2023/07/22 のログ
ご案内:「貧民地区 路地」にカジャさんが現れました。
■カジャ > 貧民地区には無数に路地は有るが、この路地は人通りは滅多に無く、そこを狙って迷い込んできた人間を狩る貧民の住人すら通らない、そんな路地に今宵は一匹の魔物が姿を現した。
当然ながら街を巡回する警邏の兵士や冒険者がいれば魔物を捕獲ないし討伐しようとするが、前述どおり最低限の街灯があれど人通りが全く無く、貧民地区にある幾つかの死角の内もっとも寂れた死角になっているのである。
そしてそんな場所だからか、路地を照らす街灯の整備も手抜きだらけで殆どの箇所が魔力切れか燃料切れか灯りは明滅しており、その中で生まれている陰に魔物はカジャと呼称される化生は姿を隠し、犠牲者となる人間が通るのを待ち構えていた。
その姿は獣でもなく、人でもなく、場に似つかわしくない海棲生物である蛸の姿で、大きさは通常のそれよりも大きく胴体だけで小ぶりなスイカくらいはあるだろう。
それなのに隠れていられるのはその肉が墨で描かれているように真っ黒く周囲の陰に溶け込むような皮膚の色をしているからで、匂いもまた出来うる限り押えていることから、遠目からではそれが存在している事を見つけることは非常に難しい。
その化生、魔蛸と呼ぶべきカジャは木箱の裏で八本の足を畳み、丸くなって息を潜めている――…不幸にもその前を通るニンゲンが現れたときに飛びかかれるように力を溜め、その一瞬を今か今かと待ち構えていた。
■カジャ > 今は隠れ襲撃する事に特化した蛸を模した姿をしているが、実際の姿は極小の蛇であり、もし今宵不幸にも傍を通りかかる人間がいて、その人間が蛸程度では叶わぬ力量の持ち主であれば狼若しくは蟲などの戦闘か生存に特化した姿へを変化して、獲物と定めた人間を襲おうとするだろう。
――そして気に入れば陰の中へカジャの集い群れる空間へと犠牲者引きずり込み、その犠牲者が狂うか衰弱しするまで、その腹をつかい繁殖を繰り返す。
それとも犠牲者につきまとい、犠牲者の生活の場を巣に変貌させる事すらもカジャという化生は平気で行う、故に何よりも厄介でつかみどころが無く、常に冒険者ギルドには捕獲依頼が貼られているくらいだ。
風の噂によれば王族が貴族が捕まえて、メイドや奴隷を襲わせて遊んでいるという話もあるが、果たしてそれは……。
それはそれ、これはこれ。
薄暗く明滅する街灯しか明かりのない路地を通り抜けようとする人間を狙うべく待ちわびているのだが、時折遠くから声がして、誰かしらが近くにいるようではあるが、どうだろうか。
貧民地区から抜ける知る人ぞ知る路地では矢張り獲物を捕らえることは難しいのか、カジャは蛸の化生は少なくともそれを考えるだけの知性を持ち合わせているのか、思考をめぐらせてどうするかと悩んでいる。
出来れば捕まえたい。
出来れば喰らいたい。
そうでもしないと飢えて乾いて朽ちてしまう。
だからこうして人里、それも王都に入り込んで蠢いているのだが……。
何事も起きなければそのままじっとし続けるしかなく。