躍買ってくれるのだから。
最後の最後、温かいトマトソースをかけて…。
「ええ、どうぞ召し上がってください。
3年ぶりに作ったので…味のほうはあまり保証できませんが…。」
でも、美味しいといってくれればうれしい。
対面に座った私も…久しぶりに自分のチクった、チキンステーキを食べることにしよう。
肉類は基本的に控えているが…こういう時は別だ。
■リス > 「……強く釘を刺しておくわ。
皆に愛されるトゥルネソル商会ですもの。
お子様泣かせるなんて言語道断。」
流石に、お子様は未来のお客様、それに今は守るべき存在。
そんな相手に悪い感情を植えつけるのはよろしくないので、今のうちに。
忍耐を養う訓練だと思わせよう。心に決めたのだ。
ホカホカのトマトソースがチキンハンバーグを彩る。
その香り高さに、うわぁ、と子供のように目が輝く。
「三年ぶりであの手際は問題ないと思うわ。
ふふ、頂きます。」
小さくハンバーグを切って一口。
鳥のハンバーグは、味は蛋白にも思えるが、しっかりと下味があり、それを彩るトマトソース。
美味しいわ、と少女は嬉しそうに目を細める。
十分売り物で通用するものだと。
「レイカ、お説教だけどね。
最初の対価の提示に関しては、私は別に怒ってないわ。
そういう支払いも私は認めてるから。
でもね、レイカ。
貴女の魅力は、女の魅力を誤解してるの。
確かに、わかりやすいバロメーターよね、その部分は。
でも、それだけじゃないと思うの。
そこだけを見て自信がないということに、説教したかったのよ。」
じ、と半目で相手を見ながら、言葉を放つ。
■レイカ > 皆に愛される…その言葉は、ここの店員にいきわたっているのだろう。
彼女が二代にわたって築き上げてきたこの商会が、どれだけ世に貢献しているか。
そんなもの、私が危惧するまでもなく知れ渡っているはずだ。
私も、チキンステーキを小さく切って口に運ぶ。
…やはり肉の味は慣れないが、我ながらきっとおいしくできているのだろう。
リスさんの満足そうな顔を見て、そう確信した。
やっぱり、私にはこういう道もあったのではないかと思えるほどに。
「……アハハ、その通りですね…。
よく言われていたんです、お前は胸だけが女の魅力のように思ってるんじゃないかと…。」
ないものねだり、なのかもしれない。
私にはなくて、他の人にあるものをどうしてもうらやましいと、そう思う時はいくらでもあった。
背が小さいとか、胸が小さいとか…自分の魅力に、全然気づいていないのかもしれない。
だから、つい対価として払おうとしてしまったのだろう、その部分は少し、申し訳なかった。
■リス > 少女は、自分の感覚としては、まだまだ足りないのだ。
皆に愛される、父が作り上げたその商会はまだ自分が引き受けるに至ってはいない。
父の教えをちゃんと従業員に施しているけれど、まだまだなのだ。
一代で、基板を作っている父親はまだ現役で本店を回している。
ああいうふうになりたいものね、と、少女は思うのだ。
そして、チキンステーキに関しては、黙々と食べる。
言葉をしゃべることももったいないと思うぐらいに味わい、食べるのだ。
すごく美味しいと、言葉ではなくて態度が示すのであったりもする。
「私は、胸の大きい人も、小さい人も大好きよ。
じっさい、胸の大きさだけで決めたことはないもの。
どんな相手だって、抱いてきたわ。
変態と言われれば言い返せないぐらい。
私は、あなたのことが好きよ、レイカ。
今回のことじゃない場合、お誘いされたら断らないわ。
貴方と甘くささやきあって、布団の中で頭がおかしくなるぐらい、溶け合いたいと思うもの。
でも、だからこそ。
その魅力を対価にするなら、ちゃんと見極めて欲しいわ。
それをするに値することなのかどうか、って。
手紙に書いてあった要件ならまだしも。
今回のこれは、レイカが体を差し出すような物じゃないわ。
レイカの体を対価にしたら、鎧をあと、100個用意しないと。」
私は、貴女をそれだけ評価してるのよ。
少女は、軽く笑ってみせる。
■レイカ > 「…………そう、ですか…?」
私だって女だ、こんなふうに褒められたらうれしくもなってしまう。
内容はともかくとして、私がきれいだといってくれる相手はたくさんいた。
笑っているのを見るのが好きだとか、いろいろとうれしい言葉もかけてくれた。
だけど、過去の私はそれを素直に受け取るだけの自身がなかった。
胸の良しあしだけではなく、腹の中で大きく黒いものが、いつも渦巻いていた。
過去にミレー族を見殺しにした、その罪の重さがそれだった。
それのせいもあったのだろう。
「…なんだか、口説かれているようにも聞こえますね……。
フフッ…でも……悪い気がしませんね。」
でも、私には思い人がいる…。
なかなか帰ってこないから、寂しい気持ちはもちろんある。
だから、少しくらい口説かれたって・…許してくれます、よね…?
