2022/11/12 のログ
ご案内:「鏡の迷宮」にミメシスさんが現れました。
■ミメシス > 天井も床も壁も何処も彼処も鏡でできた迷宮が存在する。
特定の周期に特定の場所で開くと言われている『鏡の迷宮』。
今夜はメグメール(喜びヶ原)自然地帯にある街道傍で発生した霧と共に入り口が解放されたようで、迷宮の入り口ではまだ森の木々の擦れ合う音や狼の遠吠え等も聞こえ、逆に迷宮の入り口から外へは眩い輝きが零れている。
迷宮に踏み込んでも扉が閉まることは無い。
中は壁も床も天井も全て鏡張り、割る事は難しい魔法の鏡は曇りひとつなく侵入者を映し惑わし、迷宮全体が真昼のように明るい事から余計に迷いやすくなっていた。
出没する魔物は主にスライムなどの不定形、ゴースト系などの不可視系と迷宮の異様さを際立たせ利用する魔物が多い、その中にミメシスと呼ばれる魔物も存在していた。
ぐじゅり、ぐじゅ、ぐじゅる、ぐじゅり
全てが鏡張りの世界で壁に張り付いた肉塊がミメシスである。
ただそのミメシスは表皮を周囲と同化、つまり鏡面状にし、薄く壁に張り付く事で多少歪に見えるが鏡の壁に擬態化している――…ただし、隠しきれず滲み出す粘液が不気味に鏡をぬらし、床をぬらし、明らかに怪しげだと言わんばかりの光景を作り出しているが、直ぐ傍には見るも絢爛豪華な宝箱がひとつ……。
■ミメシス > 僅かにであるが天井より魔物の皮膚から分泌された粘液がどろり……どろりと糸を引き滴り落ちて、地下迷宮の床に小さくもどろどろの粘液溜りを形成する。
そこより一層芳しく腐敗した果実の甘い香りが漂い、壁にかけられた光源の熱により蒸発し、更に迷宮の通路に小部屋に香りが広がっていく。
されど獲物は近づいてくる気配を魔物は感じれない。
すると次なる手として自分の喰らった冒険者の声を真似て、「タスケテ、タスケテ……。」と鳴くが当然聴く者はいない。
暫くはそうして獲物を寄せる努力を魔物なりにするのだが、諦める程度の知能はあったようで、天井をズリズリズリと這いずり、何かの這い進んだ痕跡を残しながら、次なる狩の場所へ迷宮の奥深くへと消えていくのであった。
残ったのはその足掻きの残滓。
甘い香りとヌルヌルの液体である。
ご案内:「鏡の迷宮」からミメシスさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。
その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。
なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。
「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」
そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。
「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」
個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。
「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」
ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
各個室は廊下に面しているため、稀に受付を経ていない誰かも紛れ込むこともあるようだが、それはさておいて。
現れたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。