2022/07/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 狭間の地区 夏祭り」にエレン・ローズマリーさんが現れました。
■エレン・ローズマリー > 雨も上がった日取り
にぎやかな祭りの夜がそこにはある。
建国や精霊祭ではなく、記念日というよりも時期の祭り。
平民も貴族も 商人も冒険者も屋台や小遊びを楽しむ日だろうか。
なにかを奉り、催すのではなく純粋な商売の市として見られるだろう。
賑やかな場所のあちこちでははしゃぐ声。
ゴルドが巡り腹が満ちる 浮浪者や道住まいの親無しは手伝いをすれば一食量の多い賄いにありつける。
―――その中の一角、ハイブラゼールから足を運んだエレン
家族と触れ合う時間の他に、こうして商売を行う側として資金援助の立場。
組み立てた小さなリングでの暴力と暴力での賭けや景品遊び
ハイブラから流れてくる酒精など、ゴルドの流れは悪くない。
パキンッと細長いカカオスティックを小さな口元で折りながら咀嚼しつつ
喧噪や祭りの音が流れている夜の空間を眺める。
場所としては現在は広場的な場所で、太鼓や笛の音色
ジプシー的な一行の舞や音楽を眺める場所にいた。
「いい子がそろっているじゃない。 何人か引き抜けないかしら。」
眺める踊り子らは、流しはもったいないというように顎を指先で撫でて笑みを浮かべる。
エレンのような雇い者もいれば、攫おうと考える者や口説きたい者などいるだろう。
ああいった旅の一座は、一夜をゴルドで供することもできる。
ご案内:「王都マグメール 狭間の地区 夏祭り」にレイシアさんが現れました。
■レイシア > 学校の帰りは祭りに寄って帰るから、帰りの馬車はいらない。そういってきた今日。
護衛をつけろだなんだと言われたけれど、人に気づかれる程度の騒ぎは起こせる覚えと
なにより親があれこれ身につけさせている装身具は、あらゆるアプローチでの遠距離転移を行使できる。
これをその場でいきなりの力技で阻止できるのは、魔の王レベルか、竜か、大賢者か。
無駄に金をかけているんだから問題はない。完全な無駄に終わるよりも、青春の享楽とスリルを得ながら帰る手段となるのだからいいだろうと、子供で青春が欲しくて、そしていいとこの子だからこそのワガママで押し通してきた日。
「……こういうお祭りもなかなか、味わい深いというか。一口じゃ味わいきれない量ですわね」
祭りの出し物が本当にいろいろで。子どもたちが楽しめるもの、冒険者たちが喜ぶもの、男たちが喜ぶもの。
どれもこれもが大きな鍋に入れられたような、魔女の鍋一歩手前。
屋敷の中でも、学び舎の中でも手に入らないものだ。
歩くたびに揺れる白いドレスも、銀の髪も、ふわ、ふわ、とご機嫌。
「……まずは食べ物、と買いましたが……次がさっぱりわかりませんわ」
お祭り初心者。果実のシャーベットを口にしながら早速どうしたもんやらいったりきたり。
音楽と踊りの華やかさから、保脳的にそちらへ向かう。
小柄なドレス姿は浮いていることにも気づいてはいない。
綺麗だな。この国が汚いことも十分自覚しているのに、この祭りの夜は空気にあてられて、半ば酔っているかのように、ぽぉっと踊りを見続ける。
■エレン・ローズマリー > ベリーダンスや杖の舞 官能的なものから誰かに捧げるものまで、舞というものはさまざまだ。
遊び事ではなくただ眺めているだけ、という催し
それだけでゴルドを得るには、興味を引かせる調べ 眼を惹く動き が必要だろう。
だからこそエレンも、ついつい祭りを片手間に遊ぶつもりが、こうして舞を眺めながら一人、二人と
引き抜く際の金額はどれほどか 旅の一座となると、家族のような密集になるものだから
居心地と差し引けば、割と難しい事柄であるのだ。
安心と信頼さえあれば、といったところだろうかと 呟く小さな唇 尖った牙
パキリと黒く細く整えられた、人肌でもそのうち溶けてしまいそうなスティックを口の中で舐め溶かしている。
そんなエレンの傍には、物事の連絡や給仕のように控える者が当然いるだろう。
