2020/06/09 のログ
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──夜。
九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
夕食を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。

「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」

などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。

「あっちよりは出会いの期待値は些か低いが、まああそこら辺は仕方がにい──て、おや?」

その視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり自分以外は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。

「……やあやあコンバンハッ。湯加減いかがですかな?」

と、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。

エレイ > 先客は、果たしてどのような反応をしたのか……そしてその後どうなったかは、当人たちのみの知る所で──
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「奥座敷」にビョルンさんが現れました。
ご案内:「奥座敷」にアイリースさんが現れました。
ビョルン > 憎からず思う女を餌付けするわけではないが。
短い外出から、手に携えて帰ったのは丸い果実。
王都では珍しいそれは、東の方の国では翡翠柑やら河内晩柑やらと言うらしい。

夕刻に差し掛かった縁側、軒の下では井戸水を汲んだ桶にその果実を冷やしながら、己も又タライに張った井戸水に足をつけて涼んでいる。

アイリース > 「……」

客の見送りを終え、ため息を吐く。
そのまま、一度自室に戻ろうと、店内を歩くのだが。

「……まったく……!」

思わず、口から毒が出てしまう。
……あの日から、もう一週間近い。
その間、何もない、というのは。

「……いろいろな意味で、毒だ……」

そう正直に言ってしまいながら、部屋に戻る。
当然、そこにいるのはその原因となる男。
なにやら、涼んでいる姿に、思わずもう一度ため息を吐いてしまう。

ビョルン > 何と言ったかはわからないが、毒づくように独り言する声。
部屋に入って来る気配と共に己の背中へ突き刺さったのは、ため息でもあり視線でもあり。

暮れゆく空、見上げたまま己を見ているだろう女に声を掛ける。

「思い出せばこんな夕暮れの日だったか──…、

 嗚呼、蹴り飛ばしたいなら蹴り飛ばせばいい。俺の背中ひとつくらい」

言葉もかけられず手も出せず、かといって部屋から離れぬ気配へと話しかけた。

アイリース > 「蹴ってよろしいなら蹴りますが」

相手の背にそう声をかけつつ、私は部屋に布団を敷き始める。
私はこの部屋で寝泊りしているわけだし。
相手も、恐らくこの部屋に今夜も泊まるのだろうし。

(……そう。今夜も。
 これで5日。5日間……。
 ただ! 一緒の部屋で! 寝るだけ!)

そうなのである。この相手は、私に手を出してこないのである。
もうこうなってくると私としては、どうしようもない。
私から襲うことも考えたが。なんというか……。
それは、負けな気がするのだ。

「……いや、そもそも勝負してないんだけど」

布団を敷き終え、そう呟いてしまう。
……いや待て。私から襲うのがアレなら。
誘惑してしまえばいいのではないだろうか。
誘惑して、相手から襲うように仕向けてしまえばいいのではないだろうか。

ビョルン > 「まだ暑くはなってなかったけど、こんな雄飛の日だっけね。
 あやめ、お前と会ったのは」

何だかぷりぷりとしながら布団を敷き始めた気配に、肩を揺らして笑う。
ここ数日の己の私生活の清廉潔白なことは、相手にも察して余りあるものだろう。

「蹴っても宜しいよ。
 なンだったら、刺してみるかい。心の臓まで貫いて」

くくっ、と笑う息ついて尚且つもまだ無防備を晒す。
ちゃぷり。タライの中で水を蹴り。

アイリース > 「……そうでしたか。
 あぁ、そうそう。アナタに無理やり犯されたんでした」

出会いのことを思い出しながら、そう切り出す。
……いや、そうだよ。この人、私のこと。
最初に犯しておいて、なぜ手を出してこないのか!

