2020/11/03 のログ
ご案内:「とある宿」からシルニアさんが去りました。
ご案内:「とある宿」からヴィクトールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にリシェさんが現れました。
リシェ > -お約束待ちです-
ご案内:「王都マグメール 王城」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「願いを持たぬ者等、欲を持たぬ者等、それは最早、理性有る生物として生きるに値せぬモノだ。
神でさえ、我欲をもって此の世を創生したのだ。こうした、そうありたいと思う事は、知性あるものとして当然の事」

其処で一度言葉を区切り、幾分酒精の混じった吐息を、唇から零す。

「だからな、リシェ。願いと変化を、常に望み続けろ。
褒美の為に、努力する事も良い。些細な我儘でも良い。
唯、自らの『欲』を決して捨て去らぬ事だ。諦めぬ事だ。
我欲無きものなど、正しく道具に過ぎぬ。
リシェは、道具ではなく、唯の我儘な少女であれば、先ずはそれで良いのではないかな。
その願いを叶える為に、褒美の為に。私の役に立つというのなら。私もまた、対価としてリシェの願いを聞き遂げる故な」

己の役に立つと告げる少女に、それは自らの願いを叶える為に在れ、と念押しする様に告げようか。
『道具』ではなく『リシェ』である為に、常に願いを持ち続けろと。穏やかな声色で告げるのだろう。
散々に人を食い物にした挙句、こうして少女と一夜を共にしようという己が言うには、皮肉が過ぎるかと苦笑いを浮かべつつ。

「……反逆、か。良い事だ。そうして、リシェを道具として扱った此の城へ、此の国へ、世界へ。
細やかな刃を振るうと良い。自分は道具では無いと、魂で慟哭すると良い。
………そんなお前を、一人の雌として喰らうのが私だ。私とて、所詮はリシェを抱き続けていた貴族達と何ら変わりは無い、唯の男に過ぎぬ。
リシェを救い出す正義の騎士でも無ければ、白馬の王子でも無い。魑魅魍魎蠢く此の城の、王族の一人だ。
努々、それを忘れるな。それだけは、忘れるな」

己の手を包み、そっと唇を落とす少女。
そんな少女の、いっそ神秘的にすら見える行為を、瞳を細めて眺めながら。
短く吐き出した吐息と共に告げるのだろう。己もまた、欲望の儘に少女を抱こうとする男でしか無いのだと。

「……喉も潤い、酒精も良い加減に回ってきた。
ならば後は、共に快楽を貪るのみ。私の情欲を、精々煽り立ててくれ、リシェ?」

そんな少女とベッドに交互に視線を向けた後。
クツリ、と唇を歪め、嗤う。
褥を共にする為に、己を昂らせてみせろと、小さく、嗤う。

リシェ > 「…よかった。それでしたら…今日は、怒られずに済みそうです。以前のわたしでしたら、きっと…あなたさまの、お気に召さなかったでしょう。
知性有るもの、らしからぬ有り様、でしたから。それこそ、人として、扱っていただけなかったと。…思います。」

(どれだけかは、判らない。ほんの少し、なのだろう。それでも、マシにはなった筈だと、胸を張れる。それだけは……間違い無いと。思いたい。
口付けを降らせた、彼の掌を。更に近くへ。胸元に、抱き寄せて。ひたり。ドレス越しの、乳房の上へと、触れさせる。
其処に、きちんと。とく、とく、音を立てて。生きた人である証、心臓の音が宿っている事を。伝える為に。
触れさせて。伝えて。そのまま、続きの言葉を、聞き終えたなら…)

「………わがまま、とは。我の儘、そうとも取れる…のですね。
自分が、自分である…為。物ではない、誰かである、為。そうであるなら、少しくらいは。許される、気がします。
…わたしは。……はい、わたしは、リシェ……です。モノ、ではありません。…リシェで、在り続けたいのです。
例え、その為に。何をするのだとしても………いえ、ふふ、大丈夫ですよ…?ちゃんと。判って、おりますから…」

