2019/03/21 のログ
ご案内:「生垣の迷路」にサウラさんが現れました。
■サウラ > 少しまえに歩いていた王都の路地とは打って変わり、生垣で出来た巨大な迷路を彷徨っていた。
なぜ巨大と分かるかといえば、行けども行けども出口に辿りつかないからだ。
左手を生垣に添わせて歩き続けているから、いつかは出口なり入口なりに辿り着く筈。
「……これ、で、21回目の、行き止まり、ね」
三方を高い生垣に囲まれた道のどん詰まりで立ち止まり、肩で息をしながら大きく息をつく。
創り手が誰だか知らないが、その魔力量と構築術は眼を見張るものがある。
対象だけを閉じ込めるものではないらしく、ここに至るまでに数人と行き会っては居た。
逃げる男とそれを追う女性、後を追おうとはしたが不思議なことに直ぐに見失って仕舞った。
もうひとりは生垣に半分埋まるような格好で眠る女性。
起そうと暫く手を尽くしてみたのだが、起きる気配がないので先に出口を見つけに行くことを優先し、
つい先程出会ったひとりは精神錯乱気味で対話不能、喚きながらこちらに突進してきたので、
ぎょっとして咄嗟に踵を返し、逃走したのだけれど。
「追いかけては……、来ていないみたいね。良かった」
後ろを振り返って確認するが、人の姿は今のところ確認できない。どうやら撒いた様だ。
あがった息を整えるべく、大きく深呼吸を何度か繰り返す。
ご案内:「生垣の迷路」にニコさんが現れました。
■ニコ >
(つい先ほどまで王都内にいたはずだ。
獲物の肉を贔屓にしている肉屋に売り、その代金で飯でもと思っていたはずなのに。)
うぉぉぉおぉおおお!?!?
(何故生垣の迷路を明らかに病名のある精神状態のおっさんに追いかけ回されねばならないのか。
おっさんのくせに妙に素早く、しかもしつこい。
曲がり角をスキール音を立てて滑り、直角に曲がりながら再加速。
その先に褐色肌の女性の姿。)
――お姉さんそこにいると危ないですよ!!
(すれ違いざま、咄嗟に彼女の腕を掴もうと手を伸ばす。
掴めなければブレーキを掛けて引っ張っていこうと尚手を伸ばすし、振りほどかれないならそのまま手を引いて走り出す。
彼女が先ほどまでおっさんに追われていたと言うことは、知らない。)
■サウラ > ようやく肩で息をせずに平常に戻ってきた矢先だ。
長い耳がぴくんと跳ね、段々と近づいてくる人の声に反応する。
「……何か……、もの凄ーく嫌な予感がするんだけど」
正確にいえばそれは予感ではなく前触れだ。接近警報に近い。
己が向いている方の先、曲がり角から狼に追われたウサギのようにして現れた姿が視界に入り、
咄嗟に身構え低く腰を落とした。車輪つきのウサギとは珍しい。いや、違う、人か。
さらに曲がり角を曲がっていた新手の姿を見て、目を見開く。あれは、散々追われていた男ではないか。
「ああもう見付かった、……って、ちょっと何、きゃッ!」
こちらに近づいてくる男性もまた己が追われていた輩に追われているのか。
事情を瞬時に飲み込めたが、次の瞬間、すれ違い様に片腕を取られ、ぐん、と走り出す。
振り解くことも出来たが、振り解いたところで追われる状況は変わらない。
出来るだけ距離をあけたいのが追われる側としての心理だ。
彼に腕を取られて走り出して直ぐに、今まで壁だった筈の生垣が忽然と消え新たな道が出来ている。
■ニコ >
(彼女の腕を取って走る。
自分からは道は最初から続いていて、行き止まりだったことなど知らない。)
何!?
なになになになになんですか俺なんかしたこええよ!!
(涎を垂らしながら追いかけてくるおっさん。
泣きそう。)
お姉さんここどこか知ってます!?
てか俺さっきまで王都に居たはずなんですけどお姉さんもですかね!?
