2020/11/21 のログ
ご案内:「未定」にフェリーチェさんが現れました。
ご案内:「未定」からフェリーチェさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈の山間」にエルディアさんが現れました。
■エルディア >
九頭龍山脈の山間の一つ、奥まった場所にその場所はある。
村や街道からは程遠くかつて取り立てて特筆すべきものも何もなかったその場所にいつからか小さな湖が出来ていた。
岩が融解するほどの焔に晒され死に絶えたこの場所は今、先祖返りを起こした原種に近い植物に覆われた湿地帯となっている。
過去にそこであった争いの影は陥没した地形程度にわずかにしか残ってはいない。
ひっそりと隠れるようなその場所に立ち寄るものは皆無といって良いだろう。何故ならそれは本来どこにでもある、誰にも顧みられることもない場所であったから。
その雪と湖の水にぬかるんだ岸辺で我が身を投げ出すように横たわっていたそれは僅かに身じろぎ僅かに目を開けた。
体は動かさず、目だけで周囲を確認すると再びゆっくりと目を閉じる。
幸いにもこの辺りに一定以上の大きさの”生物”の気配はない。
水音と風の音に耳を傾けながら此処は良い場所だとぼんやりと思考をめぐらす。
湖の畔に横たわった穢れに怯えているのか今は声を潜めているがこの場所には汚染されていない精霊が多い。先祖返りした植物の中に結晶花等も見えるのもその影響だろう。
捻じ曲げられた流れがこの場所には自分以外ない。そんな環境だからそれらが生息出来ている。
いずれ周囲の植物と同化していくだろうけれど、純粋な”流れ”がこの場所にはある。
今でこそ薄く雪が積もり、花は咲いていないが……季節が廻ればさぞかし美しい湿原となるだろう。
ああ、この場所が燃え尽きた時、泣きそうな顔をしていたあの子達が元気でよかった。
「……?」
何故そんな事を知っているのだろう。
頭痛と声、そしておぼろげな記憶を抱えてさまよっていただけの自分はどうして、いつ此処に来たのかも定かではない。
それにこの場所に自分は相応しくない。最も居るべきではない存在ですらある。
時折戻る理性は一刻も早くこの場所を立ち去るべきと告げている。
……それを判っているのになぜだろう。この場所で微睡む事が酷く魅力的に思え、こうして立ち上がることもせずに目を瞑ったまま横たわっている。