(彼の教えてくれる、自分でもそうしたい、我を通すという事の、難しさ。
力を持った者達に、踏み躙られて、上から、押さえ付けられて。それでも折れず、密かに、牙を研がねばならない、大変さ。
どれだけ、喰い物にされても、喰らい尽くされてしまう事なく。自分という物を、残し続ける…自分のままでいる為に。
だから、少しだけ。力を借りたい。自分で、自分を支える、その為に。…変わる事は。自分で、頑張るから。
少なくとも、交換条件だとしても、それを約束してくれた、相手へと。頷いてみせる、その眼差しには。
先程とは違う、ちゃんとした、意思の色を閉じ込めて。)

「だとしても、良い……のです。ホーレルヴァッハさま…大勢の、殿方。貴族の、王族の、男達の中に。あなたさまが居て下さるのなら。
……誰も彼も、等しく同じでしかないと。諦めずに、済みます。…この世に。独りではないと。思っても良い、気がしてきますから。

それに。…何の代償もない善意、無償の施し、その方が。余程………えぇと、そう、余程、怪しいと思いますし…」

(ちゃんとした話をしている、そのつもりだったものの。上手い表現を思い付かず、何とも、微妙な言葉になってしまった。
其処の所を、少女も自覚しているのだろう。少しだけ。情けなさげに、眉が下がる。
序でに、此処まで来て、やっと。胸へと触れさせたままの、掌を。思い出したらしく。
これまた、少しばかり、申し訳なさげな顔をしつつ。そろそろ、握ったままでいた、彼の手を離して。…息を吐く。また、吸う。
軽い深呼吸をしたのなら。どうにか、頭もしゃんとしたようで。)

「…はい。参りましょう、ホーレルヴァッハさま。
適当に、道具をお使いになる…のではなく。わたしに、あなたさまへ、尽くさせて下さいませ……」

(それも、また。少女が、自分の意思でやる事だ、と。言葉にしてみせてから。立ち上がる。
彼の前に立ち、そして……する、する、と。その場で、ドレスを脱ぎ落としていく。酒気を帯びて、仄かに色を帯びた、肌を晒して。)

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「怒りは、せぬ。ただ、リシェがそう思う様な有様であったのなら、私はきっと此処迄話をしなかった。
リシェが、一人の人間としてあるからこそ…その、なんだ。少々長ったらしい小言を言ってしまったからな」

小さな苦笑い。少女からしっかりと『リシェ』という我を感じたからこそ、こうして色々と話した、話し過ぎてしまったと告げる。
乳房へ伸ばされた己の掌から感じる、ヒトとしての鼓動。
規則正しく伝わる少女の鼓動に、小さく唇を緩めて。

「……そう。お前はリシェという一人のヒトであれ。
その認識を、矜持を、お前がずっと持ち続けていられるなら。
どんな横暴にも、暴虐にも、きっとお前は耐えられる。
己が立つ為の柱を、常に己自身に先ず求める事。
それはとても難しい事ではあるが…大事なことだ。
そして、その為に他者の力を借りる事は、別に悪い事でも何でもないさ」

だから、己の力を借りる事は寧ろ良い事なのだと。
彼女と交わした、小さな約束。交換条件。
それもまた、彼女が『リシェ』である為のものなら喜んで手を貸すのだと、意志の色を込めた彼女の瞳を見つめて、頷いた。

「……余り私を過大に評価せぬ事だ。私も、所詮此の国の王族。他者から貪るだけの、浅ましい者達の仲間でしかないよ。
…怪しい、怪しいか。ふふ…そうだな。私も、リシェと同じ意見だよ。無償の施しなど、信用に値せぬ。信頼に値せぬ。
何も求めぬ、という事などあり得ない。感謝、崇拝、尊敬。そんな精神的なものを。物では無い何かを。所詮は求めてしまう。
その方が余程、浅ましく感じる故な」

