2020/11/04 のログ
■リシェ > 「……過大評価。しているつもりは、有りませんよ?」
(らしくない、のだろう、彼の表情。少年らしい、その変化を。見た事の有る人間は。きっと、多くない筈。
数少なく、珍しいに違いのない、その機会を得ながら。くすくす、と、ほんの少しだが、少女が笑った。
それもまた、普通の少女らしい、と。そう言っても良い、顔だった…かもしれない。お互いに、少しずつだけ。本来、有り得たかもしれない、何かを晒して。)
「一度、お会いした。それだけ、でしたのに。…ちゃんと、覚えていて下さった。考えてみたのなら。どれだけ、素敵な事…なのでしょう。
はい……えぇ、はい、わたしも。わがまま、言ってしまいますから。お互い様…で、良いのでは?
………構いません。酷、だなんて。もっと酷い事……酷い人。たくさん、たくさん居りました。それと比べれば…わたしが、自分で選んだ…選ぶ事が、出来た選択。なのですから。」
(知った上で、更に貶めよう、堕とそう、とする輩の方が。ずっと、ずっと多いのだから。
真逆、そう言っても良い、彼の言葉は。少なくとも、春の頃とは違う、今の少女にとっては。厳しくも、だからこそ有難い、といった物。
覆い被さられながらの、穏やかで、優しげな微笑み。…今更、少し、照れ臭く。そろそろと、僅かばかり、瞳が揺れて。)
「なんとなく、わかり…ます。ホーレルヴァッハさま、が。そのように、生きていらっしゃる…事も。
誰に言われた、取り決められた、などではなく。あなたさま、ご自身で。
……っと。そう…ですね?もし、宜しければ。……ギュンターさま。そぅ、お呼びした方が…良いのでしょうか…?
ずっと、お家の名で、お呼びしていると。あなたさま個人、ただお一人、という感じが。減ってしまう…気も、いたしますから。」
(自分では、それは、名案だと思うものの。実の所、どう受け取るのかは、彼次第。
もしかすれば、失礼に当たる、と取られるかもしれない。細かい所を、気にするな、と笑われるかもしれない。
どう転ぶのか、全く、見当が付かなくて。折角、下から上へ、位置を変える事が出来たものの。少しだけ、返答を待つ間が。有っただろうか。)
「…溺れる……とっくに、溺れてしまって、水の底…でしたら。改めて、溺れていく事も、出来ませんものね…?
それに。溺れてもいいのでしたら…どうせでしたら、一緒が良い……です…」
(最初から、ケモノのように、がっつくような事はしない。
ゆっくりと、立ち上る香りを追い掛けるように、体を倒し。彼の上に、覆い被さり返して。
まずは、口付けから。じっくりと。唇の端に、一度触れて。微かな焦らしを、与えた直後、唇を重ねていく。
ちろちろ、覗かす舌先で、彼の唇に触れて。内側まで、求めてみせる。受け容れられれば、矢張り、酒気帯びた舌を、這い込ませて。)
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「……であれば良いのだがな。迂闊に心を開いてくれるなと、私からは細やかな忠告だけしておこう。
人でなしの王族に心を許して、良い事なぞ何もないからな」
短い時間ではあるが、互いに見せあった少年少女の顔。
それは、確かにあり得たかもしれない何か。
こんな場所では無く、煌びやかで華やかな舞踏会で。
或いは、大勢の人々で賑わう雑踏で。
出会っていれば、或いは。
けれど、それは仮定の話。所詮は、有り得たかもしれない、という話。
「…それは、まあ。私は人の顔を覚えるのは得意な方ではあるし、その、うむ。それだけだ、それだけ。
……そう言ってくれるのなら、私も小言を言い続けた甲斐があったというものだ。そう思ってくれるのなら、そうお前が思い続けるなら。
きっといつか、お前にも良い選択が与えられる。結果はどうあれ、な」
素敵な事、なんて己に似付かわしくない彼女の感想には、ふいと気恥ずかし気に視線を逸らせてしまおうか。
それでも、再び視線を向けた先で僅かに瞳を揺らせる彼女に気付けば。
ふんわりと、穏やかな笑みを浮かべるのだろうか。
「……む?ああ、それは構わぬが。
家名で呼ぼうと、私の名で呼ぼうと、リシェの好きにすると良い。
……とはいえ、そう畏まって名を呼んでよいかと問われると、まるで夫婦の様ではあるな、リシェ?」
と、揶揄う様な声色で言葉を投げかけるのは、己に覆い被さった少女への、戯れの様な言葉の児戯。
肉欲に溺れる前の、ほんの戯れの様な、言葉。
「…そうだな。共に溺れてしまおうか。共に、沈んでしまおうか。
今宵は、此の褥の中では、ただのリシェと、ただのギュンターでしかない。
快楽を貪るに、それ以上の事は、何もいらぬ」
そうして、己の身体に覆い被さり、密着する少女の躰を受け入れる。
先ず、啄む様な口付け。そして、静かに這い寄る様な舌先が、己の唇に触れて、口内へ至ろうと。
それを受け入れ、舌を絡め合わせ、少女の舌を寧ろ此方から己の咥内へ引き込む様に。
少女とは対照的に、熱を帯びた獣の様な――得物を追い詰める獣の狩りの様な。
少女の全てを奪おうとする様に、互いの唾液を絡ませながら、深く舌を絡め合おうとするだろうか。
■リシェ > -継続させて頂きます-
ご案内:「王都マグメール 王城」からリシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。