2019/06/19 のログ
ご案内:「ドラゴンズネスト」にキルド・ニッヒトさんが現れました。
キルド・ニッヒト > ――さて。今日もいつもの通り、ケーキを持ってやってきた
この前は怒らせてしまったから、そのかわりの謝罪を込めたケーキをもう一つ持って

無表情に歩いていく

襲いくるモンスターを避け――スタスタと。
スタスタと――

叫ばれようと何しようと

見えていないようにまっすぐと、歩いていく――

ご案内:「ドラゴンズネスト」にフィリオソリスさんが現れました。
フィリオソリス > その最奥にてドロドロに溶けた溶岩で飴細工かはたまた粘土でもこねるかのように
机?のようなものを作っている少女が一人

髪は黒く鎮まっているがその顔はプリプリと怒っており
机の造形はそれを表したかのように荒々しい見た目をしていた

マグマをすくってはペーンと机に押し当てていく

キルド・ニッヒト >  
「――……」

あれは、怒っている顔だ
きっと、そう。だから、眉をハチの字にした。
困った。とても、困った。

これではケーキを、渡せない

でも、ここにいるわけには行かないので

「あの」

声を掛ける。

遠くから

フィリオソリス >  
「……」

明らかに目が合っている
気付いているのだろう
しかし声はかけず、つーんと唇を尖らせている

その顔は私怒ってますとアピールする子供のようであった

キルド・ニッヒト >  
そのアピールを見ればすることはひとつ

「すみませんでした」

頭を下げることだ。全面的に自分が悪いと認めるのが
ここは大事と、習った

「――怒ってるのですか?」

確認するように。
距離は取ったまま、声を掛ける

「どうしたら許してくれますか?」

フィリオソリス >  
「許す…?」

ぺたぺたと粘土遊びをする手をピタリと止め
うーんと首を傾げる

気に触った相手は基本的にぶっ殺してきたワケなので
謝りに来た相手を許すという経験がほとんどないのである

どうしたら許そうか、などと考えている時点で半ば許しているような気もするが
彼女にも体裁というものがあるのだろう

頭でブリッジするほどのけぞり、心底悩んでいる顔でうなる

「うーん?」

キルド・ニッヒト >  
「……?」

おや、この行動自体が失敗だったのだろうか
けれど――答えが出るまで下手なことはできないので――

「……お菓子。ケーキを、また持ってきました。いちごと、チョコ」

賄賂というわけではないけど、誠意は必要と考え付け足し

フィリオソリス >  
「ケーキ…?」

聞こえた単語に耳がピクピクと動く

許すわけではないがケーキは欲しい

欲と外聞の板挟みにあった彼女はうーんとうなりながらも
既に冷えて固まった椅子を二脚、作りかけの机の前においた

不機嫌さのアピールのつもりなのかドカッとすわり腕と脚を組む

それからアゴで『こっち』だとジェスチャーをしてみせた

キルド・ニッヒト >  
許しを得た
ので――ケーキと、紅茶を準備して持っていく

足早に持ってきたからか、クリームもチョコも、溶けていない――
きらきらする、きれいなケーキであった

「……どうぞ」

フィリオソリス > 「……」

ちらっと横目に確認する
なかなかに見目麗しいケーキである

無言でフォークを突き刺すとそっと口に運ぶ

釣り眉はそのままだが口元がほころんでいる
そのまま二口三口――

そこでやっと口を開いた

「許したわけじゃないんじゃからな」

キルド・ニッヒト >  
「はい。側で生かしてくれているだけで十二分です」

表情はあまり変わらないが
声音だけで、安堵しているのがわかった

「紅茶、いりますか?」

直ぐ側で淹れたてを準備できるよう、ティーカップを用意して

フィリオソリス >  
なんであろう
こやつは召使いにでもなりたいのであろうか

紅茶のすすめには

「うむ」

と短く応えた

なかなかに気が利く
でも許したわけじゃないんじゃからな

キルド・ニッヒト >  
ちゃんと、いると言われてから注ぐ。

一杯分。最後の一滴まできっちりと――

「どうぞ」

ホット一安心。
そっと、机にカップを置いた

フィリオソリス >  
ドラゴンさんは熱くて甘いのがお好き
どこで習ってきたのか優雅にカップのお茶を飲むと、ふぅと一息ついた

そして

「それで、何をしに来たんじゃ?」

と今更ながら聞くのであった

キルド・ニッヒト >  
「――ケーキを運びに」

キョトンとしながら。
そう、だって、この間ケーキを持ってくる約束は
焦げてなくなってしまったのだ。だから、こうして

「約束を守りに。あと、謝りに」

来たという。命の危険を犯してまで

フィリオソリス >  
いままで保っていた釣り眉がぐにゃりと歪む

「それだけのために……?」

毎度のことながらよくわからない奴だ、大分なれたが

一応、手練れの冒険者でも数日から数週間はかけて探索するようなダンジョンに作ったはずである
遊び感覚で最奥まで来られるような難易度ならさらなる改築をせねばなるまい――などと思案を巡らせる