眉を下げた彼女に、自分も似た様なものさと小さく笑う。
さて、離された己の掌をゆっくりと引っ込めれば、息を吐いては吸い、吐いては吸う少女を眺めて。

「……ああ。私も、今宵は一人の女としてのリシェを。
道具ではなく、リシェという女を、貪り、喰らい尽くそう」

己の視線の先で、衣服を脱ぎ落す少女。
仄かに熱を帯びた様な、少女の躰を眺めながら、ゆっくりと立ち上がる。
未だ固く絞められた儘の己の衣服のボタンを緩め乍ら、か細い少女の躰を、とさ、とベッドに押し倒してしまおうと。

リシェ > 「たしかに、物に対しては。叱ったり、話したり、しません……ものね?
以前、どなたかに。相手をされるだけ、まだ、救われている。そう、言われた事が有りました、けど。こういう事…でしょうか。」

(考え込むように、小首を傾げて。確かに、徹頭徹尾、本来の意味で、道具…物。そうとしか、見なされていなかったなら。
言葉を交わす、という事自体。有り得ない気がする。言葉の通じる、同じ人間。ちゃんと、そう思って貰えている。今まさに。
そう考える事の出来たのが、やはり、嬉しかったのだろうか。
慌てたような、深呼吸を重ねて。それでも。その間、口元を包み隠す、掌の上に。覗く瞳は。嬉しげに、緩められていて。)

「……私、自身に。先ず。……それは、はい…とても。大事な事、なのでしょう。
…頼りたい。縋りたい。何もかも、預けて委ねてしまいたい……と。考える事も、有ります。時々…自分というものを、信じられなくなって。
それでも……そう、ですね?あまり、情けない姿ばかり、見せてしまうと。そういう方にも…呆れられてしまうかも、しれません。
助けて下さる…ホーレルヴァッハさまのような、方々に。見放されない、くらいには。…頑張らなければ。」

(少女が現状、誰より、縋ってしまう相手は……口外出来ない。間違い無く、この国にも、人間にも、害をもたらす存在だから。
但し、そんな相手にですら。頼り切って、負担を掛けすぎては、いけないと。そう思い直す辺りが。少女の、生来の性…だろうか。
勿論、あなたさまにも、と。目の前の彼を見返してから。改めて。宜しくお願い致します、そう、小さく口にする。深く、頭を下げながら。)

「別に、その…そういう、殿方である故の…欲、まで?嫌っては、おりません。…先程言いました、通り…わたしも。
どう言っても、つまる所、気持ち良いという事柄自体は…もうすっかり。染み着いて、嫌ってなどおりませんから。
良いお方というのが、とても…とても、少ないだけで。相性次第、というものは。有れば良いなと。そう、思います。
……今から、する事も。そうでしょう…?…あなたさまに、快楽を。それは、わたしにとっても、快楽に…なると。きっと。
その上で、おねだり、させていただくのですから。……確かに。全て、差し出すくらい。貪り尽くされるくらい、しなければ。
わたしは、そう打算的に。考えているかも……しれませんよ?」

(ドレスを脱ぎ落とし、肌をさらしてから。改めて、真っ直ぐ、彼へと向き直すと。挑発めかせて、微笑んでみせる。
しかし、予想よりも、ずっと、早く。手際良く、ベッドの上へ。放り出され、覆い被さられてしまうと。
多少、予測を外してしまった、と。ぱちくり。瞳が瞬いて。)

「っ、ぁ、…と…ホーレルヴァッハさま…?良いの、ですか…?
わたし、もっと…色々。準備も、ご奉仕も、させていただくつもり……だったのです、けど…」

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「そう言う事だ。お前とて、花瓶に叱ったり思いをぶつけたりはせぬだろう。
……いや、まあ、花瓶というのは物の例えが悪かったかもしれんが」

冗談にしては堅苦しいし、真面目な言葉には成りきれない。
己の言葉選びのセンスの無さに、ちょっとだけ苦笑い。
とはいえ、嬉しそうに表情を緩めた少女を見れば、まあ良いかと肩を竦めるのだろうか。

