2018/02/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/空き地」にカインさんが現れました。
カイン > 下がりの貧民地区の中でも一際人の気配の薄い真ん中に大きな木を抱く小さな石畳の空き地。
建物と建物の中にぽっかりと空いたその空間は、四方を壁に囲まれながらも、
日の光に照らされていて至極明るい。元は公園かだった場所が忘れ去られたまま、
貧民地区の拡張に飲み込まれた結果生まれた場所だった。
そんなある意味風情のある、悪い言い方をすれば裏寂れた場所の隅に陣取ってサンドイッチを齧る男の姿があった。

「……ん。やっぱり高級娼館で使われてるってのは良い食材使ってんな。美味い」

材料を炙って香辛料をたっぷりかけてパンにはさんだだけの代物だが材料が良ければ当然それだけで美味い。
さぞたかられた側からは災難だったろう事を口に出しながらふっと息を吐き。

「仕事がまさか午前中に終わるとはなあ。慣れないことはするもんじゃないか」

自分で弁当をこさえて意気揚々と貧民地区の娼館街で用心棒をしていたのがつい先ほどまで。
あれよあれよという間に仕事が終わり、お役御免になった結果の帰り道で勿体ないからと食事をして今に至る。

カイン > 「この時期だと客が大人しくてイマイチ繁盛しないな。
 いつ終わったって金は同じなんだから早く終わるに越したことはないけど」

だからと言って本当に出番がないのも複雑な心境にならざる得ない。
竹で作られた水筒から葡萄酒を一口飲んで喉を潤しながらパンをかじって一つ平らげる。
いくつか残ってる同じものが放送された包みを横目に見てそれに手を付けないまま、
頬杖をついて胡坐をかけばぽっかり切り取られたように空いた空を見上げる。
遠くには先程まで自分が仕事をしていた繁華街の音が漏れ聞こえ。

「こういう仕事でも何でもない時間ってのは久しぶりな気がするな。
 もっと暖かい時なら昼寝何ても悪くないが……」

石畳の上を支配するひんやりとした空気に思わず苦笑い。
寝転がって寝てしまうには日の光に焼かれた上でも少々辛い。

カイン > 「よし、とりあえず腹も膨れた事だし酒でも飲みに行くか。
 それか他の仕事がないかどうかも確認だけしてくるかねえ」

何か仕事があればいいのだがと何とも世知辛い言葉を漏らしながら、
荷物を纏めて立ち上がる。段々と日の陰ってきた空を一瞥してから、
路地の一つにそっと身を躍らせて去っていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/空き地」からカインさんが去りました。