2019/02/08 のログ
マリナ > 人生経験の浅い温室育ちには考察が欠落しており、目の前の出来事しか考えられない。
だから、彼の感じる痛みと少女の痛みは違うのだろう。
少女はただ―――肩に感じる彼の重みに対し、なにも考えずに抱き着けないことが悲しかった。
恋を知らずに嬲られる日々と、恋を知って幸せを感じて、それを失うことのどちらが苦しいだろう。
彼の言葉を聞きながら、ぼんやりと考える。

「…………、……」

毎日何十回と呼んだ彼の名を呼ぼうとして、やめる。言葉が続かないと思ったから。
そんな少女の膣内が、にゅぐと違和感を覚え、奥の圧迫感を弱めつつ結合が解かれていく。
ん、と喘ぐのを堪えるような声がこぼれ、彼の腕に抱かれた。
ずっと裸で触れ合っていたことには変わりないのだけれど、改めて湯船から出されると服を脱がされた時のような恥ずかしさがある。
なによりその体勢になると初めて、まだ紋が下腹部に浮かんでいることに気付いた。
それ故に脚を少しばたつかせるけれども、その程度では落ちることもないのだろう。
嫌いだから離れたいと口にするだけして、まだ期待している自分の身体が嫌になる。
胸元に落とされたタオルを、紋を隠すように下腹部へと手で伸ばそうとしたのは、続くささやかな抵抗であった。

ふわり、濡れた肌がベッドに沈み、戸惑う少女がすぐ傍の彼を見上げれば、―――開かれる脚。

「やっ、…………」

顔が真っ赤になっていった。秘唇が開き、白い皮膚に挟まれていた粘膜が露わになる。
火照った証に桜色よりやや充血した粘膜の中心に、ほんのわずか口を開けた膣への入り口。
今さっきまで彼を受け入れていた場所だから、通常時より柔らかめ。
少女の羞恥心を置いてけぼりに、彼の指2本なら軋むことなく、くぷ…とかすかな音をさせて飲み込んでいき。

「ふぁっ……やだ……や、です……ぃっ、言わ、ないで……ん、あ……っ……」

吐息ごと耳に入ってくる言葉は甘く、聞きたくないとばかりに瞼を瞑る少女の意思に反し、肉壷の中は蜜で蕩けている所為で指を引き込む。
奥には白濁の気配もあり、指が動けば、ぬぷぬぷちゅくちゅくと無遠慮な音が響く。
自然と腰が浮き上がりそうになり、開脚を強いられている太腿が震え。

「んぅぅぅっ……ぅ、あっ……ぁ、あ、やぁっ……はっ、んぅ、 やだ、やだ、ぁ……!」

下腹部に力を込め、絶頂を堪えるのもささやかな抵抗のうち。
彼の舌と言葉が耳を刺激するたび、ひくひくと媚肉が指をさらに奥にいざなおうと蠕動した。
過呼吸のように震える喉から残っていた水滴が滑り落ち、目尻に涙の雫が溜まっていく。
やだといくら言っても、もう限界―――と思った瞬間に。
彼の口から聞いたことのない言葉が落とされる。

ぱちりと開いた瞳から溜まりきった涙が流れた。
自分が好意を伝えると応えてはくれるけれど、曖昧に感じる時があるのは気付いていた。
愛しているという言葉を掛けられたことがないことも知ってはいたけれど、出会って数か月では貰えない言葉なんだと理解した。
いつかお嫁さんにしてくれるかなぁなんて子どもっぽい願望とともに、その頃には聞けるんじゃないかという期待もあった。
――――それだけに、また感情が昂って涙がほろほろこぼれる。
両手の甲で目元を隠すようにしても、肩が震えた。
この場合、感じている所為なんだか泣いている所為なんだか。

「やぁっ……こんな、とき、に……っ、ぁ、んぁっ、ぁ!
 ヴィクトールさま、の、ばかぁ……っ!! やだ、いま、イくの、ぉ……っ、っ ひっ、ぅ――――……!」

ついには愛しい人を罵倒しつつ、きぅぅぅ――――と、2本の指を膣肉が噛んで隙間を埋めていく。
全身が硬直し、本来なら弛緩しようとするのだけれど、刺激が止まらないどころか
肉芽まで触られ始め、まだ膣のきゅんきゅんと引き絞る動きは緩まらず。

「ぁ、はっ、はっ……やっ、ぁぁ!あふっ、ぁ んんっ……!だめだめだめ、……ぁ、……ッ、…………!!」

緩まないまま、少女の腰がびくんと跳ねた。
鼓動のように収縮する膣内に、肉壁全体が捩じれ上がっていく連続して果てたという証の蠢き。
小粒で真っ赤な肉芽の本体が、ふる、とかすかに揺れて、尿道口からしゅわっと潮を噴く。
真新しいベッドをさっそく汚してしまった醜態に、先ほどの昂ぶりとは違った涙がこぼれてきた。
喘ぎと嗚咽が混じった声が、淫音の合間に。

