2022/04/27 のログ
■ウェンシア > 彼女の心の奥底なんて知る由も無い少女は、自分を庇って救ってくれた恩人の、まるで何も無かったかのように振舞うクールな言葉に心を奪われたのだろう、思わず視線をそらして斜め下を見ていた。シャワーが止まり、びっしょりに濡れた服の気持ち悪さも忘れ、ついさっきまで起きていた事を頭の中で思い浮かべている。なんで目を瞑ってしまったのだろう、目を瞑らなければ彼女の素敵な姿を見れたのに、なんて考えている辺り、少女は動揺している。
「え、乾かせるの?そっか、便利な道具、あるもんね…――ッ…」
今になって水のしたたる自分自身、冷えた体に気付く少女。少し頭を振り犬のように水をしぶかせながら、彼女を見る。――何も無かったかのようにエスコートしてくれる彼女の、髪を掻き揚げる仕草――正直、そこらの男性を軽く凌駕する程の格好良さを感じる少女。その姿をちらちらと覗いながらの脱衣はかなりの時間を要しただろう。同性なのにも関わらず何かもう、脱ぐのも恥かしい。そんな気持ちを探られないようにか、少女は口を開いた。
「…さっき、シア『ちゃん』って言ったよね?様、じゃないの?先輩。」
■イェン > 「―――ええ。おかげで突然の雨に降られても安心ですよ」
(頭を振って水滴を散らす動物めいた所作には思わずくすりと忍び笑いを漏らしつつ、改め手を取り脱衣所へ。少女の心に憧れ以上の何かを植え付けた天然ジゴロの百合娘は、その実、濡れた黒布を張りつかせる美少女の肢体に跳ねる鼓動を鉄面皮で覆い隠すのに大忙し。外面は美術品めいていても、中身は他の寮生と何ら変わらぬ――――むしろ、若干ポンコツっぷりの強いまである思春期の少女に過ぎぬのだ。スウェットをずばっと引き上げ、純白の豊乳を瑞々しくぱゆんっと揺らし、ホットパンツはショーツと共に引き降ろす。出会ったばかりの少女の前で裸身を晒すのは若干の気恥ずかしさを伴う物の、ここで自分が照れてしまっては彼女とて服を脱ぎにくくなるだろう。そんな考えの元、濡れた着衣をさっさとまとめ、壁際に並ぶ魔導器のふたを開いてそれらを放り込む。幸いにして乾燥のための代金は食堂の釣銭で事足りそうだ。)
「ほら、シアちゃ……んんっ。シア様も、早く脱いでください。他の生徒が来てしまいますから」
(長い白脚も優美に交差させ、近付く裸身が遅々として進まぬ脱衣に手を掛けた。イェンが相手の立場であれば、間違いなく狼狽するだろう脱衣の手伝い。ポーカーフェイスはなんて事のない顔を維持しているも『あぁ……っ、シアちゃんのおっぱい、小さくてかわいいです…っ♡』とか考えている。されるがままにしていては、パンツにさえ手を伸ばそうかという暴走ぶり。)
「――――………っ。………単なる言い間違え……いいえ、シア様の聞き違いではないでしょうか? 私には覚えがありません」
(じわじわと頬に赤みを広げながらの言い訳は、子供でも騙す事は出来ないだろう稚拙な代物。そんな物でも言及を封殺出来るのが目弾きの朱も苛烈な美貌の力なのだけれど、それが通用するのは遠間から美術品を鑑賞するばかりの親しくもない相手のみ。一刻にも満たぬ短時間とは言え濃厚な一時を共有した後輩に、果たしてそれが通じるのかどうか。苦しい言い訳を誤魔化そうとしてか、ついにイェンの両手が少女のショーツに伸びた。最後の一枚をさっさと脱がねば、欲望に突き動かされた留学生はしゃがみ込みながら後輩のショーツを引き降ろすという凶行に及ぶだろう。)
■ウェンシア > どこまでもスマートにどこまでも落ち着いている彼女の様は、恋愛経験のない少女にとってトキメキを憶えさせるものだろう。服を脱ぐ様までもが漢らしく思えてしまうのもきっとそれ。脱げと言われればおずおずと彼女に背を向けるのも絶対それ。
そんな恥かしさと恥かしさと恥かしさが同居する状態の少女に、彼女が脱衣を手伝おうとして手を伸ばしてくる。少女は彼女の手を避けつつ自分で脱ごうとするも、肌に張り付いたインナーはどうする事も出来ず、自分の手の届かない所は彼女に任せることにした。が、これが間違いだった。
「えっいや自分で脱げるから・・・ちょっ…――『様』と『ちゃん』を聞き間違えた人、初めてなんだけど?…ちょっと先輩?ば、ばかっ!」
