2016/01/08 のログ
ご案内:「魔族の国/とある屋敷前」に魔王ハスターさんが現れました。
ご案内:「魔族の国/とある屋敷前」にスズネさんが現れました。
ご案内:「魔族の国/とある屋敷前」からスズネさんが去りました。
ご案内:「魔族の国/とある屋敷前」にスズネさんが現れました。
スズネ > 『…本当に行くのねー?』
「…うん。」
やっと 見つかった。
魔王を倒す、それこそがボクの生きる意味。

来たるは趣味の悪い、無駄に豪華な屋敷。
遅れまして、こんばんは。ボクは…うん、スズネって呼んでよ。
職業、勇者。………ギャグじゃないよ。
魔王を倒しに、魔王の根城に来たんだけど………すごい、それっぽくない。
強そうな部下(何故か女の子ばっかりだった)は今は旅行に行ってるって聞いた。
あの男を殺すなら、今。







『っと…ガラテアちゃんの上司さんに教えてあげないとねー。』
秘密にしろ、なんて言われてないわよー。
『「勇者がそっちに向かってる」ってねー♪』
さて…何が起きるかしら?
そんな呟きは、誰にも届くことはなかった。

魔王ハスター > 「あ、うん。…着たね。…やーれやれ、アイツらも懲りないねえ。」

おっさんは異界では少々名を馳せた、お尋ね者である。
故に、こうして時折刺客が送られるのだ。頻度はあまり多くないのだが、
それでも此方に来て左右の掌の指で数え切れないくらいにはあった。
さてな、部下の皆さんに温泉旅行でも行って来いと気前よく送り出した本日、
この秘匿性の高い冥府の、しかもおっさんの屋敷に乗りこんでくるなんて。

「…ふぅん…フォルトゥーナのヤツが、はーぁ。まあいいか、可愛い女の子が勇者だったら萌え―――ッ?!」

―――その時、魔王の水晶を掌に当てたおっさんに電流走る!!
身に纏う異界の異質な加護の力はと言えば、直接目視しなくともそれが誰のものであるかは分かる。
あの運命神だ。恐らく。

「…可愛いなあオイ。」

おっさんは最上階の3階で、外側で待ち受ける勇者の姿を見ていた。

「まあいいか、取り敢えず様子を見ましょうかねー?」

おっさんはそう言うと、下級兵以外殆ど誰もいない自室の中で、
水晶をその辺に転がして読書でも始めた。「はじめてのれんきんじゅつ」である。
一先ず彼女の出方を伺う模様。

スズネ > 「どいてよ、邪魔する人…人?以外は斬らないよ。」
『うわーん!へんたいがきたー!』
『ちじょがきたー!がらてあさまみたいなふくきたちじょだ!』
ぴきぴき
「残念だったね。」
あたり一帯にうようよ居る、ちびっ子なサキュバス。
取り敢えず殴り飛ばす。避けられたけど。

「えっと…ここって、こんな人ばっかなの?」
道中で冷やかされたり、中には階段の場所を教えてくれる子さえ居る。
ボク、敵の筈なんだけどな…?
なんで?まさかそっちの方が面白そうとかふざけた理由じゃないと思うけど。

階段教えてもらっても、遠い。
住むの目的ならこんなに広くなくていいよね。
主であろう魔王を怨みつつ、手足に力を込める。
そして、瞬時に爆発。
そのまま上に跳ねたボク。なんか手の先に豆腐かなんかの感触が伝わったけど気にしない。
たとえこれで壊れても、ボクは知らない。うん。

辿り着く、たぶん最上階。
金がかかっていそうな装飾をされた部屋。
居るならここだろう。
2,3歩後ろに下がり、そのまま突撃。
ゴテゴテとした趣味の悪い扉をそのまま前方に吹き飛ばす。

「初めまして………いや、敢えてこう言おう。」
「とうとう会えたね。魔王ハスター。この日をずっと待ちわびたよ。」

魔王ハスター > 「…派手すぎじゃね?」

おっさんは素直にそう思った。
真っ黒ドレスに身を包んだ少女が屋敷を荒らす荒らす。
そりゃもうシャンデリアも赤絨毯も骨董品の木製箪笥もズタボロで。
多分彼女に道を教えた理由はその通り「そっちの方が面白そうだから」である。
冥界、冥軍はそういう場所である。
そしておっさんとこの扉が吹っ飛ぶ。

「ブベラッ」

おっさんにクリティカルヒットする。破ける。

「フハハハハハハ、よく来たな勇者よ。」

おっさんと木製の良い絵が描かれた扉が一体化する。
両手がハマる。頭もハマる。扉から手と頭が出てきて魔王最終形態!…そんな状態。

「如何にもこの我、冥府の主にして貴様ら運命神が宿敵たる破壊神!我こそが魔王ハスターよ!
例えこの魔王を倒そうとも第二第三の魔王が。フハハハハハハ!!!」

扉とおっさんが良い感じに合体している。
それっぽいセリフを言ってはいるが、このビジョンは実に残念である。

「まあいいか。可愛い勇者の御嬢ちゃん、始めまして、御名前を―――フンッ…どうぞ?」

話を聞いているのかどうか不明ではあるが、割と軽いノリで扉と一体化を開放し、
鎧袖一触とばかり惜しげもなく美術品の扉を粉々に粉砕すれば、その名を結構軽い感じで問った。

