2020/10/06 のログ
エミネ > 「んっ!あっ!あっ!!このっ!やめっ!!」

膣内を何度も何度も前後するルリアの舌。
その度にゾクゾクと身体を駆け巡る快楽。
エミネは歯を食いしばり、ルリアの頭を手で押し返そうとするも、
全く力が入らずビクともしない。
はたから見ればむしろ更に快楽を求めて自分の股に押し付けているようにすら見えるだろう。

「いやっんぁっ……んん!!あぁぁ!!!」

また限界を迎えたエミネはついに叫び声をあげビクンと身体を跳ねさせる。同時に勢いよく秘所からは潮が噴き出て、ルリアの口内に飛び込むだろう。
何度も、何度も身体が跳ね、その度に潮が噴き出る。
絞り出るように喘ぎ声をあげる口はだらしなく開き、涎が垂れ落ちている。
ひたすら、長い長い余韻を味わう。

ルリア > エミネの潮を顔に受け、薄く微笑むルリア。
引き抜いた舌は既に普通の長さに戻っている。

「フフ……。感じやすいのかしらぁ?可愛い声だったわよぉ」

絶頂の余韻を残すエミネの前に座り直すと、彼女を抱き寄せ耳元に囁きかける。
そしてその耳たぶを軽く噛むと、更に舌を這わせて。

「期限までまだまだ時間はあるけど、こんな調子で大丈夫かしら?まあ、いくらイッてもエミネちゃんの負けじゃあないけれど」

勝敗はエミネが絶頂の懇願をするまで一日耐えきるかどうか。
なので、ルリアの言う通りエミネはいくら絶頂しようとそれ自体に何らペナルティはない。
しかし、まだ多くの時間を残している。
その上で、ルリアがその気になれば容易く絶頂に導ける事をこうして体験してしまっている。
最初から焦らさずまず絶頂を与えたのは、それが狙いだ。
尚もルリアは耳元で囁く。

「さぁて、次はどこを気持ちよくしてあげようかしら?リクエストはあるぅ?」

エミネの乳房を軽く揉みながら、しかしそれほど強く快感は与える揉み方ではなく純粋にその感触を楽しみ。
挑発と誘惑を混ぜて、エミネを追い込んでいく。

エミネ > 「はぁ…あっ……んっ……」

脱力しきり、時折ビクリと身体を震わせながら呼吸するだけのエミネ。
ルリアに抱き寄せられても、耳を舐められても、されるがまま。
彼女の吐息からは、己の愛液の臭いがぷんぷんする。

身体は段々と敏感になり、今はこうして軽く舐められたり肌が触れ合ったりするだけでも快感が走る。

「はぁ…ふっ…んっ…クソッ……」

それでもなお、エミネはなけなしの体力を使ってルリアから離れようとする。
だが、もう手が上げられない。まだ体力が足りない。
これでは逃げることも攻め返すこともできない。

「んう…あっ……ん……」

ルリアの誘惑にも答えられず、されるがまま。
乳を揉めば、手にまとわりつくような柔らかい感触と尖ってコリコリとした乳首の触感を返すだろう。

ルリア > 抵抗する体力と気力はかなり削げたようだ。
そろそろ本格的に仕掛けても良い頃合いかもしれない。
とはいえ、既に勝負など関係なく楽しんでいる部分が多いのだが。

「お返事がないしぃ、どこでもいいって事かしらぁ?それなら、これなんてどう?」

感触を楽しむだけだった乳揉みの動きが変わった。
相変わらず乳房を揉みながらだが乳首を中心にリズミカルな刺激を与え、明らかに愛撫としての動きとなる。
そうしながら、同時に耳を舌先で舐めあげていき。
やがて舌先は耳の穴にも及んでいった。
耳を舐める音とルリアの息遣いが間近でエミネに届く。

「んぅ……。ふふっ、ここは、責められた事はある?あふっ……」

小さな囁き声を混ぜながら、乳房と耳を同時に責め続ける。
刺激そのものは、先程と比べると遥かに緩いもの。
しかし、絶頂の懇願を引き出すにはこちらの方が都合がいいだろう。
果たしてエミネはどこまで耐えられるだろうか。

エミネ > 「んっ!あっ……んんっ…」

ルリアの指先の動きの変化に、エミネは敏感に反応してしまう。
収まりかけていた快感が、再度蘇り身体を蝕む。
愛撫を受けて乳首の先がびりびりと快楽を送ってくる。もはや痛いほどに。
喘ぎ声が、また大きくなっていく。

