2016/08/17 のログ
ご案内:「九頭龍山脈/麓」にリシェラさんが現れました。
リシェラ > 九頭龍山脈の麓に存在する、誰とも知らぬ朽ちた廃墟。
其の廃墟に埋もれる様に在る地下室、日も差さぬ場所で一人の少女が目を覚ます。
元は其れなりに上等な寝室だったのだろうが、過ぎ去る年月に、建物と同様にほぼ朽ち果てた状態だった。

「予は…そうか…眠っておったのか…」

緩やかな動作で上体を起こし、まだはっきりとしない意識にそっと右手を額に添える。

(何時から眠っておったか…今は、あれからどれ程の年月が経ったのだ?)

そんな考えを浮かべ乍、辺りを見渡す。
何もかもが朽ち果てた姿を見せる地下室、記憶を手繰り寄せ、其れと合わせて考える。

(何十年か、何百年か…最早、知り得る人間達は生きては居ないだろうな)

小さく溜息を付き乍、変わらぬ緩やかな動作で立ち上がった。

リシェラ > 地下室の中は灯り一つと無い真っ暗な空間だ。
だが、少女は其れを物ともせずに歩き出す。
其の先は確りと閉じられた鉄の扉、扉を前にして足を止め、ヒタリと手を伸ばし触れる。
僅かに手に力を込めてはみるも、動く感じがしない。
引いても押しても、思う通りに扉が開く様子は見られなかった。

(老朽化に依るものだろう、壊してしまっても良いが後を考えると安易に壊すべきではない…な)

実の処、老朽化も在るのだが、開こうと思えば開く状態だ。
只、今の少女の力が扉を開くに足りぬだけであった。
まだ其れに気付く事も無い為、困った様な表情を浮かべて数歩下がる。

(よく状況を理解した上で行動をすべきだ、もう少しよく調べてみよう)

そう考えが到れば、少女は朽ち果てた部屋の所々を調べ始めた。
そんなに時間を掛ける事も無いだろう、この部屋には本当に何か在る訳でも無いのだから。

リシェラ > 何も無い、其れが分かれば探る手を止める。
只理解出来たのは、最早この場所は留まるには向かないのだという事実のみ。
そうなれば、道は此処を出る以外に無いのだろう。

(仕様が無いな、少々無理をするが出るしかない)

再び扉の前に立つと、確りと手を当ててグッと力を込める。

「う…くっ…」

思ったよりも固い、力を入れて押していけば、ギ…ギギ…と軋む音と共に、少しずつ扉は開いていった。
身を滑らせれば入れる程度で良い、其れだけの間を空ければ扉を抜けて行く。
上へと続く螺旋階段、壁に手を添えながら上へ上へと向かうのだが…

「ああ、困ったな…」

自然と言葉が零れた。
直ぐ前に出口が見えるが、其処から見えるのは僅かに差す日の光。
まだ日が昇っているのだと分かれば、日の当たる僅かに前で足を止める。
別に日に当たったから死ぬなんて事はない、精々力が出し難くなる程度だ。
其れでも、目覚めたばかりの状態で更に弱らされるなんてのは避けたい。
結論は…日が差さなくなるまで待つしかない、だろう。

ご案内:「九頭龍山脈/麓」からリシェラさんが去りました。