2020/12/29 のログ
イーヴィア > (背負った荷物を担ぎ、ゆっくりと地面に降ろす
採集物ばかりが詰め込まれた荷物は重く、加減をした筈だと言うのに
ずしりと、地面を重さが伝うだろう。)

「子供にしちゃあ、随分と弓の扱いが手慣れたもんだ
王都のガキ共じゃあ、あんな感じにゃいかないぜ?
明後日の方向に飛んで行って、危なっかしいのが関の山だ。」

(確かに、警戒とはするに越した事はないが
子供、と言う部分を引き合いに出されると、くつりと笑う
そんじょそこらの若者よりはおっかないさ、なぞと言いながら
特段の損傷も無く、先端の歪みを戻せば問題無い其れを手渡そう

そうして――相手の傍へと腰を下ろす
荷物袋を背凭れ替わりにしながら、ゆっくりと頷けば。)

「……嗚呼、王都で鍛冶屋を遣ってる。
ヴァルケス武具店の、イーヴィアってモンだ。
知ってても知らなくても、覚えて貰えりゃ嬉しいね。」

(王都では――多少名が通る自信は在るが
果たして相手が、王都まで足を運ぶのかは知らぬ故に
自己紹介代わり、店の宣伝もしてみながら、相手の問いには肯定を返そう
自分がその店主であり、鍛冶職人だ、と)。

イーゴリ > 「物心つく前から触っていりゃアね、誰でもあの程度は出来るだろうよ。」

呵々と邪気無くかろい笑い声を発てる。
実際、長年と言わずとも、常日頃弓を取る事になる狩人の子辺りは、不可能ではない動作だろう。
誉め言葉として受け取っておこう、変わらぬ調子で繋げて。

「ヴァルケス武具店――――……ああ、お前さん、あそこの店主殿…ご本人だったか。」

傍らへと腰を落とした男の名乗りに、舌に音を馴染ませる様、記憶を掘り返す様、幾度か繰り返し呟いた。
其れから数瞬の後、思い出した様に声を上げ、言葉を重ねる。
足を運んだ事は無いが、傭兵仲間や冒険者の知人やらから聞いた、『自称ドワーフの店主』の特徴と、その名前が、言葉と記憶を結び付けた。
当人が知れば、些か失礼な思い出し方ではあるが――知られなければ如何と言う事もないのだ。

「儂はこれが主だしなァ、知り合いが腕の良い職人だ、って褒めていたよ。」

イーヴィア > 「その時点で普通の子供とは違うだろうさ。
……と言うか…、……物心つく前、ねぇ?」

(その物言いではまるで、大人が幼さを思い返す様に聞こえる、と
笑いながら指摘しつつ、荷物の中から取り出したのは干し肉
布に包んだ其れを、相手との間にぽんと置きつつ
齧るかい、と、一声かけて。)

「一応此れでも店主さ、定期的に、こうして材料を掘りに来ててね
此れだけ採れりゃ、良いモンが作れそうだ。
もし王都に寄る事がありゃ、物見遊山でも歓迎するよ。」

(他人からの評価は、何時聞いても嬉しい物だ
鍛冶屋なんてやって居れば、評価されると言う事は即ち、腕の証明
有難いね、なんて口端釣り上げたなら、相手の装備を示して
ちょっとした修理でも歓迎さ、と)。

イーゴリ > 何か問題でも?とでも言わんばかりの表情。
真実を告げて居ないだけで、嘘は一つも吐いていないのだ、突かれた所で痛くも痒くも無い。

「有難く頂戴するよ。」

間に置かれた干し肉には瞬きを一つ、其れから片目を眇めて緩やかな弧を作る。
万が一、多少悪くなっていたとしても人よりも随分と頑健な体だ、然して困る事もない、と思っての無警戒。
単純に小腹が空いていた、と言うのも勿論あるが。
一枚手に取りつつ、

「職人だのー。」

相槌混じり、男の言葉に頷き零す。
材料の採取も全て相手自身が、となれな、己の持つ『職人』のイメージが丸々と嵌る。
生き易い様に生きている己には、少々眩しくもある。
笑う面は其の儘に、干し肉を一口齧って咀嚼し、飲み込んだ。

「賑やかしなら任しとくれ。
―――おや、それは有難いのう。 何せこのサイズだろう? 中々如何して扱いがなァ、」

最後の言葉は、多少困り顔染みた物になる。
如何せん、このサイズ感は自分では変えようが無い。
己の体躯で扱えて、使い勝手が良く、程良く頑丈、となればどこの誰に任せても大丈夫、とはなり難い。

