2019/09/24 のログ
■リーヴル > 昼間は大賑わいな図書館も流石にこの時間は無人である。
勿論司書である自分は一番忙しい時間帯と夜の時間帯だけ顔を出し、
他は奥の私室に引き篭もって仕事をしてるのであった。
今夜は先程から行っている返却して間もない本の整理。
ふと気になった1冊の本の背表紙を指先でつーっと撫でながら、
そのまま人差し指と親指で挟んで引き抜いて、表紙を表にして本のタイトルを確認する。
『……の魔……本』
読めない。
本のタイトルは確りと書かれているが認識出来ない。
辛うじて認識できたのは3文字だけで、あとは認識阻害の魔術が付与されているか、
或いは是自体が魔物で迷い込んできたか、だが……。
此処はとある図書館
魔導書であるリーヴルがそうあらんが為に創造した図書館である。
【読メヌ書ハ書ニ非ズ】
乾いた唇で小さく言霊を結び紡ぐと一度瞼をゆっくりと閉じて、
深く深呼吸をした後に開き、先程までと違い仄かに輝いた瞳で改めて本を読み始めよう。
――…是も非常に宜しくない。
これが他者が見ていたらまるで魔物そのものとしか見えず、
噂の一つである図書館の司書はレイス説が強固なものになってしまうが、
誰も来ないから良かろうと口元に少しだけ自虐の苦笑いを浮かべるのであった。
■リーヴル > 噂に噂を重ねすぎると幽霊屋敷ならぬ幽霊図書館になってしまい、
1人静かに仕事と趣味に没頭できる時間が度胸試しの若者で溢れてしまうではないか。
「コイツの処分は奥でやるか……。」
認識阻害の魔力と図書館最古の魔導書の魔力がぶつかり、
青白い火花が本の表紙に散る鮮やかな光景を繰り広げながら、
本を頭に乗せて颯爽と足早に足取り軽く図書館の奥に創り上げた私室のほうへと歩き去るのだった。
ご案内:「とある図書館」からリーヴルさんが去りました。