2021/05/14 のログ
ご案内:「王都近郊の遺跡」にクロナさんが現れました。
クロナ > 王都よりほど近い丘の中腹、苔むした石材が時代を感じさせる小規模の遺跡が存在していた。
ヒカリゴケの薄明りが内部を照らす全10層の不定形地下ダンジョンは、出現するモンスターのレベルも低めで、運次第では簡素なエンチャントが施された武具の入手も叶うとあって、新米冒険者にとってはこれ以上にない稼ぎの場となっていた。
この日も早朝から大勢の駆け出し冒険者でごった返す入り口付近では、臨時パーティのメンバー募集の声音が市場通りの喧騒にも似て響いている。
そんな広場の片隅で、ポツンと立ち尽くす小躯は、あからさまにその場の雰囲気から浮いていた。

クロナ > 銀の縁取りが施された紫竜革の軽鎧は、鎧下として着込んだ黒色ワンピの質の良さと共に潤沢な資金力を示している。
棒立ちの片腕が携えた短槍は、パルチザンを思わせる分厚い黒刃と、それに絡みつく細蛇の群めいた装飾の禍々しい、見るからに魔槍といった風情の逸品。
それだけ見れば、高位冒険者が気紛れで狩場荒らしに来たのかとも思えるが、それらの装具で身を固めているのが年端も行かぬ、胸の膨らみさえほとんど見られぬ童女である事が実力の推測を難しくさせていた。

そして武骨な兜などで鎧われる事なく晒された少女の顔立ちは、人形めいて美しく整っていた。
黒曜石を思わせる黒髪は艶やかで、癖のないロングヘアを背の半ばまで落としている。純白の肌にはシミどころかホクロの一つも見受けられない。
その漆黒と純白のコントラストの中で異彩を放つ紅色の瞳は、魅了の力を宿すドラキュリアの魔眼めいて妖しく煌めく。
それだけでももう十分すぎる程に人目を惹くのに、黒髪の側頭部から天に向けて突き立つ捩角と、ワンピーススカートの裾を捲り上げ、猫娘の獣尾めいて気儘にくねるエナメル質の矢尻尻尾がますます衆目を集めていた。

クロナ > さて、そんなちびっ子もまた周囲の例に漏れず、臨時のパーティ募集に乗っかろうとする駆け出し冒険者の一人である。
それを示すのは黒槍を携えたのとは逆の手が掲げる手書きのプレート。
そこに結構な達筆で書かれた文字は

『牽制・囮役・弱体・でかちんぽ』

わけが分からない。
最初の3つはおかしくない。しかし最後の一語は完全におかしい。
にもかかわらず寝起きめいた無表情は羞恥も屈辱も悪ふざけの色彩さえも浮かべる事無く茫洋としていて、そのちびっこの正体不明っぷりを更に強めていた。

クロナ > 『げははははっ、なんだよてめぇ。冒険者ごっこかぁ? それとも新手のロリ娼婦かぁ?』『なんだよでかちんぽって。お嬢ちゃん、可愛い顔してオレみてぇな大物じゃねぇと満足出来ねぇ口かよ?』『ハ、なぁにが大物だ。てめぇのは親指サイズじゃねぇか』『あぁっ!? ち、ちげぇよ! ありゃあ寒かっただけで、本気を出しゃあそりゃあもう』『いや、てめぇのチンポはどーでもいいし』
正体不明のちびっ子を誰もが遠巻きにチラ見する中、蛮勇を発揮してちょっかいを掛けに行ったのは案の定粗暴が売りのチンピラ共。
駆け出しにしてはそれなりに修羅場をくぐって来たのだろう。
頬や額に走る傷跡、荒んだ双眸、黄ばんだ乱杭歯などは良く言えば山賊、悪く言えばゴブリンにも似た悪相を形作っていた。
そんな連中がニヤニヤ笑いで小柄な美少女を取り囲む様は、思わず義憤に駆られ返り討ちの危険も辞さずにチンピラ共に立ち向かいたくなる光景だった。

にもかかわらず、さぞや怯えているだろうと思われるちびっ子の方は紅色のジト目を持ち上げるでもなくぽけぇ~っと地面の一点を見つめるばかり。桜色も可憐なおちょぼ口も閉ざされたまま。
いい加減焦れたのだろう一人が『おいこら聞いてんのか! でかちんぽってなんなんだよふざけてんのか!』と声音を荒げつつ少女の薄胸を突けば、小躯は見た目相応の軽さでふら付いた。
無表情が、ようやく幼げな美貌を持ち上げた。
その身震いする程に整った容姿に真正面から見つめられ、思わずたじろぐチンピラ達。
それに対してちびっ子は、無言のままに手にした募集看板と黒槍を傍らの大岩に預けると――――ぺろん。

おもむろにワンピスカートの黒裾を持ち上げて見せた。
ロリぷにな純白の太腿が露わとなり、その付け根を飾る無意味なまでにアダルティックな透け透け黒レースがさらけ出され――――ずどぉぉぉん!
とローライズなクロッチ上部から突き出す剛槍が、周囲を取り囲むチンピラのみならず、遠巻きに様子を伺っていた者達全てから声を呼吸を奪い去った。

「――――……でかちんぽ」

紅色のジト目が相変わらず何を考えているか分からない美少女顔で呟いた。
肌と同じ純白の肉胴は巨木の幹にも似て歪な膨らみを形成し、その力強い肉瘤に蔦めいて絡みついた血管のビク付く様は、剛力自慢の重戦士の二の腕にも似た逞しさ。
へそどころか少女の鳩尾にまで迫る長槍の先端を飾るのは、シェルピンクの色彩も初々しい、しかし、カリ首が形成する1cmはあろうかという女泣かせの段差には可愛らしさなど欠片も無い。ゴブリンの頭部を叩き潰し、脳漿をぶち撒けるメイスの如く凶猛な装い。

