2023/03/10 のログ
ご案内:「メグメール街道沿いの森林」にカジャさんが現れました。
カジャ > メグメール街道の直ぐ傍にある森林地帯。
王都からゾス村に行く途中に存在する森林地帯で、王都に近い事もあり比較的安全な場所と言われているのだが、
今夜の森林地帯は妙な静寂に包まれており、普段なら騒がしいはずの夜行性の動物達の気配すら希薄となっている。

パリパリ、バリバリ、パリ、バリバリ

獣や鳥達の鳴き声の代わりに静寂満ちる森の中に響くは何かが何かを咀嚼する音
――…何かが草木を貪り、咀嚼し、飲み込み、再び喰らう音。

音の主は背丈の低い草木に紛れ、地面を這うようにして進み、口元に触れるものがあれば霊草であれ毒草であれ、手当たり次第貪っている。
空腹に耐えての諸行に見えるかもしれないがそれは事実ではない、正しくはひとつの目的を持って行動をしている。
それは体内での毒液或いは薬の精製である。

ただそれは知識や自我に基づいての行動ではなく本能。
呪詛の塊であるそれは誰かの怨嗟を浴びるでなく、自らを高めるためにとる行動。
もう少し効率の良い方法があるのだが、それは現状難しく、その代替行為と言える。

薄暗い宵闇の中、不気味な音を立て、呪詛の塊は当て所なくただただ己を高める為に喰らう。
その姿は森を駆けるオオカミと同じくらいに大きなナメクジ。
但し、その表皮は微細な蛇鱗に覆われ、黒色の鱗は差し込む月明かりすら吸収し、闇に包まれた森林地帯に溶け込むようである。
しかし、頭部に存在する爛々と煌々と輝く赤い単眼だけは冷たい月光の輝きを弾き、闇の中で不気味に輝いているだろう。
まるでそれは鬼火かはたまた旅人が持つ光源に見えるか。