「ていっ。
 そんなヘタな殺しはしませんよ。
 せっかくの畳が台無しになりますから」

相手の背中を軽く蹴りつつ、そう言い。
桶の中で冷えている果実を見る。
なんというか、贈り物にも法則性がないし。
いや、嫌われているってことではないんだろうけれども。

ビョルン > 「未通娘でもあるまいし、硬いこと言わない」

タライから足を上げて手拭いで拭き、タライと並べていた桶から冷えた柑橘をひと玉拾う。
蹴られるならそれくらいは甘んじて、へらっと笑った顔は庭へ向けている。

「じゃあ畳、剥がしてやったら俺を殺せるかい?」

濡れた果物を持って差し出しながら挑戦的な言葉と視線を投げ、ふっと表情を和らげる。

アイリース > 「言いますよ。誰でも言うでしょ。
 ましてやタダ乗りじゃなかったでしたっけ?」

やれやれ、と掌を振りながら文句を重ねる。
この相手には、時折ハッキリと物を言ったほうがいい、と。
そう私は学んでいる。

「そもそも、殺せるかどうか、なら話になりません。
 悪いですが、アナタ程度なら殺すのに数分もいりませんよ」

もちろん、やらないけれど。
主君殺しなど、忍にとっては恥も恥だ。
果物を受け取りつつ。相手に私も笑顔を向ける。
……まぁ、そもそも殺されるとも思ってないんだろうなぁ、この人は。

ビョルン > 「だとしたら払えばいいってもんでもないんじゃないか」

ましてや、に続く台詞に一度言葉に困りかけるが、今日は沈黙へ逃げぬことにした。
気後れ気味に言葉を返して体ごと部屋の内へ向く。

「──忍びの手腕には、恐れ入った。
 で、正直なところは? 俺が憎い? 憎たらしい? どの位」

先程の、忌々しげな呟きの語気を思い出して再度問いかけの言葉を重ねる。
そうしたら、己の襟元の蝶結びを解いてボタンを一つ二つ外す。

アイリース > 「……それは、確かに」

相手の言葉は、ある意味正しかった。
そういう行いをした場合、金を払えば許されるというわけでもないのである。
……とはいえ、それを行った側が言うのには、少し納得がいかないが。

「なんだか、ぜんぜん恐怖とかを感じてないような……。
 ……えぇ、憎いですね~。本当に。もう。
 食べちゃいたいくらい」

思わず、そんな本音を漏らしてしまうが。
それは、あくまでも冗談に聞こえるように。
……いや、ホント。少しくらいは動揺してくれると可愛げもあるんだけれども。

ビョルン > あの日のことは。
己の長いとは言えない半生の中での特異点であり、今ひとつ解決のついていない事象でもあった。

「お前が刺すならにっこり笑って死んでやるよ。
 ──て、決めた。

 そォかい、俺は食われてやってもいいぜ」

そのおミカンみてェに、と先ほどの翡翠柑指差してから、ふふふと語尾を揺らす。

「食っちまいたい、『お勤めだ』って一言でいつでも食えた。
 けれど、焦がれているのはどォしてなんだろ──?」

アイリース > 「刺しませんけどね。
 ……あのねぇ……本当に。もう……」

食われてもいい、などと軽く言う相手に。
私の中でイライラが募る。
だから。食えないから手を出しとらんっちゅうのに……。
この、お子ちゃまは……!

「知りませんよ。っていうか、知ってていってるでしょ。
 ……あむっ」

わざとらしい一言に、私はむくれながら答える。
そのまま、果実を口に含めば。
実に冷えていて、美味であった。
……とりあえず、布団の上に座って。みかんを食すことに集中しよう。
と、思いつつも。相手に、ちら、と。胸の谷間を見せ付けてみたり。

ビョルン > 「さて、判りません。
 教えてくださいよ、オネーサマ?」

相手の胸の谷間を目に焼き付けたら立ち上がろう。
東渡りの果実は都では高直<こうじき>な品だ。さぞ美味かろう。
そうして己は部屋の隅で夜着へと着替える。

アイリース > 「……あのですねぇ……」

どこか楽しそうな相手の様子に、思わず文句を言いたくなる。
だが、そこで私は深呼吸をするのだが。
相手が、着替えをするのを見れば。ついに限界を迎えてしまい。

「だからぁぁぁ! なんで、着替えるかなぁ!
 なんで、私に、手を出さないかなぁ!
 この5日間! ずっとずっとずっとずっとず~~~っと!」

思わずバンバンと畳を叩いてしまう。
なんだ。私に不満があるのか。
こう見えても、肉体には自信があるというのに!