「でかちんぽ」

冷や汗を伝わせながら後退るばかりで、これといった返事を返さぬチンピラに向けて、ちびっこの愛声が繰り返した。

ご案内:「王都近郊の遺跡」にシルフィエッタさんが現れました。
シルフィエッタ > 奸計に嵌められて冒険者資格を剥奪され、奴隷身分となった少女だが、経験や技術を失ったわけではない。
それ故、今の少女は『元冒険者の技術を持った奴隷』として、冒険者より廉価な労働力になっていた。
昼間は奴隷商店から利用者に貸し出されて仕事を行い、夜は奴隷商人が持つ娼館で飼われる雌となる。
昼間の仕事も淫靡な内容なら、昼夜を問わず色に耽ることすらある爛れた生活である。

――そして今日の少女は、元冒険者としての腕を買われて、遺跡の調査へと出向いていた。
今の主人たる奴隷商人が、懇意にしている貴族からギルドを通さず依頼を受けたのだ。
依頼主の貴族曰く、その遺跡に眠っているという宝石を令夫人への贈り物にしたいとのこと。
仕事を果たせば、一日の自由な時間と報酬の幾ばくかをくれると言うのだから、受けない手はない。
かつて使っていた装備に比べれば粗悪な代物を纏め掴んで、朝日と共にやってきた次第である。

「……とは言え、未知の遺跡に一人で潜るのもなぁ」

ぽつり、呟きながら周囲を見回す。狙うのはパーティを募集している他の冒険者。
冒険者ではなくなったが、流儀等は弁えている。どうにかなるだろうという面持ちで。
さて、どうしたものか。思案しつつ歩みを進めると、何やら人集りが出来ている様子。
喧嘩だろうか。それとも――。いずれにせよ、大切なのは情報だから、と寄っていき――。

「……は、い?」

――チンピラや破落戸の類に囲まれた少女が見える。ついでに、曝け出している凶悪な何かも。
一体何が起きているのか、てんで理解出来ずに少女はフリーズしていた。

クロナ > 「でかちんぽ」

三度の発言で、固まっていたチンピラ共のフリーズも溶けた。
先程のイキりっぷりは何だったのかと思えるきょどり方で視線を泳がせ『お、おう…』などと会話が成立しているのかしていないのかも曖昧な返事のみを口にして、彼らは逃げ出すかの様に遺跡の暗がりに姿を消した。
それを呼び水として止まっていた時間が動き出した。
他の冒険者たちも三々五々にメンバーを集めてダンジョンに降りていく。
幾人かの女冒険者はそわそわと声を掛けたそうなそぶりを見せていたが『やめなよぉ』『絶対死んじゃうってぇ』なんて仲間からの助言を受け入れ、未練たらたらの視線を向けつつも先人の後を追う。
捲り上げていたスカートから手を離し、改めて黒槍とプレートを手にしたちびっ子は彼らの背を紅色のジト目で追うばかり。
駆け出しばかりのこの場にそぐわぬ《竜殺し》を携えたちびっ子に声を掛ける命知らずは存在せず

「………次は、シロナも連れてこよう」

クロナ同様の駆け出し冒険者にして、でかちんぽとの相性も抜群な仲良し妹の名を告げ立ち上がり、王都行きの馬車に向けて歩き出した所で

「………………」

見つけた。
自分よりは背の高い、それでもまだ子供といった風情の小躯。
おちんぽ本能にびびっとくるエッチな気配を纏わりつかせた碧髪碧眼の美少女。
ちっちゃな爪先の方向をくりっと変えて、とことことそちらに向かえば

「………でかちんぽ?」

無表情が可愛らしく小首を傾げ、エキセントリックな問いを投げた。
『クロナは何役をすれば一緒に連れてってもらえる?』という言葉足らずも甚だしい問いかけであった。

シルフィエッタ > 「……いや、それは、うん、大きいけどさ」

彼女の言葉に、まずやってきたのは困惑だった。次いで、単純な感想。
そうこうしている内に、周囲の冒険者達は毒気を抜かれたのか、逃げるように立ち去って
次いで、謎の騒動に集まっていた人々も、同じ様に三々五々ダンジョンに向かって降りていく。
そして、うっかりこの場を離れそびれた少女と男も驚く肉槍を持った彼女が残った。

「…………」

混乱から立ち直っていない少女は、お見合いをするより他はない。
これどうやって声をかければいいのか。というかそもそも、彼女は一体何者なのか。
何処かで聞いたことのある声な気もするが――そんな形で声掛けしたらナンパである。
徐々に遠ざかっていく喧騒。静けさが増して、風がそよぐ音が聞こえてきて。

「――いや、その、それ以外の言葉は!?」

彼女を目にしてから、同じ五文字しか聞いていない。淫猥な五文字しか。
何をすれば、というと少女の能力に足りない部分はアタッカー、火力になる訳だが。
それを議論するより前に躓いている状態に、思わずツッコミを入れるのだった。

クロナ > 少女の返答に、クロナの小首が逆方向にも傾いだ。
微妙に会話が成立していない。無論、原因はちびっ子淫魔の方にあるのだが、ぱちくりと瞬く紅眼はまるで自覚していない。
そんなちびっ子二人の膠着状態の暇つぶしなのか、更に数歩の距離を詰めたクロナの小さくも可愛らしく整った鼻先が

「くんくん……すんすん……♥」

彼女の首筋を鼻息で擽りながら匂いを嗅ぐ。
その動きに一拍遅れて揺れる黒艶髪から、シャンプーの清潔で甘やかな香りが漂い、俯いた童顔の睫毛の長さが彼女の至近で数度またたく。
ついで発せられた困惑の問いには今一度細っこい小首を傾げる事で応え、かと思えば体重を感じさせない足取りが数歩彼女から距離を取る。
そして片手に携えていた漆黒の短槍をくりくりぶぉんぶぉんと細身に巻き付けるかの様に回転させて、びしっとキメポーズ。