「ひぅ!ん…ひぁ…!」

耳の穴にルリアの舌が入り込む。
ぞりぞり、ぬちゃぬちゃと肉の擦れる音と唾液の水音がダイレクトに入り込む。
耳に入り込む吐息の音が、鼓膜を震わせ脳に響く。
舐められる度に、考えようとしていたことが霧散する。

「そんっ…な……」

先ほどに比べぬるいが的確な、身体を敏感にしていくような攻め。
あれほどに激しくイッたにもかかわらず、また子宮が疼きはじめる。

ルリア > 「お返事もできないのかしらぁ?何にしても、ふふっ……。感じてるみたいねぇ」

エミネの反応を見ながら耳舐めも続行。
素質があるのか既に開発されているのかはわからないが、よく効いている。
しかし、流石に耳だけでは絶頂に至る事はあるまい。
今度は胸を揉んでいた指に変化をつける。
乳房を揉む動きを止めて、指先は乳首だけをつまみ。
きゅっきゅとリズミカルにそこを責めた。
これでも膣内を責めた時と比べればまだまだ弱い責め。
絶頂に至るかは微妙なところだ。
しかし、そのぐらいがルリアの狙いである。
耳と乳首だけ責められてイッてしまうのも面白いし、イケずに悶えればいずれ屈服して懇願するかもしれないのだから。
とはいえルリアとしてはまだまだ足掻いてくれる事を期待しているのだが。

「これはどうかしらぁ?んふふ、豚ちゃんになるなら、すぐにいくらでもイかせてあげるけど……」

エミネ > 「あっ、んっ、あっ!」

まるで乳搾りのように乳首をつままれ、引っ張られる度に声が出てしまう。
耳も舐められ続け、ルリアの唾液が垂れ落ちている。
しかし、快感を与えられ続けているのにイケない。イクには足りない。
もどかしい攻めに、エミネは悟る。このまま焦らすつもりだ…!

「んっ…ま…まけな……」

ルリアのほうに顔を向けると、必死に舌を伸ばして絡みあわせる。
少しでも、少しでも反撃しないとと言わんばかりに。
しかしそれは今までより弱弱しく、ぺちょぺちょと優しく触れ合うようで。

それでも必死に、エミネは攻めに転じようと。

ルリア > 「あらあらぁ?豚ちゃんじゃなくてワンちゃんのつもり?」

エミネの弱々しい反撃にくすくすと笑いながら、しかし耳舐めを中断して舌を絡める。
とはいえ肝心の乳首はやはりそのまま責め続けていて。

「んじゅる……。んふふ、こっちをいじめてほしいってこと?」

乳首責めを続行しつつ、エミネの舌を激しく吸い上げ、口内に招くとお互いに唾液を零しながらしゃぶり尽くす。
しかしこれも結局、絶頂するほどの性感帯にはなりにくいところ。
焦らしの駆け引きはまだまだルリアに優勢といったところか。

「あはぁ……。まさか、この程度で降参はしないわよねぇ?」

一度唇を離し、ルリアが挑発する。
そろそろ陥落も見えてきているが、あえて反抗心を煽るように。
もう折れてしまってもおかしくはない、勝ちが見えた勝負。
こうなってくると、抵抗してあがき続けるほど楽しいというものだ。

エミネ > 乳首をつねられる度に小さく震えながらも、エミネはひたすら舌を絡める。
なんとか相手の感じるところを狙おうとするが、ほとんどされるがままで。

「れる…んぐ…ちゅ……」

手も必死にルリアのほうに伸ばし、自分がされているように乳房を揉もうとするが、指の力が弾力に負けてしまっている。
相手をイカせるというよりはひたすら感触を味わいたいかのような動きだ。
キスも、本人は攻め返しているつもりだが傍目にはひたすら刺激を求めているようにしか見えないだろう。
されるがままに舌を絡め、流し込まれた唾液を飲む。
ルリアを見る目はとろんと焦点も合わず、目尻からは涙が流れ落ちている。

