2016/12/17 のログ
ご案内:「とある貴族の私室」にハイドリアさんが現れました。
ハイドリア > 「……あらあら、思っていた以上に優秀だったみたいねぇあの子ぉ」

明かりもついていない一室。
窓からは月明かりが差し込み、静謐に室内を照らし出している。
その差し込む光の中、椅子に腰かけ瞳を閉じて腰かけていた人影が間延びした声で小さく笑みをこぼす。

「意外と察しがいいじゃなぁぃ。
 ……ちゃんと伝えてくれるなんてねぇ?」

独自の思考でたどり着いたのだろうか?
なかなか良い線を言っていると思う。
まぁそんなことはどうでもいい。

「しかしまあ人というのは簡単で目の前に与えられる答えが好きよねぇ」

口からこぼれるのは嘲笑か溜息か。

ハイドリア > 「呪い…呪いねぇ…?
 ええ、呪いかもしれないわねぇ
 そう言ってしまえば聞こえがいいものねぇ」

あの娘は一度本人の管理からも外れ、完全に手の内に落ちた。
当然その間にいくつか仕込みはしてある。
その中の一つタイミングを計る手段のあくまで一つにリンクさせるものがある。
あの娘の前で行われる会話はこちらに筒抜けだったりする。
これに関しては魔術とは別の、しいていうなれば契約。

「けれどそうであってほしいという願望かしらねぇ
 無意識にそれを排除するんだからぁ……
 まったく甘いと思わないのかしらねぇ?」

虚空にただ話しかける。この部屋には彼女の声しか響いていない。
けれどうっすらと微笑み時折頷きすらする彼女は明らかに誰かと話しているようで。

「あらぁ、かまわないわぁ?
 この体が無くなった処で替えはいくらでもあるものぉ
 名前と容姿を変えてまた遊ぶだけだわぁ」

悪戯を咎められたかのような口調でクスクスと笑みをこぼす。

ハイドリア > 「だから良いのよぉ。銃火を持ってであろうと願いであろうと
 私はどちらでもいいのよぉ。大して変わりはしないわぁ
 たとえ今切り殺しに来ようと私は一向に構わないわぁ」

気だるげに言葉を連ねていく。

「たった一つのためにたった一つの行動なんて
 三流以下のすることでしょぉ?
 私は妖精じゃないものぉ。
 感情一つでいっぱいいっぱいになるような
 軟なものではないわよぉ」

すっと口の端に絹手袋で包まれた手を寄せる。
その下には半月にゆがんだ口

ハイドリア > 「ルークをとるためだけにぃ……駒は動かさないものよぉ
 全てが終わるのはキングを取った後。そうでしょぉ?」

まだまだ始まりに過ぎない。
これまでも、これからも。
世界も真実も、思っている以上に優しくない。
交互に差す手を選ばないというのであれば、こちらはそれを睥睨してあげましょう。
種はまだいくつもある。収穫は然るべき時にするからこそ意味がある。
あの娘はもう私の手の内に落ちたのだから。

「そうねぇ……まぁ運が良ければ助かるんじゃないかしらぁ?
 まぁ呪いだの呪文だの言っている間は無理だと思うけどねぇ
 でもあの子はこちら以外を知っているようだしぃ
 だったらどこかで感覚はつかむかもしれないわねぇ」

簡単な答えは提示しない。
飛びつかざるえない答えも提示しない。
はじめからそれを示してしまえばそれは選択を、決意をする機会を奪う。

「私はすべてをかなえてあげているものぉ。
 願ったままに。こわれたままに
 きっかけも、答えも残してあるわぁ?
 それに到達できるか……は別にしてもねぇ」

初めから展開が決まっているものをゲームとも物語ともいわない。
手の内にまだ手があるうちは、自身が手の内にあるうちはまだ。

「終わっていない……わよねぇ」

ハイドリア > 「とはいえあの無粋な子は一応注意しておかないとねぇ
 まぁ、賢い子のほうが誘導はしやすいわぁ
 特に優位と思っているうちはねぇ?
 察しはいいみたいだけれどぉ……所詮それまでよぉ」

少なくともこちらが騒乱を望んでいると伝えるのは悪手だった。
そんな事を伝えたところで何も変わりはしないのに。
仮にあの短い間にあの結論をくみ上げたならその洞察力は称賛するけれど……
別の可能性、読心等もももちろん考えておくべきだろう。
あの願いは口にすらしていないのだから。

「……残念ながら得意分野なのだけれどねぇ」

けらけらと蛇の笑い声が響く。

ハイドリア > 「魔術なんてぇ、道具の一つに過ぎないわぁ」

小さく歌うように口にする。

「その道具に頼らなければ繋ぎ止められない、支配できない?
 ナンセンスよぉ
 そんな脆弱な鎖、子犬か人をその場に縛る程度よぉ
 解呪、透視、心療共鳴、そんな別の道具一つで簡単に外れるものぉ
 そんなもの、私は頼り切ったりはしないわぁ
 もっと強固で複雑で、言いようのない物
 相互に手を放そうとしないもの……私の鎖はそういうものだわぁ」

