2019/02/05 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」にマリナさんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」にヴィクトールさんが現れました。
ヴィクトール > 抱きしめ、引き寄せると柔肉の壷の中へ再び肉棒を沈めながら、小さな体を力強く包み込む。
身体はそれを悦ぶように心地よく襞を絡ませ、白濁が胎内で波打つのが淡い振動となって肌に伝わる。
逃げ出しそうになる言葉に、そうじゃないと思うがままに吐き出した言葉は普段より荒かった。
故に、彼女が頬を濡らしながら怯えれば、はっとした様子で慌てふためき、バツの悪い顔で視線を彷徨わせる。

「わ、わりぃ……怒ってねぇよ、本当だ、俺が悪ぃ事してんだ、怒る道理じゃねぇ」

守りたいと思っていた存在を傷つけたのは、ひどく胸を抉っていく。
顔色が曇っていき、気落ちしたまま軽く俯きながら呟くと、僅かに腕の力を緩めた。
屈託のない笑みを見ていたい、その顔を厭らしく歪めて意地悪したい。
甘ったるい感情を受け止めて、御姫様みたいな金糸を優しく撫でていたい。
壊れ物のように丁重に扱おうと思っていたというのに……と、心の中で悔いながら小さな溜息を零すと、彼女の頭へ額を重ねて行った。
すまねぇ その言葉を何度か繰り返しながらも、己を落ち着かそうと息を整えていく。
そして……続けられたのは困惑と、淡い恨み節なセリフ。
嗚呼そうか、と。
何故かその言葉に頭の中がスッキリするような気がすれば、逃げるなよと囁き、信じた上で片腕を解いた。
逃げようと思えば逃げれる、緩い抱擁。
力で抑えつける事をやめれば、代わりに濡れた掌が緩い癖の掛かる薄金色の髪の上へと重ねようとし、ゆっくりと撫でようとしていった。

「…マリナのままでいてくれ。子供っぽく背伸びして、俺に大好きって言ってくれるマリナが好きで、手放したくねぇ。俺以外にその顔見させたくねぇんだよ、今離れられるのが……一番辛ぇな」

ゴタゴタが起きないのを知っていても、仮に起きたとしても。
この綿飴の様に柔らかくて解けてしまいそうな彼女を失う苦痛のほうが、耐え難い。
ほんの少しだけ、目頭が熱くなるような感覚を覚えるも、見せないように俯いて喉の奥が引きつるような痛みに耐えながら口元が歪んでいく。

「俺の子が欲しいっていったろ? そんな事知らねぇで孕んだら、マリナが壊れそうだって思って……言っちまった」

桜色の薬を前に、これを口から飲むだけでなく、直接注射される言葉にすら甘い囀りを紡いだ純心。
それを騙したままなのは、あまりに残酷な気がしたが、死ぬまで黙って抱えるべきだっただろうか?
分からないが、今後悔しようが変わらない。
自分がすべきは、傷つけてしまった彼女をもう一度抱きしめなおせるか否かだ。
顔をあげると、軽く鼻をすすった後苦笑いを浮かべ…徐々に真面目な顔へと変わっていく。
じっと碧玉を覗き込みながら、深呼吸を一つ。

「俺の我儘でここにいろ。逃げるなら、心を壊してでもここに縛り付ける。誰にもやらねぇ」

彼女が選ぶのではなく、自分の選択で引きずり込む答え。
罪悪感に狂うなら、その心を壊してでも手元に縛り付けるとエゴを語りながら、見つめ続けていく。
片手を今一度彼女の手へと伸ばし、届いたなら……ここだと定位置を示すように自身の背中へ導こうとするだろう。

マリナ > 強気で自信満々で不敵な彼。
そして自分に対しては意地悪そうに笑うことはあっても、どこまでも優しい彼。
そんな表情しか知らない少女としては、自分の涙にうろたえたり、声を荒らげたり、気落ちする様は
――場違いに、初めて見られたという嬉しさも心の奥の奥で感じてしまったりもするけれど。
それはまだ初恋の欠片が消えてくれない結果だという証拠でもあり、苦しい。
決して声に驚いたから涙が長引いているわけではなく、感情の許容量が超え過ぎてなかなか泣き止めない。
それでも彼が自分の頭に額で触れる時には、すんすんと鼻を鳴らして涙を拭う程度にはなっていた。
腕の力が抜け、少しだけ自由になるとようやく顔を上げる。
髪を撫でる手を、なんの痛みもなく喜べていたのは何分前までだったか、なんて。

「…………………」

なにも言えず、まばたきすると溜まっていた涙がぽろっと雫として落ちる。
ふつりとなにかが途切れるような感覚。
嗚咽の名残でかすかに震えるくちびるが、ろくに考えもせず勝手に発言する。