「わが名はクロナ。7大地獄の一つしょーねついんかいのはしゃにして、神ころしの黒槍ゲーリュケイオンの奏者。きさま、わが力をもとめし者か? もしくはでかちんぽでずこずこされたい子?」

キメポーズに至る動きはやけに手慣れていて、このちびっこがもしかしたら結構な使い手なのでは…!?なんて感想も抱かせるが、ある程度の観察眼さえあれば、無駄な情熱による繰り返しの練習によってガワだけが整えられたハリボテに過ぎぬことが分かるだろう。
とはいえ、基礎的な運動能力は高いらしく、体幹にブレは無く、駆け出し冒険者にしては悪くない動きは出来そうだ。
棒切れの様な四肢と、鍛錬の足りていないスタミナ不足は感じられるも、プレートに乗っていた《弱体》の一語を見るなら、なんらかの魔術も扱えるのだと予想がつくはず。
どこからどうみても頭の中身は小春日和なちびっ子なれど、他の売れ残りよりはいくらかマシな働きをしてくれそうだという目算もつくだろうし―――さて、彼女はこの奇怪なチビと一時的なパートナー契約を結ぶという賭けに出るのかどうか。

―――ちなみにクロナはまだ気付いていない。
彼女がかつて、スラムの小汚い小屋に閉じ込められていたちびっ子盗賊であり、媚毒でどろっどろに蕩けていたところにエロエロスライムをおしりの穴に潜り込ませ、スライム排泄による絶頂という魔虐で弄んだ相手であるという事を。
彼女が名乗りを返したならば、『次に会った時にはむちゃくちゃシルフィエッタしてやる!』などという訳の分からない決意と共にその時のあれこれがよみがえり、彼女の魅惑のアナルへの淫欲がどっばーっと溢れる事になるだろうが、今はまだ幾らかマシな対応が出来ているのではないだろうか。

シルフィエッタ > 観衆がいれば笑われたかもしれないちぐはぐな会話だが、実際のオーディエンスは0名だ。
見目は非常に可愛らしく、こんな子が冒険者なのか、とも思う。不思議な子だ、とも。
そんな彼女が近づいてきて、すんと鼻を鳴らす。人というより動物みたい、という感想が湧く。

「……いや、嗅ぐなってば。全く、君は犬か何かかい?」

なんとなく大丈夫そうな気もするが、一人にしておくのも心配な気がする。
槍をぐるぐると回してキメる様は堂々としている。口上はちょっと理解しきれない。
とりあえず彼女の名前がクロナということ。槍の名前がゲーリュケイオンだということ。
あとは、なんだか不可思議な質問が二つ後ろにくっついていたことは理解した。

「クロナ、ね。ボクはシルフィエッタ。よろしく。
 それにしても、うーん、もう皆潜っちゃったしなぁ……うん、君の力は求める。
 でも、別にずこずこされたくはない、かな――ということでどうかな?」

様子を見るに、身体能力は高そうだ。天性の才能か、鍛錬によるものか。
或いはその両方かもしれないし、応募のプレートをみるに、魔術の心得もあるのかも。
逆に、自分の持つスキルは、盗賊技術と風の魔術。今は主の許可なく使えないそれらを存分に振るえる。
やる気十分。体力も問題なし。ならば、人足は多いほうが良いという判断だ。
なお、少女はかつての逢瀬を覚えていない。あの時は理性など蕩けて吹き飛んでいたのだ。
だから、声の聞き覚えがあるのみ。それは、警戒するには微小過ぎる違和感で。

「で、取り分だけど、ボクは目当ての宝石があるからそれだけは譲ってほしい。
 他は、そうだなぁ……宝石の価値も勘案すると、クロナが7、ボクが3でどう?」

彼女には、自分の仕事を手伝ってもらうのだ。彼女の取り分を多めにするのが平等というもの。
自分の手元に残る額面は悲しいが、多く持ち帰ってもどうせ主人に巻き上げられるのだ。
それなら、冒険者駆け出しの彼女に上げてしまおう。何かと入用だろうから。
そんなお節介すら考えている少女である。彼女への注意など、全くなかった。

クロナ > 「――――っ!? シル……? しるふぃ、え……った??」

眠たげだった紅瞳が、彼女の名乗りに合わせてくぱっと広がった。
まぁ、よくよく見れば、あ、ちょっとジト目が大きくなったね、くらいの変化なのだが。
ともあれ、無表情娘にしてみれば劇的な表情変化が、驚きと戸惑いに揺れる紅玉で改めて碧髪碧眼を観察する。それはもうまじまじと。
近付けた顔が

「んちゅ~♥」

とりあえずついでにヤッとくかくらいの気軽さで少女の唇を奪ったりもしつつ

「シルフィエッタ! シルフィエッタ! そうか、お前はシルフィエッタ! ここであったがひゃくねんめ! 今日こそむちゃくちゃシルフィエッタしてや……んぅ?」

薄暗がりの中に見た媚毒でどろっどろに蕩けていた童顔と、いっぱしの冒険者めいて凛々しく立つ今の彼女の姿が結びつかなかったのだろう。
先に嗅いだ匂いと、彼女の名乗りによってシナプスの結合を得たチビが、親の仇でも見つけたかの様な―――それでいて大根役者の棒読みセリフの様に抑揚の足りていない雛声でピヨピヨ鳴くも、その直前に差し込まれた彼女の言葉が遅ればせながら思考中枢に届いたのか動きを止めた。

「…………」

柔らかく尖った白顎に名探偵めいて指を添えての沈思。
閉ざしていた双眸をぱっと見開き、紅色のジト目を改めて少女に向けたクロナがシェルピンクのおちょぼ口を開いて言う。

「足りない。じょーけんがもう一つ。仕事の後、めちゃくちゃシルフィエッタさせる。これはぜったいゆずれない」

無表情が、断固たる決意を口にする。
その宝石の詳細は分からぬものの、売れ残りであるクロナに対し、いきなり7:3という破格の値付けを提示するのだ。きっと彼女にとっては何をしてでも手に入れたい物なのだろう。
その足元を見て、先のプレイのリベンジをしようという小狡い思考であった。