ヴィクトール > お姫様抱っこをすれば、引き締まった腕からすれば軽い体重が心地よくのしかかる。
背中や太腿の感触が腕に食い込むも、子供の様にお湯の熱を溜め込んだ高い体温も相成って心地いい。
よくよく見れば、下腹部に浮かぶ快楽の印が花を咲かせており、先程までの張り詰めた真面目な顔が少しだけ崩れる。
可笑しそうにクツクツと笑いながらも、可愛い奴だと言葉を降り注がせながらタオルを掛けていけば、僅かな抵抗すらもいじらしくて堪らない。

「……そういう事いうから、余計好きになるんだよ。この御姫様め」

王族の血を引いた姫君だから、その言葉に相応しいともいえる。
だが、今更股を開かされて茹で上がった表情で、小さな悲鳴を上げたり、耳元に囁く言葉に切なげに否定を紡ぐ辺りがまた綺麗で欲を唆る。
普段ならもっと言葉で意地悪をして、恥じらわせて食べてしまうところだが、今宵はトコトン蕩けさせると決めた。
腰が浮いてくるなら、それに合わせて膣内の膨れていくGスポットへ指を合わせていき、こちゅこちゅと小気味いい水音を響かせながら指が機械のように小刻みに前後する。
絶頂に堪えようとするなら、膨らみの部分だけでなく、不意打ちに子宮口へと指をピンと伸ばしていき、収縮する襞を引き伸ばすようにして小突く。
あまりそこを刺激すれば、深い深い絶頂だけに終わってしまうので、体の反応を見やりながら指を動かす。
心とは相反して大きく育った乳房の揺れや、腹部の震え、太腿の痙攣具合など、目配せする視線が身体をなめていく。
その上で改めて直ぐ側に居る姫君を見やれば……禁を解いた。
その言葉一つに、涙が幾重にも頬に筋を描くのを見れば、不躾な柄にも分身が滾ってしまう。
絡めた足、彼女の太ももあたりへ跳ねた亀頭がベチリと肌を叩く。
何処まで可愛いやらと、彼女だからこその魅力に唆られるばかり。

「馬鹿で構わねぇよ……可愛すぎるマリナを愛してるって、幾らでもいってやるよ」

言葉が否定か肯定かなど、締め上げる媚肉の反応がなくとも分かること。
ギュウギュウに締め上げられていき、隙間なく絡みつけば、今度はそれを引き剥がすように更に指を動かす。
コリコリと押しつぶされる肉芽は、鋭敏な粘膜をさりさりと削られ、下腹部に広がる熱に電流を交えていく。
そして……荒れる息遣いのような収縮を指に伝えながら、その証が吹き出す。

「……」

掌を叩くような勢いで溢れ出した潮。
一度快楽の回線が身体と脳をつないでしまえば、もう止める事はできない。
身体が心地よさを覚えていくなら、それを深めるために一度抱擁を解いてしまう。
起用にも身体をそのままスライドさせるように下肢へと向かわせれば、顔を股座へと突っ込んでいく。
透明な潮を溢れさす小さな唇へ、乾いた唇を押し当てると、じゅぅぅぅっ!!とわかり易いほどの水音を立てて吸い上げていく。
サラサラの感触が口内に広がり、薄っすらと感じる性的な匂いにも顔をしかめることはない。
寧ろもっと出せと言わんばかりに舌先で尿道口を擽り、意地悪に空気ごと水気を吸い込む。
指は絶頂したての膣内でも強引に動き、粘膜と蜜の擦れ合う卑猥な音色をハイペースに重ねてこすり続ける。
絶頂の高みから、一片たりとも下らせることなく、更に上へ上へ。
一度の絶頂が更に強く、徐々に深く代わり、少女の脳を真っ白に焼き尽くさんと鍛え抜かれた腕が疲れ知らずのハイペースを見せた。

マリナ > 今でも彼の言葉に、貌に、心が揺れる。ときめく。
解放されたいと願っても、まだ思慕が精神を蝕んでいる。
あれだけ欲しいと思った愛の言葉を、離れたいと思ったその日に聞かされ、
結合してもいないのに絶頂を重ねられる責め苦はあまりに重たかった。
けれど肉体はその責め苦にも確実に悦楽を感じており、彼の指先は感じるはず――子宮が降りてきていることを。
彼と出会ってからは少女の身体は彼の愛を受け止めるためだけに存在し、実際、今も蠕動し続ける肉壷は彼のカタチに調教されている。
だから、さっき繋がりを解いたばかりだというのに、肉棒が跳ね上がったのを感じた瞬間、ひときわ強く媚肉が縮こまった。
けれど、素直な身体とは逆に心は複雑。
あれほど避けていた愛の言葉を重ねるので、少女の口調も子どもっぽく意地になり。

「やだっ!!いまは、言わないで……っ、……―――――ッ」

こんな理性が半ば崩壊した状態で、しかも離れようとした少女には返事がしにくい状況で。
これではもったいない。なんて咄嗟に思ってしまったからなのだけれど、単純な拒絶と思われても仕方ない言い方であった。
終わりの見えない肉体の快楽に加え、彼の愛に翻弄されて混乱する精神は限界に近付きつつある。
その証が、泣きじゃくるという結果で。