■リス > 「ええ。
だから、気軽に自分の体を差し出さないで。
それは、貴女の価値を自分で下げるものだから。」
妬け鉢にも見えるあの時の手紙の一言に、感じた心配があるから、説教をする。
もぐ、もぐ、もぐ、とチキンハンバーグを口にして、咀嚼して彼女を見る。
こくん、とひとつ飲み干して。
「あら、ばれちゃった。
説教もあるけど、そうね、口説いてもいるわ。
こんないい女が目の前にいるんだもの。
女に口説かれるのが迷惑ならいってね?
じゃないと、食べちゃうから。」
軽くウインクしてみせる。
ええ、冗談めかしてみても本気で口説いてることは隠さない。
決めるのは彼女だし。
好意を持っているということに関しては間違いはないのだ。
「ああ、ちゃんと。
恩と、好意は切り離して考えてね?
でないと、正しい判断はできないのだから。」
恩があるから、好きでもないのに身を任せる。
よくある話だ。
でも、好き嫌いは別次元の問題だ、恩があるから、そういう求めを断れないというのは、恩を盾にした卑怯である。
だから、レイカには言っておく。
抱く、抱かれるは、純粋な好悪のほうがいいわ、と。
■レイカ > 「はい……わかりました。
あまり、自分自身の勝ちを下げると…里の皆に怒られそうですからね。」
あの人たちは、私についてきてくれている。
思い付きともいえるようなことをしても、私を慕いついてきてくれた。
そんな彼らを、私は護りたいと思うからこそ…こうしてここにいる。
だから、自分自身の勝ちを下げるわけにもいかなかったのだろう。
私は…そこに気づいていなかったのかもしれない。
「大丈夫ですよ、女性に口説かれるのも悪い気はしていませんから。
でも…できればそういうのは、誰にも悟られない場所でお願いしますね…?」
まさか、商会の主と里の主が…などと言うと、特に傭兵団の皆が黙っていないかもしれない。
口説かれることに悪い気がしないけれども。
「ええ、わかっていますよ。私も、好きでもない相手に抱かれることに対する嫌悪感は…いやというほど知っていますから。」
そう…あの反吐が出るような嫌悪感はいまだに忘れられない。
そして、愛がない…ただのおもちゃのような抱かれ方も、私は経験している。
だから体を安易に許すことはないし、本気になった時にだけ…。
だが、それを対価として払おうとしていたことは、否定しない。
私にはそれしかないと、まだ心のどこかで思っていたのは間違いないのだから。
「……私を本気で口説き落とすのは…大変かもしれませんよ?」
笑みを浮かべ、そんな挑発と…そして雑談を交えながら、私は鎧ができるまで、しばしこの型と。
友人であり、私を口説こうとしている……もう一人、好きになりそうな人物を目にして。
たくさんの会話を、弾ませていた…。
■リス > 「ええ、それが良いわ。
だって、貴女は村長さんなのですもの。尊敬できる頼れる人じゃないと。
村を導く人、なのですから。」
そう、店で言うなら店長だ。そういう意味では、似たような立場である。
尊敬できる人が、体を売っている。
理由を知る者なら納得もできようが……そうでなければ。
そして、尊敬できない人となってしまえば、村はどうなるだろう。
彼女は、理解してくれたようで。
「ふふ、おおっぴらでなければ、いいのね。
気をつけながらにさせてもらうわ。」
ちょっと悪い笑顔を見せてしまおうか、言質とったわ、なんて。
ちゃんと口説くから、安心してね、と。
「もし、あの時私がうんと行ったら、それになりかねないわよね?
私、嫌よ、好意を向けている相手から、そんな風に抱かせてもらうの。」
それは、余りにも悲しくて、余りにも萎える。
そういうのが興奮するという人もいるのは知っているが、私の趣味じゃないわ、と。
「ふふ、上等、よ。」
難しいと言われて、むしろ燃えるわと、言い返す。
そもそも、安易な道を選んだわけではない、彼女のためを思って、自分に不利な道を選ぶ。
それでも、いいと思っているから。
そして、鎧が届くであろう。
それまでの間、楽しい会話の時間を楽しんだことなのであろう。
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」からレイカさんが去りました。
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」からリスさんが去りました。