2016/07/30 のログ
ご案内:「ルミナスの森 城」にテイアさんが現れました。
ご案内:「ルミナスの森 城」にイーヴィアさんが現れました。
■テイア > 「………………。」
落ち着かない。
どうにもこうにも、落ち着かない。
…と、いうのも服装がいつもと違う、真逆といっていいそれの所為だ。
城の中、月の女神とアイオーンを祀る祭壇のある区画。
ガラス細工のような壁面は変わらず、聖堂のような造りになっているのは女が人の世に出てから見た神聖都市アイオーン…現在のヤルダバオートにあった大聖堂に影響されたデザインだった。
人の信仰の力、それを表す芸術は人以外の種族の心さえ動かすことが出来る。
器用なドワーフたちは、人の作り出した芸術と遜色ないほどに美しいこの区画を作り上げた。
大きな窓にはステンドグラスが使われ、伝承の物語を模したものが描かれている。
昼には太陽の光で煌びやかな輝きを、夜には月の光で静かな美しさを魅せる。
そんな空間に一人立ち、女は落ち着かなさげにため息を一つ零した。
そんな女の出で立ちは、待ち人との約束通りにシルキーに見立ててもらったドレス姿。
白を基調とした、オフショルダーのマーメイドラインのドレス。
胸元の月をモチーフにした白金の装飾品から伸びる細やかなチェーンには真珠と月長石が使われ、肩や二の腕を飾り立て、裾にはドレープが使われ、裾は長く広がりを魅せる。
耳飾、首飾り、髪飾りもシンプルながらもドレスを引き立てるものが使われている。
待ち人がくれば、シルキーによってここへと案内されることだろう。
■イーヴィア > 「………………。」
(そして、此処にも全く落ち着いて無い輩が一人居た
其れなりの修羅場は潜り抜けて来たし、まぁ、肝は据わっている方だと思う
が、今宵のこの空気は今まで感じたどの空気とも全く違うモノ
余り表情には出ない性質なのが救いだが、果たして実際今己がどんな表情なのか
其れは多分、今傍に居るシルキーくらいにしか判らないだろうし
シルキーは、絶対に教えてはくれないだろう
辿り着く、一つの区画、城の中にある神聖なる場所
案内される儘に足を踏み入れたなら、きっと、己が瞳の其の先に
彼女は、居るのだろう)
…………テイア。
(名を、呼ぶ
彼女が振り返るなら、きっと己も何時かに見せた様
着慣れない燕尾服を着込み、けれど何時かとは異なり
確りと足元までを革靴で揃えて、彼女と相対する
――さて、緊張とは、なんだったか
彼女の、其の姿を目にした瞬間に、余計な物は一切が飛んだ
一寸、瞳を瞬かせては――ふ、と、口元に笑みを浮かべて
ゆっくりと、歩み寄って行く、か)
■テイア > 森の民の信仰とは少し違う聖堂。
木にも水にも、全てのものには神がやどるというアニミズム的な考え方が本来の自然な森の民の信仰の仕方。
けれど、敢えてこの場所を作ったのはもし森に何かあった際の避難場所、拠点としたときに心の拠り所となるようにといった考えからで。
まさか、こんな格好をした自分がここに立つことになるだなんて考えたこともなかった。
事情を話し、ドレスの見立てを頼んだシルキーたちによってここで待つようにと連れてこられた。
「………っ…」
祭壇の前で、気持ちを落ち着けようと光差し込むステンドグラスを眺めていたが、落ち着くはずもなく。
コツンと革靴の足音とともに、感じる人の気配。
そして、低くもう聴き慣れたその声が自らの名前を呼ぶ。
振り返るのに、一瞬の間があったのは背後にいるのが誰だかわかっているから。
シルキーが見立ててくれたドレスだから、おかしいはずはない。
ただ振り返るだけだというのに、全身に緊張が走る。
命のやり取りをするのとは、また違った未知の緊張感。
意を決してふり返りみたその視線の先には、あの夜のようにけれど、足の先まで正装をした男の姿があった。
「………シルキーに相談したら、ここに連れてこられてな…」
男の浮かべる笑みに、かぁっと頬が熱くなるのを自覚する。
上手く話題が出てこずに、この場所にいた理由をぼそぼそと告げて少し視線をさまよわせる女。
明らかに照れているのだとわかることだろう。
■イーヴィア > (――果たして、彼女は何に緊張しているのだろう
己が燕尾服を合わせて身に着けて来た其の意味まで、判っているのだろうか
本来の約束は、彼女が普段着る事の無いドレス姿を見てみたい、と言う物だけれども
己の目的は、もう一つだけ、多いのだ)
………今、俺の目に映ってる光景を、其の儘絵画に残したい位さ。
(ステンドグラスを通り抜けた、穏やかで優しい月光が彼女を照らす
