2022/04/23 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「………」

その中の一室に、のそりと姿を現すのは作務衣姿の金髪の男。
臨時の雇われの身でありながらすっかりマッサージ師の姿が板についてきた男は、
今日もこの部屋で客待ちを始める。
その片手には、何やら紙が一枚携えられ。男は施術台の脇の椅子に腰掛けながら、
その紙を目の前に掲げて書かれている内容に目を通す。

『現在キャンペーン開催中!
コクマー・ラジエル学院関係者の方々はご宿泊のお客様以外もマッサージ無料!
※本サービスをご利用の際は学生証および職員証をご提示ください』

どうやら先だっての学院の大規模募集に便乗したキャンペーンを開催しているらしいことを、
男は今日出勤して初めて聞いたのだった。
同じ内容のチラシは、現在マッサージ室の入り口や旅籠の入り口にも掲示されている。

「露骨な便乗だ……いやまああ職員サンなら来るかもしれねぇーけど……学生とかは来んのかねぇ?」

眉下げて首を傾げながらそんな感想を漏らす。
このマッサージのサービスは基本的に宿泊客には宿泊代に含まれているため実質無料、
それ以外の客もそう高くない値段で提供している。
それでも無料となれば、普通よりも心理的なハードルも下がるのだろうか。
まあいずれにしろ、来てくれるのであれば自分は相応の仕事をするだけではあるが。

そんなことを考えていると、さっそくカーテンが開く。
さて、現れたのはキャンペーンを利用しに来た学院関係者か、それともそれ以外の普通の客だろうか……。