2018/10/18 のログ
■クトゥワール > この辺りに来るのも久しぶりだった。
景色は変わらない。
流れる風と草がそよぐ雰囲気もそのままだ。
「住む者も変わりないか」
見知った顔を遠目に見つける。偶然ではない。
彼女に出会った時もこの辺りなのであって、
そういう懐かしい顔がまだ居ないかと期待して、再びここへ来たのだから。
「こんばんは」
近付き、短く声を掛けた。
どうも相手は何かうろたえているようだが、いきなりそこに突っ込んでも仕方ない。
■アーシェ > 「うぅん....どうしましょう.....
あの子には明日お仕事を頼もうと思っていたのに....」
頬に手をあてながら、溜息を1つ
思考をいくらか巡らせると聞くに久しい低い声が風に乗ってきた。
「あら.....こんばんは、クトゥワールさん」
小さく微笑みながら、動物に囲まれながら
その女は小さくお辞儀をした。
■クトゥワール > 「忘れられていなかったとは嬉しい事だな」
帽子をとって挨拶する。
「久しぶりだな、アーシェ。今日も何か困っているのかね」
彼女はいつも何か、小さな問題を抱えているような気がする。
偏見だろうか。
動物に好かれているのも相変わらずのようだ。
「元気そうで何よりだ」
良くも悪くも彼女は変わりないように見える。
であれば、まあ。それは喜ばしいと事と言っていいだろう。
■アーシェ > 「そう逢った人の事を簡単には忘れませんよ」
苦笑を零しながら自分の周りに居る羊の頭を撫でてやった。
「えぇ.....それが馬が一頭見当たらないんです....
呼んでも来ないので、どうしたら良いものかと悩んでいたんです」
ふぅっとまた一つ、溜息を漏らした。
そろそろ日も落ちる
やがてこの辺りは暗闇に飲み込まれる
そうなってしまえば探すのは無理に等しい。
「えぇ、元気ですよ
クトゥワールさんも元気そうで何よりです」
相変わらず悩みの種は多々あるが
日常の中での悩みは生活をするにあたって十分に大きい悩みだ。
■クトゥワール > 「なるほど。やんちゃな子がいたわけか」
どこかにふらふらと出ていってしまったのか。
今にも日が暮れそうな時間帯となれば、確かに厄介そうだ。
「では、探すのを手伝おう。歩けるかね?」
「久しぶりに話もしたいからな」
どの道、自分ひとりが見つけても彼女が居なくては馬は言うことは聞かないだろう。
今いる動物の群れを離れても大丈夫なら、探し始めるだろう。
男の手には鏡が一枚。それが探す手助けをしてくれる。
その鏡に映し出される景色は、現在よりも少し前の光景を教えてくれるからだ。
■アーシェ > 「普段は良い子なんですけどね.....
どうしたのかしら.....」
はぁっともう一度溜息を漏らす。
辺りを見回しても馬らしき影は無い。
「宜しいんですか?
こんな事に付き合って頂くなんて申し訳ないです.....」
そう、素直な気持ちだった
馬一頭、いなくなった馬を探すのに
この人にそこまで頼ってしまって良いのかと言う気持ち。
「えっと...その....歩けはしますが
この子達を先に小屋に戻しても良いですか....?」
回りに居る羊や馬が
まだ戻らないかのか言わんばかりに、その瞳を向けて来ていた。
■クトゥワール > 「まるで母親のように言う」
思春期の息子に悩む親のようだ。
つい、低い笑い声が喉から漏れ出た。
もちろん彼女は真剣に悩んでいるのだろうから、こんな態度は怒られるだろうか。
「構わないとも。
大体、君に会いにここに来たのだ。この草原には、他に知人もいないしな」
ここで別れれば手持ち無沙汰になるだけだ。
もっとも、こう言う控えめな性格はやっぱり相変わらず。
久々に見る彼女らしさに、先ほどとは違う笑みが浮かぶ。
「尤もだ。では探すのはその後にしよう。
ついていっても良いかね」
群から離れて、別の子がどこかに行っても確かに困る。
彼女の選択は当然だった。
相手の了承を得られれば、そのままついていった後、はぐれた馬を探すことになっただろう。
■アーシェ > 「私にとって、あの子達は子供みたいなものですから」
ふふっと笑いながらも心配の色が消えないままだった
「私にですか?