「――――……ひぐ……っ、ぅ、……ふ……」

粗相してしまったことに。すすり泣く少女の膣口は、まだ指を噛むのをやめずにヒクヒクしている。
打ちひしがれていると、不意に隣にあった彼の体温が移動していく。
それを不思議に思い、涙に濡れた瞳が手の甲から外された時―――、ぐずぐずの秘裂に唇の感触。

「やっ……ぁぁッ……!! ふあっ、ああっ!!? やあっ―――……だめだめだめっ、きたないですっ!!
 んんふっ……、ぅ、んんっ……!出ちゃう、ぁぁぁっ……!!ヴィクトールさま、濡れちゃいます、からぁっ……!」

自由になった上半身を半ば起こし、大慌ての大騒ぎ。
黒髪に片手が触れ、これが自分を凌辱してきた立派な身分の人々であれば、
その髪を引っ張ったりもしたかもしれないけれど、生憎と相手はそうではないので触れるだけでなにも出来ない。
膣内を穿つ指はまだ止まらないし、潮を噴くほど弛んだ尿道口を舌先までも刺激するし、いくら絶頂しても足りない。
なにか出ると思った瞬間に腹部に力を入れ、耐えたのだから吸われるとその我慢すら無駄になる。
少女の頬から耳まで真っ赤に染まっていき、太腿がぴくぴくと小刻みに震えて、さっきから収縮を繰り返す膣内が、奥へ窄まっていく。

「……ッ……っ、っっ はな、れて、ぇ……っ……!!」

泣き声混じりに喉奥から絞り出す声の後、舌先触れていた尿道口がまたふくりと広がり―――
残りを無理矢理に吐き出されるように、ぷしゃっと体液が勢い良く弾けた。
それはまた上り詰めた証でもある。
彼の指先に絡み付く白濁は、ほとんど少女の蜜で上書きされているのだろう。
中で指が激しく動く所為で、蜜といっても掻き混ぜられて泡立ってしまい、白濁と見分けがつかないほど濁ってしまっているけれど。

ヴィクトール > 指先に感じる蠢きとは別に、刺激を変えるべく伸ばした指が変化に気づいた。
先程よりも牝の唇が奥からせり出し、指先に甘く食い込むようになったことに。
肉棒がぶつかれば、更に胎内が窄まって指を締め上げていき、動きを遮るかのように絡む。
けれど、それぐらいでこの男の指が留まるはずもなく、ゆっくりと曲げていけば、ずりゅずりゅと粘膜が押し広げられるように擦られ、再びGスポットへ勢いよく滑り込んだ。

「……? なら、何時ならいいんだよ…今言わねぇと、どっか言っちまいそうじゃねぇか」

言わないでというだけでなく、今はという前置きに訝しげな顔で眉を跳ね上がらせた。
子供っぽい口調も、涙を滴らせながらの表情も嗜虐心を煽る艶やかさがあり、こくりと小さく喉を鳴らす。
もっと泣きじゃくらせたくなってくる悪い癖が、むくむくと心の中で広がるのを駄目だと諌めつつ、愛部はとうとう絶頂へと導いていく。

「汚くねぇよ。潮吹き癖のついた、厭らしい身体に変えてやるよ……」

息継ぎの合間、身体を起こして慌てふためく彼女へニヤリとあくどい笑みで見上げる。
碧眼が零れ落ちそうなほどに恥じらい、耳まで熱を巡らせた表情は鼓動を大きくし、もっといじめたいと欲望が膨らむ。
その言葉の後、直ぐに唇を埋め直せば、ちろちろと小さな穴を上下に弾くように小刻みに擽り、我慢を徹底的に崩す。
白魚の指が黒髪に触れれば、硬い芝の様な毛並みが掌に伝わっていく。
じゅるじゅるっと意地悪な音を立てて吸い上げれば、再び溢れる潮。
吸い上げる音も、大げさなほど大きく響かせ、耳をふさごうとも聞こえるぐらいに粗相を感じ取らせようとする。
一滴残らず、幾度も吸い付いて処置を終えていくと、唇が離れていく。
一息つきながら、手の甲で唇を拭っていくと、散々胎内をかき回し続けた指が引き抜かれていった。

「……見ろよ」

子種とも愛液とも着かぬ、白濁とした混合液の絡む指。
それを彼女の眼前へと運んでいけば、二人の性の匂いがツンと鼻腔へと刺さるだろうか。
二本指の腹は薄っすらと白くなり、ふやけて皺が寄っており、僅かに冷えた室内の中で湯気すら浮かびそうなほどに熱を吸い込んでいた。
その指の合間を広げていけば、にちゃ……と淫猥な糸引きが白く、銀糸の様にも明かりに照らされていき、幾重にも張り巡らされていた。
二度三度と開閉しても消えない糸を見せつけていくと、小さな唇へとその指を押し当てる。
舐め取れと言葉にはせず、つんつんと突っついて侵入を求めながらも、子供なべそかき顔を意地悪気な笑みを拵えて見つめた。

