2019/08/14 のログ
ご案内:「とある冒険者ギルド」にオティーク・リトルディアさんが現れました。
オティーク・リトルディア > 酒場を利用した冒険者ギルド。酒を飲みつつ依頼を探すもよし、仲間を募るもよし、逆に依頼したい冒険者を選ぶも良しといった退屈知らずのギルドの酒場の片隅、壁際の椅子に腰を下ろしている女が1人。見た目は20代半ばと言ったところ。ギルドには不釣り合いな雰囲気の女は、膝の上に小さな黒板を乗せて両手で支えていた。黒板には『魔力供給いたします。魔力血液=5ゴルド!キス=10ゴルド!エッチは15ゴルド! ※提供してくれる方は無償!』とたどたどしいマグメールの言葉で書かれている。そしてそれを持っている女はと言えば、どこか眠たそうに頭がふらふら、右目はうつらうつら。時折、かくんっ、と傾いていたりと、眠気に負けそうになっている。
ご案内:「とある冒険者ギルド」にエレイさんが現れました。
エレイ > 暇そうな面を下げ、ふらりと酒場兼ギルドに足を踏み入れる金髪の男が一人。
依頼はもう済ませたしなんか適当に食うかなあ、と考えつつ、賑やかな周囲の様子を適当に見渡していれば──

「……ンン? なんだこれは?」

酒場の片隅で船を漕いでいる女の姿を見て、不思議そうに眉を持ち上げ。
興味を惹かれて歩み寄ってみれば、その手にある黒板の内容にますます疑問符が増える。

「魔力供給、ねえ……? もしもーし? 起きるべきそうすべき」

とりあえず詳しく聞いてみようと、男は彼女の肩に手を置き、軽く揺すって反応を確かめてみて。 

オティーク・リトルディア > 足音にも気付かずこっくりこっくり。そんな時に声を掛けられ、肩を揺すられたところでようやくビクーッと体を震わせたが、表情は相変わらずだった。
「はへ…ん、ん?あら、あらあらあら……?まぁまぁ……」
一つも二つも遅れたテンポで反応すると、ようやく頭を下げればアンバー色の長い髪がふわりと靡いた。
「こんばんはぁ……。魔力供給をお望みかしらぁ……?」
ぼんやりとした穏やかな声で問いかけながら、右手を頬に添えて首を傾げた。だがすぐにじーっとターコイズブルーの隻眼で男を見上げる。
「……あらぁ?貴方、冒険者さんよねぇ……?いつもご苦労様ぁ……」
ギルドによく来ては、誰も受けない為放置気味な依頼を良く受けてくれる人。ギルドとしては依頼も消化出来るしとても有難い存在だ。自分はギルドの備品程度の存在だが、何度か見た覚えはある。話したことは無かったし、相手もきっと片隅で一言も喋らない置物を気にしたりもしないだろうが。何より、供給中は席を空けている時間が長いから。ともかく、相手を見上げればぼんやりとした柔らかな笑みを浮かべた後、頭を下げるのだった。

エレイ > 縁というのはなかなか不思議なもので、男はこれまで彼女を一度も認識したことがなかった。
男がギルドに顔を出す頻度がそう頻繁でもないということや、彼女が供給で中座している最中とか、
その他いろいろな要素が重なっていたのだろうが──まあ、それはともかく。

「──起きたようだな。お望みと言うか、まずいくつか訊きたいことが──ン? うむ冒険者だがドコもおかしくはないな」

肩を揺すれば驚いたように身を震わせながらも、表情の変わらない様子に思わずきょとんとして。
それからこちらを認識した様子にこちらも笑みを浮かべれば、黒板の内容について問おうとしたが、
その前にご苦労さま、と労われれば何故かドヤ顔しながら大きく頷いてみせる。

「それはそれとして……あーその前にお名前聞いてもエエ? 俺は謙虚な冒険者で旅人のエレイというんだが
呼ぶ時は気軽にさん付けで良いぞ」

そして再び本題に入ろうとして、名前を知らないことを思い出すと頭をかいてから、
ドヤ顔で奇特な自己紹介を繰り出し、ビシッとサムズアップしてみせ。

オティーク・リトルディア > 「あらあらあら……。そうだったわねぇ……。私はオティーク・リトルディア、マギールと呼ばれる魔法人形で、役目は魔力貯蔵。つまり、魔力を貯蓄してそれを第三者に渡せるのよぉ……」
右手を持ち上げて自分の豊満な胸元へと添えながら、促されるままに自己紹介ついでの説明を始める。
「私の体液は魔力のお薬みたいなものでねぇ……、それを摂取することで魔力を回復する事が出来るからぁ、魔術師さんなんかが重宝してくれるのよぉ……」
人によってはそれを自分で補える者もいるだろうが、自己回復が苦手な者もいる。そういう魔術師に重宝されるのが魔力貯蔵庫だ。持ち運べれば自分のキャパシティを越える魔力を保存出来る強みがある。ただし、この魔法人形には人格が宿り、自立してしまっているが。
「……初めてのお客さんにする説明はこんなとこかしらぁ?」
右手を頬に添えて首を傾げてのんびりと笑みを浮かべた。