何かご用事でもありましたか?」
承諾を得れば慣れた手つきで動物達を小屋に連れ戻して行った
もう一度数をかぞえながら
「やっぱり....一匹足らない
本当に困った子....因みにクトゥワールさんは、どうして此方にいらしたんですか?」
傍らに居るであろう男性を横目に問いかけてみた。
会話をしながら動物をしまえば
そのままの足ではぐれた馬を探しに向かった。
■クトゥワール > 「アーシェらしい」
確かに子供のようなものなのだろう。
彼女はこの草原で、動物と一緒にいるのがよく似合う。
「用事というほどのものではないな。
懐かしい顔を見たくなってここに来た」
実際、彼女と会うのにそう大した用事があった事はない。
この場所はそれで良いのだと思う。
来たいと思った時に、風のように気軽に立ち寄るのだ。
「ここに来れば君がいるだろうと思ったからな。
さて、それでは腕白坊主を探すとするか……」
手鏡を掲げる。映し出される景色は、少し前のもの。
まだ日が落ちる前、動物に囲まれる彼女の姿が映し出されるだろう。
居なくなったのが実際、どの子なのかは己にはよくわからない。
彼女にその中身を確認してもらいながら探すことになる。
■アーシェ > 「そうですか?
なんせ私たち夫婦の間に子供は恵まれませんでしたからね」
相変わらず苦笑しながら小屋の扉を閉めた。
「まぁ、そうだったんですか?
私は相変わらず、特に変わりも無く平穏ですよ」
街道から少し離れた場所にある彼女の家には
時々宿を求め立ち寄る旅人も居るには居る
かと言って用事があって来る物はそういなかった。
「うちの子...怪我をしていなければ良いのですが.....
本当に大丈夫かしら....」
はぁっと溜息を漏らしながら相手が差し出した手鏡を覗いた
それは前にも見た物だったろうか
別の形を成していただろうか、形に関しては然して問題は無いだろう。
その手鏡の中に映し出された一頭の黒馬、それは毛並みが艶やかな綺麗な馬だった。
「あ....この子です」
■クトゥワール > 無言で頭を掻く。
触れにくい話題だ。
「ああ、そうだな」などと気軽に言っていい話でないのは、
いくら人ならざる身であっても理解できる。
それでも余人なら気を遣う事もあまりないが、知己に対しては別だった。
結果として魔神は、このトピックをそっと流して触れないことにした。
「そうか。では追おう……向こうだな。」
そして、鏡の中に目当ての馬を見つけた彼女。
その言葉に従って、鏡の中を注視していればやがてふらりと黒馬が群から離れて動き出すだろう。
その後をたどれば良い。およその方向はそれでわかるはずだ。
方角さえわかれば、あとは彼女の声も届きやすかろう。
迷子探しは、案外簡単に終わりそうだ――
■アーシェ > 女は何食わぬ、素知らぬ顔で
相手の意など気にも留めず
行方知れずになった馬を心配していたからだ。
「こんな遠くまで...何を思って歩いてきたのかしら...」
視界にその馬を確認出来た
パタパタとその馬に翔けて行けば
心配した事を口から放ちながら馬を抱き締めてやった
「こんな所まで駄目じゃない、何かあったらどうするの.....
本当に心配したんだから....」
よしよしと馬の背を撫でればゆっくりと
馬を一緒に探してくれた相手の元に歩いて行く
御礼を述べながら小話を交え家路についただろう
ご案内:「草原」からアーシェさんが去りました。
ご案内:「草原」からクトゥワールさんが去りました。