その者が、ふと自身以外でも堂々と身なりのいい、泥を跳ねれば首を跳ねられそうな衣を纏う幼げな相手を見つける。
魔の手、忍び寄るとも限らないだろう いくつかすでに視線は向いている。 なんとも丸い雰囲気のかわいらしさ。
エレンからしてみれば、鍋も野菜もスープも背負って訪れるお肉が悪いのだといえばそれまでながら、その身なり。
お父様か自身とパイプをつなげておくこともいいかと、エレンは単身
同じような白いレースコートや黒のゴシックドレス姿にサイドリボンと言ったいでたち。
浮くのはアルビノスキンやレッドアイ そして淡く青い髪だろうか。
背中の両翼はそれ以上に異質なものの、ここでエレンを魔物扱いにするのならば
それ相応に対処するまでである。
「ご機嫌よう お嬢様。」
ニコリと近づいて挨拶をしてみようか。
互いに手に物をもつ姿 カーテシーは省き、互いの身分がそれなりなものを示すのは身に着ける衣で十分だろう。
エレンは果実のシャーベット 氷室や術師でもいなければ作れないだろう氷のデザートを楽しむ姿に
買い物もまた、ぜいたくなものだとチラリと定め。
「お忍びどころか、堂々と身分のあるものが遊んでいては、攫われても文句は言えないわよ?」
140㎝と145㎝ 赤いブーツでおおよそ似たような身長の二人。
幼げな二人がそろうと、目立ち方も増すものの、異質に見えるエレンでは、周りの手も伸びようがない。
互いに似た者同士 軽い自己紹介とともに、先ほど座っていた場所へ誘うだろう。
「エレン・ローズマリーよ。」
空いている手で握手を交わしながらも、再び腰を下ろすころには。互いに舞をみながら
他愛もない話を広げていく中、エレンは記憶をたどれば、住まいはハイブラでも王都の貴族。
有力貴族 なれど子煩悩のクラリッジ家か、と頭の中をなぞっていく。
■レイシア > 舞は今まで、自分たち貴族へ向けての歓待。
外へ出るようになって、民草が楽しむためのものでもあると肌で知り。己も学友から村の踊りなどを教えてもらうようになり……。
なるほど、この楽しさを、明るさを誰かに向けるのであれば金銭を得ることにもなろう。明るさは人に欠かせなく、暗さを隠して悪事を働く事もできるのだから。
その場を作り出せる踊り手の人々は、平民と貴族の身分差はあれど、プロフェッショナルであり、己にないものを様々持つ尊敬すべき人々だ。
勿論、全ての自分にないスキルをもつ人々は尊敬すべき人々なのだが。
そうして尊敬すべき綺羅びやかな踊り手にみとれていると、その夜のような少女に見つけられる。
ただただワガママな子供として祭りに出歩いている自分を全て観察されて見抜かれて。子供だってまるわかりな自分は実はだいぶ恥ずかしいということも知らずに。
「あら。ごきげんよう。 ……綺麗。宝石みたいな夜の色」
ニコリ。そう挨拶を返して。ぽつり。後半はその姿を見て口から小さく漏れる。
銀、赤、白、青。そんな自分の色と対照的な色が印象に残るということも有るのだろう。
誰も足を踏み入れていないような一面の新雪のような色と
すべて包み込むような夜の始まりのような浅くグラデーションがかかるような夜の色。
「まあ。私、そんなに危なげでしたかしら? こう見えて、見た目よりは強いんですのよ。でもそれ以上に、逃げ足が速いんですの」
見た目は自分と同い年くらいか。背格好も同じくらいか。
交易品からの高級菓子だろうか、カカオスティックを手にしているならば、己と同じく貴族か、大きな商家の令嬢か。
誘われるままに、二人共が軽い足取りを明るい音楽に乗せて。彼女の隣の席へ、軽い一礼をして。
「レイシア・クラリッジですわ。ええと……貴女は、商家の方でしょうか……? 申し訳ございません、我が家のパーティーではお見かけしたことがなくって」
貴族の当主は流石に覚えているが、係累の人間に関してはまだまだ覚えきれていないところがある。というか、社交界になんてだすもんかい、みたいな変な両親があんまり教えてくれないのだ。
■エレン・ローズマリー > 挨拶を交わした二人の口と喉は軽い。