(後ろをチラチラと振り返りながら走る。
おっさんとの距離が詰められてないかとか、腕を引いている彼女が遅れてきていないかとか。
ついでにここに来てから人に会わなかったのでわからなかったことを聞いてみたり。
ダッシュしながら。)
■サウラ > 「あなたじゃなくて、この迷路のこと!道が変わってる!」
追跡者といえば、涎だけでなく目だって血走っているし、
下半身も明らかに興奮を示していらっしゃるのだ。
先程追われる途中、見たくもないのにうっかり視認してしまったので間違いない。
「多分、魔術で創られた結界だとは思うけど、ここが王都ではない確かね!
私もあなたと同じ!路地の角を曲がったら此処だったのよ!」
走りながらの会話だからか、つい声を張って大きな声になって仕舞う。
己も遅くはないが、彼はなかなかに足が速い。
彼に腕を取られていなければ、あっという間に彼との距離は空いていただろう。
彼に引っ張られる侭に十字路を直進し、二手に分かれた道を左に、
角に来るたびに彼の進む方角に進路は委ねて走り続ける。
■ニコ >
道!?
なんで!?
(道が変わっている。
理屈に合わないと言うことは、きっと自分の知らない理屈で動いているのだろう。
とりあえず曲がった先が行き止まりになっていないことを祈りながら走る。)
なんっだそれ!
だれが何のために!
(幸い彼女はついて来れているが、おっさんもなんか妙に足が速い。
追いつかれることはなさそうだが、引き離すことは難しそうだ。
ならば。)
――!
ちょいと失礼!
(自身の脚力と腕力を魔術で強化。
一言断ってから彼女を抱きかかえ、速度を上げる。
猛獣から逃げる草食獣のような速度で通路を疾走。)
■サウラ > 「何も誰がも今はあとよ!」
男性陣が元気になる付加魔術でも発動しているのだろうか、この結界内は。
ちらと走りながら後方に視線をやれば、追跡者の影がふらりとついて来る姿が見える。
このままでは息が完全にあがって、動けなくなる先が見えている。
かといってこれ以上の速力は己の脚には期待できない。
「しつ、こい!これって絶対捕まったらあなたも私もタダじゃ済まなさッ…、きゃあ?!」
身体が、ふわ、と浮きあがる。
余所見をしていた所為で彼が為そうとしていることに一拍遅れて認識し、
気づいたときには彼の腕に収まっていた。腕のなかといえど揺れてバランスが悪い。
両腕を彼の首へと伸ばし、ゆるく抱きついて身体を安定させる。
彼の胸板に己の胸が当たるけれど、これは不可抗力だ。故意ではない。
■ニコ >
っ、しっかり、捕まって……あ、でもあんまり密着しないで!
(自身の胸に当たる柔らかい感触。
ドキリとするが、今はそれどころじゃない。
気にしないようにしながら通路を右へ左へ曲がりながら駆ける。
駆けると言うか、半分跳ぶような走り方である。)
――っはぁ、はぁ、撒いた……?
(そうして魔術の効果が切れるまで走り続けた。
と言っても五分かそこらの話だが、流石に速度差のおかげで振り切れたようだ。
よろよろと立ち止まり、ガクンと膝が折れる。)
ひぃ、ひぃ――無理、もう、死ぬ……。
(五分間全力で走り続けたのだ。
彼女をゆっくりと下ろし、そのまま仰向けにごろんと寝転がった。)
■サウラ > 「っ、それってかなり難しい注文だって分かってるかしら?!」
しっかりと密着しないを両立させて尚且つ安定性も確保する。
彼の腕のなかは大変収まりが良くはあるが、走速が飛躍的に上がり、
会話をし続ければ舌を思い切り噛みそうだ。
余り特徴に薄い青々とした生垣の景色ではあるが、それが後方へ流れるように過ぎてゆく。
彼の声に頭をあげて後方へと視線を向けて確認するが、追って来る者の影は今は見えない。
「ええ、来ていないみたいよ。
――やだ、ちょっとあなた大丈夫?!」
ゆるりと下ろされる彼の角度に逆らわず、身軽く地へと下り立って。
その場に寝転がる彼へと向き直って、
逃走速度を劇的にあげてくれた功労者の顔を覗き込む。
■ニコ >
っ、だ、だいじょ、大丈夫。
(顔を覗き込まれると彼女のダイナマーイツボデェーが尚更エクスプロージョンである。
ごろりと横に転がり、さりげなーく視線を逸らしながら起き上がる。)
――んんっ。
えっと、とりあえず撒いたのは良いんだけど……。
これどうすれば出れるんですかね?
