2019/07/20 のログ
ご案内:「平民地区の酒場」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 夜更けでも人通りの少なくない表通り。
そこに面した酒場の入り口から、突如として2つの人影が転がり出てきた。
その人影──体格のいい男二人は赤ら顔で、酒に酔っていることが容易に想像できる。
そんな二人が揃って睨みつける店の入口から、二人を追うようにしてぬっと姿を表したのは、
至極面倒そうな表情を浮かべた金髪の男だった。
「──全く手間を掛けさせてくれるなという顔になる。ホレ、もう店じまいの時間なのだから
酔っ払って暴れだすような恥知らずはとっとと帰るべきそうするべき」
しっし、と追い払うような仕草をしながらそんな言葉を酔っぱらい二人に投げかける。
男は現在、冒険者としてこの店の用心棒の依頼を受けていて、今まさにその役目を果たしている最中であった。
『ち、ちくしょう……覚えてやがれ……!』
非常にお約束くさいセリフを吐き捨てながら、男たちはフラフラとやや千鳥足気味の不安定な足取りで去ってゆく。
それを見送って男はフンス、と鼻を鳴らして。
「俺的にはむしろそっちの記憶のほうが心配なんじゃが……まあいい」
あんな酔っ払った頭では、むしろ向こうのほうが覚えていられるかどうか怪しいところだ。
そんなふうに思って大げさに肩をすくめつつ、踵を返して店内へと戻ってゆき。
■エレイ > 仮に覚えていたとして、彼らが後日報復に来るようなことはないだろう。
──彼らは店内で、その自慢の腕っぷしで無抵抗の男の顔を何度も殴りつけておいて、
それでも男の整った顔に傷一つ残せなかったのだから。
あまつさえその後殴り返される事もなく、襟首を引っ掴まれてポイポイと無造作に店の外に
文字通り放り出され──先のシーンに至る訳である。
「──ハイハイ、他のお客サンもそろそろ帰る準備をするべきだろうな」
そうして店内に戻ると、パンパンと手を打ち鳴らしながら残っている客にも帰宅を促す。
先述のようなシーンを見せつけられてなお、男に逆らうような者はおらず、すごすごと一人一人店を後にしてゆく。
「……さて、あとは……」
あらかた客が退店したところで、男はとある場所に視線を向ける。
カウンター席の端のほう、カウンターに突っ伏している女性客の姿がそこにあった。
泥酔しているのか、眠りこけているのか……ともかく男は、その女性にも退店を促そうと、その肩に手を添え軽く揺すって反応を確かめてみることにした。
「……おーぅい、お客サン? 大丈夫かえ? もう閉店の時間ですよ?」
ご案内:「平民地区の酒場」からエレイさんが去りました。