似たような背格好と外見が利いているのか、警戒心というものがなかった。
しかしその軽い口元は 強さ そして 逃げ足の速さ を語る。
エレンは黒いレースグローブのハマった、レースコートの袖口から覗く小さな手指を口元に充ててクスクスと笑み。
「そう、攫いがいのあるセリフね。」
そう言って、二人な同じ席へとついたのだ。
さて、互いに甘いものを片手にしている。
祭りの中で茶会ということもなく、平民や流れ者に交じり、舞を鑑賞する傍ら
互いにローズマリーとクラリッジの家名を語る。
しかしローズマリーにはピンとこないらしい、レイシア嬢
外見上なら同じくらい 学院や、それもと社交界などで顔を合わせた記憶もないという
初めて顔を合わせした間柄のように。
エレンは肩をすくめて、素直に答えながらカリカリと蠱惑的なスティックを齧り。
「当然よ、私は普段ダイラスで活動をしているもの。
お父様と本家は王都だけれど、私はお父様とのやりとりか、こういった催しのイベントでもなければ
ここには顔を出さなかったわね。」
そう、二人は偶然の出会いであり、尚且つ王都に足を運ぶ機会が少ないといった。
商いならば商人かと言われると、それもまた違うといい。
「妾腹なのよ だから、ダイラスで経営で稼いでお父様を助けている。 それが今の私。」
貴族 商いを行えど、商家ではない。
それに、エレンもまた同じような言葉を口にする。
「私の方も、クラリッジ家に貴方のような珠のような子がいたのね?
有力貴族の娘なら、その整いよう、噂や許嫁の話の一つや二つ、ありそうなものでしょうに。」
外見から可愛がられていることがわかる。
一人の時間を満喫しているのは、きっとそういった点からだろう。
「ダイラスにも聞こえそうなものを、過保護なのね、ご両親。」
ダイラスならば船持ちの大商人などもいそうだ。
他国と結ぶ貿易なども考えれば、十分に婚姻の話がありそうなものである。
しかし相手は女子 さて、クラリッジ家の何女だろうと思うものの、かわいがっているのだろうクラリッジ当主
いい友人関係でも築いておけば、お父様も喜ぶだろうと、外見で噛み合う二人という感情以外にも
利点というものが現実には纏われるものだ。
「まぁ、この出会いを大切にしましょう? 出会うことがなかったのかもしれないもの。」
そう言って、また一つ、すいっと取り出したカカオスティックをレイシアの口元にやれば。
「はい、あーん。」
初対面にしては砕けた姿。
今の二人は小休憩中の経営者と、一人になりたいいけないお嬢様。
無暗矢鱈に着飾る言葉もいらないとばかりに、口元にやればポリポリと齧らせ、半分ほどもすれば
スイっと手元に戻してカリカリと食べていく。
カーミラが血液とバラ以外には、溶かしたチョコレートしか飲まなかったように
エレンもまた、口にできるものは限られている。
そうして小柄な白を纏う二人は、隣り合わせで舞や奉納にも似たそれを眺めながら過ごすだろう。
■レイシア > 大人は酒が入ると口が軽くなる。飲むフリ、酔うフリはきっちりと身につけるのが大人。
そうでなければ、酒に飲まれて、もっと大きなものに飲まれてしまう。
そしてここに居る令嬢もどきは、楽しい空気に酔っ払っている。
幾ら自分とにた背格好の麗しい令嬢相手とはいえ、手並みと逃げ足を言うなんておバカさんである。
「まあっ。くすくす……攫われてしまったらどうしましょう。なんだかお祭りの夜にそういわれるなんて、恋愛小説みたいですわ」
互いの家名。互いの知識差。
父や兄はすらりとわかるだろう。ローズマリー家の娘のことが。
クラリッジの家名にそこそこに泥をぺたっとつけている。
「なるほど、王都ではなくてダイラスで。
あら……普段はこちらへは来られないんですのね」
ちょっと残念そうな声。眉が少し下がる。せっかく見つけた、とても綺麗な夜の色。
それが普段は近くにはいないのだと知ると、声にも顔にも現れる。こういうところも、貴族らしさが良くも悪くも無い。
「なるほど。本家ではできない自分のことで、お父上の助けに。素晴らしいですわ……。私はまだ、庇護下にあるだけのようなものですし」
