2023/05/28 のログ
ご案内:「冒険者の酒場」にケストレルさんが現れました。
ケストレル > 【お約束待ち合わせ中です】
ご案内:「冒険者の酒場」にマルリーヌさんが現れました。
ケストレル > 「やれやれ、一時はどうなる事かと」

日も傾き時間相応の賑わいを見せ始める酒場の片隅で、いかにも満身創痍といった風貌のケストレルはしみじみと呟いた
防具も服も髪もボロボロのボサボサで、頬や額には切り傷擦り傷が目立つ
ゴブリンを相手に奮戦した証と本人は語るが、実のところ初級冒険者でもそうはならないだろってくらい手酷く袋叩きにされた結果だった

「まあそれでもこうして無事に帰って来れたわけで、万々歳ってことで!」

なおゴブリン自体は無事に一掃された
一掃したのは依頼主で、ケストレルが同行を頼んだ女騎士であるマルリーヌだが
袋叩きにされた後のケストレルと言えば、自身の怪我の治療をしながら彼女に支援魔法をひたすら撃ち続けていたのだった

「マリーの姐御が居なきゃ詰んでました。ささ、どうぞ今日は飲んで食ってください」

マルリーヌ > 「ふふ……本当、そんな感じですわね。ですが……ええ、あなたのおかげで無事に戻れました」

 簡単ではないが、楽をした仕事だった。
 本来、ゴブリンの住処を攻めるとなれば、小規模ながら簡単な砦攻めをするようなもの。
 故に冒険者への依頼だったのだが――今回行動を共にした所属違いの同僚のおかげで、二人でもスムーズに終えられた。
 広い視野、的確な補助魔法。ヘラヘラしてばかりといった印象が、今回で軽く変わっていた。
 マルリーネの方と言えば、ビュンビュン盾を投げては剣をガシガシ叩きつける脳筋っぷりの末、負った傷も軽く、傷薬で既に回復しきっている。

「いいえ、私一人ではこんなに上手くいきませんでした。……助かりました、ケストレル殿」

 向かいの、まだボロボロの彼へと柔らかな笑みを向け、頷いて見せた。
 やがてテーブルへと運ばれた料理に唾を飲み、そして泡が波打つ琥珀のジョッキを彼へと掲げる。

「では……私たちの勝利と、村の方たちの平和に」

ケストレル > 「いやあ、自分は見ての通りのザマっすもん。マリーの姐御様様ですよ」

これでも現場につくまでは少しでも好感度を稼ごうと息巻いては居たのだが
やっぱり悲しいかな騎士としての白兵戦は小鬼にも劣るというところを見事に披露
改めて自身の不甲斐無さに落胆しつつも、並みの騎士なら容易く相手取ると評判のマルリーヌの戦闘を間近で見れた事は唯一今回の依頼の収穫だろうと思えた

「俺がした事なんて、後ろでワイワイ騒いでただけで……っと」

実際彼の所属する隊での評価は酷も良いところだ
学院を出たばかりの新米騎士が陣頭指揮を執る機会などあるはずもなく、単純に戦闘能力だけ見られれば当然と言えば当然なのだが
彼女からの例に謙遜の色も無く本心から首を横に振りながらも、同様にジョッキを掲げ

「っすね、カンパーイ!」

マルリーヌ > 「ふふっ、確かにそれは……そうでしたね」

 口元へと手を当てて小さく笑った。彼には助けられた、頼りに出来ると感じた。
 ただ戦闘中の彼は騒がしかったな、などと思い出しての微笑みだった。
 それから――がちん、とぶつけたジョッキを一気に煽る。
 細い喉を連続して動かした末、大きく息を吐きながらテーブルに置いた。

「ぷはぁ……! お仕事の後の一杯は最高ですね。ご飯も……んん、美味しいです」

 心は軽く料理も美味なら酒が進みに進む。ごくごくぱくぱくとやってはいるが、別にそう酒に強いわけでもない。

ケストレル > 「……自分も、姐御ほどとはいかなくとも人並みに斬って殴って出来りゃあ良いんすけどねー」

向かいに座る女騎士の飲みっぷりを見ながら、酒を流し込む。
年齢も自分と然程変わらない筈だというのに、一体何が違うのか。そんな事をぼんやりと考えながら並べられた料理を口にする
料理も酒も依頼前に彼女へと勧めた通り美味だったが、いまひとつ箸が進まない

