2019/05/29 のログ
ご案内:「王都マグメール とある大衆酒場」にリィナさんが現れました。
リィナ > 王都の平民地区にある、ごくごく普通の大衆酒場は、今日も程よい賑わいを見せていた。
生粋の王都っ子である大将は口は悪いものの、面倒見は好い大男で、奥の厨房からはそんな彼の怒鳴り声がひっきりなしに響いている。
最初のうちは、それこそその声に委縮していたもののの、この頃はようやく慣れてきた。
といっても、偶に繰り広げられる客との怒鳴り合いに耳を塞ぎたくもなるのは変わらないけれど。

「いらっしゃい! 3名様、奥のテーブルにどうぞ!」

この酒場でアルバイトを始めてそろそろひと月にもなろうかというところ。
毎日は入れないものの、それでも常連さんには顔を覚えて貰えたと思う。
夕飯時ともなると、そんな常連だけでなく、冒険者や旅人などもやってきてまさしく戦争状態。
こっそり魔法で身体強化でも掛けておかないと、とてもないけれど捌けるものではなくて。

「はいはい、ちょっと待ってね! すぐ行きますからっ!」

ご案内:「王都マグメール とある大衆酒場」にルシアンさんが現れました。
ルシアン > 「…んっ……ん…っはーっ!ん…やっぱり、仕事が終わっての一杯の為に生きてるよねぇ…」

我ながらオッサン臭い台詞だ、と思いつつも心底から出てくるんだから仕方ない。
カウンターの席の隅っこでエールを煽りつつ、ご満悦の様子でいる客の青年。
この所は街の外へ狩りに出る事も多く、戻ってきた時には時折こんな感じで目ぼしい店を開拓しに来たりするのだけれど。

「……あれ、もう空だ…すいませーん。エールもう一杯ー。それから何か、お勧めで食べられる物もー」

きょろ、と辺りを伺いつつ。店員さんを探せば、追加注文を頼もうか。
丁度視線が向いたのは、忙しそうにくるくる動く少女だったりするのだけど…声が届くかどうか。

リィナ > ひっかりきなしに続く戦争も、やがて終わりがやってくる……はず。
今はまだお客さんが減る様子も見えない。
余計なことを考えずに、あちらこちらで自分を呼ぶ声に大声を返して。

「エール一丁、畏まりました! オススメ…うーん、今日はケッコウ鳥がオススメかな。串焼きとか、どうですか?」

告げられた注文にそう答えつつ、すぐ近くのテーブルで空いたお皿とグラスを回収する。
奥のほうから、料理が上がったぞ!と店内の喧騒にも負けない大将の声が響く。
「はーい!」と返事を返してから、狭い通路をくるくると通り抜けていく。

「お勧めは、串焼き、蒸し焼き、丸焼き……かな。変わった料理も出来るだろうけど、うちの大将の柄じゃないしね。
 はい、エールお待ちどうさま!」

泡立つエールをテーブルにゴトンと置いて。
どれが良い?と首を傾げ。

ルシアン > 久々の酒だけに、若干ペースも回りも早かったり。
割といい気分になりつつも、辺りの喧騒も心地よく感じて。
この店はだいぶ前にも1・2度ほど仲間と来た事はあったのだけど、覚えていて正解だったな、なんて。

「ん、ありがとう。へー…じゃあ、串焼きをお願いしようか。一押しみたいだしね。
 それから、ポテトサラダか何かがあればそれも。どうもお腹すいててね…」

エールを受け取れば嬉しそうにしながら、さっそくまた一口。注文を追加しつつ。
その注文を取りに来た少女を見れば、ん、と軽く首を傾げて見て。

「…あれ、君って前から此処に居たっけ?店員さんだよね?」

以前に来たときは、お酒も料理も悪くなかったが、パッと目を引くような人物も居なかった…ような。
まあ、飲み過ぎて覚えていなかっただけかもしれないが。
少女の側からも、青年に見覚えは無い、はずである…もしかしたら、街の中なんかですれ違ったりはしているかもしれないが。

リィナ > 「はーい、ケッコウ鳥の串焼きと、ポテトサラダ、入りました!」

厨房に居る大将に聞こえるように、声を張り上げる。
此処で一番に憶えた仕事が、注文を大声で通すことだった。
いちいち厨房まで戻っていたら、給仕が何人いても間に合わない。
大将からの「おぅ!」という返事を待つこともなく、今度は奥のテーブルからお呼びがかかる。