自分と本当に変わらない歳に見える彼女が、家を助けるほどの商いをしている。なんという強い子だろう。
先程しゅんとしていた顔が、ぱあと輝いて、羨望の眼差しでうるさいほどだ。
「う゛。ん゛。 そう、です。わね。 父も母も過保護が過ぎていまして……あまり社交の場に身も名もでませんの」
嘘はいっていない。
ここにいる令嬢のようなものが『次男』だから名前がでていないという告げていない事実と、先程告げた本当と。両方だから、完全な嘘はいってない。
「はい。お祭りの……こんな人数から私を見つけて下さったエレンさん。とっても、とっても素敵な出会いだと思いますわ」
そして、あーんと小さな口を向け、カカオスティックを一口。
爽やかな果実のシャーベットと、甘やかなれど濃厚なカカオスティックと。
私と貴女のようだ、なんて。自分で言った「小説のよう」という言葉にもすこし酔っているのかもしれない。
「……エレンさん。貴女は、踊りをどうおもいます?」
ふと。自分が来る前からここに居たエレンに、どういう興味関心から踊りを見ていたのか。
勉強をするように、問いを投げた。
■エレン・ローズマリー > 言葉に詰まりながらも、やはり過保護と口にする。
一人の解放感と祭囃子の喧噪に惹かれてここにいたらしい。
一人娘ならきっとこうはならなかった。
あくまでも珠のように磨き、愛で、人に触れさせないものがあるのだろう。と
エレンは横目で赤い視線を向けながら手元の甘いものがなくなる。
しかしそれでもかまわないように、湿度を掃うように手元の扇子でハタハタと仰ぐだろうか。
「目利きの利く、古美術や値打ち物にこんな言葉を向けるのことがあるの。
曰く “目垢” 本当に大事なものは人目で多く向けさせ自慢するのではなく、自分だけが知っていればいい。
あなたのご両親は、目垢もつけさせたくないのね。」
経営をしている側としての、そんな雑学を交えて話しを続けながらも
長い髪 白いドレス 丸い線 まだ何も知らない生娘の一人遊びのように見えてその実。
エレンは鼻先をスンスンと小さく鳴らす。
「社交界に出ていない割にはやるじゃない。」
主語の抜けた言葉。
とぼけるようなら。腕を回す代わりに翼を片方広げ、するりと肩から下を包むようにして傍で寄り添い合う。
耳元には、その唇 こぼれる牙 語る言葉は愉悦を含んで。
「―――あなた、処女の匂いがしないわ。 遊び慣れているのね?」
さて、それは本当の乙女ではないせいか。
それとも本当に気付かずに女になっている 少女ではない何かをかぎ取っているのか。
エレンの半魔のそれが、鼻先に育てられた初々しい血の在処を見せていない。
確信めいたようにからかいながら、自身もだと口にして。
「もっとも私は、かわいらしい子やドスケベな女なら割と選ばないけれど。」
そうやって、言葉詰まっているレイシア嬢の心臓がどきどきとなるものの
その鼓動を感じながら、してやったりとからかいを終えて、扇子の先で指し示すは二人。
「単直に言えば、あのおっぱいのでかい子と腰の振りが鍛えられている子。中々だわ。
私のお店に来てくれないかしら なんて考えていたわ。」
店先で楽しむような恰好もしていないもの。とレースコートの肩を摘まんで答えて見せていく。
もっとも、今の興味はレイシア嬢にあるようだ。
「ね、軽く遊ばない? 同じくらいの見た目の子って、お互い中々いないでしょう?」
唐突な性の誘い。
今フリータイムだからだろう
お父様と商売の思考ならこのまま終わっていただろう袖触れ合う多生の縁。
相手が慣れていると踏んでいるから、一歩と言わず五歩ほど踏み込んでみて。
■レイシア > 誰にも汚されたくないと、自由意志のある人間に対して思う両親。
しかし、完全なる束縛は家族の愛情ではないと言う、固執と良識の入り混じった、狂気じみたマーブル模様。
それがクラリッジ家の、この子に対する感情だ。兄は順調に長子をがんばっている。弟可哀想って思いながらだが。
誰にも本当に触れさせたくないならば、邸宅の一角を座敷牢のようににしているだろう。