キルド・ニッヒト >  
今度は少年が、心外だというように眉をひそめた

「十二分な理由だと思いますが」

命をかけるには、と続けた

フィリオソリス >  
そこでふと『挑みに来たのか?』と現れるたびに尋ねていたことを思い出す
毎度毎度のらりくらりと躱されていたが――

ピローン、と頭の中で電球が光った気がした

「そうじゃな――小僧
 わしに全身全霊をかけて挑むがよい
 そうしたなら許してやろう」

キルド・ニッヒト >  
「――え」

まさかの返答であった。

”まだ”、その準備はできていない

でも――

「あの、一つだけ。その前に質問してもいい、ですか?」

これだけ聞いたら、やってもいい。そう、思った

フィリオソリス >  
「ん?なんじゃ?」

いいこと思いついたと言う感じで上機嫌に答える

なんどもダンジョンを踏破してくる小僧だ
見てくれは強そうには見えないが魔力か知力か技能か
なんらかの”特別”があるのであろう

うむうむ

と一人うなずく

キルド・ニッヒト >  

「恋愛ってしたことありますか?」

フィリオソリス >  
「ないな」

龍にとって、その対象は自分より強い相手である
自分を打倒するものこそそれにふさわしい

キルド・ニッヒト >  
「そうですか」

初めて。
そう、初めて――安心したように、笑った。

その笑みは――

「では、やりましょう」

 

フィリオソリス >  
「ん?本当によいのか?
 わしは『全身全霊をかけろ』といったぞ?」

受けると思わなかったわけではない、ましてや怖じ気づいたわけでもない

彼女はいっているのである
本当に『今』、『全力』が出せるのか?と

キルド・ニッヒト >  

「構いません」

だって、いつその”初めて”になれるのか
そんなのはわからないのだ。

倒す、という意味ではかけられないが。
そう、でも――

全身全霊で、挑むことは、できる

「やりましょう。今しか、ないですし」

フィリオソリス >  
「よくいった」

にぃといつにない顔で笑う
こちらの方が彼女の本性なのかも知れない

構えは取らずただ抱擁でもするかのように緩やかに手を広げている

最初の一撃はくれてやるとでも言うかのように、まるで隙だらけに見えた

キルド・ニッヒト >  
ただ、歩いた。

そう、ただ歩くだけ。
純粋に、純粋に――まっすぐと、歩いて。

座る少女の、前に――立ち――……

「――……」

拳を振るうわけでもなく。
何をするだけでもなく、前に、立ち。
傅いて――

「お慕い、しています」

ただ、まっすぐ、そう、告げた

フィリオソリス >  
拳は防げようとも言葉は防げない

その突然の一撃に
鳩が豆鉄砲をくらったようにきょとんとする

「は?」

数瞬の思考停止

ただ側に立つニッヒトを見上げるしかなかった

キルド・ニッヒト >  
一瞬の隙き――

その言葉は、どう聞いても本心で。
疑いようがない。
だって。だって――この男は、嘘をつかない。

そして。強いから、ほしいでも
強い雌だからでもなく――

純粋に。フィオソリスがフィオソリスだからこその

好きという感情。

今まで、通った、時間全てがその言葉に集約されて――

その”隙”を、生んだ

だから――

踏み込む。”心の臓”
そこを撃ち抜く――”掌打”。
固くなる瞬間も許さない――

いや、そのままでも十二分に硬い、重さを”利用”して
勢いよく独楽のように回り込み――背面から、同じ部分を――
肘で、撃ち貫いて――

――捨て身の、”告白(とっておき)”

フィリオソリス >  
強制的に作られた心理的な隙に打ち込まれた神速の掌打

通常であればそれでも反応し得たであろう一撃は完璧に彼女の芯をとらえていた

吹き飛ぶこともできずまっすぐに崩れ落ちる

「かはっ」

膝をつき血を吐く
今の一撃で彼女の魔力炉たる心臓は完全に停止していた

「や――やるのう・・・」

それでもまだ彼女にとっての致命には届かない

髪が陽炎のように揺らめき淡く赤味を帯びる
しかしいつもほどの熱は感じられない

無理な体勢から掌打がふるわれる

キルド・ニッヒト >  
避けられない。
それこそ、全身全霊の
すべてを掛けた動きだった――

振るわれた龍の一打を、もろに、受け――