マリナ > 他人の思考はよく読み取れるのに、乙女心には疎いのだろうか。
たぶん、他の男性に比べれば乙女心にも気付いてくれるタイプではあるのだろうけれど、今だけは別。
こんな極限の状態で、愛の言葉で縛るのはずるい。
もっと清らかな時、みんなに祝福されて軽く重ねるだけのキスをする瞬間に聞きたかった言葉である。
―――とはいっても、もうそれを願うことはないから、聞けただけ幸運なのだろうけども。
それでも、なんだか湧いてくるのは――――。

ごちゃごちゃした思考の中、今回もどうにか潮を噴ききるのを堪えようとはしたのだけれど、
吸われてしまっては最後まで搾り出してしまう。
ぴゅくっ、ぴゅっと少しずつ勢いを弱くしていく尿道口の開閉。
その最中も彼が口を離す気配が見えないものの、上り詰めている間はそれを咎めるのすら難しい。
顔が離れ、ひくひく震え続ける膣内から指が抜かれていく時になって、ようやく現実に戻ってきたような感覚で。

「――――――……、はぁ……ん、……はぁ……」

涙の跡を頬に残し、目もまだ潤ませたまま、荒く息をしながら命じられた通りに指を見て―――恥ずかしさに、睫毛を震わせた。
指の間に絡まる白濁の糸は、1本1本の泡立ちがわかるほど太く、性臭も強い。
それが自分の膣内に溜まっていて、一部が掻き出されただけなのだと思うと、ますますいたたまれなくなった。
言葉を発することが出来ない唇をつつかれ、少女は困ったように彼の顔を見上げる。
言いたいことはわかっている。ためらいがちに唇を開くと、舌先で糸を掬いながら口に含んでいく。

「……ん、ふ……―――――ぅ」

ぐすっとまだ涙で鼻を鳴らしながら、口の中で毛羽立った舌を2本の指に絡み付かせ、舐めとっていく。
―――濃い。食感も、味も。頬の内側で咀嚼しながら、指の根元まで口に収めようと顔を動かしていった。
小柄な少女の口腔は浅く、根元までしゃぶるとえずきそうになる。
その生理的な涙を、またぽろっとこぼしながら彼の指を綺麗にすると、ずるずると今度は顔を引かせて指を抜いていく。
白濁糸はなくなったけれど、代わりに少女の唾液がてらりと濡れた輝きを持たせていた。
最後につぷ……とかすかな音とともに唇が離れ、ると、少女は右手を振りかざし、
――――あろうことか、彼の頬を叩こうと、した。
勿論運動音痴の平手打ちである。戦闘能力の高い彼が避けるのは容易い。

ヴィクトール > もっと普通に、二人っきりで甘く囀り合う瞬間が相応しいのは分かっている。
けれど、罅を入れた今、砕けてしまう前にすべてを伝えねば、この手をすり抜けていきそうな焦燥感に、普段ほどの気遣いは出来ていなかったのかもしれない。
我儘ながらに、この娘を失いたくないと。
潮の一滴たりとも残さず啜り終えると、甘い息遣いが響く。

「……これでもう、感じすぎっと潮吹く厭らしい体質になっちまったな?」

自分以外に可愛がれぬようにと爪痕を刻んでいくと、意地悪に蜜の絡みついた指を見せつけていく。
普段よりも息遣いは荒いが、睫毛を震わせる可愛らしい恥じらいにゆっくりと口角が上がっていく。
それを口の中へとねじ込んでいくと、なるべく喉奥を突かぬように沈めていき、舌が残滓をこそぎ落としていく。
苦しげな指への奉仕をじっと見つめていく中、幾度脳裏で可愛いと呟いたことやら。
ずるりと引き抜かれていった指は、唾液に厭らしさの変わらぬテカリを見せていき、湿った指に自らの舌を這わせていく。
そのせいか、それとも見えていてワザとか。
彼女の平手を甘んじて受け止めれば、乾いた音と共に頬が叩かれていく。
身体を強張らせると、手首を痛めてしまうからと少し脱力して叩かれると、軽く左へと顔が流れていき、黒糸に目元が隠れた。

「……いってぇ」

言葉にするほど痛みなどなく、赤い跡も全く残らない。
軽く頬を擦りながら顔を戻していくと、意地悪気な笑みの消えた顔がただ見つめ返す。
叩いた理由、それが自分への憤りなのだろうとは思うも、今ですら幾度も怒らせるようなことをしている自覚ぐらいは有る。
どれが一番に腹ただしいのやら、そこまでは察しきれない。
怒ることも、文句を吐き出すことなく見つめていると、叩いた掌を捕まえようと片手を伸ばしていく。
届いたなら、掌を確かめようとひっくり返し、白い皮膚の具合を確かめていく。
脱力したとは言え、首も筋の塊みたいな身体をしている分、痛くしたりしていないだろうかと、手首を確かめる際も優しく傾ける程度。

マリナ > まだ下腹部がひりつくように熱く、口の中に2人の味が残っている状態だというのに。
2人ともあられもなく裸身で、色を帯びた空気だというのに。

――――初めてひとを叩いた。
それに少女が1番驚いたように、濡れた瞳をぱちぱちまばたかせた。
一瞬、怒られると思って、こちらに向かってくる腕に、
びくっと肩を竦ませたけれど、彼は手のなにかを確認している様子で怒っているそぶりはない。
彼の気遣いで痛めたりはしていないものの、叩き慣れていない皮膚の柔らかい掌は、ほんのりと熱を持っていた。
そう感じるだけで、実際に腫れたり赤くなったりはしていない。