イーヴィア > (惚けるなら其れまでだ、別に追及する理由も無い
笑みながら、肩を竦めて見せれば、相手と共に自分も干し肉を摘まみ
同じタイミングで口の中へと放り込むだろう
出来が悪いわけでもない、只の干し肉だ。 好みの問題で、少々濃いめだが
塩分補給としては貴重だろう。)

「自分が作るんだ、凝りたくなるのは何処までも、さ
良いもん作る為にゃ、材料からってのは料理も一緒だろ?」

(初めから一貫して、製作に関わるのは己一人だ
勿論他に店員は何人も居るが、逆に製作以外の殆どを任せている
けれど、其れは己なりの、生きやすい生き方を追求した結果
生き方の違いに、上下もあるまい

――少しばかり相手の姿に目を凝らす
多少不躾に見えるかも知れないが…背丈に装備、確かに、選択肢は狭まるだろう
子供用の練習装備一式、だとかなら幾らでも在るだろうが
勿論、相手が求めているのはそう言う物では無い筈だし。)

「―――……いっそ、質の良いのを一揃い作っちまうってのも手だがな。
弓に思い入れが在るんなら、調整するしかねぇか。」

イーゴリ > 「儂は拘りが無い方だからなァ―――だが、お前さんの言う事は分かるとも。」

今の武器構成とて、此の体で出せる最善手、を突き詰めた結果でしかない。
間合い、威力、読み合い、その他諸々――此の体での最大効率の働きが出来る其れ。
其の一番良い物を、と言う点では、確かに理解は出来る。

噛み千切った干し肉の味は嫌いでは無かった。
寧ろ好きな方の味だ。
二口目、と食べ進め―――向けられる視線には、不穏な気配を感じなければ、別段何を言うでも無い。
ややあって、開かれる男の口から出る言葉に、ふむ、と頷きを一つ。

「魅力的な案ではある。―――が、……ううん、いや、弓には別段思いれもないんだがねェ。」

流れの傭兵なんぞやっていれば、目立たぬ様にしては居ても当然恨みを買う事もある訳で。
一所には出来るだけ留まりたくないと言う事と、単純な話、己の周期的な変化が、行動を変える事によって洩れる事を恐れている。
流石に数十年も続けていれば慣れもするが、不便な体よな、とは心の裡に。

イーヴィア > 「目的によって材料は変わる
高級だから、希少だから良いって訳でもない。
でも、鉄にも鉄の良し悪しが、金にも金の良し悪しが在るんだ
そりゃあ、なんでも良いって訳にゃ行かなくてな。」

(そういうこだわりさ、と。
勿論それは、理解出来ない人間も居るだろう
殆どが自己満足の領域だと言う事も自覚は当然あるが
其の拘りが、自分の製作物に現れていると言う自負も在る。

――干し肉を齧りながら、考える色々
こと、鍛冶に関わる事だと考え込んで仕舞う性質だが
相手にとって最も都合が良い部分は、装備の出来云々よりも寧ろ。)

「――――……調整し易くて、取り回しの効く弓…ってトコか。
一発の威力が欲しいって感じでも無いだろうしな。
其の弓も悪い弓じゃあ無さそうだから、無理に変える必要もないんだが…。
……もっと、軽くて頑丈にするってんなら、やりようは在るかもな。」

(――別に、己が店で常に修理する必要なんて無い
狩人なぞ、余程破損した時でもなければ自分で何とかして仕舞う物だ
なら、"改良"や"改善"を考えれば、思いつくモノは在る)。

イーゴリ > 「己の叶え得る最良の物を、となれば尚更か。」

朗々と語られる言葉には思わず深く頷いてしまう。
納得出来る、と言うのは、少なからず己にもそう言った拘りがある、と言う事だ。
今更ながらに気付けば些か抜けた笑みが零れ落ち―――次いだ言には、瞳の瞬きが一つ、二つ。
其れから、にんまり、と唇が愉快そうに弧を描く。

「お前さん、好いなァ!」

思わずと言った調子でうっかり素が洩れた。
己の体躯と遣り取りと、後は旅の間の調整がてら、広げられた防具から判断したのだろう言葉。
恐らく、初動の威嚇射撃からも幾らか質は捉えられていそうだ。
ぐ、と身体の正面を相手の方へと捻り向け、常の飄とした面は些か形を収め、爛々と輝く片眸を晒す。

「是非とも聞かせて貰いたいンだが―――…対価は何が良いだろう。」

イーヴィア > 「まぁ、性分だ。
そこそこで人の役に立つ代物なら、別に拘らなくても造れる。」

(だから、其れ以上はあくまで、拘り、だ。
物を造ると言う事への情熱、鍛冶師としての自尊心
そして何より、現状で留まろうとしない探求心
――ドワーフ、なんて名乗りが決して口だけでは無いと
証明するのは己自身なのだから

