2022/09/09 のログ
マーシュ > 「……何か、され…………ました、ね。………そういえば」

言及されて、改めて思い出したように嘯いた。
僅かに忘れかかっていた己は、なんなのだろう、とわずかに悩んだが。
たしかにあの時点でそうされるのは異常ではあった。

「………それほど厳格、という気もいたしませんが、私の主観ですから。───はい、そうさせていただきます。」

自身にとっていいやり方、というのはわからないが───少しづつでもそうした感情を発露させる、というのはある意味失ったものを取り戻しているような感覚を得てもいるようで、それは己にとっても幸いなことなのだろう。
自分自身の心を探るように目を伏せて、嫌ではないことを伝え。

「であれば、私も嬉しく、幸いを感じております」

そうでなければ、こうしたものを用意はしなかっただろう。
思いついても実行に至ったかはわからない。

「あ、はい。………そうですね、ご一緒できるのでしたらお願いできればと思います」

書棚の中身にも興味はあるが、ほかに仕事があるのなら、とその手伝いを申し出た。

ヴァン > 相手の反応に、藪蛇になったかな、と目を逸らす。

「特に二人だけの時は今みたいに、感情を表に出してくれると嬉しいな。コミュニケーションがとりやすい」

どこか含みのある言い方。焼き菓子をそれなりに摘まんだからか、ベッドシーツの上を手で払い、食べこぼしを床にやった。

「よし、じゃあまずは保存魔法の仕組みについて、魔法を使える奴からマーシュさんに概要を伝えてもらおう。
その間に俺は準備をしておく。説明が終わったら一緒に学院に行こう。
最近は天気が変わりやすいからね。届け物の仕事は晴れているうちに終えておきたい」

善は急げとばかり、瓶を置く。バスケットはどうしたものかと考えたが、懐から出した紙にさらさらとペンで書き、蓋に挟む。
勝手に食べるなと名前入りでの警告。おそらく、そうでもしないと同僚が食べてしまうのだろう。
もらったものを大事に抱えながら、いつもの手順の後に階上へと。

マーシュ > 「────……、善処、します。」

ともすれば、表情はともかく言葉が固いのはきっと身についた仕草のうちだから、すぐに改善する、というのは難しいだろうが。
どこか含みを持たす様な言葉には、少しだけ、思考をあきらめた。結局一人で抱えても己にはまだ追いつかない。

「────ありがとうございます。はい、ではそのように。私でも扱える技術であればいいのですが──」

そうでなければきっと紹介してくれた相手も、そして技術を有す人にも無駄足を踏ませてしまうから、それは少し、心が痛む。
それでも新しいことを知る機会への好奇心は抑えがたく。

「そうですね、湿気は本には良くないですから。天気が崩れないことを祈りましょう」

───段取りを整えるような言葉を耳にし、それに答えながら。
焼き菓子の入ったバスケットに何やらメモ書き。過剰なような気がする警告と──、大事そうにバスケットを抱えてもらったのに、女は小さく笑い声を立てて心情の揺らぎを伝え。そのまま階段を昇って行ったのだ。

ご案内:「王都 平民区『神殿図書館』」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都 平民区『神殿図書館』」からマーシュさんが去りました。