自分の手を確認している彼の顔を見ているうち、視界が歪んで、またぽろぽろ大粒の涙がこぼれていることに気付く。
たまに涙が止まるとはいえ、もうずっと泣いているので、すぐに嗚咽となってしまい、肩が震える。

「―――――ひっ……、ひ、ひどいですよぉ……ひぐっ。なんで、マリナがなにも言えない時に
 愛してるって言ったんですか……ゆるしません、ぜったい、ゆるしません……っ、っっ」

嗚咽を我慢して言い終えると、ぴえぇっと子どものように泣きじゃくり、彼の肩に頭を寄せようとしながら涙をこぼす。
彼が今わの際で大事な台詞を言ったことを責めるも、その姿は愛される女には相応しくない、感情の制御が難しい子ども。
正常な状態に戻るには、彼と離れて1日なりなんなり時間を置かないとまだ難しい様子。

ヴィクトール > 「……?」

何を驚いているのやらと、瞳を瞬かせる様子に首を傾げながら頬を擦る。
時折叩き込まれる兄の拳に比べれば、随分と軽く優しいものだ。
手を伸ばせば、驚く様子に苦笑いを浮かべつつ、何もしねぇよと呟きながら掌を捕まえていった。
幸いにも叩いた皮膚のほうが薄っすらと火照った程度らしく、赤みもなければ手首の可動に痛みも訴えない。
その様子に安堵して吐息が溢れれば、苦笑いで彼女を見つめ。

「わりぃな、身体がかてぇから、マリナが引っ叩いたら手首痛めちまう……」

理由を紡ぐ中、改めて彼女を見遣った瞬間、幾つも零れ落ちる感情の雫にぎょっとした様子で目を見開いた。
やはりなにか悪いことをしたのは間違いないと確信に至れば、両手を彷徨わせながら視線がわずかに泳ぐ。
なんと言葉をかければよいやら、唇が言葉を幾度も紡ぎ直して、言葉にならぬ句ばかりが口をつく。

「……悪ぃ、でも早く言わねぇとマリナがどっか言っちまいそうで怖かったんだよ。本当にすまねぇ…」

転んで膝を擦りむいた子供の様な、幼い嗚咽が溢れ出すと不安が少しだけ和らいだ。
こんな泣き方も、取り乱し方をする女は今まで誰もいない。
幼くて真っ白で、綺麗だからこそ可愛いのだと思えば、苦笑いを浮かべながら頭を抱き寄せて肩口へ埋めさせていく。
悪かったと何度も囁きながら金糸を指で梳くように幾度も撫でていき、子供をあやすように可愛がる。
手間がかかるなんて、悪態の一つも浮かばず息を吸い込むと、ふわふわの髪を掻き分けるようにして頬に触れていき、赦されるなら額へ軽くキスをするだろう。

「……許してくれなくても構わねぇ、だけど勝手だけど俺から離れねぇでくれ。マリナに嫌われるより、消えちまうほうが怖ぇよ」

どうしたら許してくれるだろうかと考えるも、学のない頭ではいい言葉は浮かばず。
もごもごと言葉に迷っていたが、心に決めたことに頼る。
幼い彼女を抱きしめ続けたい、壊されるぐらいなら壊して手元に置きたい。
誰にも渡したくない。
穏やかな声で囁きかけながら、抱きしめ直しつつ掌は金糸を撫で続けるが、彼女の涙につられそうになる。
けれど、そうそう男の涙なぞ見せて貯まるかと軽く目頭を押さえて堪えると、小さく鼻をすすってから再びぽんぽんと子供扱いに小さな頭をなでていた。

マリナ > 優しくされるともっと悲しくなる。
彼が拾った少女は、わがままで、甘ったれていて、思慕に依存していて、まさしく手間が掛かる存在。
涙が後から後から湧き出てくるので、彼の肩や胸を濡らすだろうけれど、止められなかった。
彼にとっては愛を伝えたら叩かれて怒られたなんて理不尽だというのに。
それでも、ぴーぴー泣いてはいても、泣く時に彼に寄り掛かろうとしたところは、多少の変化かもしれない。
告白を受けた途端、他人行儀になった時に比べれば。

一緒に過ごせる時は、よく撫でてもらった髪を梳く指先も、なんだか久しぶりのような気がした。
額に口付けられても拒むことはなく、いつもと違って弱気にも聞こえる彼の声音に、少しずつ泣き声が小さくなっていった。
1度力いっぱい泣くとなかなか鎮まらず、肩は震え続けているけれど。
――――いつだって強い彼が泣くわけない。と思ってる少女は、涙を堪える彼に気付かない。
ただ、こてっと肩に頭を預けたまま――――、ゆっくり、怯えるような手付きで彼の背に両腕を回す。
しばらく沈黙して、嗚咽が収まった頃に口を開き。



