2017/04/20 のログ
ご案内:「設定自由部屋4」にマティアスさんが現れました。
マティアス > ――こんなご時世でも、否、こんなご時世だからこそ飲み食いせざるをえない。

如何に魔導を究めたとしても、空腹から逃れられない。
それは生物であるという枠に収まっているが故の、宿業と言ってもいい。
だから、今宵はここで夕餉を取ることにする。

王都の一角、平民地区内のとある酒場。
いわゆる冒険者の酒場というには、少し上品な場所は荒くれものが集う雰囲気は薄い。
落ち着いて飲み食いできるという環境が、ここにはある。
店の奥のテーブル席の一つを陣取り、壁に剣を立てかけて運ばれてきた酒をちびちびと舐めよう。

「…………ふむ。」

悪くは、ない。麦の酒ではなく、芋から醸造されたという強い酒だ。
だが、この度の強さがかえって癖になるという人間が居るが、その気持ちがわかる気がする。
脳髄にじん、と沁み込んで、思考を鈍らせながらも身体を熱くさせる。

ご案内:「設定自由部屋4」にエアルナさんが現れました。
エアルナ > 「確か、ここですよね――」
店の名前と場所は知っていたが、入るのは初めてだ。酒場とはいえ、それなりに品のある店構え。
白狼は心得た、とばかりにあくびを一つして、戸口から少し離れた場所に寝そべり待機の構え。赤い首輪もあって、知らないものの目には大き目の飼い犬に見えなくもないか。

「お待たせしました、マティアスさん」
目立たない身なりにしたつもりで、店の中に入り。見回せば奥の席に探し人を見つけ、歩み寄る。
手には古文書が二冊、頼まれていた学問の書だ。

香る匂いに、おや?と小首をかしげ
「それは…何のお酒ですか?なんだかかわった香りがしますが」

マティアス > 生で飲むよりも、割って飲む方がきっと胃には優しいのだろう。
しかし、それは醸造者に対して失礼であるという酒呑みの声がある。
作られたものは、其の侭で味わうべし、という考え方だ。
道理ではある。しかし、呑めない酒に価値はあるのだろうか?

――難しいものだ。

一先ず、試しに呑んでみたところ存外に生でもいけなくはなかった。であれば、これでいいのだろう。
そう考えながら、酒を進める。頼んだものはしばらくしていれば、来るだろう。待ち人もそう。

「やぁ、来たね。いらっしゃい。
 これはね、他所の国の産物でね。確か芋の類から作ったそうだよ?」

名前は、店員もよくわかっていないらしい。たまたま入荷していたものだそうだった。
やがてやってきた姿を片手を挙げて迎えつつ、手にするグラスを軽く掲げてみせて。

エアルナ > 「お芋からですか?それは初めてみます、」
聞けば珍しいですね、と興味深そうに見つめて。外国のものはやはり斬新ですと感想を述べながら同じテーブルへと腰を下ろす。
「味はいかがです?わるくない、のは顔に書いてありますけど――」
ふふっと笑い交じりにそう尋ねつつ、見つけてきた古書をそっとテーブルの上に置こう。

「このまえ話に出た古書です、どうぞ。…食事は、何かおすすめがあればそれで。」
とりあえず注文しながら、飲み物はどうするか迷って

マティアス > 「発想としては、珍しいものではないと思うけれどね。あるところにはあるよ」

スピリッツと俗に呼ばれる、強い酒にも同様の芋を素材にしたものがあっただろう。
生命の酒等と呼ばれる蒸留酒の類だ。これもまた、とても強い酒である。
対面のテーブルに座る姿を、掲げるグラスの向こうに見据えながら置かれる品にすまないね、と零し。

「まぁ、悪くない、かな。けれど呑み手を選ぶ酒だね。
 手間をかけさせてしまったね、いつもながら。おすすめか……麺とかサラダとかがこの店のお勧めかな?」

どの食事も、美味しく安心して味わえるというのはとても、大事なことである。
自分が頼んでいたものが、運ばれてくる。
生ハムのサラダと、バケット。この酒の強さならば、他のものを山盛りで食べる気にはなれない。
行き交う店員の姿を横目に追い、壁などに張り出された品書きを見遣ろう。