だが、それでもエミネは負けを認めなかった。

「こうさん…なんて…んぁ…っ!」

舌を絡め続けながら、すがりつくように抱き着き。
また、お互いの乳と乳がやわやわと重なり合う。

ルリア > 「あらあら情熱的。それなら、こういうのはどうかしら?」

お互いの乳房を押し付けあい、ルリアが指を離せば乳首が潰れて甘い刺激となり。
気分の高まってきたルリアはそのままエミネを抱きかかえてベッドへと押し倒した。
ルリアの体重で更に二人は密着し、しかし顔は真正面からでは乳房同士が邪魔で唇は届かない程度の距離を保っていた。

「可愛いわねぇ、ゾクゾクしちゃう」

うっとりとした顔で呟くと、ルリアは身を起こしてエミネの片足を持ち上げた。
そしてその間に自分の股ぐらを滑り込ませて、お互いの粘膜が浅く触れ合うような貝合せの形に。

「ここ、欲しくて堪らないんでしょう?」

そう言うなり、ルリアはそのまま腰を振る。
女性同士の交わりでは当然挿入される物がないため、粘膜を浅く擦られ精々クリトリスへの刺激がある程度。
先程までのもどかしい焦らし責めよりは快感は強くなったかもしれないが、この刺激だけで達するのは難しいかもしれない。
更に今は、行為の主導権を握っているのはルリアである。
焦らそうと思えば、エミネの反応を見ながらコントロールして寸止めを続けても良いのだ。

エミネ > 「あっ……」

ベッドに押し倒され、唾液の糸を引きながら唇が離れる。
エミネは名残惜しそうに舌を伸ばすもルリアの唇には届かない。
全身で密着し、女の体温を感じる。これだけで、秘所がじんじんとする。

「うるさ…いっ!?」

身を起こしたルリアになすがままに片足を持ち上げられ、
彼女の陰唇と自分のそれがぬちゅりと接触する。
そのまま腰を振られ、ぬちゅぬちゅと陰唇が絡み合う。

「んっ…あっ…!!」

先ほどより少し強い刺激にエミネの喘ぎはさらに大きくなる。
粘膜が擦り合わされる度に、クリトリス同士がぶつかる度に、
また身体を大きく震わせ、足の指は思わず握ったり開いたりしている。

「こっ…のっ…あぁっ!!」

エミネも負けじと腰を動かすが、それは完全にルリアの動きにつられていて。
自分への刺激を増やす結果にしかならなかった。
少し白く濁った愛液が溢れ出てルリアの秘所を濡らす。
少し股座が離れる度にねちょりと愛液が糸を引く。

ルリア > エミネは十分に感じている。
このままひと押しすれば絶頂してしまいそうだ。
しかし、目的を考えるならそれは控えたいところ。
そこでルリアは一旦腰の動きを止めた。

「どうかしらぁ?まだまだ我慢するぅ?もうそろそろ、限界なんじゃないのかしらぁ?」

露骨すぎる挑発だが、ここまで追い込まれたエミネには十分効くだろう。
まだ耐えるつもりならそれはそれで、更に焦らす楽しみとなる。

「おまんこの奥、ぐちゃぐちゃにされた後じゃあこんなの物足りないでしょう?お願いしたら、もっとしてあげるのにねぇ?」

くすくすと楽しそうに笑うと、持ち上げたエミネの足に軽く何度もキスしながら尚も挑発。
弱い刺激を与え続け、エミネの冷静さを奪い続ける。

エミネ > 「あっ…んっ…!んんっ…!んえ…?」

腰の動きを止められ、エミネは思わず呆けてしまう。
まだまだ、もっともっと、身体が快楽を求めうずうずする。
欲求不満な秘所がぴくぴくと震える。

だが、ルリアの声を聞き、歯を食いしばる。
勝負を思い出す。

「そんな…わけ…ないじゃない…!!」

ベッドのシーツを握りしめながら、弱弱しくもルリアを睨み。
腰の動きが再開し時折刺激に顔を歪めながらも、彼女を睨み続け。

「まだまだ…んぁ!よゆ…んっ!!…」

溢れた愛液がだらだらと尻を垂れ落ち、またベッドに染み込んでいく。
どれだけ耐えればいいのか、時間がわからない。
部屋を見回せば、隅にいるペットの女二人。
発情しきった顔でこちらを眺めている。

ああは…ああはなりたくない…!

