2018/05/09 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場 奥の浴場」にフィル=クォーレンスさんが現れました。
フィル=クォーレンス > まだ肌寒い風が吹き抜け、人気も減り始めていく深夜。
それでも酒場などが立ち並ぶ通りには喧騒が響き、平民地区にある旅籠も、深夜でも人気が途切れないのは温泉があるからか。
人の行き交うロビーを通り抜け。大浴場ではなく、少し奥まったところにある中規模な浴場へと少年は足を進めて行き。
流石に大浴場とは違い、深夜なこともあってか人気のない脱衣所に、少し視線を走らせれば零すのは安著の息である。
人がいすぎないほうが落ち着くということもあるのであろうが、そそくさと服を順に脱ぎ。ちゃんと畳んでから脱衣籠になれた手つきで入れて行き。

「こういう日にはやっぱりいいよね。」

肌寒い日には体を芯から温める温泉は素晴らしいもの。
暖かい日でもそれはそれでいいものなのであろうが、タオルを片手に湯船への扉を開ければ溢れる湯気にポツリと零れてしまうものである。
何時ものようにかけ湯を何度か肩から流しかけ、湯船に向かう前に洗い場へと足を滑らせない様に、逸る気持ちを抑えながら向かう洗い場。
腰を下ろし桶から湯を掬って頭からかけ、そのままタオルを濡らしてからしっかりと、隅々まで体を洗い進めていき。

フィル=クォーレンス > 体を洗い、続いて頭も忘れることなく全身を泡まみれにしたところで、桶に掬った湯を頭からかぶり。
何度も激しい水音を響かせながらも、全身についた泡を流しきるまで続け。やがて顔から最後にお湯をかけ流せば、手で顔に残った湯を拭って終りである。
たまに髪から滴る湯を何度か手で拭うようにして、良く濯いだタオルを絞り。それを畳んで頭に乗せるのは此処で習った様式美といったところか。
漸く待ってましたとばかりに、軽い足取りで湯船へと足を進め。音頭を確かめるように指先で何度かお湯を突き、やがて指先から足首、そのままもう片方の足も太腿まで沈めていき。

「っ~…ふぅ…」

腰まで沈めたところで、体を包んでいく暖かさに一つ身震いを零し。
其処から一呼吸おいて肩まで体を湯に沈めれば、少しの間をおいて零れるのは気の抜けた吐息である。
湯の温度に体を慣らすように、少しそのまま身を揺すり続けながらも、やがて湯船の淵へと背を預けて脱力していき。
タオルを頭から落とさないように、少し頭の後頭部寄りにずらし。すっかりとお湯の暖かさに体も馴染んで来れば、緩む視線に表情は極楽といった所であろうか。

フィル=クォーレンス > 湯の暖かさに身を預けて、暫くたった頃に吐息は寝息交じりになり。
そのまま下がっていく頭のままに、口元から鼻先が湯についてしまい、慌てて頭を上げることになる。
器官にお湯が入ったのであろう、何度か咳を零して咽こむ様子を見せ。やがて荒れた息遣いが、元通りなっていくのに合わせて立ち上がり。
そのまま湯船に腰を下ろして行けば、ちょっと一息といった所か。

「ッケホ…ちょっと浸かり過ぎちゃったかな…」

頭を上げればクラクラとする視界。のぼせかけてしまっていたようでもあれば、少し頭を振りながらも大きく何度か行う深呼吸。
湯船から出たことで少し冷やされるままに、意識もしっかりしてきたのであろう。
ずり落ちかけた頭のタオルを手に取り。そのまま少しだけふらつく足取りで脱衣所の方へと、しっかりと体のお湯をきってから戻って行き。
脱衣所で軽く涼んで体を休ませてから、やがて帰路へとついていったか―。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 奥の浴場」からフィル=クォーレンスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 魔法雑貨店」にオフェリアさんが現れました。
オフェリア >  時刻は夜。街並が幾つもの灯りに彩られ、暫し経て。
 背の低いカウンターの前、椅子に腰掛けた女の眸が、据えられた書類の文字を追う。
 魔法具を精製する際に用いる数多の素材。中でも扱いに因れば危険を孕むものの取扱い、使用の許可を得る為の申請書だった。

 客足は引き、特に定めて居ない閉店時間を今として、店先の明かりを落としても良い頃。
 署名を全て入れ終えたら店仕舞の準備に席を立とうと、羊皮紙に連なる文字へ目を通し、要所へ筆を走らせて行く。

オフェリア >  開く静寂が、絶えず時を刻む掛け時計の針の音に上塗りされる。
 時折不規則に響くのは、書類を捲って擦れる音。若しくは、店の外で上がる賑やかな笑い声。此れから夜の街へと出るのだろう、一団の楽しげな談笑が、次第に耳へ拾った時よりも遠くなって、やがて消えてゆく。

 一枚捲った書面にまた一つ、署名を求める記述を見付けた。先に綴った幾つかの項目と同じに、黒いインクが細く線を描く。
 女の手許、指先に捉えたペンの飾り羽が、記す動きに合せて微かに揺れた。

 「―――… 、…」

 此れでもう一歩。残す書類は後、数枚。表情薄く小さな息を吐いた女は、静かにペンを置いて白い貌をカウンターから持ち上げ、外を見る。
 通りに面した擦り硝子の向こう側、遠くぼやけた輪郭が行き交う曖昧な人影の縁を、緩く瞬く赤い眸に収めた。