(あれだけ走っても変わり映えのしない通路が続いている。
迷路っぽい感じではあるが、もしかしてゴールしないと出られないのだろうか。)
■サウラ > 「良かった。それと、運んでくれてありがとう。
運んでくれた恩人に直ぐ死なれたくはないもの」
起き上がる気力を直ぐに取り戻せたらしい彼に、ほっと安堵した表情で頷き返す。
なんだか彼の視線が微妙に泳いでいる気がしなくもないが、まあ今は追及せずにおこうか。
「出口を探すべきなのか、出る方法を探すべきなのか正直分からないわ」
現状、お手上げなのだとゆるりと首を横に振って薄く溜息をつく。
――と、会話を交わす己の後方で、ススス、と音もなく生垣がスライドし、
他の生垣の中にするすると飲み込まれてゆき、向こう側へ続く新たな通路が現れる。
■ニコ >
疲れただけっすから、ハイ。
(脚力強化の魔術で強化できるのはあくまで脚力だけだ。
それを動かす体力までは強化してくれない。)
こういうとこは大抵出口がそのまま出口、に――
(彼女の後ろの生垣がスルスルとスライドした。
思わず言葉を途中で止め、その動きに合わせて首を動かす。
まるで入ってこいと誘われているような。)
■サウラ > 疲れただけらしい彼に、再度よかったと小さく紡ぎながら頷く。
「……え、?」
言葉を不自然に切りって首を横へと振る彼の動きを不審に思い、背後を振り返れば。
「この道、今までの通路とは少し違うみたいね」
新たに現れた通路もまた両側を生垣で覆われているが、ほかとは少し違うようで。
生垣にはところどころ、赤い色の花と白い色の花が咲いている。
ここに居ても埒が明かないのは確かだ。ゆるりと新たな通路へと足を踏み出してゆく。
■ニコ >
(今までの緑一色の生垣とは何か様子が違う。
罠のような気もするが、だとすると誰が罠にはめようとしているのかがさっぱりで、なんだか気持ち悪い。)
え、行くの……?
(とは言うものの、彼女一人で行かせるわけにもいかない。
彼女の後に続いて、恐る恐ると言った様子で進んでいく。)
なんか、さっきの通路の壁、壁と言うより扉っぽい開きかたした様な……。
■サウラ > 「行きたくないけど、行ってみないと。
だって出口は迎えに来てくれないもの」
慎重派らしく問うてくる彼に対し、やや脳筋気味の答えを返す。
そう、第一印象は「気持ち悪い」だ。
白と赤と緑の色構成自体は少し派手だが平凡といえる組み合わせではある。
だが、この通路の雰囲気がなんだかよろしくない気配なのだ。
貧民地区のなかでも治安が悪く荒んだ場へと足を踏み入れたときと感覚が似ている。
「出口も案外、あんな風な開き方で見付かるかもしれないわ。
ところであなた、見たところエルフでしょう?
エルフって植物と会話できるって聞いたことあるのだけど?
ここの生垣と話せたりしないのかしら」
勿論信憑性もゼロな情報だけれど、沈黙して歩くにはこの通路は不気味過ぎるから。
歩きながら、彼に話しかける。
■ニコ >
えぇ……。
(出口は迎えに来るってあーた。
そんな自分に都合よく世界は出来ていないと思う。
信じられない、と言ったような顔。)
いやまぁ、エルフはエルフだけど。
俺人間の中で育ったエルフだし、植物の声なんて聞いたこともねーよ。
そもそも自分が植物と喋れるエルフかどうかも知らねーし。
(何となくこの人は丁寧に喋らなくていい人だと判断。
彼女の来たい外れの答えを返しながら、一応背中の弓を左手に持って矢を番えておく。)
■サウラ > 「そんな声出さないの。……へえ、人間に?
どおりであなたが私相手でも、普通に話してくれるわけが分かったわ。
話しかけてみたら?生垣に。何か答えてくれるかも」
彼の言葉遣いがくだけたことにも気にする様子はなく。
冗談めかした口調で紡ぎながら、彼よりも数歩だけ先をゆく。
――と、矢を番えた彼が、赤い花の傍を通り過ぎた直後にそれは起こった。
赤い花が、くいと角度を変えて通り過ぎた彼へと向き、透明な液体を噴き掛ける!
