2016/04/14 のログ
ご案内:「どこかの海上」にハーディさんが現れました。
■ハーディ > 1隻の商船が、太陽を隠す白い鳥を紋章として掲げ、海を滑るように進んでゆく。
船員の半分は湾岸都市で適当に見繕った雇われだが、操縦の腕はよく、幸運の拾いものであった。
隊商の他のメンバーは、見張りに立ったり、休息をとったり、航路を相談したり、それぞれの役目を務めている。なにより、船員の中に魔術師が居たのが幸いだった。無理のない範囲で風を操ってもらい、通常よりもはやい速度で水上を進む。
魔術の属性柄、海を苦手とするハーディは、今のところ船内にこもりきりだ。
船室の小さな窓から見える景色は、相も変わらず青一色。
何度目かになろうか、分厚い目録をぱらぱらとめくっているが、それも暇つぶしに過ぎない。
魔族の国を縦断、しかもより安全に通過する方法は、ついに見つからなかった。
だがそれも、準備期間が短く手を回し切れなかったのが大きい。
道中の護衛にと、『人外種の傭兵』を探して、いくつかの傭兵ギルドを回っては見たものの、
どうやら大きな事件がいくつかあったらしい、名のある傭兵はほとんど、仕事中で動けないそうだ。
「取り付く島もない、とはこういう事か。
よく考えれば、このご時世、堂々と『魔族です』って看板ぶら下げてる奴もそうそういないだろう。
……今の人脈じゃあ、限界という事だろうな。それが判っただけでも、良しとするか。」
行商人同士の情報交換は、時折意外な情報を手に入れることもある。
だがそれにも、限界はある。交易路以外の場所まで裏をとりながら探ってくのは、非常に苦労するのだ。
「護衛といや、エリミアに声かけるのを忘れてたな。
まあ、アイツだっていくらなんでも遠すぎるって言うだろう。束縛時間も長いしな。
しかし、専属で誰かを雇うとなると、……思いつかんな。
地理に詳しく、そこそこ護衛できるだけでいいから、所属フリーの魔族っていないもんかねえ」
■ハーディ > 普段は護衛を募集するのに、傭兵ギルドや酒場、あるいは冒険者の宿などを介して依頼書を出す。
非戦闘職にとって、一般の依頼の出し方がそうであるように。
だが、特定種族を探すとなると話は別だ。ましてや、忌み嫌われているものとなると。
「ま、ありえないか。対価を吹っ掛けられても困るしな。
いくらうちの国が魔族許容していようと、魔族の国の奴とか、その辺の愉快犯なんかとは別に、
分けて考えなきゃならんのだから。」
振り下ろせば鈍器になりそうな目録をたたむと皮袋にしまい込み、ハーディは立ち上がった。
「気晴らしに海でも見てみるか。
やることも、そうあるわけじゃないし」
ご案内:「どこかの海上」からハーディさんが去りました。