「……………妾、というのは、……、……やっぱり、結婚式は出来ないのでしょ、か……。
 もちろん……、気分を害する方がいるといけない、ので……、
 誰もマリナ達を知らない場所で2人で……誰にも秘密で……で、良いのですけれども……
 マリナは――――…… 好きな人の、お嫁さんになってみたかった、です……」

昔話でも語るかのように、ぽつりぽつりとした口調。
不思議とそんなことを話す間は涙声にならずともいられた。
視線はぼんやり、どこでもないどこかを眺めるようにしているけれど。

ヴィクトール > 先程までは突き放すような態度だったものの、泣き崩れながらも寄りかかる様子に、安堵の吐息をこぼして金糸を撫でていく。
額へのキスも受け入れてもらい、徐々に強張った心が解けていく実感を覚える。
こちらも少し険しかった真面目な顔が緩んでいく中、背中に感じる掌に金色の瞳を少しばかり見開いた。
ちゃんと縋ってくれた、それが何よりも嬉しくなり、いい子だと普段の低くて落ち着いた声色が耳元を擽っていく。

「ん……? 結婚式か……いや、マリナがしてぇなら、どこまでも準備してやるさ。それに、マリナを寂しくさせねぇように、二人の時間もちゃんと準備する……それで良しとしてくれなんていえねぇけど、出来る限りの我儘は、何でも聞くから……いってくれ」

彼女にとって結婚式というのは、やはり大切なイベントの一つなのだろう。
どことなく呆けていく様子に呟くのが痛々しく、ズキズキと胸を罪悪感の棘で締め上げていた。
言葉が少しつまりながらも、彼女の寂しさを、満たされぬ思いを少しでも満たさんと矢次に言葉を並べていく。
喋りながらも、色々と彼女の為に思考を巡らせていき、記憶をほじくり返す。
兄嫁の話は特に親しい出来事も有る、酒の朦朧とした記憶を数秒の魔に幾つも巡らせて……一つ、彼女の心を晴らせるものを見出す。
小さな左手を掬い上げると、両手で挟み込むようにして包んでいく。
ぞわりと瘴気の悪寒にもにた冷たさを手から発すると、暗い光が手の合間に集中していく。
瞳を閉ざし、眉間シワを寄せながら力をコントロールし続けること数分は掛かってしまった。
すっと掌が離れていくと、左手の薬指にはぴったりと嵌まる環が通されている。
自身の剣と同じ真っ黒な黒曜石を削り出したような、シンプルなリング。
そして、自身の掌にも、全く同じリングが転がっていた。

「ちゃんとした指輪は……その内準備して、右手に送るからよ。今はこれで許してくれ。それと……俺…つぅか、仕事柄指に輪っかつけれねぇから、剣に着けておくな? 戦場ですっぽ抜けたら堪らんし、まぁその……指、欠けるかもしれねぇからな」

無論、そうならないように気を配るつもりだが、絶対ではない。
そして一番自分と同じものとして扱うならば、自身の魔力で変貌した剣だろう。
壁際に立てかけられた大剣を指差し、今はその左手に自らも嵌めていく。
黒のリングからは自身が放つ瘴気の感触がひんやりと伝わり、そして自身を思わせる気配をわずかに宿す。
ちゃんと面倒を見て、お願いを聞き届けて、大切にする約束としての対の輪が出来上がると、こつりと互いのリングを重ねるように手の甲同士を重ねようとするだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」からマリナさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」からヴィクトールさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」にマリナさんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」にヴィクトールさんが現れました。
マリナ > 少女の口調は「してみたかったなぁ」程度の独り言に近く、
裏には「たぶん無理だろうなぁ」という思いが透けていたため、きょとんと彼を見上げた。
母親も入籍出来ずに自分を産んでいるため、夫婦のリアルさは知らないけれど、
妻にだけ許されるものというのは確実にあるだろうとは思っていたから。

「ほんとに……ですか……?しても良いのですか?…………ほんと……ですかぁ……」

本当に予想外だったと見え、語彙が残念。
加えて彼の言うわがままについては、口を閉ざした。
本気で自分が願うだけのわがままを言い出したら、彼はきっと困った顔を見せるに違いなく、
少し迷うような間があった後、曖昧な感じで頷いた。
そんな反応からも、少女が本来のペースに戻ったとは言い難い。
けれども、不意に左手をとられると泣いて腫れた瞳で、手元を見下ろして。
少し時間を要しての、指に嵌まった黒い指輪をしげしげと観察する。
さっきから脳処理が完全に追い付いてないからか、感情の揺れが激し過ぎるから、
平時ならすぐに気付くようなことに気付けず、彼の言葉を聞いて初めて、これが正式に迎えてもらう証だと知り。
それについて反応する前に彼が物騒なことを言ったので、ギョッとし。

「欠けっ……!? それ、は……困ります……手が繋げなくなっちゃいます……」

ズレた発言し、重たそうなまばたきをしながら彼の薬指を見つめていた。
たぶん泣き過ぎた。思考が鈍く、夢の中にいるような気だるさがある。
そんな自覚とともに、触れ合うリングの音。
そこでようやく指輪を認識したかのように碧の眸子に生が宿り、指を伸ばして嵌まり具合を確認した。
乾き始めていた目尻が潤み、潤み始めるとぽつりと垂れるまで早い。