エミネ > 【継続】
ご案内:「ルリアの館」からエミネさんが去りました。
ご案内:「ルリアの館」からルリアさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋4」にエリアさんが現れました。
エリア > 【約束待機中】
ご案内:「設定自由部屋4」にブレイドさんが現れました。
エリア > 丸く満ちてはかけ始めた月が皓々と浮かぶ夜。とある貴族の屋敷では自室の鏡の前で着慣れぬ平民が着るような生成りの木綿ワンピースに胸元を編み上げた革のベスト、さらに幌布で作られた靴を履き。
そんな自分の姿を妙な処はないかと、鏡に角度を変えて映し。

「………髪……は結わないで構いませんかしら。
似合っているのでしょうか……?」

慣れない装いは、不似合いなのかそうでもないのか良く分からない。一見ただの庶民の女に見えると思うが……手入れの行き届いた髪や肌、ほんのり薫る香油まではカムフラージュ出来ないがそこはそれほどに気にする事でもないだろう。

そして一応の支度が整うと時計を確認して、

「そろそろいらっしゃるかしら……?」

護衛として雇っている少年を待ちながら呟いた。部屋までの経路は覚えてもらっているが、場合に依っては侍女に連れられてくるか。それとも勝手知ったる、で一人で訪れるか。
この時間は朝が早い使用人はそろそろ休み始めていて、屋敷内は静かでしっとりと落ち着いていた。

ブレイド > 静かな屋敷の中、部屋に向かう足音が一つ。
落ち着いた貴族の屋敷の中にはあまりふさわしくないであろう
やや急いだような、早い歩調。
少年は護衛対象である女性の部屋へと向かっていた。

貴族の屋敷というものは何度か訪れたことはあるものだが
今回はやや勝手が違うと言うか…少し落ち着かないというか…
自由に歩き回るということもない場所であるため不慣れな感じは否めない。
侍女が案内を申し出てくれたものの、窮屈を嫌うエリアのことだ。一人で顔を見せたほうがいいだろう。

ややあって、ノックの音。
ようやく見つけた部屋の前
屋敷に似つかわしくない暗色のフード付きマントの男がそこにはいた

「エリア、えーと、ブレイドだ」

他の使用人に聞かれていたら、無礼だと言われていたかもしれない。

エリア > おかしな点があれば、指摘してもらえばいいか、と判断して鏡の前で首を傾げるのをやめ。
代わりに持ち物の点検をした。ぎっしり膨らんだ財布、ハンカチ、最低限の化粧品……細々とした品物は革のバッグに詰めて。――自分で持つ気はほぼない。

そうしている頃には、屋敷内に現れた少年が部屋の前まで辿り着いていた。
ノックの音に反応して振り向き。
普段なら中からどうぞ、と声を掛けてもいいのだが……今日に限っては周りを騒がせたくはない。
故に、扉の前へ移動し、自ら内開きのドアを開け。
扉の向こうに立つ護衛の少年に微笑みかけて。

「こんばんは、お待ちしておりましたわ。――すぐに出発しますが、一度お入りになって」

彼の立ち振る舞いに関しては、特別に許可を出している。多少ぶっきらぼうだろうが荒かろうが、構いはしない。
それでも、執事長やメイド長の前ではあからさまに顔をしかめられるので少しだけ気を付ける様には一言注意させてもらっているが。

ブレイド > ドアの前、返事を待っていると
驚いたことにドアが開いた。
自動で開閉するものなのか…などと、荒唐無稽なことを考えたが
なんのことはなく、エリアがむこうからドアを開けただけのこと。
しかし、貴族の令嬢が自らというのは、正直意外だった。

「お、おう。んじゃ、邪魔するぜ」

顔を見せた依頼主は柔和な表情を浮かべて招く。
服装は、自分と同じく、屋敷にはあまり似つかわしくない平民スタイル。
とはいえ、上等な輝く髪や華のある顔立ち、そばにいれば漂う香りがそうとは思わせない。
もちろん、彼女自身の所作も含めて。

「なかなかにあってんじゃねーか」

部屋に入ればふぅとため息一つ。やはり、どうも緊張する。屋敷の中というのは。
普段と違い着慣れぬ衣装であろうこともあり、彼女におかしなところはないと伝える意図で褒める

エリア > この時間に護衛付きとは言え堂々と外出というのは難しい。しかも行く場所が場所なだけに、一部の信頼のおける者しか今日の外出は把握していない。夜の外出自体はまあ、たまにはあるのだが……さすがに貧民街に物見遊山とは言えない。

少しこっそりと静かにドアを開けると、少し驚いた様子に、疑問符を浮かべつつも、どうぞ、とドアを大きく開けて中へ招き入れ。
そして、侍女に平民の着る様な服をと注文して買って来させた衣服の評価は――悪くなかった様でほ、と安堵の笑みを湛えて。

