2020/11/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にリシェさんが現れました。
■リシェ > -お約束です-
ご案内:「王都マグメール 王城」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
情欲の宴から、彼女を攫うかの様に連れ込んだ先は。
此の王城において、王侯貴族達が爛れた一夜を過ごす為に誂えられた一室。要するに、睦事の為だけに存在する、部屋。
さりとて、高位の貴族や王族達が使用する部屋ともなれば、その内装も家具も、肉欲を発散させるだけの部屋にしては余りにも、過剰なまでに豪勢なものなのだろう。
そんな部屋の中に彼女を引き入れて、扉の鍵を、かちゃり、と閉めて。
礼服の上着を脱ぎ捨て、近くの椅子の背凭れに雑にかければ、数本の酒瓶が置かれたこれまた豪奢な食器棚へと歩みを進める。
「…何か飲むかね?一通りの酒は、揃ってはいるが」
睦事の部屋である為、媚薬の類から情事の後に喉を潤す為の高級酒まで、ひとしきりのものは取り揃えられていた。
その中から、果実酒の瓶を引っ張り出せば、コルクを開け乍ら彼女に視線を向けて首を傾げて見せるだろうか。
■リシェ > (ぱち、ぱち。それはもう。物凄く、恐ろしい程、不思議そうに。瞬いて、首を傾げてしまう。飲み物について、問い掛けられて。)
「…珍しい、お方…です。そのように、気にして下さるのですね……」
(この城に、幾らでも在るような、たった一つの目的だけ、それだけの為の部屋。
そんな場所へ、連れ込まれたのなら。後はもう、何は無くとも、睦言が始まるのが。当たり前なのだろう、という思考。
お陰で。まだ少しだけ、不思議そうな顔を。維持したままではあるものの。
人差し指の背を、唇へと、宛がうようにして。ほんの少し、思案をすれば。)
「わたしも。出来れば、同じ物を……宴席でしたら、他の殿方に、合わせるのですが。
…本当は、甘いお酒の方が、好き…です。ホーレルヴァッハさまと、きっと、同じで。」
(ぺろり。少しだけ、唇から。舌の先を覗かせた。
甘い物の方が良い、という嗜好が。相手にも、当て嵌まる筈だ、という考えは。
春先の邂逅と、その時彼が、何を好んでいたかを。きちんと、覚えていたからであり。)
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「…そうかね?しかし、だからといって私が善人だろう、とか。情けをかけるような王族だとは思わぬ事だ。
同じ部屋にいるのだから、喉の渇きを癒す程度の問い掛けは、誰であってもするものだろう」
ふん、と彼女の言葉を一蹴する様な高慢な声色。
それでも、何か飲むかとの問い掛けを引っ込める事は無く、思案気な彼女の言葉を静かに待っているのだろか。
「………よくもまあ、私の好物など覚えていたものだ。
人を観察し、記憶するのが随分と得意な様だな。
有益な特技だ。大事にしたまえよ」
一瞬、先程の彼女と同じ様に、ぱちぱちと瞳を瞬かせた後。
ほんの僅かに、僅かにではあるが頬を綻ばせて、可笑しそうに笑うのだろうか。
そして、グラスを二つ棚から取り出せば、濃厚な香りを漂わせる柑橘類の果実酒がとくとく、と注がれていく。
そうして、酒で満たされたグラスを手に取れば――そのうちの一つを、静かに彼女に差し出すだろうか。
■リシェ > 「それは、勿論。其処まで…考えては、おりませんよ?
悪い言い方に、なってしまいますが。する事は、すると、それに関しては…わたしの、おしごと、です。忘れるつもりはありません。」
(その点は、お互い様なのだ、そう、頷いて。
とはいえ、物珍しい対応は。逆に言えば、普段は無い事、有難い事。
折角だから。などと、付け足しつつ。ご相伴に、預かる事にして。)
「はい。覚えておりました。…でないと、いけないのです。
…二度、三度、訪れるおきゃくさまに。お好きな事、悦ばれる事…忘れてなどいたら。酷い目に、遭わされますし。」
(そういう物でしょう?と、首を傾げながら。口にする。
これが、他の。それこそ、何度も、少女を使ってきた人物相手なら。決して、口にする事はない言葉。
…この相手になら。あまり飾らず、本当の事を、喋っても良いという考えも。
また同じく、観察した結果…という物、だろうか。
やがて。差し出されたグラスを、頭を下げながら受け取ると。
するする、迷う事なく、先導するように。部屋の奥、寝台の傍らに備わった、豪奢なテーブルの方へ。
…この部屋についても。当然、勝手を知っているのだろう。何度も、何度も、利用してきて。)
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「貴様の仕事、か。王城に居ながら娼婦の真似事とは、貴様も難儀な事よな。
いや、難儀だと貴様が思っていればの話ではあるがね」
同情はしないし、憐憫の情も抱かない。
今から彼女を抱こうという己にその資格なぞ無いし、彼女もきっと、己の同情など求めてはいないだろうと、思ったから。