シルフィエッタ > 名を告げた瞬間、相手の目が丸くなる。そんな反応をされる様な縁は果たしてあっただろうか。
記憶にはない。ということは自身が見世物にされた時に、名を覚えられていたのかもしれない。
全く知らない、の方が良かったなぁ、と心の中でぼやいた刹那、密接する彼女。重なる唇。

「んむぅっ!?――ぷふあっ。いや、ボクも君の声になんとなく聞き覚えあった気はしたけど。
 というか何その無茶苦茶シルフィエッタって!?ボク君にそんな悪いことしてないよねっ!?」

もはや接吻の一つや二つで騒ぐほど初心でもない。彼女の甘さを楽しむ余裕もある。
だが、なにか因縁があるようなら、この出会いはある種運命だったのかもしれない。
彼女と組む。それ以外はなさそうだ。天の采配を信じるとしよう。
条件を告げると、彼女は少し悩んだ後に追加条件を一つ。意味はわからないが、推測はできる。
つまり所望するのは自分の体。それならば、少女自身も唯一、自分で許せるものだから。

「……成功報酬でいいなら、仕事終わりから明日まで好きにして良いよ。
 宝石を対価にすれば、ボクの身柄を一日君に委ねるくらい安いって言うだろうし」

今の主とも言える、業突張りな奴隷商人の振る舞いをイメージして、ため息を一つ。
とは言え、彼女がどんな子か、少女はまだ知らない。どういう遊びを好むかも。
そこを踏まえると、安請負な気もするが、果たして。

クロナ > むしろクロナの方が囚われて手も足も出せない彼女に"そんなに悪いこと"をした側なのだし、恨みを持つべきなのは彼女ではなく、良い所で時間切れの容赦のない対応をした店員達の方なのだけれど、シルフィエッタに色々した方が絶対楽しいという理由で今の様な形になっているのだ。これほどにいい迷惑があろうか、いや、ない。
しかし、彼女にとってその宝石とやらは余程に大事な物なのだろう。
こちらの提案を交渉の一つも無く受け入れた彼女に、ちびっ子淫魔は変わらぬ寝起き顔をぱぁぁっと輝かせた。

「んふーっ♥ んふぅうーーっっ♥♥ やくそくした!♥ それじゃあ早く仕事をすます♥ シルフィエッタしまくるっ!!♥♥」

見目に相応しい可愛らしい声音が、鼻息も荒くダンジョンに向かう。
くねる悪魔尾は荒ぶりすぎて、肉付きの薄い白尻に食い込むTバックを丸出しにしていた。

――――さて、因縁深い(?)ちびっ子二人の即席パーティがダンジョン入り口をくぐって既に3時間。
上層ではトラップも無く、出てくるモンスターもゴブリン、スライム、コボルトといった雑魚の代名詞の様な連中ばかりだったので、問題無く踏破していくことが出来た。
道中、彼女の口から目的の宝石に関する詳細を聞き出したちびっ子は、それが5層の祭壇にポップする翠色の玉石であると当たりを付けた。
2日に一度、構造を変化させるランダムダンジョンにあって、5層のどこかに必ず出現する祭壇付きの小広間。そこに設置される宝玉は魔法効果こそ持たぬものの、宝飾品とし見ただけでも結構な価値があるらしいのだ。
冒険者活動は気紛れにしか行わぬクロナなれど、ダンジョン探索は好みに合うのか、ここにも既に幾度も潜っている。
階層変化のパターンもベテランロリコン冒険者から寝物語に聞き出しており、何も考えてい無さそうな足取りは然したる苦もなく5層に到達していた。

シルフィエッタ > 色事の約束をした後の彼女は、これまででも最上位と言って良い表情の変化を見せる。
正直、見目に自信がない訳ではないが、生憎と男好きする様な肢体ではない。
こんな体でそんなに喜ぶのか、と首を傾げたくなる程度に、自己評価は低かった。
とはいえ、それ程喜ばれると悪い気はしない。やる気十二分な彼女の後をついていこう。

――それから、二人はさらっとダンジョンを攻略していた。
初心者向けの遺跡なのだろうか。比較的簡単に解除できる弩や足を取る溝の罠すら無い。
そして出てくる魔物も、雑魚の類。ナイフ一本と魔術を少しで片がつく。
少女は魔物・魔族との相性が悪い呪いを抱えているが、それでも余裕だった。

「――で、クロナの持ってる情報だと、第5層の祭壇に宝石があるんだっけ?」

問いかけながら進む。丁度この階段を降りれば、目当ての階層へとたどり着く。
その最中、麻服に設けられたポケットに手を差し込むと、小さめの巾着袋を取り出して。

「ほい、冒険するなら栄養補給も大事だから、食べとくといいよ」

袋の中身――ナッツとドライフルーツを糖蜜で固めた一口大の団子を彼女の口元に差し出した。
どうせパーティを組むなら、と技術や経験を教えて先輩風を吹かせている元中級冒険者である。

クロナ > ベテラン冒険者からの助言を纏めた虎の巻をチラ見しつつのクロナの先導。
階を下るにしたがって散見し始めたトラップも即席パートナーの碧眼が目敏く見破り解除する。
双短剣と魔槍(笑)の火力不足は否めぬものの、小躯を活かしたすばしっこさと手数の多さでそれを補い、出没するモンスターをあっさりと返り討ちにしていく。
ちなみにここから先はトラップも凶悪な物となり、モンスターもオーク、スケルトンウォリアー、ノールといった、《しょーねついんかいのはしゃ(笑)》たるクロナにして苦戦を免れぬ強敵がメインとなる。
勿論、クロナが得意としている淫術を変則的なデバフとして用いれば、結構あっさりと屠る事も出来るのだけど、今は傍らに碧髪碧眼の美少女シルフィエッタがいるので出来るだけまともな方法で戦いたい。可愛いシルフィエッタの前でかっこつけたいというしょーもない理由であった。
そんなわけで、ヒカリゴケがぼんやりと照らす石回廊の先を、シリアス顔(いつもと変わらぬ寝起き顔)で見つめていた紅色だったが