「そうですか? ありがとうございます。おかしな処はありません?
 ――ああ、そうですわ。前の物がお口に合った様なのでお菓子を用意してありますの。お帰りの際にお持ちになって下さいね」

外出して、また送って来てもらってそこから帰る際…となれば忘れてしまいそうだが、一応注意して。
天蓋付きのベッド、姿見、化粧台、作り付けのクローゼットに小さなテーブルセットの置かれた広い部屋。そのテーブル上には油紙に包まれた焼き菓子が一袋置かれていて、それを指差し。

それから落ち着かな気な少年にくすりと笑って、携行品の詰まった鞄を渡すと、

「荷物をお願いしますわね。――これで問題ないようでしたら早速出かけましょうか。夜は短いですから」

ブレイド > 似合ってる…とは言ったものの、彼女の姿はあくまで平民スタイル。
貧民地区ともなれば、今の姿であっても上等に映るだろう。
そのための護衛なわけなのだが。

とはいえ、彼女のような奔放ながらも貴族のお嬢様に
貧民と同じ姿をしろというのは酷なもの。
そんな姿をしていたら他の使用人も卒倒ものだ。

「いいとおもうぜ?へんなとこはねーよ。
強いて言うなら言葉遣いくらいなもんだ…っと、そうだな。帰りもここに送るんだもんな。
たしかにこんなのあっちにもってったらガキにたかられそうだ」

用意された菓子には礼を言う。
上等な部屋の中、今から茶会でも開くのかと言った風情ではあるが…とんでもない。
今から始まるのはお忍びの…ちょっとしたお嬢様の冒険だ。
荷物を受け取ればうなずいて

「こっちはいつでも」

エリア > 屋敷の侍女には平民の女性が着る様な服、とは注文出来るが。貧民街の女性が着る様な服、とは言えないし。そもそも屋敷で働く侍女にだって貧民の服は良く分からないのだ。
けれど、ともかくこの服で及第点。絹の着心地には敵わないがその代わりドレスの様に邪魔な飾りもなくて動きやすいのが気に入った。

「初めて着ますわ、なんだか装いが違うだけでわくわくします。
――言葉、ですか……わたくしの話し方はブレイドからすると可笑しいですか?
あら、貧民街にはこの時間にも小さな子がおりますの? それでは余分に用意しておけば良かったかも知れません」

持たざる者には、と教えられて来た身。同情でも憐れみでもなく小さな子どもが菓子を欲しがるならば与えるのは当然の事で。
それはともかく、支度は整った。善は急げ。一晩では回り切れないかも知れない。一刻も早く遊びに行きたいもので。

「では参りましょう。今夜の騎士様。よろしくお願いしますわ」

騎士、と称されてもむず痒いかも知れないが謳うようにそう口にすると、手を差しだしてエスコートを求める。
そして、早々と部屋を出て屋敷を後にして、目指す貧民街へとお連れしてもらおうと――

ブレイド > 「エリアの話し方ってならおかしくはねぇけどな。
でも、平民の娘の話し方ってなら、少しお上品がすぎるかもな。
オレみたいに話せとは言わねぇけどな」

立ち居振る舞いも言葉遣いも、一朝一夕でどうにかなるものではない。
粗を探せばいくらでも出てこようが、それをいったところでしかたのないこと。
彼女の手を取ればカラカラと笑って歩き出す

「やめとけやめとけ、一度やっちまうとキリがねぇ。
それこそ、樽いっぱいに山程もってかねぇとな…
あと、騎士様はやめてくれよ…くすぐってぇ…ってか、平民の女は騎士なんて連れ歩かねーもんだぜ?」

彼女の物言いには気恥ずかしそうに。
しかし歩きだしてしまえば彼女を護る姿勢を常にみせることだろう。
屋敷の中から貧民地区までの道のりですら。

エリア > 「そうですの……困りましたわ。
服装や髪型は簡単ですが、喋り方を変えるのは難しいですわね……」

浮いてしまうと目立ってしまう。別に貴族といえど王族の様に有名でもなんでもないのだし、同じ貴族が貧民街にたまたま居合わせることもないだろうが。少し弱った様に眉を崩した。

