2022/05/08 のログ
■ホウセン > 疲労回復剤の唯一の懸念点を挙げるなら、味が嗜好品なり得るぐらいには甘露であったから、習慣的に常用しないよう留意しなければならないというぐらいのもの。
特に、娯楽に乏しい田舎道の通行中など、飲食ぐらいしか愉しみが無いのだし。
この腕ならばと目していた所で、該当するものはあるとの話で少し前のめりに。
説明を聞くに継続時間には難があるが、暑さの盛りに差し掛かるタイミングで服用させれば問題無かろうと算盤を弾き。
得意と思われる分野には滑らかに語っていたのに、挟まった少しの間。
己の容姿に端を発する疑義を告げられると、大きな目をぱちくり。
「嗚呼、これはしたり。確かに小童の戯言となっては、商売あがったりじゃものな。
儂が隊商を雇い入れる商家の主の嫡子で、王都での取り仕切りを任されておるのじゃが…
と言うても、お主がこちらを知らねば安心はできぬか。」
女の疑念は尤もであると、頭を縦に振って。
対処方法は幾つかあるが、待合スペースのテーブルの方に小股の足取りでテコテコと。
右手を左の袂に突っ込んで、何やらゴソゴソ。
羊皮紙を一枚取り出し、ちょいちょと手招き。
「嗚呼、何ぞか書くものを。これに必要額を書き入れよ。
出来れば月の終わりまでには揃えたい故、何なら急ぎの料金を加えてくれても構わぬ。」
身を退かせると、机の上に置かれていたのは、王国でも三番目に古く設立された銀行に向けた小切手。
金額欄が空欄で、其処に必要額を記入せよということらしい。
小さな客曰く、これが換金できてから作業に着手としればよかろうと。
暑くなる時期が近付いているから、早めに製造元を確保したいという心地らしい。
「ま、金銭よりも儂の身分を検めたいというなら、平民地区の端の…”草荘庵”という店に問い合わせるがよい。
儂はあちらこちらを飛び回っておるから、必ずしも店におるとは限らんがのう。」
その上で、身分を明かし。
女が小切手に金額を書き入れるにしろ、一旦回答を保留にするにしろ、こまっしゃくれたお子様の風体をしたそれは、軽口を叩く。
「そうそう、童と思うて謀ってくれるでないぞ?
そのような真似をしてくれたら…女子相手でも”折檻”じゃからな。」
幼さを残した姿で口にするには、聊か不穏な単語。
発言者に深い含意はない。
ただ、受け取り手が”女”に”折檻”と結び付けて、何事かを連想しないで済むかというのは、予想の範疇の外というだけで。
■ラブルナ >
「しっ、失礼しました。世間知らずですみません……」
身分を明かされれば恥じ入ったように繰り返し頭を垂れた。
客層の関係で冒険者ギルドには少し顔が知れているくらいで、出不精も祟って世相には疎い。
ますますぎこちなくなった足取りで、あなたに続いてテーブルの方へ。
「ひゅッ……こ、小切手なんて初めて見ました。
ええと、二百日分だから……」
このような大口の取引自体が初めてなのだ。
喉が渇いていくのを感じながら先程メモ書きに用いていたペンを持ち、
耐暑薬の単価と必要数をきっちり掛け合わせた額を震える手で書き込んでいく。
「草荘庵……ですね。わ、分かりました。
後日、納品の段取りなんかをご相談に伺わせていただきます」
一応これも商売なので、この場で全て決めてしまうことはせず。
事実確認の機会も設けたところであなたの言葉が耳に引っかかった。
「せっ──そ、それは……いったいどんな……?
あ、いえ、そのっ。勿論そんな考えはしていませんが……!」
何を想像したのか、渇いていた喉をごくりと生唾が嚥下していく。
頬の赤みも二割増しといったところだ。
■ホウセン > 【移動します。】
ご案内:「アルピヌム魔法薬局」からホウセンさんが去りました。
ご案内:「アルピヌム魔法薬局」からラブルナさんが去りました。