2017/09/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にジードさんが現れました。
■ジード > 路地裏と一口に言っても幾つもの種類がある。
ひっそりとした完全に人気のつかない場所や自然と人の通りのある抜け道、
あるいは繁華街の裏側。それぞれに売りたい物の異なった店が並ぶのがこの街だ。
繁華街の中でもこの時間帯に一際繁盛する娼館の立ち並ぶ通りの裏手にある
この店で取り扱っているのは女性へのプレゼントに最適なものか、
あるいは女性に使うのに最適な物ばかり。
時折訪れる者と商談を交しながらも店主は概ね暇な時間を過ごしていた。
「もう少し人通りが多くて売れるという事ないんだけどね。特に装飾品類とか」
売れ行きは悪くない様子だが売れるのは謹製の薬に大半が偏っている。
手ずから仕入れたものの受けが今一つな様子に少しばかり哀愁が漂っていた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にヴァルファルニフルさんが現れました。
■ヴァルファルニフル > 王族の姫君の失踪事件は解決した。だけど、わたしの頭にはうさぎの耳とお尻には丸いしっぽ。この状態ではわたしの仕事にさしつかえるので、一週間ほど、団長の許可を得て、休みを取っている。休みというよりは魔法での獣人化を解く方法を探している。
暑い中フード付きのコートを羽織りながら、魔道具屋、魔法、お祓い、薬師の店、何でも屋、そういうさんくさい場所まで探しているが、まだウサギの耳から解放されない。うさぎの耳はやたら敏感でまわりの小さな音まで拾ってしまうので警近衛部隊の備隊長としてはこのままでもいいのかもしれないけれど、もとに戻りたいという気持ちのほうが大きい。
■ヴァルファルニフル > すこし、平民地区で何軒かあたってはあまり芳しくない。薄暗い通りに入っていくと、いつの間にか貧民街に来ていた。周りは娼館などが入り乱れているような通り。男たちが何人もにやつきながら店に出入りをしている。
本来ならば、このようなところは取り締まるべきだと思うのだけど、団長からはいい返事が返ってこない。角を曲がると、細い路地なのに、明かりがついている。若い男の露天商が壁づたいに店を出している。
いかがわしい、胡散臭い。だが、今のあたしは藁にもすがりたいような気持まではいかないが、このような場所だからこそ、魔術で半分ウサギの獣人化された身をもとにもどす方法があるのではないか。
数人の客がなにかを買って店を離れていく。ここが勝負というような面持ち殺気立ちながら近づくと、フードを深くかぶったまま男に尋ねる。
「怪しい店だな。ここには魔道具や魔法の薬とかがあるのだろうか。」
「返答次第では切って捨てる」
■ジード > しばし、人の途切れた時間を愉しむ様に過ごしている所にふいに現れる人影と声。
何とも物騒な物言いに驚いた様子を見せた男であったがそこは商人である。
すぐさま声を返しながらに相手の様子を上から下まで緩やかに伺い。
「――おや。何とも物騒な事を言うお嬢さんだ。
そりゃあ薬も道具も商ってはいるが、切って捨てられるようなものを扱ってるつもりはないよ?
ただ皆に楽しみを提供しているだけさ。お嬢さんもそれをお求めなら勿論提供はするけどね」
そういいながらも示す先は路地の先。そしてそこにある娼館街だ。
勿論相手がそんなところに用があるとは到底思えないが、まるで茶化すように告げ。
■ヴァルファルニフル > 「そっ…そうか。悪かった」
店の男にたしなめられると、すこしバツがわるくなって、くちごもる。
「別になにかを楽しみたいとか、そういうのではない。どういえばわかるだろうか」
説明に困ってしまってフードを目深にかぶったままうつむく、意を決したように首のあたりのフードを締めているひもをほどきながら、周りを見回すと、今はだれもいない。
すっと、フードを下すとさくら色のウサギの耳が折りたたんだ状態で見える。すこしだけ力をいれると、ゆっくりと耳が頭の上に持ち上がっていく。
「いいづらいのだが、この耳のこと、ウサギの獣人化の魔法の解き方をしらないだろうか。薬でも、道具でもいい。なにかあれば教えてほしい。」
頭の上の大きな耳はすこしあたしの感情が揺れるとすぐにそれを表そうとするかのようにすぐ反応して、ゆっくりゆれたり、垂れたり、ぴょんぴょんと動いてみたり、恥ずかしいかぎりなのである。
今も、頭の上ではあたしが耳を初対面の男に見せて恥ずかしがっているせいで内側から外へと小さく動きながらすこし耳の先が垂れている。頬が熱くなってるからたぶん、赤くなっているのだと思う。
■ジード > 「何々、気にすることじゃないよお嬢さん。
少なくとも見られて困るような物は無いが――おやま」
―ー勿論。取り扱っているかどうか、はまた別の問題である。
傍目に見える場所にそのよう穴やしい物を置いてはいないのもまた事実ではあるのだが。
そう雑談交じりの会話を続けるうち、目の前に晒された相手の秘密に驚いた表情を浮かべる。
獣化の呪いとなれば幾らか伝手は無い訳ではない。
しかしながらどうにも真面目な様子の相手に悪戯心を覚えれば鞄を引っ掻き回すように漁り。
「そうさね、心当たりはある。解呪の薬というのは取り扱ってるよ。
しかし問題はその対価だね。君は一体俺に何を差し出すんだい?」
金銭とは敢えて言わずにまるで悪魔の取引かな何かの様に問いかける。
最も男の正体は魔族である。そう罵られたとしても通用はしないだろうが。
■ヴァルファルニフル > 「そっ、そうだな、わかっている」
コートの内側に手を入れると、袋をとりだす。
騎士団の支給に、あたしの場合は警備隊での支給もあるため、お金に困ることはない。
上等の鎧をひとつそろえるぐらいの金額が入っている袋を男の前に置く。
「対価はこれでどうだろう。もちろん、効果があればの話だが」
すこし足元を見られているような気がする。耳が大きく前へ、後ろへと忙しく動き出している。
目つきがきつくなっていく。胡散臭い男にも見えるが、なにか力を持っているようにも見える。
男の言う解呪の薬という名前は効果がありそうで、いますぐにも試したいが、この男は一筋縄ではいきそうにない。
コートの中のレイピアも用意しないといけないかもしれない。
目つきを鋭くしたまま、耳がぴくぴくと忙しく動き出してしまう。
「これでは足りないのか」
■ジード > 「ふむ。なるほど、金銭か…確かにこれもまた一つの対価としては
正しい形だけど、ただこれだけじゃあ俺が面白くないな」
相手の差し出したものの中身を改める。確かに相場から言えば十分に物を買える値段である。
しかしまるでこの手の交渉事になれているとは言えない様子である。
ならば漬け込んでもみようかと意地の悪い笑みを浮かべながら相手の胸元へと指を向け。
「では、俺の求める対価は君の体としよう。
俺と一晩共にする覚悟があるならば先に薬を渡してもいい。
どうするかね?」
人によっては受け入れられぬのが目に見えた内容だ。
故に相手がどう反応するのかを楽しみにするようにゆっくりとえんだまま問いかける。
怒るのか値切るのかそれとも別の反応を見せてくれるのか、それこそが男へのある意味対価であった。