「そういうものですか、それでは確かに貰えなかった子が可哀想ですしね。
 ――承知しました、ブレイド。それでは今夜はわたくしの悪友ですわね」

騎士を改め、悪い遊びを一緒にする悪友と。
しっかりと周囲を警戒して護衛として隙の無い振る舞いを見せる少年に頼もしさを感じながら、富裕地区からは歩くと少々距離のある貧民地区まで。

「どこからが貧民地区になりますの?
――なんだか段々、道の舗装が……」

一部タイル張りにまでしてある貴族が多く暮らす富裕地区、きっちりと敷かれた石畳の質も徐々に変化してくる平民街、石畳も敷かれなくなり、剥き出しの地面になってくる貧民街……。街並みの変化もだが、下を見ているだけで充分に変化を感じ取れる。

ブレイド > 「そりゃべつにいいさ。
誰かとじっくり腰を据えてお話ししましょってわけでもねーんだしな
ただ話すときに少し気をつけろってくらいなもんだ」

困ったような表情を見せるエリアに対して、平気だと繋いでいない方の手をふる。
少しばかりふわふわとしている…
少女然としたエリアの悪友として振る舞いながら歩く夜の町並み。
彼女からすれば、普通の夜遊びですらちょっとした冒険だろうが…

「舗装されてるだけまだマシってもんだぜ?
足元、気をつけろよ」

徐々に変わっていく街の雰囲気。
そして、人の質。
道を一本隔てた、あるエリアからその変化は大きくなる。
たどりついたのだ、貧民地区に。
足元は石が敷いてあればまだまし、建物も色あせ、人々も粗野、そんな一角だ。

エリア > 「まあ……それでは、どなたかとの応対はブレイドにお任せした方が良さそうですわね。
わたくしではきっとボロが出ますわ」

護衛を一人だけつけた貴族の女が貧民街にいると解ればそれなりに面倒事になってしまいそうだ。
振られた手を見やりながら、呟く様に結論し。
繋いだ手は案内――の役割も当然あったが、うろちょろしてはぐれない様にも、また歩き慣れない道で脚を取られた際の予防線としても機能する筈。少しよろけそうになると、ぎゅ、とその手を強く握って踏みとどまり。

「ええ。歩きにくくなるのですね……普段の靴なら転んでしまってますわ。
――……まあ……」

足元に注意しながら歩いて進んで、やがて辿り着いた貧民街。
急に変わった街並みに驚いたように瞠目して口元に手を翳し。
思わずきょろきょろとあちこち見回して、彼の手を引く様に右へ左へ……急に落ち着かなくなる。
家々は装飾など無縁で建材も木造が多い。それに天井からして低い構造は普段見慣れた建物から比べればとても小さく見えた。

「ここなら、妖精がいそうですわね……」

そして、独特の感想。お伽話の様に嘘みたいな世界に見えた。ただ、古くて改修も出来ていなくって隙間風で風通しの良い……有体に言えばボロ屋だろうが。

ブレイド > 「そうしてくれ。とは言っても…
買い物以外で話すことなんかねぇだろうけどな」

店でもないのに話しかけてくるようなやつ…
女と…不本意ながら、少年と思われる二人連れ相手によってくるものがいるとすれば
それは明らかに害意を持つものくらいだ。盗むだとか、ぼったくるだとか。
ただ、言葉遣いの違和感が周囲に伝わってしまえば、その頻度が増える。

「っと、大丈夫か?
手とは言わず腕にしがみついたってかまやしねえぜ?
コケて怪我なんてされちまったら護衛の意味もねぇ」

彼女の手を握り返しつつ、軽口を返す。
雇い主に対してこんな物言いをするのも、彼女ののぞみでもある。
悪友らしい振る舞いを見せつつ、たどり着いた貧民地区だが
立ち止まることなくあるき続ける。
少々手が引っ張られて歩きづらいが。

「妖精どころかゴロツキの巣だぜ?
まぁなんかみたいもんとかあるか?」

田舎から都会に来た若者のようなふるまいで、しかも立ち止まってしまっては
餌にしてくださいと言ってるようなものだ。なので、彼女の手を引き続け
その傍らで行き先を聞いてみる。

エリア > 「その買い物の時が問題ですわ」

財布の入った鞄は渡してあるし、欲しい物があれば代わりに買って貰うのが無難か。
悩まし気に眉根を軽く寄せて。

「ええ……そうした方がいいかしら。
道がこんなに違うなんて考えもしませんでしたわ」

貴族の履く見た目重視の歩きづらいヒールなど一溜りもなさそうな道。
それは踏み固められただけもの。
擦り傷でも作って帰れば侍女に悲鳴を上げられてしまう。
だからその腕に掴まる様にして歩き出す事にして。