彼女の手が自分のショーツに伸び、あっというまにそれを引きおろした。少女は肉付きはよくないもののしっかりと締まった尻肉を彼女に晒してしまう。慌てて両手で尻を隠し、真っ赤な顔で頬を膨らまし抗議の顔を見せ付けた。降りてしまったショーツは床の上。少女は苦虫を噛み潰したような顔をしながら舌を大きくべー、と出し浴室へと進んでいった。
■イェン > (どちらかと言えばイェンよりもぱっぱと脱衣を終えてしまいそうな少女の羞恥。産毛めいた薄い翳りに彩られた秘所すら隠さず近寄るイェンに、くるりと薄い背を向ける様子などはぞくっと背筋が震える程に愛らしかった。そんな彼女がこちらの苦しい言い訳に対するツッコミも途切れさせ、淫手の脱衣に抗議の声を上げる。そんな可愛い反応を返されてしまっては、イェンでなくてもショーツに手を掛け引き降ろしたに違いない。………ヴィルヘルミナ様なら、うん、多分すると思う。リブラック様もするだろう。間違いない。そんな言い訳と共にさり気なさを装い、ちら、と後輩の恥部も心のメモリに録画した。今夜のおかずが決定した瞬間だった。舌を突き出し、逃げる様に浴場へと戻っていく後ろ姿を大人びたくすくす笑いで見送って、彼女の代わりに濡れた衣服を手に魔導器へ。途中、人肌を残す下着を鼻先に近付けたいという欲望には流石に耐えた。万が一そんな姿を見られたら間違いなく全てが台無しになる。そんな予感があったからだ。二人分の衣服を呑み込んで唸り始めた魔導器に背を向けて、浴場で待っていた後輩と共に洗い場に足を進める。据え置きのアメニティを手の平で泡立たせ、シャワーの使い方を説明しながら、髪を、身体を洗い清めていく。その最中白磁の美貌が、かぁぁ…っと不自然に朱を広げたのは、友人たる伯爵令嬢との入浴を思い出してしまったから。あの時彼女にされた事を、傍らの後輩に向けたのならどうなるだろう。そんな妄想にどきどきと鼓動を弾ませながら、ちらりと横目で少女の裸身を盗み見る。『シャワーの使い方、ちゃんと伝わったのでしょうか?』という先輩らしい優しい気遣いを口実とした小賢しい視姦であった。そうして一日の汚れを落とした二人の少女が浴槽の端に並んで裸身を沈める。冬場の肌寒さの中、露天風呂に身を浸すカタルシスには叶わぬ物の、それでも程よい湯温に優しく身体を包まれる感触は、艶っぽい吐息が自然に漏れるくらいには心地いい。)
「は、ぁぁ………♡ 気持ちいいですね、シア、……ちゃん♡ 普段でしたらもうとっくに第二波のラッシュが始まっている頃合いなのですが、貴女は本当に幸運に恵まれているのでしょう。もしかしたら食堂で何かがあったのかも知れませんね」
■ウェンシア > 彼女の心の内を知らない少女は、大人びた笑い方も素敵に見えて。自分が脱ぎ散らかした下着までも魔導器の中へと入れてくれる母か姉のような面倒みの良さも、少女にただ好感を与えるだけになっていた。いや、なってしまっていた。
程なくして彼女が入室してくれば、少女は進めていた足を戻し、彼女の元へと寄っていく。なんだかんだ文句を言いながらもその雰囲気を楽しんでいるのだろう、終始笑顔のまま、時折意地悪な微笑みを向けながら、まずはシャワーへ。教えて貰った通りに手を運び、怯えるように湯を出し、『これでいい?』と彼女の方を見ながら確認し…心配してくれてこちらを見ている(?)彼女と目が合い慌てて視線をそらして体を洗い…何気ない事なのだが、一人が多い少女にとっては大事な時間。とても楽しい時間だった。
「うん、すっごく気持ち…イイ…♡はぁ…あんま人、多いの好きじゃないから、良かった…」
溜息にも似た言葉を吐き出しながら彼女の言葉に答える。が、はたと気付いた。ちょっと変な声、出ちゃったかも、と。それを誤魔化すように『あ、今シアちゃんって言ったよね?絶対』と彼女の方に体をずい、と寄せ、歯を見せて意地悪く笑って見せた。
■イェン > (わざわざこちらに駆け寄る姿は、先の湯散らしのイメージもあってなのか仔犬めいて可愛らしい。思わず裸身の両腕を広げ、豊かな胸で抱きしめてあげたくなる。勿論、そこまで近しい真似はしない。イェンはそれなりに忍耐力のある娘なのだ。)
「―――ええ、良くできましたね。上出来ですよ」