「マリナが……ヴィクトール様のお子を欲しがらなければ、もう少し夢を見させてくれました……?」

夢が覚めるというより、無理矢理に起こされたように頭も体もふわふわする。
もうちょっと寝ていたかった―――と、見つめる金の瞳をぼんやり見ながら思う。
感情の揺れを表すように彼が表情を時折変えているのは見えているはずなのに、少女側はやっぱり感覚がまだ戻らない。
けれど、彼が本来の姿を取り戻したようにはっきりと言葉を紡いだ途端、驚きに眉を上げた。

「えっ?」

聞き返す意図で発した声が掻き消され、彼の背に伸ばした腕に引っ張られて、ぽふと柔らかく頭が彼の首に触れた。
頑健な厚い背の筋肉の感触は前面とは違い、傷の手触りは感じられない。



数秒どころか、十数秒黙ってから、少し体重を掛ける。
ちく……と膣内と剛直の肉がこすれ合い、少女が息を呑むように声を堪えたのが、鋭い彼にはわかるかもしれない。

「…………嘘です。マリナが泣いて嫌がったら、ヴィクトール様はあきらめます」

実際、自分の心を壊して平気でいられる人だと思ったことは1度もない。
本気でそう思う一方で、試したのかもしれない。彼を。
自分の本音すらわからない。

ヴィクトール > 今まで周りにいた女は、大体が女として出来ている者が多かった。
彼女と同い年ぐらいの娘と肌を交えて、本気で繋がり合っても、言葉一つで壊れてしまう脆さはない。
良くも悪くも、この腐った世界で逞しく生きる女なのだろう。
それらとは全くの真逆として生まれ落ちた彼女の脆さは、初めて躊躇いを覚えさせる。
そして、掌が背中で彷徨う中、覚悟を決めて解いてしまう。
逃げないで欲しい、その思いは届いたようで、指先に感じる綿毛の様な金糸の感触に、相変わらずの心地よさを覚えても笑えない。
子供っぽく鼻を鳴らす様子には、ようやく苦笑いぐらいまでは心の緊張が溶けていくも、未だに不安定な距離感。
一つ間違えれば、壊れも離れもする綺麗なガラス細工のままだ。

「……かもな、でもそれは問題の先送りでしかねぇよ」

彼女の言う通り、子供を求めなければもっと長く夢の中に包めたかもしれない。
どことなく哀しみ交じる笑みを浮かべながら頷くも、いつかは訪れた事だ。
だから、確りと己の想いを理解して欲しい。
我儘で勝手だが、この真っ白な姫君を手放したくないとはっきりと告げる。
きっと、お別れのためといまだに思っていのだろうと、呆ける声と感情を映し出す緑色に、本来の悪戯な微笑みが僅かに浮かんだ。
そういう顔を見ていたいと、改めて思いながら腕の中に掛かる重たさは、背負うものに比べて心地よいほどに軽い。
目を細めていきながら、僅かに掛かる体重の揺れが嬉しくて、思わず抱きしめる腕に力が戻ってしまう。

「……いや、これだけはやる。クソ野郎だの、屑だの罵られようが、絶対やる。言ったろ? 誰にもやらねぇって、やるぐらいなら壊してでも抱く。生きれなくなったら、屍を永遠に手元に置いてやるよ。腐るなら、綺麗なうちに食って、俺のモンにする」

普段の飄々とした軽い口調とは異なり、淡々とした落ち着いた声が狂気を紡ぐ。
魔族を食い殺した怪物なのだから、彼女のような真っ白な少女一人、問題ないだろうと。
何処か遠くを見るようにして物思いに耽ったのは、自分が人をやめた時のことだ。
あの魔族の肉も血も、雑味とくさみが強くで辛かったが……この少女なら、そんな心配もないだろう。
久しく胸の中を渦巻いた魔の一面が溢れると、少々強引に頬を掴むと、有無を言わさずに唇を重ねていく。
幾度も吸い付くように、そして啄むようにキスする中、何故か舌は滑り込ませない。
代わりに……ぷつっと犬歯をその唇に淡く突き刺して傷つければ、唇が離れていく。
滴るであろう赤色を舐め取るべく、舌先がゆっくりと下から上へと這い上がり、雫を掬い上げる。
改めて唇を重ねれば、傷口の血潮をくぐもった水音を響かせながら啜り上げ、血の味を確かめていった。
偏見かもしれないが、多分肉よりも野菜やら果物のほうが口にしていそうだとか思っているわけだが。

「……信じられねぇなら、かじってやってもいい。傷物にすりゃ、もう二度と誰ももらわねぇだろ」

薄紅色の糸を滴らせながら、唇が離れていけば、熱のこもった吐息が傷口を撫でる。
その未来を摘み取る事も厭わぬと、肉欲の深さを紡ぎながら見つめ返した。
金色は普段のギラついた獣とは異なり、戦場で時折見せる冷え切った色合いを宿す。
狂っていく、それに躊躇わず、ただ示すだけ。