だからご苦労様と嘲笑を零す。
解呪師だろうがエルフだろうが好きに呼べばいい。
その道具に拘り続け無為に時間を捨てればいい。
嘘はお互いの協力で初めて機能するもの。

ハイドリア > 「欲望のままに、願うままに、ただ走り続ければいいわぁ
 それがわが身を焦がそうと、私をも焼き尽くそうと、大したことではないわぁ
 それこそが人に与えられた権利でしょぉ?
 あの子を犠牲にして手に入れたものじゃなぁぃ。
 ならばそれを存分に振るうべきだわぁ」

その瞳に悦と炎が一瞬宿る。
隠しきれない愉悦と憎悪は一瞬ののちに笑顔で覆う。
救おうと奔走しても、今のままでは別の炎に焼き焦がされ地に落ちるだけ。

「さぁ、踊り続けて頂戴。
 この場所が死地になるまで、いいえ、死地になってもよぉ
 踊って、踊って、すべて砕け燃え尽きるまで愉快に無様に踊り狂って頂戴。
 その塵に足を埋めて初めてこの心の熱が戻るのよぉ」

狂気に満ちた笑い声が響く。
それは慟哭の叫びに似た響きを持っていた。
どうしようもない感情を叫ぶような笑い声は館に鳴り響き
……ぴたりと唐突に止んだ。

「さてとぉ……どうしましょうかねぇ」

ハイドリア > 「いっそのことあの子を招待しようかしらぁ
 悪くないわねぇ。あの子のほうも私に聞きたいことがたくさんあるでしょうしぃ」

楽しそうに声にしていく。
きっとその招待に鋼をもって答えられたとしても
彼女はこの笑みを崩さないだろう。

「あら、でも意地でも私には頼りたくないわよねぇ?
 なら私の誘いはけってどこか別に頼るかしらねぇ。まぁどちらでもいいのだけれどぉ」

化け物退治には精通しているらしいけれど、詳細を掴むほどの余裕があるとは考えにくい。
一応伝手に何か策があることは考えられるけれど…
そこまではさすがに把握できているわけではない。
あくまで私に掌握されているのはあの娘に過ぎないのだから。
だからこそ、どう出てくるかが楽しみでならない。

ハイドリア > 「所詮すべては獣よぉ。
 相食み、血肉を啜るならせめて知恵あるものと
 泥の中這いずって見せなさい」

ただ与えられないと喚く獣には用はない。
与えられたものを振りかざすしかできない獣にも興味はない。
そんなものに価値などない。
大切な物を天秤にかけ、どちらかを灰にし
苦しみ嘆きながら選び続ける者にこそ価値がある。
たとえその先が破滅しかないと知っていても。

「……そうでしょう?ティルヒア」

小さな呟きはただ闇へと消えていく

ハイドリア > その呟きを零した者はそっと窓に背を向ける。
月光の中、逆光になったその表情を伺う事は出来ないかもしれない。
そうしてそれはゆっくりと闇の中へと歩き出していき、溶けるように消えていく。
降り注ぐ月光の元、座る者のいなくなった椅子だけがただ静かにゆらゆらと揺れ、
それもしばらく後には動きを止める。
その部屋の中で起きたことを知っているのは窓からのぞく月……ただそれだけで。

ご案内:「とある貴族の私室」からハイドリアさんが去りました。
ご案内:「とある貴族の私室」にハイドリアさんが現れました。
ハイドリア > 「ええ、またのお越しをお待ちしておりますわ」

とある王侯貴族の私邸。
その入り口にいくつか馬車が止まっている。
それらはいずれの名のある貴族の持ち物で、それらに属する令嬢などが使用しているもの。
この邸宅ではちょっとしたお茶会が終わった直後。
最後の一台を見送って笑顔を張り付けたままゆっくりと屋内に踵を返す人影が一つあった。
それはこの私邸の主で、不思議な印象があると称される人物のもの。

「ご苦労様ぁ。よくやってくれたわねぇ。
 今日使用した部屋の片づけをお願いするわねぇ
 その片付けが終わり次第下がっていいわぁ」

主らしく急ぐことなく門を抜け、ゆっくりと歩を進めながら使用人に笑みを向け、鷹揚に労いながら指示を出していく。

ハイドリア > この館に勤めるものを適当に捕まえてその感想を聞くならば
おそらく判を押したように肯定的な答えが返ってくるだろう。
給料もよく、手当も手厚い。
買い物等に行くときは希望すれば護衛すらつけてもらえるというその私邸は
使用人たちの間でもかなり評判の良い勤務地だった。
何より多少気まぐれながら穏やかな人物で知られる主は使用人が忠実であれば
彼らを不用意に痛めつけたりすることなく、時折労りの言葉などをかけたりすらしていた。
本来所有物として扱われるべき使用人にたいし、そういった対応をする主というのはそう多くない。
それもまたこの職場が羨望の的になる一因でもある。