(なんて思ったのも束の間、おずおずとした問いかけにあっさりやられ、赤褐髪に白手を伸ばしてその頭部を撫でていた。動きに合わせて豊かな白乳も柔らかく揺れる。ちゃん付けに対する言及には、澄まし顔の唇ばかりを綻ばせ『ふふふ♡ また聞き間違いではないですか?』なんて言葉を返して戯れる。何気ない―――本当に何気ない動きだった。イェンとて意識しての物ではなかったのだけれど、こちらに寄せられた裸身に白腕が伸びて、その腰を抱き寄せていた。自然、ぷかぷかと湯水に浮いた豊乳に少女の顔が押し付けられ、その頭部が起こされた時にはもう、バランスを取ろうとした彼女の身体はイェンの太腿の上に跨る形で乗っていようか。キスすら容易い至近距離。湯水の揺らめきに合わせて揺蕩う豊乳が少女の薄胸に触れてお椀型の球面を拉げている。近付いて改めて見れば、同じヒト種であるとは思えぬ程の美貌が、桜色の唇を開いて紡ぐのは)
「…………シアちゃん。いかがでしたか、この寮は。私としては素直にお勧めできる宿泊施設です。半年足らずではありますが、ここで過ごしていて大きなトラブルに見舞われた事はありませんし、不便を感じた事もありません。 ――――それと、ですね。今ならきっと、私が貴女の同室相手となると思います。新しく寮に入った場合、上級生とペアを組むのがここの通例となっておりますし、現在余っている上級生は私だけです。寮母様が私に案内を任せて下さったのも、恐らくはそうした意図があっての物でしょう」
(目弾きの朱が決して消えぬ印象を少女の魂に刻みつつ、二人きりの浴場に涼声を静かに反響させて言う。今度ははっきりとちゃん付けにして。困り顔の寮母に恩を売ろうとした事がきっかけの出会いだったが、それから一刻も経たぬうちに裸の関係に至ろうとは、流石のイェンとて想像していなかった。己の近寄りがたい雰囲気を自覚しているイェンなので、初対面の後輩とこうまでスムーズに仲を深められたことを不思議にも思う。《華》の一員としては間諜に対するカウンターアクションを疑うべき状況なのだろうが、彼女にそうした企みが無い事は確信していた。それほど人を見る目に自信があるわけではないが、こちらを見つめる翠瞳の煌めきはどこまでも透き通っていて、それが嘘だというのならば騙されたとて仕方あるまいと思える程なのだから。)
「シアちゃん、私の部屋で一緒に過ごしませんか? 私も人と仲良くなるのがあまり得意ではないものですから、貴女であれば楽しく過ごせる気がしますし……ね、シアちゃん。来て、ください……」
(最後はもう発した本人すら聞き取り辛い程の囁き声が、少女の唇を奪っていた。企みも衝動も無かった。気付いたら唇と唇を重ねていた。そうとしか言いようのない動きが、出会ったばかりの下級生の唇を奪い、閉ざした双眸の長い睫毛で目元を擽り、そのまましばし、時を止めた。)
■ウェンシア > 『聞き間違えでは無いですか?』その声までは少女が想定していた通りだ。少女はその言葉に大してジト目を送り、笑い声を出そうとしたその時だった。ほんの少し彼女の手が触れてきて、ほんの少し彼女に引き寄せられて…いつの間にか彼女の太腿の上に跨っていた。少女はあまりにも自然に、このような体位になってしまった事に驚く。慌てて体を離そうとするも、自分の顔が彼女の胸に押し付けられており、――心地よくて逃げられない。文句の一つも言おうと彼女の顔を見れば、その美しい顔がその口を塞がせる。
彼女は寮についての事、そして部屋の事を告げているのだが、どうやら少女は殆どその言葉を聴き取れていなかった。彼女の優しく柔らかい肌の感触、尊顔がそうさせているのだ。そんな中でも同室になるという言葉は頭にすんなりと入ってきていた。同時にびくん、と体が跳ねた。
美しい唇から続けられる言葉、囁きは言霊のように少女の脳に染み渡っていっており、もう否定する事なんて出来ない状態。
(この人の言うとおり、この人となら楽しい生活ができるかな…うんって言わないと…うんって…)
しかし少女は言葉が出ない。――彼女の唇が自分の唇に軽く…極々軽く触れてきたからだ。少女はそんな彼女の行動にも拒むこと無く、下がった眉、薄く開かれた唇、うっとりとした瞳でそれを受け入れていた。
淡い口付けが終わった後、少女は数秒の間をおいて、やっと口を開く。
「…はい…先輩…♡」
陶酔しきった表情で紡がれた肯定の言葉は、口にしようとしていた『うん』ではなく…