エレイ > 「オティークちゃんね、よろしくだぜ。──ふむふむ……なるほど説明サンキュー。
だから供給の方法が血液だのキスだのエッチだのってことか……でも価格がリーズナブルすぎませんかねぇ?
貧民地区の通りで客引きやってる娼婦もビックリの価格設定なんだが……
あと、提供ならタダ、というのも気になる感」

彼女の説明を受けながら、魔法人形、と言われて改めて彼女の肩にポンと手を置く。
──なるほど、たしかにヒトとは違う。触れた相手のエネルギーの流れが視える男は、それを確かに認識した。
そして笑顔で礼を言ってから、改めて黒板に視線をやると料金設定の低さに首を傾げて。

オティーク・リトルディア > 「ホントは血液やキスとかでお手軽に済ませた方がお互い良いとおもうのだけどねぇ……?えっちは流石にお姉さんも恥ずかしいかなぁって……」
頬を僅かに赤らめながらも困ったように眉を寄せてほんわかと笑うばかり。
「価格は当然よぅ……。元々別に娼婦でもなければそれが役割の人形だし……。けど、稼がないと置かせていただいてるギルドに悪いしぃ……」
つまり売り上げはギルドに入っていくらしい事を示唆しつつ、困ったように眉をハの字にしてしまう。人の形をしているものの、食事は要らないから食費は掛からない分、安くても補える。
「提供っていうのは、逆にお客さんがお姉さんに魔力を提供する事ねぇ。私はあくまで貯蔵庫であって、製造機じゃないからぁ……。メインは、ギルドで出している依頼で狩ってきてもらった魔物なんだけどぉ、やっぱり質の高い魔力は魔族や魔術師さんのほうが持ってるからぁ……。あ、勿論普通の人でもいいんだけどぉ、魔力を供給して貰ってすぐは魔法が使えなくなるし、人によっては体の具合が悪くなったりするからぁ……。―――……ふぅ。こんなにお喋りしたのは久しぶりだから、お姉さん疲れちゃったぁ……。それで、エレイさんはどうするのかしらぁ?」
普段まさしく置物のように喋らないしここまで丁寧に説明する事が無い為、疲れてきた頬を解すように両手でむにむにと揉む。黒板は既に足元に置いており、彼が供給にしろ提供にしろ何か選ぶつもりで来たのだろうと思っていた。

エレイ > 「そういうモンなのか? まあ……オティークちゃんがそれでいいなら俺は別に文句はないのだが」

人形だから、と言われれば少し眉を顰めるも、彼女自身に特に不満がないのであれば男から口出しをすることもない。
それから、提供についての説明も受けるとふむふむ、と頷き。

「──そうかなるほど。……ワハハ、手間を食わせてすまにいな。そんじゃあそんなオティークちゃんに
稼がせてやれないのはちょっと悪いのだが……提供の方させてもらおうかな。
多分チューだけでは済まないと思うけど、それでもよかったら、だが……
どっか二人っきりになれる場所はあるかな?」

頬をほぐす仕草に眉下げて笑いながら、やがて男は魔力提供を申し出る。
片手を彼女の頬にそえ、するりと撫でながら悪戯っぽく一言付け足しつつ。
供給なり提供なり、するのなら専用の場所とかはあるのだろうかと問いかけて。

オティーク・リトルディア > 「あらあら……。提供も歓迎よぉ?恥ずかしいけど、しょうがないわよねぇ。男の人だものぉ……」
嫌悪するような様子もなく、子供がはしゃいでいるのを見ている母親のような穏やかさですんなり言ってのけた。それから立ち上がって黒板を消し、チョークで『お仕事中 ご予約はギルドへ』と書いて椅子に置き直した後、踵を返して階段へ向かう。
「それじゃぁ、付いてきてちょうだいねぇ。屋根裏を使わせてもらってるから、頭ぶつけないでちょうだいねぇ……」
なんてのんびり冗談交じりに告げてから階段を上がっていくのだった。

ご案内:「とある冒険者ギルド」からオティーク・リトルディアさんが去りました。
エレイ > 「うむ、仕方ないね。──屋根裏? それはまた……いやそういう狭い場所結構好きな方だけどよ」

なんて言いつつ、立ち上がった彼女の腰に手を回し。案内されて、一緒に階段を登っていって──

ご案内:「とある冒険者ギルド」からエレイさんが去りました。