「ええ、あれに関してはそちらで好きに処理してかまわないわぁ
 来客があれば通してちょうだい?くれぐれも失礼のないようにねぇ」

穏やかな笑みを向け、使用人と別れた後複数あるサロンの一室へとゆっくりと入っていく。
毎日休む前に数冊本を読むというのは今や使用人の多くが知っている日課で
それの邪魔をする者はほとんどいない。

ご案内:「とある貴族の私室」にヴァネッサさんが現れました。
ハイドリア > 部屋の隅にある本棚にゆっくりと近寄り、数冊を手に取った後窓際の安楽椅子に腰かける。
そっとガラスに触れると波紋のようなものがぼんやりと広がっていく。
それは部屋全体に伝わっていき、
たとえドアに耳をつけたとしてもその中の会話を耳にすることはできないだろう。
同時に長距離狙撃に対する対策でもある。とはいえ狙撃されたところで……という思いはあるが。

「……さてと、今日の報告を聞こうかしらぁ」

ゆったりと椅子に腰かけ本を開きながら呟くと部屋に一つ、別の気配が現れるだろう。
不可視のそれは念話の一種。しいて言うならば空間同士をつなぐ会話とでもいうべきだろうか。

「そう?また侵入者ぁ?懲りないわねぇ
 今月で何人目かしらぁ?よっぽど自信があるのかおバカさんかどちらかだけどぉ
 そろそろ人員不足になるのではなくてぇ?」

この館には知られざる評判がもう一つある。
諜報に携わる者にとってこの館は死地だった。
侵入を試みて帰ってきたものはほとんどいない。
その運良く生きて帰ったものの殆どが使用人などに正体を悟られたもので
そうでないものはまるで煙のように消えてしまうという
冗談のような警備が敷かれているというのは公然の秘密だった。

「うちの諜報員が侵入したはずなんだけど知らない?って手紙が来たときは
 冗談かと思ったわぁ。」

くすくすと笑いを交えながらその手紙の内容を思い出す。
ずいぶんと間抜けな手紙だったと今でもたまに思い出して笑えて来るのだからある意味良いセンスだったといえるだろう。

ヴァネッサ > 「申し訳ありませんが、忘れ物しましたので戻ってまいりました」

何事もなく無事にお茶会もお開きになり馬車で帰路に着くだけのはずだったのだが、馬車の中で忘れ物に気が付いたのか戻って来た一台の馬車。
その馬車から降りた人物は服装からして気品溢れる女性であるのだが、何処かしら儚い印象を与える。
戻って来た時がタイミングが良かったのか、まだ使用人が庭の手入れが終わったのか屋敷に戻る手前に事情を説明する。
その使用人が館の主に連絡する為に館の中に姿を消し、再び戻って来るまで大人しく待っている。

ハイドリア > 「……あら、来客のようねぇ。
 報告の続きは後に聞くことにするわぁ」

そう呟くと部屋の気配が掻き消える。
その数秒後だろうか。
扉をノックする音がし、来客を告げる声が部屋に静かに響く。

「かまわないわぁ。お通しして差し上げてぇ」

それに耳を傾けゆっくりと指示を出す。
そうして自らで迎えに行こうと席を立つだろう。
来客に何もなければサロンに通されるはずだ。

ヴァネッサ > 先程の使用人が戻ってくると再び館の中に入りサロンに通される。
そこで再び使用人にも仕事があるのか姿を返し、再び待ち惚けの身になってしまう。

「先程のお茶会で忘れ物をしたみたいですので、戻ってまいりました」

一人サロンで待つ事数分、この館の主人である女性が現れれば椅子から腰を上げ、スカートの裾を持ち上げ軽く会釈をする。
自分達が帰った後に密談をしていた事等知る訳もなく、諜報員と思われているのか全身を見られている事など気がつく筈もなく説明をし。

ハイドリア > 「あらあらそれはいけませんわねぇ
 忘れ物……どのようなものでしょうかぁ
 何か特徴を教えていただければ使用人に探すように伝えておきますわぁ?
 見つかるまでの間どうぞごゆるりとぉ」

ゆっくりと微笑み腰かけるように勧める。
探し物を探すのは使用人の役目。見つけるまではゆっくりするといいと
呼び鈴を鳴らしお茶の用意をするように伝えるさまはまさに穏やかな女主人そのもの。
何も知らなければまさか記憶や意識を読めるような存在とは思えないかもしれない。

ヴァネッサ > 「そうは言われましても…困ります」

普段であれば星型のピアスを両耳にしているのだが、この日は新しいピアスを購入した事もありそれをしたのだが。
普段と違った事をした上で忘れ物をしたのが恥かしいのか、さり気なく右の耳朶に付いている雫型のピアスを見せ。

「それでは、お言葉に甘えて…使用人の方お願いします」

呼び鈴を鳴らされた事により先程と別の使用人が駆けつけ、事情を説明し右の耳朶に付いているピアスを外しお願いする。

「それにしても何時見てもハイドリアさんは美しいですね」

再び腰を降ろし正面に向き合い雑談を開始する。
その視線が重なり合っている間は記憶や意識を読み取られている事など露知らず、相手の美貌に嫉妬に似た感情を持ってしまう。