「そう。このかいそーのどこかにちょっとした広間が出来る。かいそー変化が起こったのは今日の朝だし、出遅れた分ももう取り戻せてるはずだから、多分クロナたちが一番乗り出来る。………あぁーん♥」

相棒の差し出す団子にジト目を向けて、エサを強請るひな鳥よろしくおちょぼ口を開いた。
ぷるつやな桜唇がくぱぁっと開き、唾液に滑る桃色舌がどこか淫猥に蠢く。
彼女がそんなちびっ子の甘えた所作に乗るのなら、あむっと閉ざす唇は彼女の指先も食み取る悪戯を敢行しようと企んでいる。

シルフィエッタ > ざっくりとした体感だと、難易度は3階層降りる毎に段階が変わるような雰囲気だ。
罠も一見それとはわからないものや、解除手順が面倒なものが増えてくる。
テレポーターなどの初見殺しな罠も出てくるから用心しなければならない。
魔物も倒し方に一工夫が必要そうなものが増えてきた。ナイフと槍では中々てこずる。
それでも、時には隙をついて弱点を責める、魔術をぶつけて一気に片を付けると作戦勝ちを収めてきた。
これまで彼女の補助とやらを見た覚えはないが、前衛としての振る舞いに文句があるわけでもない。
使うまでもない、或いは切り札級の技なのかもしれないと思うことにして。

「……ほい、あーん――指まで食うなっての」

スキンシップ濃いめだよなぁ、と思いながらも、指先を食むなら止めはしない。
いっそ、指先についた糖蜜の名残を彼女の舌肉の真ん中あたりに押し付けて、弄ったりもして。

「一番乗りできるならそれに越したことはないね。宝石なんか見つかればすぐだし」

悪戯っ子な彼女にも大分慣れてきた。唾液に塗れた指先は、服の裾で拭いておく。

クロナ > パワー、スタミナ、耐久性。
どれを取っても不安ばかりが残る中衛二人のアンバランスなパーティ編成。
それでも、ソロで潜るのに比べれば格段に効率はアップしていて、一人であればもう少し手こずっただろう階層もここまでは問題無く踏破する事が出来ていた。

「わふ♥ んふー♥ んちゅっ、むっちゅ、もちゅもちゅもちゅ♥」

指先を唾液に塗れさせる戯れにも、優しく可愛らしい反応を返してくれる碧眼少女。ここまでの道中ですっかり彼女の事を気に入ってしまったちびっ子淫魔は、透明蜜に濡れ光る指先を拭う少女の隙を付き

「んふぅー♥ しるふぃえった、おすそ分け♥」

甘団子を咀嚼したままそそそ…っと近付き踵を上げて身を寄せた。
紫竜の皮革が頬擦りでもするかの様に硬質の膨らみを少女の胴鎧に押し付けるも、その奥にて一生懸命背伸びをする青い果実の柔らかさもまた、きっと彼女に伝わる事だろう。
そして、彼女の双肩に小さな白手を乗せての不意打ち接触は、悪戯っぽい笑みを浮かべたおちょぼ口にて―――ふちゅ♥
彼女の口腔を塞ぐ。
品良く開いた唇より押し出す舌が、クロナの白歯で噛み砕き、クロナの唾液で潤いを帯びた団子ペーストを彼女の口腔に押し込もうとする。
淫魔の唾液をたっぷり吸ったそれは控えめな甘さと共に、生々しい温さとねっとりとした官能的な触感を美少女怪盗に与えるだろう。
モンスターが闊歩して、時には同業者とすれ違いもする黴臭く、薄暗い石造りの回廊での、ちびっ子二人のアブノーマルな絡みつき。

シルフィエッタ > これが中級者向けのダンジョンであったなら、まるで刃が立たなかっただろう。
初心者向けだからこそどうにか成り立つ、初心者と中級者の中衛コンビが先を行く。
彼女は経験こそ無いものの、身体能力や才能では群を抜いたものがあるように見受けられた。
少女もまた、元中級冒険者としての経験や知識で、彼女をフォローして支える。
即席にしては良い動きが出来ているのは、二人の間に揉め事がないからかもしれない。

「それにしても、君とは何処で会ったのかなぁ。ボクはてんで覚えてないんだけど」

理性すらも腹の刻印と媚薬で蕩けた状態での邂逅だ。全てが薄らぼんやりしている。
とは言え、彼女の様子から推測するに、険悪な関係ではなかったのだろう。そんな気がする。

「んむっ――ん、んく……♡ぷふぁっ、こ、ここで盛るなって、ばっ!」

彼女の口内に突っ込んだ菓子が、彼女の唾液でふやかされたペーストになって返ってくる。
昔ならば拒絶もしたのだろうが、今は彼女の様に見目の可愛い子にされるなら嬉しく思えてしまえる。
仕事で仕方なく、でっぷりとした不健康な巨漢の食べ残しを流し込まれるのとは訳が違うのだ。
砕かれたナッツの香ばしさ、干し果物のメリハリある甘味と酸味、彼女の唾液のほのかな甘味。
彼女の未発達な肢体が女性に変わっていく兆しのような感触すら味わいながら、舌を絡めて。

「――も、う。ダンジョン内でオークの玩具にはなりたくないんだけど。
 あまりそういうことされると、気分が高ぶって切っ先が鈍るじゃないか……」

これまでの付き合いで、彼女の扱いは手のかかる奔放な妹分みたいになりつつある。
悪い気分はしないから、それでよいかと思いつつ、しかししっかり窘めておく。先輩として。

クロナ > 驚きに見開かれ、反射的に唇を離した碧眼が、口先では文句を言いつつも、ぴょんこぴょんこと変態的なレズキスの続きを強請るちびっ子に再び唇を合わせてくれるのなら