「…………、…………えへへ……指輪貰ったの初めてです」

泣き笑い状態で彼を見上げると、また甘えるように両腕伸ばし、ゆっくり抱きつこうと身を寄せる。
怒りや悲しみが高ぶっていると意識しないのだけれど、落ち着いてくると互いに服を着ていないことを実感する。
胸がやわく潰れ、紋が浮かぶあたりに彼の怒張が触れ、―――吐息が熱くなる。

「―――ヴィクトール様。マリナ、お薬飲んだので……眠たく、ない、です……」

ヴィクトール > 「あぁ、約束だ。俺もマリナに我慢をお願いしちまう事、色々あると思うからよ……ちゃんと言ってくれ。帰ってきた時、嬉しそうな顔で寄ってくるマリナを見てぇからな」

呆けるような言葉だったものが、徐々に確りとしていく。
彼女の過去はそれとなく兄から聞かされてはいたが、男という性故に儀式に深く比重を置いていなかった。
だが、本当かと確かめる言葉に それが大切なのだ と脳に刻み込めば、頷く様子によしよしと金糸を撫でていく。
普段の綿飴の様な柔らかく幼い雰囲気は完全ではないが、少しずつ戻る感触に心の緊張が僅かに解けて口角を緩ます。

「俺の魔法……意志を具現化する力だ。そいつは俺の魔力で出来てる、ある意味俺の一部だな」

黒曜石を削り出したかのような、薄っすらと光を反射する光沢は黒の中に愛らしい顔を映し出す。
綺麗な円形に丸みのある傾斜を着けたリングは、表面に触れればつるりとした触り心地のいい感触を伝えていく。
ぼんやりと指輪を見つめる様子に、大丈夫だろうかと顔を覗き込みながら言葉を重ねれば、可愛らしい顔が驚愕の表情で此方と重なった。

「……っ、ははっ! 指全部は落とさねぇよ。もし指がなくなっちまったら、マリナがギュッと握って掴んでくれよ?」

頼むぜと微笑みながら、ぽんぽんとふわふわの金糸の頭をなでていく。
リング同士がぶつかれば、こつんと硬い音を響かせていき、催眠術がとける合図のように碧玉が輝く。
確かめながら幾度目になろうかというほどの涙に、きゅっと胸の奥が締め付けられる心地に、金色が淡く震える。
高揚感と共に、小動物じみた可愛らしさが心を擽って、にんまりとしながらその身体を抱きとめていく。

「マリナの初めてを貰っちまったか、そいつぁ嬉しいぜ」

涙の微笑みを抱きしめると、背中に回る腕に全身が熱を帯びていく。
やっと彼女を繋ぎ止められた と、安堵しながら背中をなでていけば密着する身体に、息子は素直なもので。
向かい合って抱きしめ合う最中、門のあたりへ御強請りするように亀頭がノックし、心地よい白肌の感触にとろっと先走りが溢れて濡らしていく。

「……あぁ、でも…意地悪したくて堪らねぇんだよな」

少女の盛る熱息が肌を湿らせていくなら、クツクツと意地悪い笑みで見つめ返して頬を撫でていく。
そのまま金糸へと滑らせていき、手櫛を通して髪をかき分ければ、耳元へ唇を寄せていった。
ぼそりと囁いたのは、意地悪なお願い。
”マリナの卑猥な御強請りが聞きてぇ”と、何を持って卑猥とするかまでは言わず、彼女の恥らう姿を楽しむ為の余地を残す。
機嫌が治ってすぐに臍を曲げられては困るが、可愛がりたいと意地悪したいがずっと溜まっていた。
頼むよと言葉を重ねつつ、髪を撫ぜ、背中から臀部をさすっていき、肌を密着させながら彼女を強請る。

マリナ > 今後の生活がどう変化するのかわからないので、幾許かの不安もあるのだけれど、
今はとにかく指輪の効力が大きく、嬉しげな様子は隠さない。
おそろいというのも重要で、自分だけでなく彼の指に嵌っているのを見る貌も、なんだかほころんでしまう。
わがままを聞いてくれると、せっかく言ってくれたので、さっそくひとつ。

「マリナと一緒にいる間は……その指輪、つけてほしいです……。うふふ、なんだか夫婦みたい。
 ――――あっ、いえ、……違うのは、わかってるんですけど……」

指輪に浮かれてぽろっと拙いことを言ったので、慌てて自分で否定しておいた。
無条件に彼との関係を喜んではしゃいで良い時期が終わってしまったのは、単純な少女としてはまだ慣れないところもあり。

「全部じゃなくても指切り出来なくなるだけでも困りますよぉ……。
 ギュッと握りますけど、ヴィクトール様のお手、おっきいので……、その時は紐で結びましょ。
 簡単に離れられなくなったら、マリナちょっと嬉しいです」

