2019/06/20 のログ
フィリオソリス >  
魔力の籠もらないただ単純な掌打
しかしその”重さ”は鉄塊と比してなおあまりある

その一撃が無防備な腹をとらえ、文字通り炸裂した

潰れた果実のように、あるいは散る花弁のように血しぶきが舞い散る

「ごふっ…げふっ…」

何であろうか、この一撃は
魔力がねれない
外傷がほとんどないにもかかわらず、吐血が止まらない

心臓の以外の内臓も損傷を受けているのであろうか
鱗も、分厚い筋肉をも抜けた衝撃に戸惑う

おそらく巨龍の状態に戻っていれば単純に衝撃は届かなかったであろう
あるいは、魔力を練り超高温を纏っていればその拳が届くこともなかっただろう

あらゆる隙を突いた見事な一撃であった

キルド・ニッヒト >  
「か、ほっ……」

血を吹き出す。

あぁ、これで、終わりか

静かに終わりを悟る。
そう、殺せなかった、やっぱり。

でも、いい。どことなく、もう、どことなく

殺したようなものだ

あの、少し間の抜けた顔。
自分だけが知ってる、表情――

それだけでもう

――ひゅーひゅー……

か細く、息が、漏れる

フィリオソリス >  
「こふっ……――」

同じく血を吹き出しながら、ニッヒトを無言で見下ろす

そして何を思ったのか自分の手首を噛み切った

心臓が止まっているために勢いよく吹き出すようなことはなく
ポタポタと血の雫が滴る

それを口元へとあてがった

キルド・ニッヒト >  
「――……?」

ぼんやりする頭――
なにもできない、ただ、されるがまま

何かが口に流れて、きた

けれど、味は一切、しなくて
流れてきたことに、反射的に――

「ごほっ」

吐き出す。当然だ。飲み込む場所がないのだから――

身体が拒絶する――

フィリオソリス >  
飲み込む力より吐き出そうとする反射の方が勝ってしまうようだ

「うまくいかないものだな」
 
しかたないとばかりに自らの血を啜りかがみ込むと
ニッヒトをその胸にかかえ

そして――口づけをした

問答無用で血を流し込む
啜った血だけでなく吐血の分まで余分に嚥下したかも知れない

そして力尽きたのかそのままぺたりとへたり込んだ

キルド・ニッヒト >  
無理やり流し込まされた、それに――

喉が自然と反応して――

ごくり――飲み込んで……

フィリオソリス >  
反射的に反撃してしまったが勝負は最初の一撃で決まっていたのかも知れない
余裕を見せておきながらさらなる隙を作られ、打倒されるとはなんたる無様
さらに勝負が決まった後に攻撃を見舞うなど――

夢に見た華麗な勝負ではなかったのかもしれない。しかし――

「ニッヒト――ぬしの勝ちじゃ」

そう告げた

そしてニッヒトを膝に抱えたまま眠ったように動かなくなる


龍の血は万病の霊薬となる
ましてやその原液

ニッヒトの腹ではミチミチと肉が繋がっていく音が聞こえるだろう

キルド・ニッヒト >  
少しすれば、異変に気づく。
死にそうになっていたのに
どこか意識はまともだ。

息ができる。

だから――

目を開けた

「…………天国?」

眼の前には、彼女の顔が、あった

フィリオソリス >  
下腹部に目をやれば服が破れ、丸出しになった腹が見えることだろう
一部皮膚の色が違っていたりするかもしれないが
 
そして上を見れば眼前に眠ったような顔が見える
いわゆる膝枕の格好であった

しかし反応はない

キルド・ニッヒト >  
「…………おきて」

つんつんっと頬を突っついてみる

少し言葉が昔になっているのは――死んだから、だろうか
まだ、夢の中のような気分で

頬を何度も突く

フィリオソリス >  
つついてみても反応はない

いつものような暖かさもないような気がする

キルド・ニッヒト >  
ガバっと起き上がる

そんな――冷たい。夢の中でさえ、彼女が死んだ事実は
自分にとっては死と同じだから

「おきて、おきてっ!!!!」

激しく揺さぶる

痛む腹部を気にせず、治ったばかりで
きしむ身体を無理やり、動かして――

フィリオソリス >  
「うっ…揺らしてくれるな。ぬしさま
 初夜には気が早いぞ……」

生気のない顔で小さくつぶやく

残っている魔力を総動員して心臓の修復を行っている最中である
ガクンガクンと頭を揺らされながらうーんとうなっていた

キルド・ニッヒト >  
「……ほ……生きてた……」

手を離す。そしてゆっくり息を吐いた後

「死んでるのかと……」

――なにか言っていた気がするが

今はそんなことより、生きていたことが何よりであった

フィリオソリス >  
「とりあえず――ね…る」

抱えられたまま、また眠ったように動かなくなる
いや、今度こそ眠ったのであろう

よくよくみれば胸が静かに上下しているのが見える

キルド・ニッヒト >  
「……よかった」

そう、安心すれば。
自分も夢の中であるのに、眠くなる――
そして、そのまま

静かに意識を、手放して――……

ご案内:「ドラゴンズネスト」からキルド・ニッヒトさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンズネスト」からフィリオソリスさんが去りました。