「ん……ふっ♥ にちゅるぅ♥ れりゅ、ぬるぅ、にちっ、にゅりゅりゅぅうんっ♥♥」

ふにゃぁんっと嬉しそうに緩んだ紅眼は、ふっ♥ ふっ♥ と交差する小鼻から興奮の灯る鼻息を漏らし、最適な角度を探して傾ける頭部が流す黒絹で彼女の頬を撫で擽る。
小舌の密着を媒介するのは唾液だけでなくちびっ子の咀嚼した卑猥なペースト。ドライフルーツの甘酸っぱさや、ナッツの硬さが不意打ちのアクセントとなる淫靡な口付けは、ちびっ子の爪先がぷるぷる震える程長く続けられる。
おちょぼ口の端から溢れ落ちた唾液が顎先を伝い、白喉まで濡らす物の、それでもキスは終わらない。

「んふーっ♥ どーせすぐにわかる。クロナとシルフィエッタのうんめー的でひげき的ないんねん♥」

そんな小躯の絡みつきを、崩れた石柱の影から伺っていた豚鬼が、冗句めいて漏らした碧眼の呟きに応えるかの如く『ブッフォォォォオォォォオッ!!』と興奮に荒ぶる雄たけびと共に飛び出してきた。
粗末な腰蓑に覆われただけの股間は、早朝に露出させたクロナの巨根にも負けぬ屹立をいきり勃たせ、ドタつく駆け足に合わせてぶるんぶるんっと猛々しく揺れる怒張の動きは太幹にまで伝っていた先走りを周囲に振りまく。
慌ててバッと飛びのくクロナが槍先を構え、細蛇の絡む広刃をオークの樽腹に向けるも、レズキスの目隠しで巨躯の奇襲に気付くのが遅れた美少女怪盗には、豚鬼の振り下ろした大斧―――刃先が欠けて、所々に錆びの浮いた、最早鈍器の様にしか使えぬなまくらの一撃を回避する暇は与えられない。
大斧を受け止めるにはあまりに頼りない双短剣による防御が間に合ったとしても、ちびっ子二人合わせた物よりなお重い巨躯の放った力任せの一撃は、彼女の小躯を傍らの石壁に叩き付ける事となるだろう。
その刹那、シルフィエッタの碧眼には皮鎧の胸部に迫る斧刃が酷くゆっくりと見えるかも知れない。

シルフィエッタ > ちゅ、ちゅむ、ちゅぅ。黴臭い石の廊下に響く、少女達のリップノイズ。
最初は仕方なく付き合う、という程度だったが、彼女の濃さに後押しされて自然と舌が絡まる。
それは、少女の体に無意識で染み付く程に仕込まれた調教の成果とも言えるだろう。
一瞬、警戒心に緩みが生じる。ダンジョンの中では致命的なはずのそれが。
彼女と菓子の甘さに、勝手に心が解れてしまったのだ。やがて永の口付けの後に離れると。

「ぷ、ふぁっ――悲劇的、なの?それは勘弁してほしいんだけど――!?」

言葉の途中で、差し込まれる獣の咆哮。次いで彼女の矮躯が離れた。
眼前、彼女が飛び退いた場所目掛けて肉薄してくるのは、醜い巨体を持つ魔物。
股座の一物を熱り立たせた豚面が、鈍らな斧を力任せに振るいながら襲いかかってくる。
正しく一瞬。彼女が退いたと同時。腰の獲物に手を伸ばすのが精一杯だった。
力一杯に抜き放つと、鞘の側面――磁石の留め金が外れて、鞘走りより早くナイフが閃いた。
悠長な守りは間に合わない。ならば。防御の構えを取る刹那、少女は強引に前に踏み込む。
鉄の塊と化した刃先が迫ってくる。まともに受けたら、良くて骨折、悪くて命を失う。
対する少女は、一歩進むと同時に左半身を僅かに前へ押し出して、斧の軌道に割り込んだ。
刃より僅かに根本、回転の中心に近づいた芯棒に左の二の腕をぶつけるように当てて。

「あ、ぎぃ――ぁああああっ……!」

ごぎん。鈍くて嫌な音が響く。次いで鮮烈な熱。骨がへし折れたと確信できる。
同時に、少女は巨体に轢かれて巻き込まれるようにしながら、右手のナイフをその首元に叩き込む。
命を奪うに足るかはわからない、しかし捨て身の反撃だ。転んでもただで起きる気はないのだ。
それから、オークの突進が止まるとともに少女は跳ね飛ばされて、壁に背中を打ち付ける。
ひゅ、と肺の空気が溢れる音がして、ずるりとずり落ちて、瞳だけが魔物を見た。
一瞬の交錯。その中で先走りを拭ったドロドロの衣服を纏う少女は、格好の獲物と言えるだろう。
無論、魔物が反撃を受けた上で、なお生き延びたら、ではあるが。

クロナ > 「しるふぃえったー!」

悲鳴じみた声音でさえも、ふざけているのかと思えるくらいに抑揚がない。
そんな雛声をBGMに少女の前腕中ほどを圧し折ったオークだったが、瞬きの間に巨体の内へと潜り込んだ神速の踏み込みに、まともな対応など取る事は出来なかった。
汗と垢に汚れた厚皮が精臭と血臭のスパイスと共に少女の鼻腔を犯す。同時にブヅリと太首に滑り込んだ短剣は、頸動脈を断ち切り気道を裂き、中枢神経を刺し貫いて豚鬼の命を狩った。
太首の切れ込みからブシャァァァアアッと盛大に鮮血を噴き散らし、ドッと石床に膝を落した巨体が、この期に及んでなお野太く屹立する巨根の先からぶびゅるるっと噴き出した子種を最後に倒れ伏す。
細腕一本と引き換えに、クリティカルな一刺しで豚鬼を屠った怪盗だったが、薄い背筋を支えていた石壁が、ガラ…ッと崩れて消失するという不意打ちに対応する事は難しかろう。
幸いにして槍衾の突き出す致死性のピットなどではなく、破砕して開くタイプの隠し扉だったのだろう。数段の階段が形作る高低差が一瞬の浮遊感を与えた後に、石畳の突き上げを少女の肺腑に叩き付けるも、多少呼吸が止まる程度で、命に関わる様なダメージは受けずに済もう。

