2018/09/20 のログ
ご案内:「王国領内にある小さな村」にボルフライさんが現れました。
■ボルフライ > 『ヒャハハハハッ!盗り放題ヤリ放題だぁ!』
静かで平穏なところであったその村は、今や各地で火の手が上がり、方々で悲鳴と怒号が響いている。
蛮族どもが人々を襲い捕まえ犯し、抵抗する者はあっけなく命を落としていく。
育てた野菜を売ることで生計を立てているその小さな村は、王国領土内においても辺鄙な地域に存在し、旅人などが立ち寄ることもほとんどなく、ましてや兵士が常駐するようなところでもなかった。
それでも盗人やら魔物が現れることもあるので、村では有志による自警団が組織されてはいた。
だがゲーティア傭兵団と呼ばれる蛮族どものターゲットにされたことで、平穏な村は終焉を迎えることになる。
真昼間にも関わらず100名近くの集団で現れた傭兵団は、有無を言わさず村への攻撃を開始し、家々に火を放ち、人々を捕らえ始めたのだ。
自警団が見せたささやかな抵抗は、ものの数分で鎮圧されてしまった。
所詮田舎の若造の寄せ集め、傭兵団の首領であるボルフライが出る幕すらなく、蛮族どもによって捻じ伏せられ、ボロ雑巾のように打ち捨てられているか、リンチの末に縛り上げられているかだ。
「おぉい、女どもは表に並べろ!
男どもは縛り上げて転がしておけ」
傭兵団の中でも一際大柄な男は手下どもに至極単純な指示を飛ばす、そうでもしないと理解できない連中ばかりというのもある。
案の定、手下の何人かは村娘を捕まえて、切り捨てた父親や組み伏せた母親の目の前で、問答無用の陵辱を始める始末だ。
やれやれ、そう思うがこの程度は日常茶飯事であり、どの道調教するのであれば止める必要も無いのだ。
そうこうしているうちに家に火を放たれ追い出された村人たちが村の広場へ集められ、女は並ばされ、男は縛り上げられる。
縛り上げられた男衆は侮蔑の言葉を蛮族たちにぶちまけるが、その度に手下に暴行を加えられ、次第に大人しくなる。
女どもは家族を殺され泣き出す者や、これからのことを悲観して絶望する者、男勝りに抵抗を見せる者もいるが、ボルフライが目の前に近づき、女どもを吟味するように眺め始めると、その凄まじい威圧感に結局大人しくなるのだった。
こんな辺鄙な村に助けなど来るはずがないと、村人たちは絶望に包まれていた。
ご案内:「王国領内にある小さな村」にハガルさんが現れました。
■ハガル > 突如、村の喧騒を切り裂く様に女の声が上がる
「ねぇ!こいつら殴り倒したら金は出るのかしら!出るわよねぇ!」
声の所在に目をやれば、そこには一人の女性が両腕を組んで仁王立ちしている。
村の惨状を見回して、ギラギラと闘争心に満ちた瞳で男達を睨みつけると、一歩、二歩と歩みを進めながら
「あーあー、酷いモンだわね。あたしの一番嫌いなヤツだわ……ったく……」
手下へと声を上げ命令を下していた男、ボルフライへと近づきながら、組んでいた手を解き、首を鳴らして――
「あたしの目のつく所で下衆い事してっと……殺すわよ、あんた」
男を指差し、啖呵を切る。
額には獣の耳、尻には尾。引き締まった肉体と、豊満な女性らしさを持つ女だ。
■ボルフライ > 突如として響く女の声、ずいぶんドスの効いた声色だ。
捕らえられた村人、そして蛮族どもがその声の主に顔を向けるのに対して、蛮族たち長であるボルフライは気にも留めず女どもを見定めていた。
全てが静まり返る中、口を開いたのは捕らえられ踏みつけられている村長の老人だった。
『だ、出します!出せるだけのものは出しますので!どうか…!』
藁にも縋るような思い、そして悔しさを滲ませ引き搾るような表情で老人は女に返答する。
次の瞬間にはボルフライの手下に腹蹴りをされ、呻き悶えることになる。
