2016/03/19 のログ
■ハーディ > 宙に浮いたまま、腕組みをしてしばらく考えていた男は、ふいに顔を上げ、空高く輝く月を見上げた。
(そうか、何もわざわざ森の中を進むことはない。
一旦空を目指して飛んでゆけば、ひとまず現在位置くらいは分かるだろう。
あとはこの目で、どこまで視えるか、だが……)
そうと決まれば、と男は一人で手をポンとたたき。
絨毯の縁を両腕でつかんで引っ張り、そのまま後ろに倒れかけた。
するとどうだろう、絨毯は向きを変え、坂を駆けあがるように上空目指して飛んでゆく。
いくばくもしないうちに男は虚空に躍り出した。すぐ眼下に黒々と茂った大地が見える。さらに目を凝らせば、外縁部の方に微かな違和感を感じた。
(これは少々厄介だぞ。罠か、それとも結界の類か。
方向感覚が判らなくなったのはこれの可能性が高いな。
と、すると)
大きく旋回し、遠くに見える灯りを目指す。
あの方角は王都マグメールか。
(また日を改めて、正式なやり方で出直すとするか。
やれやれ、遠回りなんだがな)
ご案内:「ルミナスの森周辺」からハーディさんが去りました。