「ごろつ……それはどちらにいらっしゃいます?
……では、そうですね、ここでは皆さんどの様なお食事をなさいますの?」

なにか特殊な生き物の様に響いたらしく、むしろゴロツキを見て行こうという……世間知らずというか危なっかしさ。
そして、手を引かれてしまいながら、早速食いしん坊万歳な問いかけ。

ブレイド > 「それもまかせてくれりゃいい」

彼女の物言いで買い物となっては
ここではいい感じにふっかけられるだけだ。
不満かもしれないが、初めての場所だ。
作法というのもおかしいが…そういうものに明るくない彼女には任せるわけにもいかない。

「まぁ、そうだろうな。
オレらは町の外なんかも行くから気にならねぇ…が…」

まさかほんとに掴まられるとは思わず驚いたように一瞬言葉をつまらせる。
上等な香油の香りに女性らしい柔らかさ。
思わず頬を赤らめてしまう。

「っ…あ…あー、っと…ゴロツキってのはあんま友好的な連中じゃねえ。
中にはみられてるってだけでもけんかを売ってくるようなやつがいるくらいだしな。
見に行くのはおすすめしねぇぜ?
あと、そうだな…食い物ってなら、露店や屋台なんかがあったりする。
当然酒場や飯屋もあるぜ?質はわりぃがな」

気を取り直し、彼女の疑問に答えていく。

エリア > 「自分でお買い物するつもりでしたのに……」

間違いなくいい値でボられてしまうだろうが、少し残念そうに小さく吐息を零した。
初めての貧民地区なのだから仕方がないかと肩を落とし。

「街の外へ一人でいらっしゃいますの?
歩きやすい履物ですのにね……思わぬ処に物が落ちていて……」

当然、清掃なども行き届いていなければ路上にポイ捨てなんてある意味常識だ。舗装云々よりも道端に落ちているゴミに躓いてしまいそうだ。
転倒防止にしかと掴まり。身体を押し付けるようにしていても、余り頓着はない。身の回りの世話を使用人にさせる貴族は返って人との距離は近い。

「あらー……残念です。ゴロツキさん方はこちらにしかいらっしゃらないのでしょう? 中々お目にかかる機会もありませんのに……。
それでは、腹ごしらえをいたしましょう。ブレイドはお腹は空いておりませんの?
質……不味いのですか? ここでの美味しい物はありますの?」

食べ物の事になると急に食いつきが良くなる。どんなものが食べれるのだろうかと。
平民地区でも富裕地区では提供されないようなメニューが随分あると感じた。
ちまちまと小奇麗に盛られた料理とは違う物を口にしてみたくて。子どもの様に腕を引いて。

ブレイド > 「それはまた今度にしてくれよ。
少し慣れたくらいにな」

エリアのほうが年上のはずであるがまるで宥めるように笑って。
場所に対しての慣れもあるのだろうが
エスコート役なのだから、今日のところは頼ってもらうとしよう。

「まぁ、冒険者だしな。
山道とかもよく行くし、このくらいならなんてことねぇ。
っと…足元、気をつけろよ?」

しっかりつかまってもらうのは構わないが、それはそれで転倒しないようには気をつけてもらう。
彼女との体格差はあまりない。万が一一緒に転んでしまったら意味もない。
ともあれ…密着するエリアの体に少し意識がもっていかれてしまいそうになる。よろしくない。
彼女の質問に答えて気を紛らわせるとしよう。

「平民地区にも富裕地区にもいるっちゃいるが数はすくねぇかもな。
ってか、あってもいいこと無いぜ?嬲りものにされたきゃ話は別だがよ。
…そうだな…」

彼女の言葉に、足を向けるのは屋台が立ち並ぶ場所。
串焼きやら、なんだかよくわからないスープやらが売っている。
食器を持参すれば持ち帰れそうなものもあるが…

「まずい訳じゃねぇ。ただ、食材の質の問題だ。
少しばかり傷んでても平気で食っちまうしな、この辺の奴らは」

なにかの肉の串焼きが売っている屋台の主人に声をかければ、二本購入する。
なにかの肉になにかのソース、何かの香辛料がかかってる…
貴族から見れば得体のしれない食べ物だ。

