2021/04/16 のログ
ご案内:「地下通路」にリーアンさんが現れました。
■リーアン > ――――――何処かで、獣の咆哮が聞こえる。
暗く湿った石造りの迷宮、太腿辺りまでしか隠れない薄い肌襦袢一枚で、
小石や砂利のようなものに素足を苛まれながら、あるかどうかも解らない出口を目指す。
まるで悪い夢のようだとは思うけれど、足裏の痛みが、背筋に染み入る肌寒さが、
時に目も翳む程の動悸の激しさが、現実だと教えてくれる。
危険が直ぐ傍に迫っているのか、其れとも上手く遠ざかれているのか、
そもそも、何が危険であり脅威なのか、其れすら、己に知る術は無いが―――――
逃げなければ、と、ただ、其れだけは感じていたから。
捕まれば、獣に頭から食らわれる。
あるいは己自身が獣のように這いずり、啼き喘ぐ痴態を晒す羽目に陥る。
そんな想像ばかりが胸に迫り――――――走る、走る、走る。
分かれ道に来れば直感で道を選び、足の向くに任せてまた走る。
こんな遣り方で危地を脱することが叶うとは、とても思えなかったが。
ご案内:「地下通路」にウォルスターさんが現れました。
■ウォルスター > 「ウオオオオオオオッーーーーーーーッ!!!!!」
地下通路に響く獣の咆哮。
仲間を捨てて我が身可愛さに逃げ出したのだと、獣の咆哮は女へとそんな意味を乗せて響いていく。
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!と巨躯を彷彿とさせる獣の足音。
もうすぐ獣がやってくる―――そんな風に彼女を焦らせるように獣の足音が地下通路の迷宮に響いている。
ハッ ハッ ハッ ハッハッ
遠くから獣の息遣いが聞こえてくるだろう。
すぐそこだ、お前を食らう獲物が此処にいるぞとわざと獣は呼吸音を荒くしていた。
その呼吸音はまるで人間の笑い声のように逃げ出した獲物を笑っているように聞こえるだろう。
獣の足音はさらに距離を詰めていき、生臭い息を吐き出すような獣の息遣いがすぐソコに―――
「見つけましたよ、皇女様―――」
と、彼女へと声をかけたのは真っ黒な巨大な狼。
牙を剥き出しにしたその眼光は鋭く、絶対的な暴力のように巨躯の狼が背後から駆け寄ってくる。
もう逃げ道は無いという風に、その背中部分からは幾重にも真っ黒な触手がうねうねと淫猥に蠢きながらカタチを露わにしていき。
逃げる女を拘束し、さらに奥深い闇夜へと連れ去ってしまうように迷宮の奥へと連れ去ってしまうかもしれない。
■リーアン > 「―――――――――――― っ、っ!!」
来る――――――きっと、もう、追いつかれてしまう。
焦りが足を縺れさせ、呼吸を乱れさせて、ますます不利な状況に陥る。
背後から迫る足音は明らかに、四つ足の獣のもの。
鋭い爪と牙を持つ、其の巨躯を鮮やかに脳裏に描くには、其れだけで充分だった。
だからこそ、理性も矜持もかなぐり捨てて――――――
其れなのに。
皇女様、と己を呼ぶ声、振り返って其の姿を確かめる間も無く、
背後から伸びてきたナニカが、己の四肢を絡め取る。
悲鳴を上げようとした口さえも、得体の知れないモノに塞がれ、
闇色に映える白い肢体は引き摺られ、再び、闇の底へと連れ去られて、消えた――――――。
ご案内:「地下通路」からウォルスターさんが去りました。
ご案内:「地下通路」からリーアンさんが去りました。