白いドレスを輝かせる其の明かりは、其れこそ伝承に伝わる女神の姿を髣髴とさせる
美しい、ただ只管に、美しい。 其れ以外の言葉など無意味。
後ろで控えているシルキーの存在なんてすっかりと忘れてしまっていた位には
文字通り、魅入っていた事だろう。)
………畏れ多い位綺麗だぜ、テイア。
……頼んだ甲斐が在ったってもんだ。
(――恐らく、己の目には一生焼き付いて離れない事だろう
祭壇の前、共に並び立つ様にして己も佇めば、二人月光に照らされる
暫くの間、其の姿を静かに眺め、そして、女の瞳をじっと覗き込んでは
そっと、燕尾服のポケットから、一つの小さな小箱を取り出す、か)
■テイア > まさか、ドレスを着る姿を男に見られるだけでこんなに恥ずかしいと思うとは女自身予想していなかった。
普段しない薄化粧までシルキーに施され、これで、『馬子にも衣装だな』だなんてからかってくれた方がこの恥ずかしさが消えてくれる気がしたのだけれど…
「…大袈裟だ…。柄じゃない格好なのは分かっている…」
照れてしまってどうしてもぶっきらぼうな受け答えになってしまう。
恥ずかしいけれど、男が褒めてくれるのは心から嬉しいと思うのに。
はぁっと、自分の性分に小さくため息を零して、改めて男に向き直る。
「私だけドレスで、そなたが普段の格好というのも不釣り合いではあるが、そなたまで正装姿でくるとは思わなかったよ」
言葉通り、自分だけドレスアップして彼が普段通りの格好であればかなりちぐはぐな感じにはなってしまっただろう。
引き締まった体に、高い身長。
その身を包む燕尾姿は、お世辞なしによく似合っていると思う。
少し不思議そうに首をかしげるさまは、その意味を未だによく分かっていない。
祭壇へと並び立った男を見上げ、改めて名を呼ばれて褒められるのに照れながらも女は漸く笑みを浮かべた。
「ご期待に添えたならよかった…。」
取り出される小さな箱、その中身は既に知っている。
どのようなものを男が作ってきてくれたのかはわからないが、そこには約束の指輪が入っているのだと。
「祭壇の前に、礼装姿…まるで人の結婚のようだな」
上司や部下の結婚式には呼ばれ参列したことがあった。
その様式は様々ではあったものの、大抵はこうやって神の前で愛を誓い合うというもの。
その様子と酷似した今の状況に、呟いて…そして…
『あれ?』といった表情を浮かべた。
自身の言葉で、漸く女の中で断線していた回路が繋がっていく。
人の結婚式では、みんな指輪を交換していたことも思い出して。
■イーヴィア > ―――……柄じゃなくても、似合ってるのは確かさ。
今の御前を茶化す様な奴が居たら、間違い無く俺が拳骨制裁してる。
(からかうなんて、きっと如何足掻いても無理だった筈だ
何度も其の姿を見た後ならば、もしかしたら言える日も来るのかも知れないが
少なくとも、今、こうして初めて女のドレス姿を目の前にして
先に告げた通り、茶化すなんて畏れ多いと言う物
其れに――今宵だけは、もう少しだけ真面目で居なければ行けない
理由は、たったひとつ。 まだ女の方は全く持って気付いていない様子だが
其れは其れで――面白いから、良し。)
……創るのに大分手間取っちまったよ。
ふふ、そうだなァ、良く判ってるじゃないか。
(祭壇の前、互いに正装、そして、己が用意した物は。
其れまで全く持って疑問にも思わない笑みを浮かべていた女が
はて、と何かに思い至ったらしき表情へと変わるなら
内心でニヤニヤしながら、けれど、表情だけは、至極穏やかさを保って
女の目の前、ゆっくりと開いた小箱の中、取り出した指輪の内片方を
指先へと摘んで)
―――――シルキー、頼む。
(――この場に、明確な宗教を司る者は存在しない
だから、この儀式もあくまで形式的な、正式なやり方とは言えないだろう
けれど、別に其れで構わない。 誰かに見せる物ではない、ただ
彼女と、己と、そして信頼出来る精霊を立会人として
約束を、交わすのだ。)
―――――イーヴィア・ヴァルケスは…テイア・ルア・ルミナスを、一生愛すると誓う。
(告げる言葉は――きっと、女へと、確信を持たせるのには、十分だろうか
己が右手が、女の左掌を取り、そして、拒まれなくば、其の指先へと指輪の一つを嵌めて行く
傍まで近付いてきたシルキーが、まだもう一つのリングが残る小箱を受け取り掌へと携えたまま
指輪が、女の指先へと、最後まで嵌り切るなら――指輪が、彼女を、所有者と定める事か
仄かな、淡い紅の光を、帯びる筈で)