手下どももわかっている、女はブスでも身体が良ければ金になる、男は技術があれば金になる、ガキはさらに金になる、だが干からびた老人は何の役にも立たない、だから手荒に扱おうとも構うことはない、まさに卑劣なる集団。
首領たる大男は女の吟味が終わるとようやく決まり文句を立て並べる女に視線を移した。
その瞬間女はどう思っただろうか、筋骨隆々な巨躯だけではない、あまりにも冷たい瞳は欲望の渦巻くもの。
それなりの力量を持つ者ならば、相手にしてはいけない存在だと思わせるだけのオーラがあっただろう。
まぁ、そう思ったとしても逃がすつもりはなかったが。
「…おい」
女の前口上などどうでもいい、どう見てもヤル気満々な女の力量を確かめてやろうと、手下ども仕向けることにする。
『ヒャヒャヒャ』といやらしい笑みを浮かべる人間、ミレー、魔族の蛮族たち。
だがこいつらの強さなど、そこらへんの兵士よりもマシなレベルとかその程度なので、こいつらで苦戦してもらっては困る。
首領がそんなことを考えていることなど知る由もなく、手下たちはお約束とばかりに女へ向かって武器を持ち飛び掛っていった。
■ハガル > 長老らしき老人の言葉を耳に入れるや、女の唇が釣り上がり、鮫の様な笑顔を浮かべ――
「――良い返事ね。……さぁてと!あんた等みたいなの相手に、面倒な問答は不要よねェ!」
その後の老人には目もくれず、鬼気迫る笑顔で周りの蛮族達を、男達を見回す。
彼女には、所謂義勇というものは無い。只男を殴り、淘汰し、その結果として金が手に入れば重畳。
金を受け取る相手は、その老人でなくてもよい。女は、「正義」では無く、どちらかと言えば周りの蛮族達に近い存在だ。
「――ッ。へぇ、その目……結構やり甲斐ありそうじゃない、あんた。」
男のそれに気付くのは、獣特有の本能だろうか。いや――そんなものを用いらずとも、目前の男の驚異は戦士であればわかるだろう。
ボルフライの視線に一瞬体毛が逆立つ。強い。大きい。恐ろしい。けれども――だからこそ、打倒のし甲斐があるというもの。
女は上気した表情で舌舐めずりをすると、大男を睨みあげ、
「――ハガル・ゼルディア。あんた、死ぬ前に名乗っておきなさ……、……チッ」
相手にする事なく差し向けられる手下達の視線を感じて、言葉も途中で舌打ちを一つ。
その場で足を踏みしめると、一度多き深呼吸の後――咆哮。
女の四肢がたちまち獣のものへと転じ、それは同時に焔を纏う。
赤の瞳も火が灯った様に光輝き、手下達をギロリを睨み回す。
「ナメられ過ぎよね……困ったもンだわ。嗚呼、嗚呼、腹立たしい!」
周囲へ向かい、中指を立てる。「掛かって来い」とでも言う様に。
女一人と言えど、この獣も弱くはない。何人かの手下程度ならば、ものの数秒で地面へと叩きつけられている事だろう。
■ボルフライ > さて、別段手下どもがどうなろうと知ったことではない。
女が手下を殺そうが気絶だけに留めようが好きにすればいい、どちらにしろ代わりはいくらでもいる。
ボルフライは女と手下の戦いを特に興味も無さげに眺めているだけだ、最初から酒の肴にすらならないとわかっていた。
何かと調子に乗りやすい手下どもを手懐けるため、自分達の力量を理解させる目的で女に差し向けただけのこと。
「ふぅむ、カラダは良さげだな、顔はそこそこだが高値で売れそうだ」
ボルフライが女に向けた最初の一言はそれだった。
実に不遜で失礼な女の見方、そして物として見てないということ。
さぞ女の怒りのボルテージを上げただろうが、大男がゆっくりと巨躯を女へ向けていけば、一歩一歩近づくにつれて威圧感と覇気が強くなっていくのを感じたろう。
さぁ、後はこの蛮族の主を叩き伏せれば手下どもは烏合の衆。
拳を構え、いざぶつかり合う…はずだったろう…
次の瞬間、女の視界に映ったのは澄み切った青空…
大男の目にも止まらぬ強烈な掌打の一撃は女の鳩尾を捉え、その身体をいとも容易く吹き飛ばしたか。