2015/11/21 のログ
■ニーニヤ > 「…不思議な人、ですね」
少しばかり緊張がほぐれたか、ぽつ、と感想を述べる。暴力をしないというのは素直に嬉しいし安心できるが、暴力に慣れることが良くないことだということがサッパリ理解できずに不可解な顔をする。
奴隷が暴力を振るわれるのは当然のことだと体験してきたし、何よりもそれに慣れてしまわなければこちらの心だってもちはしないのに。
一体この人は何を言っているのだろうか。
そんなことを思いながら、腕のあざを見せて。あざは、腕だけでなく脚などにも見え隠れする。
この分だと、まとっている服の下にも当然のように存在するだろう。
「どれくらい、ですか…?私がいけなくて…ずっと売れ残ってるから、あんまり売れない日は決まって暴力を受けました…。
私以外にも、他の子も…。暴力だけではなくて、その…」
少しばかり言いよどんで、口をつぐんで。
■アーヴァイン > よく言われる。
(率直な感想に苦笑いしながらも頷くが、悪い気はしてないようで、寧ろ嬉しそうである。戸惑う少女の気持ちも、これまでの経験から理解できる。だが言葉で説いてストンと理解してもらえるものでもないのも、知っている。だから行動を示すしかない。色んな所に痣があるのを見れば、これならと武器になると確証を得たのだが)
…他の娘か
(まさか少女から別の娘の話をされるとは思いもしなかった。お人好しな男からすると、そう言われてしまうとそこまで手を伸ばしたくなる馬鹿なところがあった。しかし、手札となる金は、今は少ない。暫し顎に手を当て考えると、もう一度少女を見つめる)
…君なら買える、だが…他の娘は残念だが、金が足りない。
(残酷だが、事実を言うしか無くゆっくりと告げたのはここを離れられる席だ。それは一つのみ、自分が助かるか、誰かを助けるか。しかし、と一つ言葉をつなげて)
君が他の娘も助けたいなら…力は貸せると思う。
(どうする?と唐突に持ちかけたのは、奴隷を続けた少女に初めてかも知れない選択の問だった)
■ニーニヤ > やはり、何を言っているのか理解できない。助ける、とは、何を言っているのだろうか。男の言葉に困惑した顔で、口を開く。
「あの、私は奴隷です。そして、旦那様は奴隷を買いに来たのでしょう…? どうか、無礼をお許し下さい。
でも、旦那様が1人の奴隷を買われるのならば、誰を買うのかを決めるのは旦那様です…。私に、主を選ぶことはできません…。
旦那様が選んだ子を、買ってあげてください…」
この方に買われればきっと今よりも楽になるかもしれない。そう思いながら、自分は何を言っているのだろうと溜息をつく。
もし、この人に買われなければ―今日は、かなり目をつけられたのだ。1発2発殴られるどころではすまないだろう。
■アーヴァイン > (少女の言葉にまたやってしまったと一人落ち込んでいく。こういう時にこそ引っ張る存在にならないでどうすると…買いに来て、偽善と言われるようなことを突き通しに来た愚か者なのだ。その結果は自分で決めねばならない、ずんと暗くなっていく雰囲気、沈黙の後、自らの頬を寮の掌で挟むように叩いた)
…失礼した。
(そういうと、先程の店員の方へと歩いて行く。そして直ぐ様話を切り出す。落ち込んだ心を一旦仕舞って、過去の自分を、人を欺くときの心を相手へ魅せつける。自信を持った表情で口を開いた)
あの子を買いたいが……君らは商品を壊すつもりなのか? 痣で済んでいるが…骨にヒビでも入っていたらどうするつもりだ。無駄金になるぞ。
(店員の少女へ対する当たり具合を叱咤すると、不満気に店員を見やるだろう。瞳には憤りがほんのりと篭もる、気に入ったものが傷物だったと、本心を抑えるように演じていき)
……まぁいい、買わせてもらう。骨が折れてても、痣が消えなくとも文句は言わないが、治療費分は下げてもらおうか?