そろそろ食事メインから、お酒メインに切り替わりつつある。
逆に言えば、アルコールも程よく回ってきて、店内の喧騒も一段と大きくなる時間帯。
注文そのもののペースは落ち着いてくる一方で、お酒のトラブルも多くなるから気が抜けない。

「ポテトサラダ、先にどうぞー!
 えーっと、店員じゃなかったら、こんなことしてないですよ?
 少し前から働かさせてもらってます。」

次から次に入る注文に対応しつつ、お客さんとコミュニケーションを取るのも仕事のうち。
けれども、酒場の給仕にまだあまり馴染んでいないという自覚はあるものの、店員だよねと確認されてしまうほどだろうかと苦笑を浮かべてしまった。
右手に料理、左手に空いたグラスを抱えながら、通り掛かりに返事を返し。

ルシアン > 出されたポテトサラダをつまみにエールを味わいながら。
ほっとするような味とアルコールが身に染みる。
今くらいの時間はやっぱりどこでもにぎわうものだけれど、此処は割と穴場かもしれないなぁ、なんて。

「あー、そりゃそうだ。変な事聞いてごめん。
 ここに来るのも久しぶりだから、新しい店員さんかなーと思ってさ。
 …ん…そろそろ別のも頼もうかな。何か、果実酒で軽いのなんてある?」

通りがかってくれたところに声をかけ、あははと笑ってみて。
程よくお酒の回ったほろ酔い状態、遠慮だのなんだのはちょっと引っ込みがちである。

気分よく飲み、食べているのだけども…ふと、気が付くと店の片隅で何やら大声を上げる集団が。
どうも何やらきな臭い雰囲気。酔っ払い同士、小競り合いだろうか…?
喧嘩くらいならこの辺りでは日常の事、ではあるのだけど。

リィナ > 「まだ新人だから、お手柔らかにお願いしますね。
 果実酒だと……シードルはどうかな。さっぱりしてるから今日みたいに暑い日には良いと思うよ。」

お酒の味も、此処で働き出してから覚えたものだから、まだまだひよっこどころか卵の殻が付いている状態。
食堂ではなく酒場を看板に掲げているだけあって、大将が仕入れるお酒は結構な種類があるから、名前を覚えるだけでも苦労している状態で。
それでもお客さんから尋ねられたのなら、そんな数少ない自分のレパートリーの中からおすすめを選ぶ。

「エール5つ、お待たせしましたー!」

隣のテーブルに、両手に抱えたグラスをドンと置く。
代わりに空いたグラスを抱えようとしたところで、奥のテーブルが騒ぎになる。
ちょっとくらいの喧嘩ならば、この店でも起きない日の方が珍しいのだけれど。

「あー……おじさんにお願いしないと無理かも…」

ガタンと椅子が転がる音が響く。
喧嘩の仲裁とかは、新人給仕には荷が重すぎる。
けれど、お皿が床にぶちまけられるよりも先にテーブルへと駆け寄った。
いきり立つ男共の間をくるくると縫うように通り過ぎると、お皿とグラスを抱えられるだけ避難させる。
殴り合いでも始まれば、厨房の奥からオーガにも負けない親父が雷を落としに出てくるだろう。

ルシアン > 「シードルかぁ。良いね、それ貰おうかな。
 そういえば君ってお酒は飲めるの?…ああ、酒場で働いてるしその辺は大丈夫…かな」

少女と比べれば随分と飲みなれているはずの青年である。丁度さっぱりとしていいかもしれない、と。
見た所、さほど年は行って居ないであろう少女をじーっと面白そうに見てしまったりする。
・・・まあ、何だかんだで酔っ払いであるわけで。

袖すり合う、というのもささやかながら。お近づきになれた少女の様子を呑みながら何となく目で追ってしまって。
一人でのんびりしに来ただけに、周りに知り合いもおらず、店の大将さんも顔を見知っているという程度。
そういう場所でゆっくりと…なんていう風情を楽しめたりもする、のだけど。

