2015/10/30 のログ
ご案内:「貧民地区の安宿」からシズハさんが去りました。
ご案内:「貧民地区の安宿」からフォルさんが去りました。
ご案内:「メグ・メールの宿」にルーキさんが現れました。
ご案内:「メグ・メールの宿」にキスカさんが現れました。
■ルーキ > 王都から離れた所でも、宿というものは少なからず存在する。
此処もその内の一つだった。利用したことはほんの数回しかないのだが。
二人用の部屋に通されればベッドに腰を下ろし、身につけていたローブを外す。
以前より更に白さを増した肌が、彼女の眼前に晒されるだろうか。
「―――さて。此処なら誰にも邪魔されることはないな?」
話でも、それ以外のことでも。
そんなニュアンスを言外に含め、口元が笑みを象った。人間だった頃と何ら変わらぬ表情。
■キスカ > 連れ立って訪れた宿の一室。
見慣れた顔に、知らないなにかが入り混じったような香り。
奇妙な取り合わせにまだ少し戸惑いながら旅装を解いていく。
「助けを呼ぶなら今のうちってわけだね!」
きてみてさわってたしかめて。
神秘の人形ボディに隠された秘密を今こそ暴くのだ。
投げナイフのベルトや軽量の装甲を脱ぎ捨てて、身軽になって伸びをする。
ただ人のカタチをしたモノを検分するだけだとでも言いたげに、こちらは肌を晒そうとする素振りもなく。
「うーん……姿かたちは変わらずだね! ほら、木とか陶器とかさ、人形っていろいろあるでしょ?」
「手とか足とか、よく見せてくれる? 今はどうやって動いてるのさ??」
白い素肌に吐息がかかるほどの距離。顔を近づけて、いろんな角度から眺めたりして。
■ルーキ > タンクトップとショートパンツという様相。
つまりは躊躇いも無く肌を晒しているわけで、しかし相手が肌を晒す素振りが無いのを見ても特に気に留めるではなく。
「はは。助けを呼ぶ必要はないだろ?戦うわけじゃあるまいし」
肌に触れるなら、明らかに人間のそれとは触り心地が異なることがわかるだろう。
無論悪い意味ではなく、良い意味で。
双剣を外して適当な所に置き、此方も身軽になってしまう。
「今か?まぁ……言うなれば魔法か」
「エル……主と同じで、特別製だからな。木でも陶器でもないよ」
いろんな角度から眺められれば、見やすいように。そして触れやすいように両手を差し出す。
掌を相手へと向ける形で。
■キスカ > 「じゃあルーキはお人形さんなのに好きに動けるんだ?」
「すごいすごい!! 反則級だね!」
思わず拍手。物珍しさに目を丸くしてしまう。
差し出された手に両手を重ね、片膝をルーキの脚の間、ベッドの上へ。
「ふーん、そのエルっていう子と同じになったんだ」
「主って言った?」
ルーキの発散する雰囲気と一体となって在りつづける魔の気配。
ふと、とある闇夜の出会いを思い出した。
「私は吸血鬼の子に会ったよ! この首をさ、ガブリと噛ませてあげたんだけど」
「そしたらね、なんとそのまま死んじゃって! あのときはさすがにもうダメかと思ったよ…」
要領を得ない話をぶん投げつつ人形ボディに抱きついて、おなかに頭をぐりぐりする。
■ルーキ > 「…そうか? あまり珍しくもないんじゃないかね」
拍手されれば、不思議そうに瞬いた。
重ねられる両手を軽く握る。
「あぁ。まぁ主というよりは―――友達かな」
魔の気配は止め処なく、己という人形から溢れ出る。
オッドアイの瞳が、目の前の彼女を見据えた。
「……吸血鬼?へぇ。また珍しいというか」
「――…死んだ、ってことは蘇ったのか? 吸血鬼に咬まれると死んでしまうんだなー…」
興味本位で頷いていれば、抱きつかれて勢いベッドに倒れこむ。
ぐりぐりしてくる頭を軽く抱きこむようにして、頬を白い指先が撫で上げて。
■キスカ > 「ロザリアっていう子でね。見た目は私とそんなに変わらないくらい」
「陥没吸血鬼のはらぺこおっぱいさんだ!」
「……待って。陥没。おっぱいさんで、吸血鬼。そうそうそんな感じ!!」