(傷物で買い手がつかないであろう。脅し言葉から一転して妥協案を提示する。少女の価値を下げるようなやり口はしたくなかったが、既に偽善なのだ。やるだけのことをしなければと、男の表情も真剣そのものに演じる)
■ニーニヤ > 「…あ。」
アーヴァインが入ってしまうと、とても沈んだ表情になって下を向く。
何をやっているのだろうか。少しでも優しい主を探していたのに、せっかくのチャンスだったのに…。そういう言葉が頭をぐるぐるとしながら、服の裾をきゅっとつかみ、唇を噛みしめる。
じんわりと視界が歪む。涙だろうか。
一方、店員は男の言葉にやや驚き、やがて手揉みしながら媚びへつらう。
曰く、奴隷への暴行など珍しいことではないと遠回しに釈明してみたり、それも無意味だと悟ると値下げ交渉に応じだす。とは言え、向こうも商売人だ。
傷物であると認めた上で、この子は赤毛で珍しいだの、器量が良いだのとこじつけて、値引き額を抑えようと企んで見て。
結果、客が示した額は「奴隷に施す程度の治療費」の7割程度を引いたものだった。
■アーヴァイン > (店員との交渉に神経の全てを注ぎ込んでいく。誰彼構わず傷つけ騙すのはもう嫌だが…こんな悪人ならば、幾らでもやってやると、意志を強く固めていく。)
…別に、それで買ってやっても構わんがいいのか?
(敢えてあっさりと飲む素振りを見せるが、浮かべる笑みは何処か不気味さのある口元だけが笑うものだ)
器量の良い、そして珍しい赤髪の商品を傷物にして…相応の値段で下ろさない店だと、自ら示すことになるがな。
(ここで得をしても後から損をしていく。周りには奴隷を売るものがいたるところにいるのだから…悪評のある店でかうだろうか?遠回しに脅しじみた手段すら使い、店員にもう人落とし値段を下げさせようと試みる)
■ニーニヤ > 最後の言葉に店員が表情を引きつらせると、渋々最初に提示された額を飲み込む。
やがて、2,3書類を書かせて売買契約を済ませると、店員はニーニヤの元へと言って繋がれている鎖を外し、首に残った鎖を犬のリードのように、アーヴァインに渡す。
一方、ニーニヤはというと店員が近寄ってくるとこれでもかというほど怯えて目をきつく閉じて、柱に繋がれていた鎖が外されるまで、身を固くして。
■アーヴァイン > (交渉成立。だが受け取るまでは緊張がとけない、相変わらず余裕に満ちた表情をしながら書類手続きを済ませ、鎖を受け取る。ちょいちょいと歩こうと指で指し示せば、店から離れるように歩き出す。店員の視線から離れたところで、緊張が溶けていき、元の穏やかな表情になるとぐったりと背中を丸めて膝に両手を当てると、ゆっくりと深呼吸を繰り返す)
……ここまで欺くのは久しぶりだ。
(独り言、それから苦笑いに変わり、少女へと振り返る)
ニーニヤ、相当おかしいというと思うが…俺は君を束縛するつもりはない。Collar less という酒場を経営しているんだが、そこでは首輪をつけさせていない。
(首輪要らずの宿と呼ばれる、貧民地区でも変わりに変わった娼婦宿。ミレー族を自由に働かせている宿だ、もしかしたら噂程度にはきいたことがあるだろうか?と思えば様子を見やり、それから鎖ではなく、少女の手を握ろうと手を伸ばした)
■ニーニヤ > 引かれるがままに歩いて、歩き続けて、何が起きたか理解おいつかない。やがて、男の優しそうな表情に、自分があそこから開放されたのだと理解すると安心からか涙をひとつ、零す。
「『Collar less』…?旦那様は、酒場の経営をなさっているのですか?
私も、そこで働くのでしょうか?