ちょっと派手な音がして。其方に顔を向ければ、今から荒っぽいことが始まるような気配が濃厚で。
慌てた様子であたりの物を避難させる少女の様子をみれば、機転が利くもんだと感心しつつ。
さて、この場はどうしたものか。少し考えると…ゆっくり椅子から立ち上がって、その喧嘩を始める相手の元へ。
………ほんの一瞬だけ。指の先で、小さく何か「印」を切ったのが見えた人はいるかどうか。

「…その辺にしておきな?こんなところでおっぱじめる事も無いだろ?」

掛けた声は、酔っ払いにありがちな若干間延びしたもの。ほろ酔い気分な青年がそんな声をかけた所でどうなるわけでもない。
…はず、なのだけど。
荒事を始める直前だった2人には―――『天井にも付く位のものすごいガタイをした、鬼のような顔の巨漢が、地響きするような声で止めに入った』ように見えたはず。
それこそ、この店の親父さんにも負けないほどの迫力で、である。
――――さて、どうなる事やら。

リィナ > 喧嘩の方は、大将に任せておけばどうとでもなる。
それこそ日常茶飯事な出来事なので、あまり気にしていない。
それよりも巻き添えを食ってしまう料理や食器の方が一大事。
何せグラスひとつで、先ほどの串焼き1本どころか数本は買えてしまうのだから。

周りの客がやいのやいのと火に油を注ぐように煽り立てる中、
ちょこちょこと動き回って食器を回収する。
当然、喧嘩でもして食器を割ろうものなら、鬼の形相で大将が請求書を突き付けるのだけど。
そういうのは出来るだけない方が良いに決まっているわけで。

「もぅ……囃し立ててないで、ちょっとは手伝ってよね……」

被害が大きくなれば、自分たちにも火の粉が降りかかるだろうに。
これだから酔っ払いは困ったもの。
野次馬の煽りに、胸倉を掴んで口論していた二人がますますヒートアップする。
いよいよ、腕を振り上げたところで、ふたりの動きがぴたりと止まった。

「え……さっきのお客さん!? あ、危ないです!」

誰もが煽る中で、場違いにも止めに入ったのは、どう見ても喧嘩の仲裁に向いているとは思えない風貌の青年だった。
多少は腕に覚えがあるのかもしれないけれど、酔いに任せてテンションの上がった男ふたりをどうにかするには、少し頼りなく見えてしまう。
思わずと悲鳴じみた声を上げてしまうけれど、そのまますぐにでも殴り掛かるかと思われた男共は、ピクリとも動かないままダラダラと汗を滴らせ。
周囲も何が起きたのか分からずに、ざわつき始める。

ルシアン > 勿論、のんびりおっとりした調子の青年が止めに入っただけでは喧嘩が収まるわけもない。
酒が入っていれば、こんな場所でならなおさらの事。
「危ない!」なんて声が聞こえたりもするのだけど、それでもその2人の前に立ちふさがりながら。

「せっかく気持ちよく飲んでたんだ。邪魔されるのは、気分が悪いんだよ。
 荒事ならせめて外でやってくれないもんかね?それとも…どうしても、今、此処でやるかい?」

噛んで含めるように、口調そのものはいっそ丁寧にも聞こえるような物。
当事者以外には、どうにも大丈夫か?なんて思われてしまうかもしれない。
だけども…その2人の目に映るのは今にも牙をむき出し飛び掛かって来そうな巨漢の姿。
―――その場にない者の姿を見せられ、聞かされている。それに気づくものがこの場にいるかどうか。

『ち…チクショウ!覚えてやがれ!!』『そ、そのツラ覚えたからな!今度会ったらただじゃ置かねぇ!!』

そんな使い古された捨て台詞と一緒に、真っ青な顔になりながら出口へ駆け出していく当事者たち。
…入り口で、一応代金らしいコインを投げつけていくだけ、良心はあったようだけども。

二人が出ていけば、はー…と大きく安どの息を一つ。
見た目より荒事になれているとはいえ、あんまり好き好んでいる訳でも無くて。
やっとこ落ち着いたように、もう一度大きく息をすれば自分の席にと戻っていく。
さっきの店員の女の子が心配そうにしているのを見れば、にっこり笑ってみて。

「ふー…こんなので、良かった?うるさくしちゃったね」
ひらひら、と手を振ってみて。やっぱりその様子は、酔っ払い2人を追い払ったとは思えないようなのんびりしたもので。