―――が、ちびっ子淫魔のレズキスを境に美少女怪盗を襲った不幸は、むしろここからが本番であった。
浅距離の落下をどのようにいなそうとも関係のない、熟練の拷問官が力いっぱいに振るった鞭の如く迫った蔦蛇がその四肢を絡め取り、崩れた天井から斜めに差し込む光源をスポットライトとし、少女の落下で立ち昇った埃を煌めかせた広間の中央、何故かそこだけが石畳ではなく剥き出しの腐葉土となっている一角に小躯を吊り上げたのだ。
一拍遅れて黒槍片手に広間に飛び込んだちびっ子淫魔が目にしたのは、うにょうにょと無数の蔦蛇を蠢かせ、石壁の一面を占有する巨木の緑。
その根元には小さな祭壇が存在し、緑の細茎が捧げ持つエメラルドの玉塊の煌めきが紅色のジト目を刺した。

「――――……む、これは……」

すぐにでも巨木型モンスターに突貫し、相棒を救出するかに思えた前のめりの小躯が動きを止めて、思案を始める。
その間に、少女の体当たりで崩れ去っていた壁が時を戻したかの様に石のレンガを積み上げて密室を形成していく。

シルフィエッタ > 死ななかった、ということは運命には見放されていなかったらしい。
致命的とも言えた不意打ちの突進を辛うじて躱し、左腕を代償に勝利を得た。
武器の短剣も一本は腕がへし折れた際に取り落し、もう一本はオークの首に埋まっている。
魔術以外に頼れるものがなくなった少女は、体をどうにか立たせようとして。

「ぐ、ぅ……久々にやらかした、なぁ――わ、わわっ!?」

これまでにも手酷い傷を追った経験はある。そう言わんばかりの虚勢を示す。
しかし、少女が立ち上がろうと体重をかけた瞬間、背中を支えていた石壁が崩れた。
ガラリという音とともに、後ろに倒れる体。ぐえ、と潰れるような声が出た。
ベッド際で頭だけをだらりと垂らしたような姿勢の少女は、視線の先に魔物をみる。
植物系の、触手を何本も生やした巨木の魔物。それが、鞭を思わせるしなやかな触手を伸ばす。
ぐんと絡みついた触手が四肢をそれぞれ絡め取り、中央の土壌の上へと引きずりあげた。
折れた左腕を強引に引き上げられるのは、少女からすれば拷問じみた痛みを伴う所業で。

「ぃ、ぎぁ、あああああっ――そこ、ひっぱる、な、あ、ああああっ!?」

強烈な一撃に、骨が軋んで肉がひきつる。ぷちぷちと繊維の切れる音が聞こえた気すらする。
じんじんとした疼痛が強くなり、額に脂汗が浮く。魔術を唱えるほど集中できそうにない。
そうして、少女は部屋の中央に宙吊りとなり、一切の抵抗ができなくなった。
その間に彼女も部屋の中に入ってきた様子。その後ろでは、開いたはずの穴がふさがっていく。
――閉じ込められた。そう理解はしたが、幾度も与えられる左腕の痛みに、悲鳴ばかりが漏れて出た。

クロナ > 無様に落下する声さえ可愛らしい。
そんな不謹慎な感想を抱きながらも、相棒の安堵を確かめようと広間に飛び込んだちびっ子が見たのは、無数の蔦鞭をくねらせて、壁一面に広がった巨木の堂々たるボスっぷり。
そいつに吊り上げられた少女は、さながら救いを求める姫君の様。すごくエロい♥

「―――聞いた事がある。ここの翠石は植物型のモンスターのコアで、かいそーこーちくのさい、まれにボスとしてそのモンスターが出てくる事があるって。そのモンスターはタフさだけが売りの、そんなに危なくない相手だって言ってたけど、ちょっととくしゅなせーしつをもっていて……」

ぶつぶつと抑揚のない声音が、独り言とも囚われた相棒への説明とも取れる台詞を奏でた。
うねる緑蛇はまだまだ自由な触腕が余っているにもかかわらず、一匹の供物で満足しているのか、紫鎧のちびっ子には見向きもしない。
そして、四本の太蔦で両手両脚を捕らえられた美少女怪盗は、両の腕は万歳の形で頭上に纏められ、左右の細脚はM字にくぱぁっと割り広げた羞恥姿勢で固定される。
折れた腕の痛みのせいで身じろぎさえ碌に出来ない危機的状況。
幸いにしてオークに圧し折られた左腕は、白肌から尖った骨片を突き出したりはしていない。加減知らずの蔦触手による拘束に痛めつけられる少女にとって、それは然程の慰めにもならないだろうけれど。
そんな相棒のピンチを見上げるのは、先ほどレズキスを重ねて来た時と同じ、悪ガキの気配が滲む茫洋たる笑み。

「しるふぃえった。そのまましばらくがまんする。そーすればそのほーぎょくはもっと大きく育って、ものすごーく価値が上がる」

他人事の気楽さで『がんばれ♥』とサムズアップするチビ。
同時ににょるるんっと宙を疾走った蔦鞭が、小躯の纏う鎧を着衣と共に引き千切った。
体幹にそって破り取られた着衣は、乳房の淡い膨らみも、ヘソの窪みも、淫紋の刻まれた下腹も、見目を裏切らぬ可愛らしい割れ目も、そして、先の邂逅でちびっ子淫魔にも弱点である事がバレてしまっている排泄孔さえもを曝け出す。
もう完全に観客面のちびっ子が「おおー♥」とかいって身を乗り出す。