にこにこ笑う笑顔に、だんだんペースも戻ってきた。
乱高下していた感情が柔らかく温かなものに落ち着き始めると、殺伐としていた分気持ちを落ち着けたくなる。
彼に抱き締められて、隣に寝て――――精神的な充足とともに、肉体の触れ合いを求めたくなるという意味で。
下腹部に触れるぬめりと、勃起が強まる気配に、彼と出会って数か月抱いてもらった身体は熱くなる。
なんだかとても久しぶりに思える素直な抱擁に酔い痴れつつ、いつものように髪を撫でてくれる手に気持ち良さそうに目を細めた。
―――けれども、求められるのはまた難易度の高いお願い。
髪や背中ならまだしも、手が臀部まで至ると頬を火照らせ、羞恥に困惑する。
卑猥なといっても、よほど陶然とした状態でないと難しいのは彼も知っているだろう。
だからこそ眠たくないという遠回しな台詞だったのに。

「えぇ……、なんて言ったら良いのですか……、えぇと……えっと……」

今、自分が彼になにをしてほしいのかあたふたと考える。
薬指に感じる真新しい指輪の感触。予想もしなかったけれど、嬉しかった。
今は正直に彼を欲しても良いのだろうかと、まだ迷うところもあるけれど―――

「……マリナ……さっき、いっぱい、……その……イっちゃいましたけど……、ほんとは、ヴィクトール様の、
 ……ぉ……おちんちん……ぃ、入れてほしかったの、です……。だってマリナ……
 ヴィクトール様が好きですし……キスしてほしいですし……手を握ってほしいですし……、……長く長く一緒にいたいです……」

卑猥なおねだりをするという本来の目的を見失い、ひたすらにしてほしいことの羅列というわがまま。
泣きすぎて赤くなった目元がヒリヒリするのは、涙の塩でやられてしまったのだろう。
甘える動物のように、すりすりと額を彼の胸板にこすり付け――るばかりか、唇押し付けて、ちぅと吸う。
意地悪したいと言う彼に対し、拒絶した反動で甘えたに磨きがかかっている様子。

ヴィクトール > 「本当に可愛いなぁ、マリナは……。わかった、着けておくぜ。気にするな、二人っきりの時は似たようなもんだからよ」

記念は大切である、これはよくよく記憶に留めておこうと肝に銘じる。
嬉しそうな微笑みで紡がれる御強請りは、また乙女なお願いであり、思わず表情がニヤけてしまう。
続く言葉にはそうだなと言うように頷きつつも、自身の掌を見やる。
小指は失わないように一層気をつけるようにと思いながら、その手を彼女の髪へと重ねていく。
指の合間をすり抜ける金糸の柔らかさと心地よさ、頬に触れれば自分とは異なる綺麗な感触に肉欲は高ぶるばかり。
そして、意地悪な御強請りを求めれば……燃え盛るような頬の赤らみを見つめ、たんっと下腹部を強く肉棒が叩いてしまう。
可愛らしさもあるが、その顔を蕩けさせたいと悪い欲求が渦巻いていき、じっと見つめ続ける。
無論、娼婦が口にできるような淫猥な御強請りこそ無理だと分かっているが、焼け落ちそうな少女の恥じらいの言葉が聞きたいのだから十分だ。

「……厭らしい御強請り、つぅか……甘えたいっぱいな可愛いオネダリだな」

顔を見つめながら、その言葉を受け止めていくと半目閉ざすような表情で呟きつつ、徐々にクツクツと笑っていく。
額を胸板にこすりつけ、僅かに吸い付くこそばゆさに、ふるりと身体を振るわせると、苦笑いを浮かべながらよしよしと金糸を撫でていった。
甘えん坊なところが更に加速するのも、彼女らしい特徴だろうと思いつつ、その身体を抱きしめていく。
片手が枕を掴むと、彼女の腰元へと運んでいき、その身体を引き寄せるようにして抱えていく。
膝立ちになりながら、小さな体をうつ伏せに寝かせていけば、丁度下腹部の上へ枕が重なっていった。
自然と尻だけを上へ突き出す卑猥なポーズとなるわけだが、そこに男の引き締まった身体が覆いかぶさる。
背中に薄っすらとざらつく硬い皮膚が擦れ、小さな掌を捕まえると、手首を壊さぬように握って顔の左右へと運び、シーツに押し付けていく。そのまま我慢汁を滴らす亀頭を、たっぷりとほぐした陰裂へと押し当てていき、割れ目をなぞりあげた。
互いの粘液が混じり合い、泡立つ音を大きく大きくしていき……何の断りもなく、不意打ちに一気に貫く。
じゅぐんっ!!と押し込まれていき肉棒は、まっすぐに子宮口を小突き上げるが、最初の衝撃の後は更に密着度が高まる。
背中や尻には身体の感触を伝え、手首を掴む手は雄が牝を組み敷くような荒々しくさと、独占したがる牙のかわりか。
そして腰は子宮口だけを只管に小突き、僅かに腰を揺らすだけで肉塊を小突き回し、こねくり回して亀頭が膣奥を蹂躙して脈動する。
目隠し無しで視野を封じる格好の中、心地よさに溢れる吐息を耳元に降り注がせながら、薄っすらと口角を上げていった。

「……愛してる」

今度はちゃんと受け取ってもらえるだろうか、と。
ちゃんと返事はできるようにペースは抑え気味にしながらも、ピストンは繰り返される。