2019/03/22 のログ
■サウラ > 手の甲には軽い外傷がつき、痛みを感じてもよい筈だったが。
今は気懸かりが他にあり痛みは感じない。
掌のほうのぬるつきは、もしかしなくても彼の額からの血だろう。
「そう、ニコね。さあ、頑張って歩いて頂戴。
あのおじさんに見付かりたくは無いでしょ。移動し続け――ッ?!」
視界がぐるりと回転し、背中に硬い感触と、両手首には強い圧。
瞬間的に記憶が逆行して、怖い記憶をいくつか思い出して身を強張らせる。
血の気がざっと引いて、手足に力が入らなくなり、喉が痺れたようになって声が出ない。
押さえ込まれた体勢から、彼をひとつだけの目でじっと見上げて。
「……私ね、あなたのような人相手だったら、
押え込まれるよりも押さえ込んで食べちゃいたいわね。」
意思の力を総動員して声が震えないようにしながら、笑って告げる。
――ざぁっと葉ずれの音が響いて通路全体が揺らめき、
生暖かい霧が生垣の隙間という隙間から吹き出して視界を覆う。
視界を奪う霧は音もなく直ぐに引いてゆき、霧が晴れたそこは、
それぞれが迷い込む直前にまで居た場所だ。
■サウラ > 迷路の魔法は時間切れで消え去って、まるで悪い夢から醒めるかのように二人を現実へと返す。
大変迷惑な症状が進行するか、解放されると同時に彼の状態も平常に戻れたかは彼のみぞ知る話。
もしもまた彼と会うことがあれば、返せていない助けて貰った貸しをきっと返そう――
■ニコ >
(このまま頭の中で膨れ上がった本能に身を任せればどんなに楽だろう。
きっと今まで味わったことのない快楽が待っているのだろうとも思う。)
……っぐ……!!
(だからこそ、全身に力を込めて彼女の手首から両手を引きはがす。
そういうことは興味がないわけではないし、と言うか興味しかない。
けれどこういうのは違う気がする。)
早ク、ニげ――?
(そうして彼女の上から身体をどかした瞬間、どこからか霧が出て。
気が付けば、彼女の姿も生垣の迷路も見当たらず。)
夢……っ、じゃ、ないな……。
(下半身に集まる血がそうではないと伝えていた。
先ほどまでの暴力的な衝動はないけれど、それでも身体に残る性欲の嵐。
今度あったら謝らないと、と思いながら、重い身体を引きずって家路に――。)
ご案内:「生垣の迷路」からサウラさんが去りました。
ご案内:「生垣の迷路」からニコさんが去りました。