エアルナ > 「そうなんですか?お酒にはあまり詳しくなくて」
飲みやすい果実酒くらいしかふだんはたしなまないのだ。
其れだけに感心して新しい知識に耳を傾ける。

「飲み手…強くないと、すぐに酔いつぶれそうな感じですねえ。
でしたら、普通の果実酒と、…ミートソースのパスタ。春野菜と卵のサラダ、でお願いします」
それなら、と注文を選んで店に頼み。
かなり強そうなお酒も平気な様子に、くすっと笑みを零して。

「ずいぶんお酒、強いですね。…うわばみ、とかいうのでしたっけ?」

マティアス > 「では、今度の宿題としようか。呑むべきものに呑まれない程度に調べてみると良いよ?」

くすくす、と。小さく笑い声を転がして、教師めかすような口ぶりで提案を投げかけよう。
知らないものを知っている、という状態にできるのは、とても贅沢なことである。
その酒の成り立ちがどのようなものか、ということを調べるだけで、一つの本が出来るだろう。

――物には、歴史がある。

「酒に呑まれ過ぎて、おぼれるよりはましだと思うけどね。
 一番善くないのは、呑めないものを死ぬまで飲み続けるコトだよ。それはとても善くない」

主神ならぬ酒神の徒ではないが、誤った飲み方をするのは、その歴史にも失礼だ。
また一口、酒を舐めながら注文を通す姿に、それでいい、と頷いて。

「この位はね? いやいや、そのたとえで言うと。僕はまだまださ。酒豪を気取るなら、それこそ樽で飲まなきゃならないよ?

エアルナ > 「はい、いいですよ。本の頁をめくるだけでも、調べがいがありそうですし」
笑み交じりの提案に応えて、にっこり頷く。
酒に多くの種類があるくらいは知っている、いちいち味見していたら何度酔いつぶれなければいけないやら。
ましてその一つ一つの歴史背景をたどるなら、どれだけ深いか。

「酒は飲んでも吞まれるな。というのは聞いてますよ?
 ええ、たしなむならよい吞み方で楽しみたいです。」
なにごとも。
よい方法があるなら、それがいいはずだ。

「え、樽酒ですか?それって…七股の首の大蛇みたいですよ。
あれも実は、…精霊の一柱、だなんて説もありますけど。」

マティアス > 「君ほどの人間なら、その内酒の類と縁が深くならざるをえなくなるだろうからねぇ」

予行演習だと思っておけばいいよ、と。そう言葉を付け足そう。
貴族の出でありながら、その家から出奔した己と彼女は違う。
よい縁談の類があるならば、酒宴の類から逃れられはするまい。貴族社会とは飽食であるが故に。

「そう、その言葉もあるねぇ。
 
 ――嗚呼、異国のアレだね。
 聞いたことはあるけど、僕が言ったのは文字通りだよ。樽を飲み干す程呑めるのか、ということさ。
 かの竜か精霊かが、その首それぞれで干したのと同じように、ね。」

聞いた覚えはある。本だったか、口伝だったか。
酒の刺激にマヒするような口元をサラダとバケットで宥めながら、思考を回そう。

エアルナ > 「酒はともかく、宴の類は…あまり好きではありませんよ。収穫祭のような祈りの場は別として。」
言われれば肩をすくめて述べるのは、素直な心情。
確かに貴族ではあるが、精霊の血筋の地方貴族だからか、騒ぐだけの宴は…と苦笑する。

「私から見れば、十分強いと思いますが…ええ、異国の伝承のあれです。勇者が樽酒を飲ませて酔いつぶし、その首を落としたという。
その血でも引いていそうな飲みっぷりに見えましたが?」
と、これはもちろん冗談交じりに。

精霊の血筋いついて、詳しくは聞いていないからこその戯言だ。