■イェン > (大人のキスも経験したイェンである。舌を絡めた相手が全て同性というのは正直ちょっとどうなのかと思わなくもないけれど、むしろ、だからこそ重ねた唇に舌を送る事に躊躇いは覚えなかった。そうしたいという欲望もあった。にもかかわらずそれをせぬまま唇を離したのは、そんな、淫欲で絡め取る様な方法で後輩の言質を取る事は何か間違っている気がしたからだ。有無を言わさずキスを重ねた時点でもう手遅れと言う意見もあろうが、それには気付かなかった事にする。 それほど長い時間ではなかったはずだ。それでも互いの唇の柔らかさはしっかりと堪能できるだけの時を隔て、距離を離した美貌が耳にした言葉は、甘い後味の残る承諾の言葉。やんちゃそうな少女の選んだ『はい』という淑やかな返事は、続く『先輩♡』と共にイェンの心を震わせた。)
「――――ツそうですか! そうですかっ!♡ ならば急いで寮母様に話を持って行かねばなりませんね。あぁ、寝具の準備は今からでも間に合うのでしょうか。最悪は………そう、ですね。場合によっては私のベッドで共に眠る事も考えておいた方がいいかも知れません。覚悟しておいてくださいね、シアちゃん♡」
(勿論、如何わしい行為に対する覚悟ではなく、一つのベッドで共に眠るという覚悟である。寝相の悪さを装って抱き着くくらいの戯れはしてしまうかも知れないけれども、それも含めて覚悟を決めておいてもらいたい。まるでタイミングを見計らっていたかの様に脱衣場が同年代の少女たちの賑やかな声音に満たされた。正面から抱き合う形の裸身に今更ながら思い至り、慌ててざばっと立ち上がる。純白の裸身は、ほんのりとピンクに染まる程温められていた。優美な曲線から温水の雫を伝い落としながら、今後はルームメイトとなるのだろう少女に手を伸ばし、新たな利用者と行き違う形で脱衣所へ。魔導器も張り切ってくれたのだろう。二人の衣服は十分に乾いていた。)
「それでは行きましょうか、シアちゃん。寮母様が報告を待っているはずですから」
(きゅっと少女の手を握り、小走りに近い足取りで共同浴場を後にする。人並外れた美貌はあっても人付き合いはあまり得意そうに見えないイェンが、よもや見事に下級生の寮入りをもぎ取ってくるとは思っていなかったのだろう。話を聞いた寮母は驚きに目を瞬かせつつも、新たな寮生の編入を受諾した。彼女の部屋は予想通りイェンの同室。寝具の予備はあったのだけれど、天日に干す事までは出来ていないというそれの受け取りは後日に回し、結局この日は二人仲良く一つのベッドを共有する事となる。意識の落ちる瞬間まで、下級生と他愛のない会話を続ける幸せは留学生の寝顔に天使の様な微笑みを浮かばせたのだとか―――。)
■ウェンシア > 少女にとっての初めての口付けは、目の前の生徒によって奪われた形になった。それも同性から、だ。しかし少女は後悔はしていなかった。少なくとも目の前のこの彼女は自分に対して嫌悪を示して居なかったから。友人の無い少女にとって、彼女が心の寄り所になりつつあったのだ。
「え、今から…うん、わかった…え?えー…先輩のベッド?…流石に予備位あると思うけど…」
口調は戻ったものの、少女の頬はずっと紅いまま。勤めて自分を取り戻そうとしながらもこっそりと触れて貰えた唇を撫で、『しちゃった…』なんて囁きつつ…そんな声は脱衣所を賑わせる生徒の声でかき消されるだろう。脱衣所で体を拭く間も、服を着る僅かな時間も、少女は目の前の彼女をじっと見詰めていた。こんな素敵な人が、こんな綺麗な人が、屋上から見て憧れていた人が…そう思うと心臓がとくん、と鳴る。
「ホントに乾いてる…すご…あ、うん。分かった…――ちょ、ちょっと先輩慌てすぎ…」
半ば強引に手を引かれ寮母の下へと報告に。先程説得をしていた時と明らかに表情が違う少女を見た寮母は、訝しげな表情を二人に向けているが、少女は『秘密』とぶっきらぼうに吐き捨てるだけだった。それでも繋がれている手はそのままに。寮母の前でほんのすこしだけ、ぎゅ、と彼女の手を握って微かに微笑んで見せた。
今日から青林檎のさわやかな香りに包まれる一室で、彼女と共に生活を始める。少女にとって転機となるだろうこの一日は、良い思い出になる事は間違いないだろう。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 女子寮」からイェンさんが去りました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 女子寮」からウェンシアさんが去りました。