しかし、最近は学校に通い始めたし、その前は剣や魔法の師を招いていたし、外出だってできたいた。
その一方、身体をすきに弄り回す魔法の服や身分の詐称など……ちぐはぐで、整合性がない。
愛情もまた狂気。どうしようもなく、理屈ではない。
「なるほど。皆に知ってもらうことではない。自分の手の中だけに。……ロマンチックですが、少しもったいないですね。
……私は……私はどうなのでしょうね。ちょっと自分がわかりませんわ」
流動するマーブルに愛されている身では、Yesが次の瞬間にはNoになりそうで。
深く考えたくはないのかもしれない。自分の価値観が壊れてしまいそうで。
だけれど、いつか向き合うためにも、己の両親がどういうタイプのものなのか。自分にない知識を語り聞かせてもらうことで、少しだけ深まっていく。
「へぁっ!?」
片方の翼で抱かれる。寄り添い合う。香りが近い。体温が近い。可憐な少女が近い。
耳にそそがれる甘い甘い言葉。ただの蜜ではなく、酒精の入ったような蜜と感じる。
「え、あ。えっ…………だ、だって、え、と、その……」
思春期に入った頃、兄に頼んで貴族が出入りする娼館へと連れて行ってもらった。そこで覚えて、違和感も覚えて。
気持ちいいことを覚えて、もっと自分の気持ちいいがあるはずと迷って。
今、その正体を知りながら、言い出せない身にいて。
「あ、遊び慣れてっ……。……隠しても、無駄ですのね」
身分も種族も別け隔てなく。だって意味がないのだから。……自分が変なのだし。
そんな自分としては、ダンピールたる彼女のこの翼も、特段触れること無くこうして語らってきたが……
翼で抱かれるなんて経験、心臓がきゅんと跳ねて。相手に聞こえてしまいそうなほどで。
処女ではない。そう、女の子じゃないから。それに童貞でもないから。
なのに、なのにときめいて。男子が女子にときめくそれではなく、女子がときめくそれになっている。
「……ほ、褒められているのかしら?」
つ。と自分を包んでくれる翼を、指で軽く撫でて。
「えぇっ。あ。あー……なるほど、経営者目線でしたのね。なるほど。男性受けしそうですわ……はい、いかにも」
つん、とつままれる力を感じる。ほんのちょっとの可愛い力。
自分を誘う可愛い力。
「……その……逃げたり、しないでくださいましね?」
ずずい、と踏み込まれれば……こちらとて思春期真っ盛りの男の子。倒錯した、させられた男の子。
可憐な貴女からの誘いに、顔を真赤にしながら頷く……。
■エレン・ローズマリー > 「決まりね」
逃げる云々
それは自身のスカートの上に手を置かせて返す。
「貴方もね?」
大人の雄程度はあるだろう逞しさを確かめさせれば
二人で適当な場所に赴くだろうか。
ご案内:「王都マグメール 狭間の地区 夏祭り」からエレン・ローズマリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 狭間の地区 夏祭り」からレイシアさんが去りました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
食事を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。
「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」
などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。
「あっちよりは出会いの期待値が低いが、まああそこら辺はしょうがな──て、おや?」
その視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり自分以外は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。
「……やあやあドーモッ。湯加減いかがですかな?」
と、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。