隣から響いた声に、僅か視線を上向かせては、ふふりと笑う
それなりに経験の蓄積は在る、観察眼も持って居る心算だ
体格だけでなく、ちょっとした戦闘の動きを垣間見れたのだから
店先で、言葉のやり取りだけで判断するよりはヒントも多い。)

「対価か…勿論、実費で支払うって方法はひとつだな
もし素材なんかを持ち込めるなら、材料費は削ってやれるし
後は…、……相談次第だな、俺が価値を感じられたら、金に拘る必要も無い。」

(勿論、弓以外の装備も一緒となれば、金額は上乗せされるが
其の辺りは、相手の懐具合との相談にも為るだろう
其れに、今回は旅の道連れ。 初見の相手でも在れば、多少大らかに見積もる、と)。

イーゴリ > 性分、と言ってのけるのも、男の性質を表している様で愉快な気持ちになる。
表情に浮かべる色は其の儘に、かち合う視線へと己の其れを合わせ遣る。
重ねられる言葉を耳に、ふむ、と相槌めいた呼気を逃がして。

「たんまり、ってェ程じゃあ無いが、こう見えて貯蓄はある方さ。」

安心しておくれ、と飄々とした物言いに戻し、双肩を竦めながら軽口を叩く。
遊興に耽る質でも無ければ、必要経費以外の出費等殆ど無い身だ。
稼いだ金は溜まる一方。故に、弓が良ければ防具も、とは考えて居る。が――

「然し素材か―――素材、ねェ。
お前さんが価値を感じられるモノ、なァ――…難しい事を言う。」

幾ら対人戦・団体戦の方が得意だとは言え、ダンジョンにも潜る様な身だ、物によっては素材も取っては来れるだろうが、持ち歩くに不便な其れは優先順位の低い選択肢。
必要な素材が欲しい、と言うのであればまた別の話ではあるが。
緩、と捻った頭。彼が価値を感じられるモノ、にさっぱり頭が回らぬ。

イーヴィア > (素直に金で支払いを済ませて貰う分には問題ない
素材提供も、此方の損になる訳では無いし
場合によっては客人が、意外な品を持ち込んでくることも在るので
割と歓迎では在ったりする

その他の支払い方、については、己もこれと言えはしない
相手が何に価値を見出すか、己が其処に価値を見出すか
其ればかりは、提案されて見なければ判らない物だ。)

「……そうだな、例えば珍しい道具や武器、装備品とかだ
別に物々交換じゃなくても良い、俺にちょいと研究させてくれればね
後は知識や情報化、御前さんが何か、面白い事を知ってるなら、其れも価値に為り得るってもんだ。
後は…、……其れこそ色々だな、代金代わりに身体で、なんて相手も居たし
うちで働く、なんて条件の相手も居たからな。」

(此れまでにあった一例を出して見ながら、参考に為れば、と
とは言え、身体を売る、なんて部分に関しては完全なる冗句めいた調子だ
見目ばかりは完全に幼子の様な相手に、其れを求める心算も無いし
もっと健全で、現実的な方法が取れるなら、態々選ぶ理由も無さそうだ

素材に関しても、持って来るのが難しいと言うなら
既に手元に、荷物袋の中には、十分な代物が在るのだ)。

イーゴリ > 彼が例に挙げる言葉に、時折相槌を打ちながら頭の中で算段を進める。
物品の収集癖の無い己は、珍品の類は直ぐに売り払ってしまって蓄財は無い。
情報の類も、己が仕入れがちなのは飯の種。
防具店、に対してはある意味有用やもしれぬが、対価としては不足が過ぎる。
体で、と言うのは確かに実利があるとも言えるが需要と供給、と言う物がある。
戦闘やらダンジョン潜りやらで無ければ己向きではないな、と殆ど流し聞きだったのが目に見て取れるのだろう。

「―――よし。 それじゃア、実費でお願いしようかね。」

暫しの沈黙の後、最終的にはすぱりと告げた。
一番手堅く、分かりやすい。

「とは言えね、ま、珍しい物があれば見せに行く位の度量はあるとも。
必要なら、別件で買い取ってくれりゃア良いしねェ。」

口角を持ち上げた儘、かろい調子で紡ぎ遣った。

其の後は、必要そうな情報の遣り取りやら、次に王都に向かう予定やら、他愛の無い話やら。
そんな事を話して小休止を切り上げる。
広げて居た武具とマントを纏い直し、宵闇に紛れて目的地までの距離を削る心算。
去り際、思い出した様に自身の名を名乗る事になるのだろう―――。

ご案内:「洞窟」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「洞窟」からイーゴリさんが去りました。