2021/05/17 のログ
■エレイ > その後何があったのかは、当人たちだけが知るところで──
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都の街角」にロクサーヌさんが現れました。
■ロクサーヌ > 小さな古びた革鞄を肩から提げ、ぶかぶかの歩きにくそうな靴を履いた、
瘦せっぽちの小柄な人影が、暮れなずむ細い街路を辿る。
少しでも早く、知り合いの居ない所へ行かなければならない。
できるならば仕事も、ねぐらも見つけなければならないが、
なによりも、ひと目につかないことが肝要だ。
だから―――――世話になっていた娼館からは、できるだけ遠くへ。
けれども、ふと、足を止める。
貼り出された掲示の大半が、薄汚れたような掲示板の前だ。
その中には求人広告もあるかも知れないし、
たずねびとの広告も、ほかにもいろいろ――――――
「……字、教えてもらっとけば良かったな」
そう、どんな好条件の求人が奇跡的にあったところで、
己には文字が読めないから、どうにもしようがない。
そもそもこんな忘れ去られたような路地に、そんな奇跡、
望むべくもないのかも知れないけれど。
■ロクサーヌ > しばらく睨んでいたけれど、急に文字が読めるようになるわけもない。
むしろ、なんだか頭が痛くなり始めていた。
「やぁ、めた……とりあえず、今夜、眠れる場所を探さないと」
ため息交じりに呟いて、片手で軽くこめかみあたりを押しながら、
掲示板の前を離れて歩き出す。
向かう先は安宿か、それともどこかの廃屋か。
最悪、公園で野宿でも構わない、という程度には、
硬い意志を持った、小娘の出奔だった、という――――――。
ご案内:「王都の街角」からロクサーヌさんが去りました。