スズネ > なんだろう、こう。
想像していたのと違う、って言葉がピッタリ合うかな。
ボクの想像してる魔王ってもっと恐ろしくて、強大に感じるような奴で。

少なくともこの近所にいるテンション高そうなおっさんレベルのこの人を魔王だなんて認めたくないんだけど。

壁画みたいな状態でシリアスな問答続ける気なのかな。
…せめてボクだけでも飲み込まれないように。気を張っていこう。

「こっちの世界に来てからはスズネって名乗ってる。」
瞬間、稲妻が走る。
…普通に跳躍しただけだからね?
ともかく、こんなふざけたおっさんを因縁の仇敵と思いたくないけど。
有無を言わせず先手必勝さ。
顔面にボクのとてもか弱い…か弱いんだよ?膝をぶちかましにかかる。

魔王ハスター > 「―――ぬッ?!」

真っ直ぐと雷線。おっさんはそれを認識できなかったわけではないが、
しかして回避行動はとらなかった。
おっさんの顔面が吹き飛び、燃えカスの様に消滅する。
出血するわけでもなければ、内蔵物が吹き飛ぶわけでもなかった。

「ふぅー…いやんなってくるわ、どうしてどいつもこいつも勇者ってのは加減を知らんのかねえ。」

そして、顔面は元に戻る。
まるで空気や空間の様に。そこにあるのが当たり前である様に。
あくまでも生えるのではなく、元に戻った。これがおっさんであり、不死身である。
何となく痛かったのは…きっと気のせいだ。

「さ、スズネちゃん。人ん家ずけずけ入り込んできて!おじさんを殺しかけた罪を償ってもらおうっ!


―――と、思ったが。ここで暴れたらおじさん家壊れね?やばくね?」

ビシィ、と指差したは良いが考える仕草で腕を組んだ。

「やめてくんないかなあ、まじで。おじさんも気が気じゃないわ。
もうね、ほんと御願いしますって、たのむ。おねがぁい!!」

何と情けない魔王であろうか。勇者に懇願するおっさん。
しかして、このおっさんはいつものようにニヤけており、
ともすれば隙を伺っているのやもしれない。

スズネ > 「ちゃんと加減はしてるよ。」
魔王を吹き飛ばせる程度に。
その気になれば家ごと壊せるからね。

ビデオテープよろしく巻き戻る顔。
非常に気持ち悪い。
条件反射で足を振り抜くくらい気持ち悪い。

「あはは…何さ。『体で払え』とでも言うつもり?」
「むりやり犯されるのはいいけど、君にだけはごめんだよ。」
そう言って、魔剣ミストルティンを取り出す。
この剣で
この男を
ボクがやらないと
ボクにしか出来ないんだから
それ以外にやれることはないんだから
出来ないボクに生きる意味は無い

剣を、振りかざす。
「命乞いするのが遅かったね。」
全魔力を込めて思いっきり、たたっ斬る。
はぁっ、はぁっ…!
急に体力が全て無くなったかのような。
まるでこの剣に吸われたみたいで。
この朦朧とした意識じゃ当たっているかどうかなんてわからないけど。
もし当たって居ないとしたら…さっき言ったとおり、体で払う事になるかもしれないね?

魔王ハスター > 「―――?!」

さて、もうおっさんも話しに興じている余裕がなくなっていた。
仮にも勇者の一撃である、不死身不死身といってたかを括っていたわけじゃあいけない。
警戒しなければならない何かがあるかもしれない、仮にも絶対的不死身を曲げられる事などあるまいが。
だが、おっさんは避けようと身を捻る。斬撃を。

しかして、現実は奇しくも、おっさんの左腕をさばいて落とした。
彼女の膂力に、おっさんが付いていけなかったとも言えようか。

しかし、ここで大事な事は、斬れた事。
そして、腕が落ちて、生命力と思しき粒子が溢れたこと。

「えええええ?!ちょっとまってぇ?!…お、おじさんはぁあっ?!」

受肉した身体の左腕を落とされる感覚。はて、こんなものいつ以来味わったものか。
一体どんなカラクリを使ったのか知らないが、
紛れもなくおっさんの左腕を抉り落としていた。
慄くおっさん。ふざけていられるのもここまでだった。
顔からニヤけが引いた。
斬れた腕残りの腕で拾い上げれば、さっさと回復魔法を使って、光に包み修復したわけだが。
気分が悪い。それはそうだ、無理矢理捻じ切られた物を無理矢理くっつけたのだから。
体が、腕が、何かに蝕まれた感じがする。

「…以来死ぬかと思ったのは何世紀ぶりかね。」

胸糞悪そうに彼女の方へ歩み寄る。
笑ってばかりのおっさんにこんな顔をさせられる者の数は少ない。
そのまま彼女の疲弊した身体の胸元を掴み上げようとするだろうか。

スズネ > 「………はぁ。」
頭から真っ二つするつもりだったんだけど。
腕を切り落とすだけに留まった。
だか確かにダメージは与えられたんだ。
このまま切り刻んで
あの子の
敵を
あの子に
安らぎを



と、意識が朦朧し、思考すらおぼつかない所に声がかけられる
「…殺す為に力を磨いて来たからね。」
「まぁ、届かなかったけどさ。」
手元から落ちるミストルティン。
拾い上げて不意打ちをする余裕なんてない。
してやったりとにやけ顔こそ向けど、彼にグイッと思いっきり引っ張られる。

「で?どうするつもり?ふふ、あははは。」

魔王ハスター > 「…さぁねえ。面白いことするんじゃないかな。どうやら、今の、全部力を使ったみたいだし?」

質問に答えながら、華奢な彼女の身体を軽々と持ち上げて、多少着物を引き破る音を立てながら。

「さー、て。ま、これも運命ってやつかね、皮肉だねえ、フォルトゥーナよお。
聞いてるかどうかは知らんがね…面倒なもんを持って来てくれたもんだ。」

自室は結局荒廃して。
憂いた事は全て裏目に出てしまった。
はてさて二人の向かう先は―――。

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