「よう飲んで食ってしますねえ……」

自分とは対照的に食の進む女騎士を見ながら、ため息交じりに呟く
仕事上のストレスから夜な夜な飲み歩いているという噂を耳にしていたが、
このいかにも場慣れした感じの食べっぷりに飲みっぷり、噂は本当だったのかと思わざるを得ない

「まあ、あんだけ動いてたら腹も減るし喉も乾きますわな……あ、すいませーん――」

そこが自分と彼女の差なのだろうか、と訝しみながらケストレルは追加の料理を注文した

マルリーヌ > 「そうなんですか? 私としては十分あなたに助けられたと思っていたのですが。
……まあ、確かに……前衛は私でしたけど。後方の支援も大切でしょう?」

 酒も入って気分も上がり、彼からの姉御呼びも気にせずに箸を進める。まだ上品と呼べる所作だ。
 と、ぼやくような彼の呟きに首を傾げた。
 役割分担。単純にそう考えるも、異性に疎い女騎士には”男”のそういった気持ちはまだ分からない。

「ほら、ケストレル殿も飲んでくださいな。私一人じゃなく」

 むしゃむしゃごきゅごきゅ。そんな音が聞こえかねない程に彼女の食が進んでいく。
 ……程なくその白い頬に赤みを帯びていくだろう。

ケストレル > 彼女の言う事は至極尤もだ。それはケストレル自身も分かっている
胸にわだかまるモヤモヤとしたものを押し流す様にジョッキを傾け、酒気に染まった吐息を吐き出して

「……隊でよく言われるんすけど、俺がやれる事って別に騎士がやらんでも良い事なんすよ
 今回はどっちかと言えば冒険者寄りの立場で、それも姐御とだったから上手く行ったーってだけっす」

もしこれが騎士団として、彼女とは別の、それこそ日頃自分を馬鹿にする同僚たちとだったらどうなっていたか
きっと今頃救護ベッドの上に居た事だろう。ゴブリンよりも騎士たちからの暴行による負傷によって
そんな嫌な考えを振り払うように、彼女に促されるまま酒と料理を掻き込んでいく


「やっぱ向いて無かったんすかねー騎士……」

そして酔いも回った頃、暑さと動き辛さから身に着けていたブレストアーマーを外しつつ、ぽつりと呟くのだった

マルリーヌ >  あぁ美味しい。と、酒精を帯びて熱くなり始めた吐息と共に呟いては箸を進める。
 と、一気にジョッキを傾ける彼の様子を目を丸くして見守っていたが、それから零された彼の言葉に、少し目を伏せた。
 考える。が、既にアルコールで集中力が散漫だ。なので女騎士は思うまま、小首を傾げた。

「騎士がやらなくとも――でも、別に騎士がやってもよいことなのでしょう?
今日の任務を冒険者でなく、あなたと私でやったように」

 むしゃりむしゃりと骨付き肉にかぶりつく。少々はしたない姿ではあるが、酒の回った今、気にしない。
 それでも口元の油をハンカチで拭う仕草は、まだ品のあるものだったが。

「それは……んん、まだ別にあなたのことは詳しく知りませんし、答えかねますね。
ただ私は今回あなたに助けられて……感謝している、だけですわ」

ケストレル > ゴトリと床に防具を降ろし、ついでに空になった食器類等もテーブルの端に寄せながら女騎士を見遣る
数度瞬きをしつつ言葉の意味を反芻して、少しだけバツの悪そうに笑い

「ま、そうっすよね
 こんな事分隊長サマに聞かせる様な事じゃ無いっすわ。配慮が足らず申し訳ない」

折角の料理を、酒を味気ないものにしてしまうと、ぺしりと自分の額を叩いて反省し
それよりも、と少しばかり身を乗り出して

「マリーの姐御、聞きしに勝る腕っぷしでしたね
 あんな風にゴブリンをちぎっては投げちぎっては投げ……姐御の細腕じゃ予想も出来ないっすよ」

後方で見ていた彼がそう思うのだから、訓練等で対面した相手は尚更だろうと鼻息も荒く
こうして向かい合えば至って普通の、それこそギルドの受付に居そうな美人なのにと、打って変わって軽い言葉を投げかけた