エリア > 「……我慢しますわ」

今日の所は、と残念そうに頷いて。
何度か足を運べばその内会話も買い物も出来る様になる、と楽観的に考える事にした。

「山道……本当に歩いて行く方がいらっしゃるものなのですね……」

殆どないが国外へ観光へ出掛ける際は馬車か船を使う。徒歩で山道を往くなんて別世界の話で何とも見当はずれな事を呟いた。
気を付けます、と転ばない様に掴まって歩調を合わせてもらうので進み方はとてもゆっくりだ。

「わたくしお目にかかった事ありませんわ。富裕地区にもいらっしゃるの?
わたくしが嬲られれば……ブレイドが拷問されてしまいますわねえ……」

護衛として酷い仕置きを受けてしまう。嬲られた本人よりも最悪な目に遭ってしまうだろうから、しみじみと零すのだった。そうなったらとてもお気の毒だわ、と自分よりいっそ同情する。

そして、屋台街に付けば様々な食品の匂いが入り混じっていて人気も多く賑わっていた。
それぞれに買った物を立ち食いしたり食べ歩きしたり、屋台の周りに置かれた椅子で知人と酒を酌み交わしていたり、それはまるで祭りの様に見えた。
漂ってくる匂いは野卑な感じはするが食欲をそそるもので、興味津々またきょろきょろし出した。

「見たことのないお料理が沢山……。傷んで……食材が古い物を売っているんですか。それくらいならば。
――あ、お金はそちらの鞄の財布からお出し下さいな」

彼としたら仕事中なのだからもちろん必要経費だ。遠慮なく開けて構わないと言いおいて、それからスパイシーな香りの串焼きを、じーっと凝視。
何の肉か、どんな味付けか見当もつかない。

ブレイド > 彼女は基本的に聞き分けがいい。
おそらくは未知を経験し、楽しむ術が
郷に従ったうえでその場所に即した楽しみ方を学ぶという感じなのだろう。
貴族の中には未知を知った上で自身のやり方で塗りつぶすのを好むものもいる。
それを思えば、彼女は善良なのだろう。

「山も森も、基本的にゃ徒歩だ。
そのへんにしか無いもんもあるしな…エリアには縁のねぇ話かもしれねぇが…」

歩く速度を彼女に合わせているせいか
二人の歩みはとてもゆったりとしている。
まるで、デートでもしているかのようだ。

「…そりゃ勘弁してほしいから、できれば一人で観に行こうなんて思ってくれんなよ?」

自分が嬲られることに対してあまり頓着していないのだろうか?
そういうことを知らない歳でもないだろうに…
脅かしているというのならばなかなかに肝が座っている。

「後でまとめてもらう。いちいちアンタのサイフ出してたら
スリに盗ってくださいって言ってるようなんもんだしな。ほら」

一口、串焼きをにかぶりついてから彼女に差し出してみる。
こう食べるんだと言わんばかりに。

エリア > 貧民街のビギナーは案内人に従うしかない。
ここは王城の様に安全ではないのだ。迷って一人になってしまったら無事に帰れる保証はない。
余り何も考えていないが――今を楽しむには慣れた者の意見は聞き入れるつもりで。

「まぁ、馬も使いませんの? 随分健脚ですのね。
山や森の奥には何がありますの? 魔物や妖精は本当に見かけます?」

街で暮らしているとほぼ見ない。いるらしいとは聞いているが。人に飼われていない野生の魔物も人前には姿を現さない妖精も出会った事がない。
何でも一人でできてどこへでも行ける。偉いのねえ……と感心した様な眼差しを向けた。

「そうですね、ブレイドが拷問にかけられるのは望みませんからご安心下さいな。観に行く時は道連れにしますわ」

どちらにせよ、拷問みたいなものだが。冗談めかして軽い口調で口ずさむと、ふふ、と喉声で笑って。
こうして腕を組みしっかりと護衛して貰っていて安全だからこそ、呑気に構えて物騒な予想もなんて事はないのだ。

「ええ、それでは精算お忘れなく。
――いただきます。一体何のお肉でしょう……?」

見た目からでは良く分からないし匂いもタレのせいで肉自体の物は判然としない。匂いを確かめながら、串焼きにかぷ、と小さな一口で噛みついた。
じゅわ、と口の中に広がる甘辛いタレの味と肉汁に少し硬さはあるが旨味もある肉に目を細め。思わずという様に呟いた。

「美味しい…」