憐れまず、蔑まず。明確な立場の差を、傲慢な口調で見せつけながらも、対等な相手として彼女を見ている様な。
そんな声色の言葉が、彼女に投げかけられる。
「酷い目、か。自分が抱く女を甚振っても何が楽しいのかと思わなくも無いが…まあ、人の趣味はそれぞれ故な。
それを避ける為に努力する事は、善きことであるとは思うがね」
小さく肩を竦め、首を傾げる彼女に応えるだろう。
彼女の本心――というか、思った儘の言葉にも咎める事もなければ、慰めの言葉も無い。
飾らず、気取らず。世間話の様に、言葉を返して――
そうして、彼女に導かれる様に、寝台の傍ら。無駄に過剰に豪奢なテーブルへ。
「随分と慣れているな。此の部屋も、私より貴様の方が詳しいやも知れぬな?」
クツリ、と笑うと、乾杯と言わんばかりに彼女にグラスを掲げてみせた。
■リシェ > 「これ自体は、別に…もう、当たり前の事です。最初からずっと。
それに、うまい事いけば、気持ち良いというのも、事実ですし……嫌いな人は、そう、居られないでしょう?」
(茶化すように…とまでは、いかないものの。重く、なりすぎる事を。嫌ったのだろうか。少しだけ、声を明るくしてみせて。
誰だって。快楽、それ自体については。悪くは、思っていない筈だ、と。
…行為自体、其処までは、否定しないから。彼の事も、否定はしないと。仕事か否かに関わらず。
とは言っても。矢張り、相手次第、時には嫌な相手や苦しい行為が、有るのだという事は。
酷い事を、避ける為…という、言い方を、してしまっているから。暗に、バラしてしまっているような物。
其処の所に、触れられると。ぷく。小さく、頬を膨らませて。)
「趣味と言いますか、性癖は…ヒト、それぞれ。ですもの。確かに。
けれど、そういう自分の特別さを、認めろ。という人々は…得てして。
逆に、自分達と相反する意見を、認めてはくれない物……良く有るでしょう?
ですから、此処は。自助努力……です。わたしの。」
(矢張り。春先よりも、ずっと。皮肉じみた物言いになっていた。
要は。そういう者達には、言うだけ無駄だ、と。いう意味なのだから。
もっとも…あの時は、慣れない外、知らない人、そういう物にばかり、囲まれていたから。
二度目という事も有り、少しだけ、慣れる事の出来た事と。同時に、彼の性格を、多少は感じ取ったからこそ。という部分も有りそうで。
テーブルへ、辿り着くと。彼の分、椅子を引き。腰を下ろして貰ったら、続いて、自分も向かいに座る。
掲げられた、グラスと。自分のグラス。かつん。軽く、ぶつけ合わせて。)
「はい。色々、存じております。
壁際の椅子…脚が一本だけ、ちびている、だとか。戸棚の奥に、毎朝、お菓子も隠してくれているる、だとか。
……先日、とある貴族の方が。寝台の下に、音を拾う、魔道具を。…仕込まれていかれた、だとか。
ぁ…大丈夫ですよ?こっそり、わたしの仕業と、ばれないように…兵士さまに。お渡し、しましたので。」
(乾杯の向こう。内緒ですよ?と。片眼を、瞑ってみせる。
それから。くん、と一口、グラスに口を着けて。…思ったよりも、ずっと。甘くて、美味しくて。自然、口元を綻ばせる。)
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「……ふむ。なあ、リシェ。私は別に、貴様の境遇に同情するつもりも無ければ、助け出してやろうとも思わぬ。
しかし『当たり前の事』だと。『最初からそうだったのだ』と。その境遇を受け入れている事は…余り好かぬ。
貴様は変わったのだろう?とても変わったと、自ら私に告げたでは無いか。
ならば、快楽に溺れるのも否定はせぬが。思う所があるのなら、それを言葉にするくらいは。自らに抗う事くらいは、しても良いのではないかね」
嫌な相手が。苦しい事が。避けたい、と思う事が。
彼女にもある。それでも、それを仕方のない事だと言わんばかりの言葉と、明るく"してみせた"声色に、僅かに表情を顰めて彼女を見つめた。
それは結局、嫌な事があるなら言えば良い――というのを、傲慢なオブラートで包んだものでしかないのだが。
しかし、己が吐き出した言葉そのものが、らしからぬものだっただろうかと。頬を小さく膨らませた彼女に気付けば苦笑いと共に首を振った。
「そうやって、皮肉の一つくらい誰にでも言える様であれば良いのだがな。
愛でられ、蹂躙されるだけの雌でも構わんが…貴様とて、貴様自身の変化と共に、色々と思う事があるからこそ、そうした皮肉も出て来るのだろうし」
椅子に腰掛け、向かいに腰掛けた彼女とグラスを合わせれば、部屋に響く涼やかなグラスの触れ合う音色。
ごくり、と喉の渇きを潤す様に。咥内を流れる甘い酒精に、此方も顔を綻ばせつつ。
「……成程?此れからは、こういった部屋を使う時には、先ず貴様に言伝を送らねばなるまいな。
『今夜は、此の部屋に魔道具の類はありませんか』とな」
そんな冗談を交えながら、口元を綻ばせる彼女をぼんやりと眺めていた。
こうしていれば、何の変哲もない――幸せな生活を送る令嬢の様に見えるのだがなんて。内心苦笑い。
■リシェ > 「……けれど。事実、です。物心付いた頃から、でしょうか?