万が一、皮膚につくか飛沫を吸い込むでもすれば。
盛って人を追い掛け回していたあの輩と同じ末路を辿るだろう。
■ニコ >
?
あぁ、ダークエルフ、だっけ?
(褐色の肌と長い耳。
肌の色を除けば自身と同じ特徴の彼女。
とは言え人の中で育った自分には、ただ肌の色が違う同族と言う程度の意識しかない。)
ん……うわっ!
(ふと、何かが動いた気がしてそちらを見る。
赤い花がこちらを見ていた。
それを確認した瞬間、何か液体を吹きかけられる。
思わず飛び退いて、)
なん……っ!?
(意識を直接殴り付けられたような感覚。
体が熱い。
自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。
思わず弓を取り落とし、その場で蹲る。)
ご案内:「生垣の迷路」にサウラさんが現れました。
ご案内:「生垣の迷路」にサウラさんが現れました。
ご案内:「生垣の迷路」にサウラさんが現れました。
■サウラ > その響きがあまりに屈託ないものだったので。
思わず彼のことを振り返りそうになるが、あえて前を向いた侭、
ふっと表情をやわらかく崩して笑った。
「……敵意なくそう言われるのは、初めてかもしれないわ」
その直後だ、直ぐ後方から驚いた響きの声が上がったのは。
咄嗟に身体ごと振り返ってみれば、何事かが起きたあとで、
ちょうど彼が蹲る姿を視界に捉える。ぱっと飛び出すよう彼へと近づき、
左手を彼の肩に触れるべく伸ばす。
「何が起きたの?あなた、無事?!」
蹲る彼のことを覗き込めば、ぐっしょりと何かで濡れていることが伺える。
汗にしては不自然な量であるし、先刻覗き込んだときに彼は汗などかいていなかった筈。
■ニコ >
あ、――が……ッ!
(涎がだらだらと出てくる。
熱い。
どうにかしないと。
そうだ、オンナ、今スぐオンナを――)
ッ、――くる、な……!
(肩に伸ばされた手を払いのける。
今自分は何を考えていた?)
この、花、ヤバい……、さっき、ノ、おっさんも、これニ――っ!
(意識を失いそうになり、咄嗟に地面に額を打ち付ける。
エルフ故にこの手のものに耐性があるのか、それとも彼女の言う通り植物と縁深いエルフだからなのか、さっきのおっさんみたいにはならないけれど。
今意識を失えば、間違いなく彼女に襲い掛かってしまう。)
■サウラ > 彼の肩に触れていた手が払いのけられ、軽く目を見開く。
驚いたのは他でも無い、見る見るうちに彼の様子が豹変していく姿にだ。
「ちょ、ちょっとちょっと!
あなたそんなことしたら頭割れちゃうわよ!」
額を地面に打ち付けはじめる彼に、払いのけられた片手を割り込ませる。
額の勢いを受け止めた甲が地とぶつかって表情を歪めるが、今はそれどころでは。
嗚呼、つまりその、彼が告げたことから推察するに、だ。
「――何でもいいから話して意識を保ってて。
今度は私があなたを助ける番よ。私はサウラ。あなたは?」
彼の腕を取りながら彼に話させるために問いを投げかける。
己よりも長身で重い彼のことを助け起すのは酷く難しいけれど、
なんとか彼に肩を貸して共に立ち上がろう。
彼を置き去りには出来ない。助けられた借りは返す主義だ。
途中、もし彼の意識が途切れて仕舞ってもこの腕は離さない。
彼が走って逃げてくれる間、一度も腕を離さなかったように。
■ニコ >
(自身の額に触れる彼女の手。
それだけで理性が消し飛びそうになる。
童貞じゃねーんだから、なんてどこか冷静に思う。
童貞でした。
彼女の手には自身の額からにじんでいる血の感触があるだろう。)
――ニコ、猟師の、ニコ――っ。
(とにかく彼女の言う通り、話して気を紛らわせる。
彼女の名前はサウラで、自分の名前はニコ。
よし、大丈夫、自分はまだ正気だ。
そう考えたところで、彼女の身体が自身に密着した。
同時に、女性特有のいい香りが――)
っ!
(それを意識した瞬間身体が動いた。
自分の身体を支える彼女を押し倒し、両手首をそれぞれの手で押さえつけて。
そこでようやく動きを止められた。)