「私もびっくりしたけど蜂に刺されて死んじゃうのと同じだよたぶん」
「その時はいつぞやのヘンな薬みたいなのを使って無理やり復活……」
ふと言葉が途切れて、心持ちシリアスな表情をする。
「――――したよね。できてるよね?」
「実はまだ死んでる…なんてことはないと思うんだけど」
「復活が遅れてたら今ごろあうあうあーしか言えなくなってたかも」
「私があわれなグールになっちゃってたらルーキは悲しんでくれたかなー?」
タンクトップをめくって白いおへそのあたりに頬ずりをする。
「―――わ。ちょっと冷たい」
「何だかひんやりしてるね! これはこれで……ルーキ、もっと見ていい?」
■ルーキ > 「ロザリア、か。いずれ会ってみたいものだな」
「――そうか。まぁ、復活できてよかったな」
シリアスな表情を、どこか可笑しげに見守る。
「……吸血鬼のお墨付きなら、復活できているんじゃないか?」
「そりゃ悲しむさ。グールになられたら、こうして会話することも出来なくなる」
臍の辺り、腹部に頬擦りをされればその温もりが直に感じられた。
己からは動かずされるがままに。
「……あぁ、いいよ。好きなだけ見るといい」
■キスカ > 「本当にね。血をあげた分は楽しませてもらったし、私的にはぜんぜんおっけーです」
ぐっと手を握る。黒い毛が混じった長いしっぽがゆらゆら動く。
「それでさ、ルーキはこの先もずっとこのままなのかな」
「いつか私の方がお姉ちゃんになって、年上になっちゃって…どこかの誰かに殺されるときも」
「……君はずーっときれいなお人形さんのまま、誰かが遊んでくれるのを待ってるのかな」
「それって、何だかさ」
寂しいような、切ないような。ほんの少しだけ、泣きたくなるような。
荒涼とした息苦しさが胸に詰まって、鼻がツンとする。
「………嫌だよ。私は嫌」
「なにが嫌って、いつか私はただのぼんやりした影になったりしてさ」
「昔の、ほら、なんかいたねーあの子? しっぽとか生えてる…なんて名前だったっけ??みたいなさ」
「そうやって、ルーキに忘れられちゃうのがすっっごく嫌なんだ!」
タンクトップの下から手を突っこんで、めくりあげていく。
服を傷めてしまわない程度には乱暴に、人ならぬ身を覆うものを剥ぎ取っていく。
■ルーキ > 「等価交換……と呼べるのかな。わからんが」
血に代わるものはさてあるのだろうか、と自問する。
していれば、どこか寂しげな――表情が見えた。
「……キスカは、誰かに殺されるのか?いつか」
「今迄、わたしも何度か戦ったが――どこかの誰かに、そうそう簡単に殺されるような腕でもないだろう」
彼女を認めているのだと、言葉にして表した。
その身を覆う服が剥ぎ取られれば眼前に、雪のように白い肌が晒されるだろう。
以前身体を交えた時よりも更に深みを増した白。
「――わたしが、キスカを忘れるとでも?」
■キスカ > 頷いて、やっぱり首を振って。
「今じゃないいつか。ここじゃないとこかで。私の道はそこで途絶える」
「それは別にいいんだけどさ」
血の幻影に染まった手のひらを向けて、ルーキの肩をベッドに沈める。
「消えない痕を残したい。生きた証を刻みつけたい」
「それが私の願いのすべて」
灰色の瞳が震えて、感情を噛み殺せないままぎこちない笑顔を向ける。
「目を背けたくなるくらい醜い爪痕かもしれないけど、いつまでも残るものなら」
「……私の流した血が、次の歴史のインクになるのなら」
「どんなにひどい死に様だって平気。それより辛いのは、君に忘れられちゃうことなんだ」
肯定も否定もしない。ただ数瞬の沈黙があるだけ。
「―――なんて。前にも言ったけど、ルーキ。私ね。欲しくてたまらなかったんだ」
「まれびとの女の子ならみんな持ってた、すっごくかわいい女の子の人形がさ!」
「忘れないだけじゃ嫌。こう見えてけっこう欲張りなんだよ」
機能美すら感じさせる硬質の美しさ。胸のあいだに顔を埋めて、生ける人形のぬくもりを探す。