精一杯、がんばります…!」
声はまだかすかに震え、これが夢ではないかと疑っているようだ。この男の話が本当ならば、自分には夢の様な世界かもしれないとこみ上げてくるものを感じながら、また同時に不安も覚える。
貴族の世話をしたことはあるが、酒場で働いたことなど皆無だ。果たして自分はうまく働けるだろうか。もし失敗して売り飛ばされたら…と、そればかりが気がかりだ。
■アーヴァイン > (涙を零す様子を見やれば、微笑みつつ頬を撫でようとするだろう)
あぁ、ニーニヤみたいなミレー族の娘を自由にさせるためのな。
(静かに囁くように告げるのは、周りには聞かれたくないためだ。あまり堂々と語るのも良いとは思われないからで。続く問いにも小さく頷き)
大体はそうなる、一緒に探索や戦闘、後方支援といった仕事をする人材派遣もしているが……女の子には難しいだろう?
(冒険と限定はされないが、外に出回りいろんな事をする派遣業についても触れていく。とは言えど、今のところ華奢な少女というイメージが強いため、望まないだろうと思うと苦笑いを見せて)
あと、一応約束事がある。といっても、ニーニヤの身を守るためのものだ。
(言葉を続けながら手を引いて歩き続ける。説明されていく約束事は多くない。一つは、脱走はしないこと。誰かにまた捕まって売り飛ばされたら助け出せないからだ。もう一つは、外出の際は奴隷らしく振る舞ってもらう事と後ほど渡す首輪をしてもらうことだ。気分悪いと思うが、面倒を避けるための処置である。難しくはないであろう説明を終える頃には、屈強な男達が門番をする宿、首輪要らずへたどり着く。言葉通り、中では同じぐらいの年頃のミレー族の少女が、首輪なしに働いているのが見えるはずだ)
■ニーニヤ > 頬に触れれば、やはりぴくりと震える少女。こくりと頷くと、真剣に話を聞いて。
道中、冒険らしい言葉にどくんと心が踊ったものの、女の子には難しいという言葉に少しだけ物怖じして、話自体は切り出さずに様子を見ようかなどと考えて。
とはいえ、素直に目を輝かせて話を聞く態度が彼女の本心を物語っていただろう。
店につけば、門番をおずおずと見上げて、そしてミレー族の少女に驚く。
説明は受けていたが、実際に目の当たりにしてみると驚きが隠せない。目の前の女の子が自分と同じ奴隷だというのならば、自分とはぜんぜん違うではないか!
自分と比べると肌も白く、ずっと綺麗で―
まるで、夢のようだ。
■アーヴァイン > 店と寮の中なら、暴力は振るわれないから安心してくれ。
(しばらくこの怯え癖は抜けないだろうとは思うも、もっと安心できるようにと、そんなことを囁いた。以外にも派遣業の方に目を輝かせるのを見れば…意外と驚きを見せるだろうけれど、やる気があるなら問題ない)
やってみたいなら外に出れるように訓練からだな、その後は他の仲間と一緒に一つずつ仕事をこなして、慣れていくといい。格好も…ちゃんと整えないと怪我するから、準備しておく。
(基礎体力作り、野外活動の基礎技術など、訓練を施してからの実戦とはなるだろうが、彼女が望むならばと男も協力を惜しまない。店にたどり着き、驚きに満ちた様子を見ると、胸をすく思いがこみ上げ、自然と微笑む。)
じゃあ……一旦、寮の方へ行こうか?
(こうして無事、少女を宿まで連れ帰ると、首輪と魔力を当てるまでは見えないタトゥーシールを渡し、格好も流石にそれなりのものを着せるだろう。そして寮には狭いながらの自室を。少女に夢を与え、その輝きに男は癒され、次の誰かのために励むのだろう)
■ニーニヤ > 「冒険…、しても、いいんですか…?」
憧れてきた冒険者になれるとは思っていなかったのだ。格好まで用意してくれるというのなら、願ったり叶ったりではないか。
基礎体力や技術などに自信はないが、俄然やる気が湧き上がる。
「寮…わかりました!」
当人は気がついていないが、恐る恐る、控えめだった返事が力強いものに変わっている。首輪もタトゥーシールも、奴隷の枷ではないのだと、この日、少女は知った。
ご案内:「奴隷市場」からニーニヤさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場」からアーヴァインさんが去りました。