「それでも構わぬのさ。縋る事、頼る事、己自身を預ける事。大事なのは、それを選んだのは自分自身である事。
強くあることだけが、自らの矜持になる訳では無い。
自らの弱さを認め、大樹の陰に寄りそう事。其処に至る決断を悩み、思考し、決断するのが己自身である事を、私は尊ぶ。
だから、お前が誰に頼ろうと縋ろうと。それが他者から与えられたものでなく、リシェ自身が決断した事であれば別に見捨てはせぬさ。
重ねて言おう。大事な事は、自らで決断する事だ。それだけは、覚えておいて欲しいものだな」

誰かを頼らず、強く生きるということ。
それは、誰にでも出来る事では無い。己だって、貧しい家に生まれれば、きっと誰かしらの庇護を必要としたのだろうから。
だから、それを咎めたりはしない。大事な事は、縋る事もまた、自らの意志による選択であること。
それを分かって欲しいのだと告げて、頭を下げた彼女に、小さく頷くのだろうか。

「……そうか。であれば、もう何も言わぬ。
それに、そうやって私相手に打算を巡らせ、思案する。
その事は、とても好ましい。とても、好感が持てる。
そういった細やかな打算を、快楽と情欲で押し流してしまう事もまた、私の好むところ故な」

そうして、ベッドに押し倒した先で。
見下ろした彼女は、ぱちくりと瞳を瞬かせている。
それを、愉し気な瞳で見下ろしながら、嗤う。

「いやなに、お前の驚く顔が見たかっただけだ。
可愛らしく驚いてくれる様を、見てみたいと思った私の我儘だ。
……それに、押し倒されたからといって、奉仕が出来ぬ訳ではあるまい?それとも、一度その身を預ければ、後は為すが儘にされるだけかね?」

そっと腕を伸ばし、少女の首元へ伸びる己の掌。
その掌は、首元から胸元へ、乳房を軽く撫でて。
其処から更に少女の下腹部へ。そして、恥丘へ。
少女の躰を、指先で擦る様にひとしきり撫でた後、クツクツと笑う。

そうして、ゆっくりと身を起こせば、少女の真横に身を動かして首を傾げる。
どうしてくれるのか、と。どうやって、己に奉仕してみせるのだと。含み笑いを色濃く浮かべた紅い瞳が、少女を見つめているだろう。

リシェ > 「花瓶……ぁ、ぁぁ……、ぁぁ、なる……ほど?…っふ、ぅふふ…?ホーレルヴァッハさまも。そういう…事、仰るのですね…?
いいえ、分かっております。…決して、悪い意味や…悪い意図で。仰っているのでは、ないのだと。
ですから、そんなに。お気になさいませんように…」

(花瓶。花壺。捉えようによっては、確かに色々、勘繰ってしまいかねない品物。
ただ、わざとそれを選んだのではないだろうと、何となく。察している。…初見の時にも、思ったが。想像以上に。
この人は、きっと。根が真面目なのだと、感じて。ベッドの上へ、押し倒された体勢のまま。片手を伸ばせば、一度、頭上の頬に触れるようにして。)

「考えようによっては。手段を探る、得ようとする…という、意味では。わたしの意思、わたしの行動。…かもしれません。
…はい……今も、わたしには、手を差し伸べて下さる方…方々、が…きっと。ホーレルヴァッハさま。あなたさまも、です。
このまま。もう少し、おねだり、重ねてしまうかもしれませんが…お言葉は。重々、胸に留め置きます。
…わたしは。わたしを、わたしの為に、わたしの手で。……大変ですね。けれど、それでも…」

(やらなければいけない。それを選んだのも、また、自分自身なのだから…と。付け足して。
強く生きる、というよりは。上手く、生きる、そういう事かもしれない。今、必要としているのは。
その為の、手段として。誰かに頼る、というのは。間違っていない。誰も居ない、たった独り、生きていく訳ではないのだから。
改めて。彼の言わんとしている事は、ちゃんと、伝わっている。胸の上辺りで、両手を重ね、頷き返してみせて。)

