2020/04/07 のログ
ご案内:「魔獣牧場」に獣魔目録さんが現れました。
■獣魔目録 > ――…此処は魔獣牧場。
王都マグ・メールの郊外にある広大な牧場である。
その名前の通り扱っているのは普通の馬や牛などの家畜などではなく、魔獣やモンスターの類に含まれる動物を扱っている。
もちろん、あくまでも扱っているのは魔獣。
獣人やミレーの奴隷など知性があり知恵のある亜人と分類される生物は扱っていない、いなかった。
外界と牧場を分ける唯一無二の出入り口は巨大な木製の門。
その横には一応敷地の内にも外にも繋がっている木製の小屋があり、常時冒険者が在中し牧場に要件のある者の対応や牧場の案内、などなど一般的な業務を行っている。
これはあくまでも冒険者ギルドからのクエストであり。
冒険者であれば一度は受けたことがあるかもしれない長時間拘束の冒険者には退屈なクエストである。
さて、牧場は全て結界で覆われている。
空を飛ぶもの地を潜るもの水を泳ぐもの、それらが外へと出ないように結界が張られており、それに加えて冒険者が適時見回っており、治安の良い牧場である筈が――…何時からかそれが砂のなんとやらのように脆く崩れ去っていて、それに牧場の運営者や冒険者は気がついていないようだ。
いや、気がついていて無視、或いはわざと見逃しているのかもしれない。
ともかくである。
今宵も小屋の中で髭面の中級冒険者が欠伸を噛み締めながら深夜の労働に勤しんでいる、酒を片手に来ることも稀な客を待って、受付のカウンターに肘を突きながらスキットルを時折呷りとろくでもない姿を晒していて……。
――…此処に深夜に来る客は稀である。
だが1冊の魔導書が生み出した綻びから来る客はそうでもない。
獣人やミレー族の奴隷に堕ちた者や牧場の中で繁殖に使われる何も知らず攫われた……或いは騙されて送り込まれた者。
何事も裏があり表がある。
今宵魔獣牧場に足を踏み入れるのは表の人間か裏の人間が
まあ何にせよ髭面の男は表から入り込んできた人間の対応と見回りが業務で裏から入る人間などに気がつく様子もない。
酒の香り、独り事、獣の香り、空を震わせる遠吠え、騒がしく喧しい一夜となることは間違いないようだ。
■獣魔目録 > 「……暇なのは良し。良し何だが冒険者としては如何なものかと?」
接客用であり受付業務に使うカウンターで頬杖をつきながら、隠しもせずに大欠伸を零す髭面の冒険者は欠伸と一緒に愚痴まで零す。
忙しいよりは暇を好む。
暇も悪くないが退屈は死にそうになる。
刺激と富と名声を求めて冒険者になった男にとっては苦痛でもあり楽でもあるこの仕事。
一度仕事途中に娼婦を招いて怒られたことがあるので、そちらには手出しはしていないが、勤務中であるにもかかわらず先程からスキットルに口をつけ、中の濃度の高いアルコールを呷っている。
まあ酒は飲んでも飲まれない。
眠くなっても辛子まみれの干し肉でも齧れば良い。
ぐだぐだで怠惰な一夜はこうして過ぎていくのである。
ご案内:「魔獣牧場」から獣魔目録さんが去りました。