ビョルン > 風が抜けるように襖を大きく開いたら部屋の四隅の金具を使って蚊帳も吊るそう。
そうして2人の布団は蚊帳の中。
布団同士は横側をぴっちり仲良くくっつけて並んでいる。

そこへ横たわり、頬杖ついて不機嫌大爆発している女の様子を楽しそうににったりと見上げている。

「ほうほう、男日照りで辛いかい?
 それとも俺に不満?
 護衛と主としてではなく、男として──ちったァ、意識して呉れたかい?」

アイリース > 実にスムーズに就寝の準備をする相手に、私は不満を爆発させるが。
相手は、それをも楽しそうに見ていて。

「誰が男日照りか!
 不満、って、いうか……!
 ……ぐっ、くくっ……!
 み、認めましょう。私は、アナタを、多少なりとも男として意識はしている、と」

ここまで来てしまえば、意地を張っていても仕方ない。
私は、半ば負けを認めるような形で。
相手の言葉を肯定し、頷く。

ビョルン > 「『多少なりとも』
 ふぅん」

有り体な言葉を聞いて、気のなさげな相槌。
そうして頬杖を解いて寝る格好になれば薄く目を閉じる。

「──その割には濡れてんだろ」

ウィンクするように片目で相手を見上げては揶揄うように言って。

アイリース > 「……ぐぐぐっ……!」

相手の余裕綽々な様子に、思わずうめいてしまう。
実際のところ、多少、ではないのだが。
それもきっと、相手にはとっくに気づかれているに違いなく。
なんというか、悔しさがにじみ出てしまう。

「……っ……!
 そ、それは。まぁ、濡れてないわけでは、ないですが」

鋭い指摘に、思わず、切れ切れながら答えてしまう。
実際、意識している男性と閨を共にしているのだ。
そりゃあ、反応しないわけはない。

ビョルン > ころり、と相手側へと寝がえりを打って距離を詰める。
温い掌で相手の膝へと触れる。
久し振りの接触なれど着衣の上からで。

「確かめてみようか。

 『まぁ、あなた様がァ? そォ、仰られるのなら──?』
 ってかい」

女の言いそうな言葉は、先に封じる。
己にも情はある、欲もあれば今にも牙を剥きそうな獣性もある。
それを飼殺している己の真意女に汲み取らせるまでは続くのだ、恐らくは。

アイリース > 「あっ……」

相手が近づいてきて、触れてくる。
それが、嬉しいと思ってしまう自分がいた。

「……そうは言いませんが。
 ……でも、そう、ですね。
 お慈悲を、いただけるのなら」

そう、願ってしまう。
慈悲をいただきたい、と。
それが叶うのなら、と。思ってしまった。
思わず、相手の手に触れてしまい。

ビョルン > 「慈悲か。
 ──そりゃいい」

声の温度を少し下げ、触れられた手で円を描くように膝を撫でる。
のそりと半身を起こして姿勢を整えれば、着物の裾を割らせる。
指は膝裏から撫で上げて、熱い粘膜のぬめりへと触れれば指先を沈める。
深く探ることはなく第一関節迄のみの抽挿をつぷつぷと繰り返しながら表情を眺める。

アイリース > 「あ、ぁっ……」

相手の手がひざを撫でれば、声が出てしまう。
そのまま、相手の指が、私を解そうとすれば。

「ん、ぁ、んぅっ……!」

声があふれてしまう。声を殺そうとしているわけでもないのに。
あふれる声は、なぜか、抑えてしまって。
甲高く。いっそ、大きく喘げればいいのに。
私の肉体は、まるで羞恥しているかのようであった。

「くぅっ……!」

私は、思わず、顔を手で隠してしまう。
見つめられるのが、耐え切れなかった。

ビョルン > けれど、浅く単調な刺激では絶頂へ導くのには到底力不足だろう。
夏の泥濘のような女陰を浅く掻き、ただ悪戯に欲を煽らせる。

左手は女の髪へ触れて、顔を覆うような手に触れて握ろうとする。
表情が見えなければ、淫らに上がる声の調子を聞き定めていた。

焦れた相手が腰を揺らしそうになる頃2本揃えた指先をぐい、と沈ませて臍側の粘膜を擦り上げる。
深く差し込んだまま、女の中をぐちゅぐちゅとかき回して。

アイリース > 【後日継続予定です】
ご案内:「奥座敷」からアイリースさんが去りました。
ご案内:「奥座敷」からビョルンさんが去りました。