「少しばかりの、わるいこと、も含みつつ…考える事に、致しました。
頭を使わない者、心の無い者、それも。…あなたさまの、仰るように、生きるに値しないモノ…なのでしょう?
生かされて。使われて。…もうじき壊れると、分かった上で、使われ続けて。頭も、心も、何も無い肉玩具…だった、わたしでは。ないんです。
………押し流されるほど、気持ち良い、というのは………嫌いでは、ないのです、が……」

(そんな風に、肉体的には、堕ちきって。だから余計に、好き放題されていたのではないか。という想像は。口にしない。
ふるふる、首を振り、嫌な想像…確信を、追い払った。その間、微笑みと呼ぶには、少しだけ、不穏な笑みを、浮かべた彼に。
喉や胸、腹へ、と。掌で撫でられていく。これから使われる事になる、恥丘の所まで、指先が下りていけば。
ほんの少しだけ、快感への予感に、睫毛を震わすようにしてから。)

「…なされる、まま。それでは、いけないのです…ものね?
それに、流されるのでしたら…とても。とても、気持ち良くなったせいで、ですもの。…今は、まだ。
わたしも、ホーレルヴァッハさまに、して差し上げなければ…なのでしょう…?だから、先ずは…」

(何処か、挑発。そんな風にしか聞こえない、言葉を受けて。ぷく。と、軽く頬を膨らませたかと思えば。
横へと移る、彼の身体を。そのまま、少女の身体も、追い掛けて。追い付いて。
今度は、少女の方が。彼の上へと、移動してしまおうと。)

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「…言うな。らしからぬ冗談を言おうとしただけだ。慣れぬ事は、するものではないな」

己の頬に手を伸ばす少女に、ちょっとだけムスッとした様な、拗ねた様な表情。
その一瞬、その時だけは。年相応の少年の様な表情が、彼女に曝け出されるだろうか。
尤も、直ぐにその表情は、先程までの様な、尊大な態度と表情へ変化したのだが。

「そう。大変なことだ。自分で選び、行動するという事は、言葉にするには簡単だが、実際に行うのは難しい。
それをリシェに強いてしまうのは、酷な事かもしれんが。
……まあ、その、なんだ。知らぬ中でも無い女への、些細な私の我儘だと思ってくれれば良い」

彼女の境遇を知らぬではない。知った上で、こうした言葉を投げかけるのは酷ではないかと、思わなくも無かった。
でも、再会した彼女に明確な変化を感じ取ったこと。
そして、実際に言葉を交わし――リシェという少女に、確かな自我を感じた事。流され、犯されるだけの少女では無いと、感じた事。
それが、こうした言葉を投げかけてしまったのだと告げれば、伝わっているのだと言う様に頷いた少女に、小さく微笑んだ。

「…そうだ。私が好まぬのは、唯生きているだけの者。
変化を恐れ、自ら選ばず、自らの在り方を他者に委ねる事すら、流される儘に生きる者。
だから、今のリシェはとても好ましく思う。その変化は、その想いは、リシェを一人の人間として見るに十全であるものだ。
……だからこそ、快楽に堕としてしまいたくなる。道具は、決して堕とす事は出来ないからな。喘ぎ、乱れ、可憐に堕ちていく姿は"自己"を持つ者でなければ、面白くは無い」

彼女の、少しネガティブな言葉も穏やかに受け入れた。
結局のところ、肉欲と快楽に溺れる"過程"は、己の矜持を持つ者でなければ面白くないのだと。
だから、快楽を貪る事も――まあ、悪い事ではなかろうと、睫毛を震わせる少女に、唇を歪めた笑みを向けて。

「……さあて?其処から先はリシェが考え、行動する事だ。
ただ、リシェの我儘を叶えるに足りるかどうか。それを見極めるだけ。それだけ故な」

頬を膨らませる少女を、愉し気な笑みで見つめて。
己を追い掛ける様に、縋る様に身を動かして、己の身体の上に在る少女を見上げて笑う。
ほう?と吐き出した吐息には、先程まで嗜んでいた果実酒の甘い香りが混じり、彼女に届くだろうか。