毎日。毎日、毎日毎日…抱かれて。犯されて。仕込まれて。それ以外など有りませんでした、許されなかった…です。
今、わたし、ちゃんと。あなたさまと、お話出来ているでしょうか?…こんな会話だって、ほとんど、誰も。教えて、下さいませんでした。
えぇ…えぇ、嫌だと思う時も。憎いとすら思う相手も。無いとは、言いません。けれど……
それでも、やはり。わたしが、生きてきたのも。…生きていくのも。このお城です。…独りで生きていく力なんて。わたしには、無い。」
(皮肉の一つくらい。そう、彼が言うのなら。真っ先に、それを向けるのは、いつだって。少女自身。
娼婦と変わらない、どころではなく。結局の所、衣食住の全て、城から。与えられている。
例え、王侯貴族達が用いる為の、玩具として整える為、なのだとしても。きちんと、生かされている。
ともすれば、蝶よ花よのお姫様よりも、ずっと。加護されているお人形。それが、自分なのだと自覚済み。
顰められた、彼の顔、へと。…此処へ移る時にも、見せた。自分の色、という物の欠けた瞳を。一瞬だけ。
けれど。)
「…ですから。こう見えて、開き直っています。
そう…ですね?これからのわたし、少し位…わるいこになってしまおう、と。そう思っておりますから。
…ですから、今だって。こっそり、告げ口しました…でしょう?」
(そっと。けれど確かに。微笑んでみせた。
開き直った、という、少し乱暴な表現は。しかし、これ以上なく適切だと、思う。
流石に。今この場で、告白する事は出来ないが。…少女は、今までの半々から。徐々に、魔族へと傾きつつある。
だったら、悪い事をしても。淫らな、ふしだらな生き方をしても。何も、おかしくない筈だから。
もう一口、また一口。その侭グラスを、半分程空にして。
つぃと、テーブルに肘を突いて、顔を前へ。彼へと、口付けの出来そうな程、近付ける。内緒話をする為に。)
「…良いですよ?お望みでしたら、隣も、その隣も…地下の拷問室も、奥の乱交部屋も、皆…わたしは、とても。存じて、おりますから。
折角。こうして、お役にたてるのでしたら…なにか。ごほうび、いただけますか…?ホーレルヴァッハさま。」
(少女の方から。物を強請る。それも。きっと大きな変化。
罪を、罰せられるのなら。その逆、良かれという事には、褒美を強請っても。良いのだと。
そんな事すら…極々最近まで。知らなかったのだから。)
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「生まれも育ちも、生を受けてからの環境は、誰も自ら選ぶ事は出来ぬ。そういった意味では、私は恵まれた環境にある事も自覚しているし、私自身の力で無い…言わば『家』の力に皆が跪いている事も、理解している。
だが、それを理由に変わろうとせぬのは好かぬ。別に、今すぐ変われとか、城を出ろとか、そういう事ではなく。
もっと自分に自信を持っても良いのではないか、と思うだけだ。………それだけの事だ。少々、言い過ぎたな」
皮肉すら、向ける相手は彼女自身。
そんな彼女を一瞥した後、再度グラスを傾けて。
つまらない事を言った、と言わんばかりに、ぐい、と中身を飲み干した。
しかし、次いで彼女から告げられた言葉には。僅かに瞳を細め、へえ、と言わんばかりに緩く唇を緩める。
「…わるいこ、か。それくらいの気概があるのなら、此れ以上小言めいた事を言う事もない。
それに…そうだな。告げ口は、立派にわるいこの証だ。
その強かさがあれば、何れ貴様は――」
何れ、幸せになれる…とは、明言しなかった。
それを彼女に告げる資格と、本当にそうなるかどうかは、己にも分からなかったから。
だから、言いかけた言葉を濁して――酒と一緒に、飲み込んだ。
そして、顔を近づけてくる彼女の顔を静かに見つめ返し、何を言うのだろうかと僅かに首を傾げていれば――
「……それは、とても興味があるな。褥の中でしか知り得ぬ事が。知り得ぬ情報が。きっと沢山あるだろうからな。
そして、それに見合った対価が必要だと言うのなら。
褒美が欲しいというのなら。くれてやっても良い。
施してやっても良い。貴様が望むものを、与えてやろうじゃないか、リシェ?」
強請る少女の頬を、ゆっくりと撫でる。
陶磁器に触れる様に、壊れ物を撫でる様に。
そっと彼女の頬を撫でた手は、其の侭彼女の首元を擽るだろうか。