シルフィエッタ > 両手首に絡みついた触手が両腕を上へと持ち上げて、膝に巻き付いた触手が足を左右に開いて止める。
中空で秘所を誇張する開脚姿勢を強いられた少女だが、左腕に掛かる体重のせいでそれどころではない。
一度へし折られてから強引に引き伸ばされた患部は、後に紫色に内出血し、痛ましい痣を生むだろう。
それでも、骨が突き出したりしてはおらず、治癒術士の手を借りればどうとでもなる傷だ。
不幸中の幸いではあるが、だらだらと脂汗を零しながら奥歯を噛む少女に喜ぶ暇はない。

「ひぐ、ぎ、ぐぅ――ぁ、はっ……回復魔法なんて、使えない、んだけど……」

姿勢が変わっても、少女の虚勢は歪まない。今はまだ、というだけではあるが。
服を引きちぎられてしまうと、ぴっちり肌に張り付く黒色の下着が顕になる。
胸が、下腹部の紋様が顕になった。同時に、魔物が認識した瞬間、紋様が妖しく瞬いた。
陵辱者たる樹木の魔物を主人として認めた証。少女の勝ち目が皆無になった瞬間だ。

「く、ひっ――ぁ、うぁ、はっ――ぁ、ぐっ、そんなこと、言っても――う、ぁあっ!?」

次いで、触手が器用にぴりぴりと下着を破いて、無毛の秘所と尻穴を剥き出しにする。
これまでの戦闘で蒸れていたからか、キスの刺激で濡れていたからか。
股座からわずかに立ち上る湿り気は、淫猥な雌の気配を孕んだもので。

「こ、このまま我慢って、ボクの左腕、大分やばいん、だけどっ!?」

とは言え、彼女に動く気がないから、どうしようもない。むしろ観客に回ってすら居る。
後で覚えてろよ。そんな忸怩たる思いを胸の奥に秘めながら、解放は諦めることにした。

クロナ > 「大丈夫。クロナは使える――――けど、この後の事考えると、あまりオススメできない。それでもつかう?」

こてんと小首を傾げて問う童顔には、緊張感が完全に消えていた。
闘技場の観客と同じ、他人の不幸を安全な場所で、ポップコーン片手に見つめる無責任な雰囲気がそこには滲んでいるだろう。
ちなみにちびっ子淫魔の回復術は、専門職にも引けを取らぬ回復能力を有しているが、一つ、致命的な問題があった。
癒した傷の大きさに比例した催淫を相手に付与するのである。
それも一週間もの長きに渡る、長期型の淫呪なのだ。
この後に行われるだろうあれこれを考えるのなら、傷を痛みを気付け代わりに残しておいた方がいいのではないだろうか。そんな考えの元に発せられた、一応の気遣い。

「ふあぁぁ……♥ しるふぃえったのおまんこ、もうにゅるにゅる♥ とってもエロい♥♥ おちんぽ挿れていい?」

両目を閉じてくんくんして、蒸れた雌臭を小さな胸いっぱいに吸い込んだチビは、改めて紅瞳を開いて問う。しかし、その視線は相棒に向けられているのではなく、その向こう側で不気味に巨躯をくねらせたボスモンスターを捉えていた。

さて、言葉足らずで断片的なちびっこの情報提供を補足するなら、それは、次のような物となる。
この大樹型ボスモンスターは、エロトラップの一種。
好みの獲物―――見目麗しいボーイッシュな少女が特にお気に入りらしい―――を捕らえた後は、その口腔と排泄孔に、それぞれ触手を潜り込ませる。
そうして口腔には供物を活かし続けるための栄養と、そして何より、目的物の生成を促すためのどろどろ樹液を流し込む。これがまた高級食材としてもてはやされるくらいに美味しくて癖になる甘露らしいが、今はあまり重要ではない。
問題となるのはこの次だ。

獲物の食道に雪崩込み、胃の腑を満たした樹液は、必要最低限の栄養素を常識外れの速度で獲物の粘膜に染み込ませつつ、どこまでもどこまでも腸内を降りていく。
そこには何かしらの化学物質が含まれているのか、獲物となった乙女の腸内活動は異常に活発となり、せっせせっせと老廃物を作り上げる。
この辺りまでくればもう、賢明なる冒険者であれば予想がつく事だろう。

そう、このエロ大樹は、少女の口腔に強制的な飲精を施し、その植物ザーメンを主原料とした排泄物を尻孔からひり出させ、それを良質の肥料として取り込んでコアとなる宝玉を大きく美しく変容させていくのである。
少女の尻孔から潜り込ませたエロ触手は、腸壁に特化した媚毒を塗り付けながら排泄孔を掘削し、供物の反応からほじくり出した弱点を抉る肉瘤を形成し、ずこずこぐぽぐぽ永劫に続くピストン運動で獲物の脳を蕩けさせるのだ。

そうして出来上がるのは、うんちする事しか考えられない生きた肥料袋。
呪文構築はおろか、まともな思考すらままならぬ、睡眠中も止まる事のない排泄快楽によって廃人と化すのである。
幸いにしてここの宝玉は新人冒険者にとって狙い目のアイテムであり、例え運悪く捕らえられて尻孔嬲りの憂き目にあっても一日と立たずに他のパーティに救出されるので、そう酷い事にはならない。
精々が、アナルセックスの悦びに目覚め、日々の排泄に甘声を上げるようになるというマイナス特徴を植え付けられる程度。

―――とはいえ、自動修復される隠し扉は、シルフィエッタの鋭眼をして先程までは見つけられなかったくらいにうまくカモフラージュされていた。
それを考えるなら、次のダンジョン改変が行われる二日後まで、他のパーティーがこないなんて可能性も十分に考えられる。

クロナ > 【部屋移動いたしますーっ。】
ご案内:「王都近郊の遺跡」からクロナさんが去りました。
シルフィエッタ > 【お部屋移動致します!】
ご案内:「王都近郊の遺跡」からシルフィエッタさんが去りました。